LCA講義全部 東北大学使用版

地球の破綻
第1部 私たちの地球は破綻するのか?
人類はなぜ苦境に陥るか?
第2部 認知バイアスとリスク対応が問題解決に繋がる
地球環境リスク情報をどう使うか
@日比谷図書館
安井 至
東京大学名誉教授・国連大学元副学長
(独)製品評価技術基盤機構(NITE)・理事長
http://www.yasuienv.net/
1
「地球の破綻」を書きました
気候変動などの八人衆の専門領域
の未来像を議論し、執筆は個人的に遂行
 未来の地球が破綻する形はどのようなものか
 「21世紀版成長の限界検討会」の八人衆との共著


江守正多
川島博之
薗田綾子
原田幸明
馬場未希
藤野純一
松田裕之
森口祐一
国立環境研 気候変動リスク評価研究員
東京大学大学院農学生命科学研究科
(株)クレアン代表取締役
物質材料研究機構 元元素戦略グループ長
日経エコロジー副編集長
国立環境研 温暖化対策評価研究室
横浜国立大学 環境情報研究院 教授
東京大学大学院 工学系研究科 教授
2
類書が出ている
「2052」 ヨルゲン・ランダース+仲間達、
(ノルウェー:「成長の限界」の著者の一人)

環境関係の事象を中心に未来を予測している

「2050年の世界」 英『エコノミスト』誌編集部による


未来人口について、全く異なる見解




様々な観点から経済などの未来を予測しているが、環境関
係の記述は極めて少ない。唯一気候変動。
国連の低位予測以下 「2052」
国連の中位予測準拠 「2050年の世界」
国連の中位よりやや下目 「地球の破綻」
解決策について



明確な解答が無く、諦めろ by 「2052」
『公共心』で解決という by 「2050年の世界」
『互恵的利他性』で解決できる by 「地球の破綻」
3
破綻原因として何が深刻か 今世紀
5:極めて重大、4:重大、3:かなり重大、2:当面OK、
1:なんとかなる







皆様の直観を
点数化してみてください
気候変動
生物多様性の喪失
金属資源の枯渇
化石燃料の枯渇
人口爆発と食糧
環境汚染
対策費用の不足
4
第一部
リスク要素の抽出
「現状」と変化の「方向性と速度」
5
ある国の破綻の物語
サンゴ礁?
6
その国はナウル 人口 9300人 面積 港区ぐらい
ナウルのグアノ枯渇










