アイスクリームメーカーがロシア市場への挑戦を模索

アイスクリームメーカーがロシア市場への挑戦を模索
出典:2016年9月14日付 Food Industry Analysis
ロシアのアイスクリームメーカーは、長引く経済不況や競争の激化、業界特有の課題(季節性など)に
直面している。荒波の中を渡っていくのは困難だが、アイスクリーム部門はその力強さを増してい
て、ロシアのアイスクリーム市場には重要な成長のチャンスがあることを示している。
それほど遠くない昔、ロシアは日用品の消費が進み、その
根強い成長・推進力で、BRIC(ブラジル・インド・中国・ロ
シア)市場の寵児と見なされていた。今日、経済情勢は楽観
性を欠いている。石油価格の急落で不況が長引く一方、ルー
ブルの暴落で物価は上がり、
国内の商品やサービス需要の崩
壊を引き起こした。
OECD(経済協力機構)によると、インフレ率の低下と実質
所得の増加により、2017 年は成長はプラスに転じる見込み。
にもかかわらず、ロシアは構造的な再生に欠き、石油価格も
不安定なため、回復は遅々として不安定になるだろう。
ロシアのアイスクリーム売上高の成長は、
食品メーカーにとっても甘いお菓子だ
これらを背景に、ロシアのアイスクリーム市場は依然プラ
ス成長の分野であり、経済の復活を裏付けると目されている。
ロシアのアイスクリームメーカー連合のデータによると、1991 年
以降、市場全体では価格は 2.5 倍に増え、いまだに増加を続けている。連合のアナリストによれば、2015 年のロシアのア
イスクリーム消費量は 1.5%増え 380,000 トンだったと言う。2016 年の予想年間市場売上高は 15 億ドル。
これは市場調査会社 Nielsen の統計が裏付けとなった。同社によれば、2015 年のロシアのアイスクリーム市場は、2014
年と比較し、販売量は 6%以上、売上高は 23%成長した。連続成長を見せるのは 2 回目である。
ロシアのアイスクリームメーカー連合の広報担当者によると、販売が拡大したのは、消費者のアイスというジャンルへ
の見識が深まった結果だという。ソビエト連邦の時代、アイスクリームは低品質な冷凍プラントの副産物と考えられてい
たため、まっとうなメーカーにとって、品質への高い評価を得るのはハードルが高かった。だが、1991 年以来、ロシアの
消費者の商品への態度が大きく変わった。彼らは今や、高品質の商品を期待し、高く評価しているのである。
広報担当者はまた、同連合のアナリストが、アイス部門は今後数年間成長を続ける見込みだと語った。
市場レポーターの Euromonitor は、ロシアのアイスクリーム市場の年間成長率は、2015-20 年の間で 6%と推定する。
「さ
らに、プレミアムアイスと冷凍デザートブランドにはまだ成長の余地がある。これらはもっとも浸透していない分野だ。
2020 年末までに、アイスと冷凍デザートの売上は 1680 億ルーブル(25 億 7000 万ドル)に達する見込み。
」
ロシアのアイスクリーム市場は、成長だけでなく多様化もしてきた。消費者は、ロシアのメーカー商品や国際的な食品会
社の商品も選べるようになったからだ。
市場は競争が激しく、ある専門家は、大手メーカーが市場でさらに存在感を増そうと取り組んでいるため、競争がさらに
激化すると予測している。例えば、Froneri(今年初めに Nestle と R&R Ice Cream が作った新しい共同事業会社)は、この分
野の原動力として顕著な影響を与えた。
Nestle ロシアの広報担当マネージャーElena Yakunina 氏は、Nestle ロシアがアイスクリーム事業を Froneri へ譲渡した
ことで、さらなる競争を生み出すと語った。
「新しい共同事業の設立は、この成長の早い分野において、将来的な成長への
絶好の機会となるだろう。」
同氏は、この共同事業会社が作る新しい商品について話すのは拒んだが、ロシアの消費者が高品質なアイスクリームを
購入できるだろうと強調した。この発言から推量するに、Froneri は、48 Kopeks、Bon Pari、Extreme、Maxibon、Nesquik
など、Nestle がすでにロシアで生産しているブランドを作り続けるようだ。
英国の Froneri 筋の話では、この共同事業会社の生産能力は、ロシアのアイスクリーム市場の他のメーカーと大きく異な