現時点はカルスト地形
年間200万トンを輸出
1989年に採掘量が減少
総計1億トンを採掘
高い国民所得で無税
電気代無料
医療・教育費は無料
労働は中国人などで、すべて外食
経済は貿易依存度100%だった
21世紀になって、ほぼ枯渇(2000万トン残という説も)
現在、失業率90% もともと労働の意志なし
7
2012年米国の干魃の状況
8
カンザス州東部の農地
9
カンザス州西部の農地
10
オ
ガ
ラ
ラ
帯
水
層
の
化
石
水
+
+
+
+
11
こんな調子では、
地球の破綻は近いのかもしれない
12
ほぼ2℃
ほぼ2.5℃
ほぼ3.0℃
BAU
2012年までの国際共同作業
13
21世紀変動予測革新プログラム報告書
図2-18 各種RCPモデルの温度変化
RCP8.5
RCP6.0
RCP4.5
RCP2.6
革新プロジェクト報告書より
14
図2-19 許容される二酸化炭素の排出量。
RCP8.5
RCP6.0
RCP4.5
RCP2.6
革新プロジェクト報告書より
15
図2-20 4.5シナリオの2300年までの温度上昇予測
革新プロジェクト報告書より
16
湿潤熱帯地域と高緯度地域での水利用可能性の増加
中緯度地域と半乾燥低緯度地域での水利用可能性の減少及び干ばつの増加
水
4-17億人
11億~32億人
両生類の絶滅
約20~30%の種で絶滅
地球規模での重大な
の増加
リスクの増加
(40%以上)絶滅
サンゴ白化
ほとんどのサンゴ
広範囲に及ぶサンゴの死滅
の増加
が白化
生態系が影響を受け,陸域生物圏の正味炭素放出源化が進行
種の分布範囲の変化と
~15%
~40%
森林火災リスクの増加
生
態
系
食
糧
10-20億人
水ストレス増加に直面
する追加的人口
穀
物
生
産
低緯度地域 いくつかの穀物の
減少
全ての穀物の減少
いくつかの穀物の
増加
いくつかの地域での
減少
中高緯度地域
洪水と暴風雨による損害の増加
沿
岸
域
毎年に沿岸洪水を
経験する追加的人
口
0~300万人
世界の沿岸湿
地約30%消失
200万~1500万人
栄養失調,下痢,呼吸器疾患,感染症による社会的負荷の増加
健康
熱波,洪水,干ばつによる罹(り)病率と死亡率の増加
いくつかの感染症媒介生物の分布変化
0
1
IPCC(2007) 江守正多氏提供
医療サービスへの重大な負荷
2
3
4
5℃
17
1980-1999年に対する世界年平均気温の変化(℃)
江守正多氏提供
IPCC-AR4での2100年
までの気温上昇予測幅(℃)
大西洋子午面循環
ENSOの強さ
サハラ/サヘル及び西アフリカモンスーン
アマゾン熱帯雨林
西南極氷床
北方林
グリーンランド氷床
北極の夏季海氷
1990年水準からの全球気温上昇(℃)
地球システムの大規模かつ非連続的な
変化の可能性(tipping elements)
一旦、スイッチが入ったら、元に戻らない
Lenton and Schellnhuber (2007)
18
大西洋子午面循環
Atlantic Meridional Circulation
Thermohaline Circulation
19
生物多様性の喪失
気候変化 ⇒ 植物分布変化
⇒ 破滅的な種の絶滅



生物種の寿命は平均100万年?
人類も、まだ最低80万年程度は続く
生物種の絶滅は、歴史的には数回以上




環境の急変が原因で瞬間速度は速い
現時点、徐々に環境が変化している割には、
絶滅速度が異常に速い
不可逆性の最たるもの
復活しない事象を起こすのは賢くない
20
生物多様性の劣化
地上生息種
海洋生息種
淡水生息種
全脊椎動物
21
パームヤシ生産面積
適地ではない湿性熱帯林が開発されている
=食用油の需要が急増しているから
1.4E+07
ROW
Viet Nam
USA
Thailand
Philippines
Malaysia
Japan
Indonesia
India
EU(15)
China
Brazil
Australia
Africa S.Sahara
1.2E+07
area [ha]
1.0E+07
8.0E+06
6.0E+06
4.0E+06
2.0E+06
0.0E+00
1,961
1,966
1,971
1,976
1,981
1,986
1,991
1,996
2,001
year
22
生物絶滅の速度
太古
過去 未来
=1000年で1000種の
うち絶滅する数
23
資源は枯渇するか
2050年ごろまでの危機

鉱物資源



金属資源
農業用元素資源
エネルギー資源


石油
その他
24
鉱石の品位低下
オーストラリア(%銅)
オーストラリア(%ニッケル)
カナダ(%銅)
カナダ(%ニッケル)
アメリカ(%銅)
ニッケルおよび銅の鉱石品位(1885-2010年)
Cu
Ni
森口祐一氏提供
25
材料には資源というリスク
原田幸明氏提供
26
図2-42 資源は、少数の国によって独占されている
原田幸明氏提供
27
原油価格推移
過度の円安も影響
?
$100
28
石油系の燃料はまだまだ十分にある
29
World Population Prospects, the 2010 Revision
Figure 1: Estimated
and projected world population2100年まで
according to
国連による世界人口の推計
different variants, 1950-2100 (billions)
「地球の破綻」の予測は赤線
高位予測
「2050年の世界」の予測
中位予測
これ
低位予測 =「2052」の予測
30
World Population Prospects, the 2010 Revision
主要地域別の人口推計
中位予測
Figure 2: Estimated
and projected population by
major area, medium
variant , 1950-2100 (billions)
アジア
アフリカ
こ
こ
を
水
平
に
、
が
ポ
イ
ン
ト
北米
31
出生率の推移が最重要な予測
アジア
アフリカ
ラテン
アメリカ
オセアニア
北米
ヨーロッパ
32
20世紀の人口爆発の原因は穀物単収(単位面積当たり
の収穫量)の増加にある
フランスの小麦 出展 Michel & FAO
8
4
単収
(t/ha)
6
2
0
1800
1850
1900
1950
川島博之氏提供
2000
2050
空中窒素固定=窒素肥料生産量
20世紀の人口爆発の原因は穀物単収(単位面積当たり
Nitrogen Fixed Metric Tons
140,000,000
の収穫量)の増加にある
フランスの小麦 出展 Michel & FAO
120,000,000
8
100,000,000
単収
(t/ha)
80,000,000
6
60,000,000
4
40,000,000
2
20,000,000
0
1800
0
1940
1950
1850
1960
1970
1900
1980
1990
1950
2000
川島博之氏提供
2010
2000
2020
2050
大豆の生産量増加が世界の人々の食生活(動物性蛋白
質摂取量の増加)を可能にした。
10
1961年に対する比
8
生産量
面積
6
4
2
0
1960
1970
1980
1990
2000
川島博之氏提供
Catch
A「マグロはそろそろ絶滅危惧種になるぞ!
ウナギはそろそろ難しくなった」
B「魚が消えるって? サンマは余っている!」
A「しかし、中国・韓国が根こそぎ取る!」
B「。。。。。。。。。。」
松田裕之氏提供
36
Source: Fisheries Research Agency, Japan
地球の破綻の姿

気候変動・異常気象はかなり危機的状況




特に、当面は、淡水関係が深刻
その後、海面上昇は深刻だが、かなり先
当面、ゼロメートル地帯の高潮対策は重要
生物多様性喪失も深刻



ただし、その被害がどのような影響をもたらす
か不明 =最悪シナリオはどんなものか
気候変動も状況を悪化させるだろう
慎重に対応しておいた方が良さそう
37

資源枯渇




化石燃料は枯渇より、使いすぎ=温室効果
ガスの放出が問題
人口問題は多面的
食糧問題 全地球レベルなら



金属は回収・リサイクルを自然エネで徹底的に
穀物が不足するとは思いにくい
人口問題が片付けば、食糧問題も片付く
国際紛争 地域レベルの農業の崩壊?


気候変動による居住不能地は増える
気候変動難民が発生する
38
第二部
環境情報をどう使うか
39
最近の動向

しばらく前まで
環境は、新しいビジネスを創出する場
 どのような新しい場であるか理解することで、次のビジネス
今:環境ビジネスは、社会制度・政策がリードするものが確
が分かる
実であり、全く自力で創出するには莫大な努力
 環境情報は、次のビジネスを発見するために使用する


リーマン・ショック以後
 金融業でも詐欺まがいの行為が行われる
金融業の受託者義務を変えるか
Valueには、金銭的Valueと社会的Valueがある
 何が起きるか不確実性が高い

東日本大震災以後
自然災害は予測不可能
しかし、十分な想定をしておくべきである


最近の異常気象
本来、予測がある程度可能な分野
正しくリスクが認識できているかが問題

40
環境対応の意味 現時点






1.環境情報はリスク対応に使う
2.無為のリスクが非常に大きい=「国内横
並びが安全」はそうではない
3.リスク認知がまず問題
4.無為のリスクを避けるには、トップのリスク
認知とコミットメントが重要
5.リスク認知とコミットメントの標準は、「常時
搖動している」 自分の立ち位置も搖動
6.視点は国際的動向:自社の立ち位置のチ
ェックを先見的に行うことが重要
41
台風27号のリスク
比較的短時間で
状況が変わる台風
の予測は難しい
25日
09時
20日
12時
22日
09時
42
先見性
方向性だけでなく変化速度が重要