るという。
ロシアのアイスクリームメーカー連合のアナリストは、Froneri が、今後数年間で品揃えを拡大し、Modelez International
のライセンスの下、Cadbury や Oreo 等 R&R ice cream の主力商品を販売促進していくだろうと予測している。
Froneri が、すでに海外で人気のある新しいブランドをロシアで紹介したら、ロシアの消費者からどのような反響がある
のかについて、審査員が登場したのだ。
大手アイスクリームメーカーGrand-Guilliver の次長 Sergey Shimkarev は、Froneri の動向が重要になると予測した。ロ
シアでは今のところ、R&R の存在感はそれほどではないからである。多くの消費者はブランドを意識していないが、R&R
は既存のロシアの流通ネットワークを使用できるので、同社にとって Nestle との提携は、売上を伸ばすのに都合が良いだ
ろう。
別の競合会社は、Froneri が新しいブランドで市場シェアを広げたいなら、慎重な態度をとるべきだと言っている。ロシ
アの大手アイスクリームメーカーChelny-Holod の次長 Ivan Salehov によれば、ロシアのアイスクリーム消費者は「とても
保守的」だ。Froneri は消費者から認識され市場シェアを広げるのに、相当な努力をしなくてはならないだろう。また、ロ
シアのアイスクリーム消費者は通常、ロシアブランドのアイスクリームを好むのだと、同氏は警告する。
Froneri が新たな商品を加えて市場に参入しようとするまいと、同社は市場をリードする Unilever・Iceberry・Russky
Kholod などの競合他社への圧力をいかに強めるかを検討するだろう。これらの会社は、Nestle とともに、市場シェア 35%
を占めている。2008 年に Ben&Jerry’s と Magnum メーカーに買収され、Unilever が所有する Inmarko は、2015 年には市
場シェア 19%を占めている。
これら大手アイスクリームブランドが重点的に取り組むのは、ロシアで販売されるアイスの約 50%を占める中間価格帯
の商品である。これは市場で急速に成長している分野であり、Nielsen によれば、2015 年には売上高 10%増となった。だ
が、経済状況をみると、売上の約 30%強を占めるにすぎない廉価な価格帯の商品が、同じ期間に 13%の速いペースで伸び
ている。その一方で、プレミアムアイスの売上は年々減少し、4%減となっている。
これらの動きが、自社ブランド製品のシェアを伸ばす原因となった。ロシアのアイスクリームメーカー連合によると、
2015 年には、自社ブランド商品の売値が 2014 年に比べ 13%伸びた。自社ブランド商品の売上は、今やロシアのアイスク
リーム市場の 10%を占めている。ネームブランド商品というライバルに比べ、より安く安定した価格のため、売上が伸び、
このような成長が今年も続くことが期待される。
廉価な価格帯の商品や自社ブランド商品の成長は、加工業者の利益を圧迫するようだ。モスクワに拠点を置く Discovery
Research Group のアナリストは、
「もっと経済状況が良かった時でさえ、低利益に苦しんでいたのに」と語る。
アナリストは特に、ロシアの冬の寒さと夏の暑さによる季節ごとの売上変動や、伝統的に一般の小売が弱いことに、アイ
スクリームメーカーが取り組んでいかなくてはならないと指摘する。実際、アイスクリームの売上の大部分(70%)は、衝動
買いなのだ。調査の結果は、ロシアの消費者が、定期的にアイスを買うのは気が進まないのだということを示している。
これらの困難な状況が、市場での統合の増加につながっている。調査によると、現在ロシアにはアイスクリームメーカー
が 150 社あるが、2014 年以前には約 200 社が事業を行っていた。会社数の減少は、倒産や大手メーカーの買収の結果と
考えられている。
現時点では、ロシアのアイスクリーム業界では、事業をやっていくのが困難だ。にもかからず、さらに発展した市場をも
しのぐ成長の伸びしろがあり、ロシアの経済が強まるにつれ、アイスクリームなど自分の判断で衝動的に購入できる商品
への消費者の購買意欲も高くなる。さらにこの成長を、アイスクリーム業界の競争の激化と、業界の健全さを支える関連
要素が強めてくれるだろう。