まずは、正しい“リスク認知”が絶対の条件
各種リスクの搖動の「方向性と変化速度」
フォアキャストだと、そのための観測を極めて精
密に行う必要があって困難
バックキャストは簡単(?)・確実(?)
理由:バックキャストの長期的ゴール:あるべき姿
(比較的読みやすい)とそれからの乖離(人間的
要素)から判断するから
43
World Economic Forum
Global Risks 2013 Eighth Edition





視野は10年間、方法はForecast
経済、地政学、環境、社会、技術の5つの分野に
おける大きなリスクをそれぞれ10個選択し、その
ImpactとLikelihoodの動向を表示
リスクは単独で存在するのではない。リスクとリス
クの相互効果・相乗効果も明らかにする
「認知バイアス(Cognitive Biases)が大きな問題
である」、と指摘している
X-Factorで想定範囲を広げている
44
気候変動への適応の失敗
復活できない
環境汚染
異常気象
の日常化
CO2排出
の増加
土地と水路
の管理失敗
本当は
ここ?
抗生剤耐性
バクテリア
Environmental
World Economy Forum
のリスク50
45
X Factors

暴走する気候変動:地球環境は、人類が生活し難い状態に急速
に近づいており、私たちはすでに後戻りできない局面に達している可
能性がある。

認識能力増強の技術:スポーツでの薬物使用に似た倫理的ジ
レンマが、日常生活、経済活動に広がり始めるかもしれない。また、
その結果、軍拡競争が起こる可能性も否定できない。

ジオエンジニアリングの悪用:気候操作のための技術が開発さ
れている近年の事例をあげ、国家や個人が地球工学を単独かつ一
方的に使用しかねない可能性を指摘。

長寿にかかる費用:医学の進歩で人類の寿命は年々延びてい
る。しかし、長期にわたる緩和ケアは費用が高く、高齢化に際して発
生する費用は私たちとっての新たな難題となっている。

地球外生命の発見:宇宙のどこかに生命が存在するという事実
が立証されれば、人類の信念体系に対して深刻かつ心理的影響を
もたらしうる。
46
認知バイアスの重要性
47
思考停止をしている日本を完全停止させたい?
 エコノミスト誌が報じた温暖化の「停滞」
2000年以降、地球の平均気温が余り上昇していないのは事実

竹内 純子国際環境経済研究所主席研究員

http://www.gepr.org/ja/contents/20130415-02/



「東京大地震研究所が、地中に埋まっていたコンク
リート構造物を地震の際にできた石と誤認していた
として、これを「活断層を確認した」としていた見解を
撤回するという出来事があったが、事程左様に科学
とは万能ではないのである」。
単なる思い込みによるミスと気候変動予測の不確
実性を同じレベルで議論して良いのだろうか。
典型的「環境経済背反型認知バイアス」ではないか
48
降水量=淡水の利用可能量の変化
減少
増加
未来予測は正確なのか
49
地球の気候は「太陽が温める赤道」が決める
太陽の熱で温められる
上昇
気流
50
中緯度の気候はどう決まる 「大気の循環」
通常位置
気温上昇
51
中緯度の気候はどう決まる 「大気の循環」
北へ移動
気温上昇
偏西風が
蛇行する
=
これが
中緯度に
おける
気候変動
の一つ
52
2010年の夏 モスクワの猛暑=6月26日に32.4℃
2012年のNY ハリケーン・サンディ
 偏西風の蛇行
 ブロッキング高気圧という現象
Hurricane Sandy
高気圧
被害総額6兆円
地下鉄1週間後にも2割不通、停電復活に1ヶ月
53
陸地は海よりも暑くなる。回帰線の間が暑くなる。
コンピュータによる計算も、
直感的に理解できることを
減少
増加
定量化しているに過ぎない
54
気象庁の発表による日本の異常気象
http://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/longfcst/extreme_japan/






2010年3~4月の日照不足と気温変動
2010年夏の極端な高温
2012年前年暮から2月までの低温と大雪
2012年冬の天候と大気の流れについて
2012年8月下旬~9月中旬の北・東日本の高温に
ついて
個人版(気象庁未発表)


2013年東京の「桜の開花の異常」について
2013年大島での「経験したことのない豪雨」
55
リスク予測の実例
56
IPCC AR5 WGⅠ
57
Allowance of
Integrated Assessment Model
Best Available
Scenario?
IPCC AR5 WGⅠ
58
化石燃料起源の二酸化炭素
2050~2100年


2.5℃以下の温度変化の実現によって、
Tipping Elementsの遅延を目指す
それには、




2050年 10GtC/year 人口約90億人
一人当たりの排出量 1.1 tC/year/capita
2100年 4GtC/year以下 人口約90億人
一人当たりの排出量 0.25 tC/year/capita
cf.日本では今
2.7 tC/year/capita
59
2100年の車載用燃料は?

2100年の日本のCO2排出量が世界平均で良けれ
ば、






一人当たりの排出量 0.25 tC/year/capita
cf.日本では今
2.7 tC/year/capita
これをどう読むか
日本人のリスク認知:「0か100か」メディアだと、
「ゼロエミッションが必須=水素」と読む
演者は、2100年にまだ「今の1割も出せる」と読む
「これをどう使うかがイノベーションの視点」
60
最終的な駆動力はモーター


なぜなら、電力は、種々の方法で、ほぼゼロCO2にす
ることが可能
充電時間が問題になり、レンジエクステンダーが必要
http://www.technologyreview.com/view/517936/
why-bmws-i3-electric-car-is-really-a-plug-in-hybrid/
BMW i3はEV しかし、オプションでレンジエクステンダー
61
2050~2100年の移動用の燃料

ゼロCO2エミッション燃料が必要?

バイオ燃料



水素







カーボンニュートラルが必須だから?
バイオエタノール、藻類からの炭化水素?
再生可能エネルギーでの製造?
CCSを付けた改質装置で褐炭などから製造し輸入?
最高効率と電動化は必要
ゼロCO2電力が主たる動力になっている
固定源からのCO2はCCS
2100年時点でも、天然ガスはある
車載燃料としては、水素より適確(8倍も楽)
62
連結可能な電気自動車2050
初出:『必要なとき、必要なところで、必要なことだけ』
http://www.yasuienv.net/ 10月19日2008年 で紹介
レンジ・
エクステンダー
二人乗り 電気自動車 航続距離は30km
鉄鋼業の将来に影響する因子
64
原材料はあるのか


鉄鉱石は?
石炭は?
環境限界はあるのか


大気汚染?
気候変動?
需要はあるのか

先進国のストック ?
65
66
IEA WEO 2011

石炭はどうなるか







現行の政策(6℃気温上昇)が継続すれば、2
035年まででさらに65%の需要増
新政策シナリオなら、10年増加の後、横這い
最終的に2009年の25%増の水準
中国の石炭消費が、世界の需要量の半分
オーストラリア、インドネシア、ロシア、モンゴ
ルなどが輸出国
もし中国が高効率化すれば、純輸出国に戻る
ことが可能で見通しは不透明
インドが2020年代には、世界第二位の石炭
消費国、世界最大の輸入国
67
先進国の鉄のストック 日本



13.2億トン 一人あたり10トンちょっと
先進国は大体、一人10トン程度
鉄源協会が毎年推計値を出している
68
原材料はあるのか


鉄鉱石は?
石炭は?
足りる
足りる
環境限界はあるのか


大気汚染?
気候変動?
克服可能
高炉CCSが必須になる
需要はあるのか

先進国のストック ?
10トン/人
69
途上国の需要をどう見るか







世界人口の最大 2075年で88億と仮定
アジア
45億
アフリカ 28億
南米
7億
合計
80億
貧困層は残るので、6~7トン/人のストッ
ク量で飽和すると仮定
必要量 480~560億トン
70
(1000t)
Crude
Steel
Production
by Production
World Regionsby
(1000
ton)
Trend
of Crude
Steel
Region
World
Asia
China
EU15
Japan
USA
India
1,400,000
1,200,000
1,000,000
800,000
600,000
400,000
200,000
0
1940
1950
1960
1970
1980
1990
2000
2010
71
鉄鋼の製造能力がフル稼働






30~40年後には高炉は不必要になる
高炉は超高級鋼専用になる
先進国は、温室効果ガスの排出規制によっ
て、高炉CCSが必須になる
輸送は基本的に船
船の燃料は重油か石炭 温室効果ガス排出
制限に掛かる
輸送をミニマムにするところでの生産

鉄鉱石、石炭の両方、もしくは、いずれかを産出
する途上国で生産されている
72
解の一つ:定常状態の経済
73
解決のキーワード
持続可能性の定義







先駆とされるのはブルントラント委員会
1987年「Our Common Future」
「Sustainable Developmentとは、将来世代のニー
ズに応える能力を損ねることなく現在世代のニーズ
を満たす発展」
“Development”が含まれていることは、途上国の
主張だと言われる=経済的発展。
しかし、先進国の言い訳だという説もある。
地球の資源などに限界があることは事実
しかし、人間の能力の開発には限界はない
Human Development
74
地球の資源的限界と基本戦略

物質資源



化石燃料資源 →再生可能エネルギーへ
金属・鉱物資源 →再生可能エネでリサイクル
再生可能資源



すべて有限 「再生をする」
生物資源
淡水資源
再生速度の範囲内
再生速度の範囲内
環境資源(生態系)

各種環境維持機能 かなり脆弱と認識すべし
75
Herman Dalyの「Steady State Economics」1971


“再生可能な資源”の持続可能な利用の速度は, その供給源の
再生速度を超えてはならない=木材・紙や薪・炭、漁獲量、水な
どの場合
“再生不可能な資源”の持続可能な利用の速度は, 持続可能な
ペースで利用する再生可能な資源へ転換する速度を越えては
ならない=化石燃料・プラの場合




金属、鉱物資源などについては、適用不能だが、リユース・水平リサイク
ルが必要条件であることは明確
ただし、エネルギー源を再生不可能な資源に依存している限り、余りにも
多大なエネルギーを使用することは非持続可能である
しかし、再生可能なエネルギーのみに依存すれば、リユース・水平リサイ
クルが条件を満足する
本格開発は1975年以降
“汚染物質”の持続可能な排出速度は, 環境がそうした汚染物
質を循環し, 吸収し, 無害化できる速度を越えてはならない=公
害型汚染物質、廃棄物、温室効果ガス、オゾン層破壊物質、
76
気候変動・オゾン層破壊の一般化は1992年以降
地球のエネルギーバランス
WWFの世界100%自然エネルギーシナリオ
http://www.wwf.or.jp/activities/lib/pdf_climate/green-energy/WWF_EnergyVisionReport_sm.pdf
疑問点
1.Bioの技術的進化は期待できるか
2.自動車は何で走るのか
3.不安定な電力はどうするか
78
問題解決のための
イノベーションのレベル
79
過去のイノベーションを延長すれば
第5番目は究極のイノベ-ション

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人類史的な観点からのエネルギー
第1=「火を使い始めたこと」
第2=「化石燃料を使い始めたこと」
第3=「電気を使い始めたこと」
第4=「化石燃料以外のエネルギー」
=原発を使い始めたこと
=太陽電池、風力の本格実用化
50万年前
1800年
1880年
1943年
未完成
第5=「定常状態を実現していること」 2100年
過去を解析し未来を担保する
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人類の進化の足跡 イノベーション

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二足歩行 520万年前
第1 石器の使用 240万年前
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

肉食によって、栄養を獲得 → 脳の拡大
第2 火の使用 150万年前、40万年前?
第3 言語の獲得 20~15万年前
 音声による意志の伝達(チンパンジーには不可)
 抽象的な概念の伝達が可能に
「過去を語り、未来に備えた計画を立てることであ
る。さらに、子どもの教育を言葉だけで行う能力が
あることもホモ・サピエンスの特徴であろう」。
by ジェーン・グドール 81
地球は破綻するのか?
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個人的結論
破綻は、固定観念=認知バイアスに
依存する。
世界全体が固定観念から離脱できれ
ば破綻しない。
破綻は、むしろ人類に依存する。
質問:どのような固定観念がもっとも一
般的で、かつ危険だと思うか?
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