http://risk.kan.ynu.ac.jp/matsuda/2001/010825e.ppt 中池見液化天然ガス基地の 生態リスク・便益分析 • 岡敏弘(福井県大)・松田裕之(東大)・角 野康郎(神戸大) 中池見湿地(福井県敦賀市)学術調査報告書(1998京 都・神戸・福井3大学合同中池見湿地学術調査チー ム・日本生物多様性防衛ネットワーク)より http://risk.kan.ynu.ac.jp/matsuda/2001/010825e.ppt 福井県敦賀市中池見 • 希少種の宝庫 にLNG基地 計画 • 放置しても失 われる二次的 自然 敦賀湾 敦賀港 中池見 http://risk.kan.ynu.ac.jp/matsuda/2001/010825e.ppt 中池見保全・消失による種の絶 滅リスクの増減 rank N n L 1-R T D(1/T ) VU 4693 10 17 0.76 35.99 0.00036 EN 2084 10 29 0.8 37.73 0.00015 VU 3773 100 50 0.55 85.08 0.00014 VU 7166 10 52 0.68 56.44 6.7E-05 VU 20283 10 51 0.87 32.32 6.4E-05 VU 14028 100 98 0.49 119.6 5.1E-05 VU 5996 1 33 0.62 54 4.3E-05 オオアカウキクサ VU 58939 100 80 0.75 52.76 4.1E-05 ナガエミクリ NT 26829 100 114 0.34 202.2 1.1E-05 ミズニラ VU 27395 10 149 0.58 89.96 8.9E-06 カキツバタ VU 23338 10 81 0.54 102.2 6.3E-06 サンショウモ VU 52895 10 104 0.77 54.57 5.7E-06 アギナシ NT 64299 10 128 0.4 162 4.4E-06 ミクリ NT 43130 10 148 0.38 185.1 1.9E-06 ミズトンボ VU 13104 1 121 0.61 81.8 1.5E-06 種名 ミズトラノオ イトトリゲモ ヒメビシ ミズアオイ デンジソウ オオニガナ ヤナギヌカボ N:全国個 体数 n:中池見 生息数 L:区域数 1-R:過去 10年間 の全国 減少率 T:平均絶 滅待ち 時間 http://risk.kan.ynu.ac.jp/matsuda/2001/010825e.ppt 系統樹の長さによる多様度 Weitzman ML(1992) Quart.J.Econ.107:363-406. la lab A B labcd C lcd ld D • 近縁種がいないほど重視(ld>la) • 近縁種ごと絶滅するリスクも考慮可能(lab) http://risk.kan.ynu.ac.jp/matsuda/2001/010825e.ppt 期待多様性損失ELB Expected loss of biodiversity • • • • 地球の生物多様性への寄与分 種iの「系統的固有性」li 種iの絶滅確率の増加分Δ(1/Ti) ELB=Σ li Δ(1/Ti) – 系統樹長×絶滅リスク上昇 http://risk.kan.ynu.ac.jp/matsuda/2001/010825e.ppt 絶滅危惧種の「系統樹長」(百万年) (維管束植物の起源を4億年と仮 定) RDB 種 イトトリゲモ ヒメビシ 科 イバラモ科 ヒシ科 オオアカウキクサ アカウキクサ科 デンジソウ デンジソウ科 ミズトラノオ シソ科 ミズアオイ ミズアオイ科 ヤナギヌカボ タデ科 ミズニラ ミズニラ科 サンショウモ サンショウモ科 ナガエミクリ ミクリ科 オオニガナ キク科 アギナシ オモダカ科 カキツバタ アヤメ科 ミクリ ミクリ科 ミズトンボ ラン科 ミスミソウ キンポウゲ科 科までの 段数 17-19 25-29 10 9 29-33 22-26 20-21 3 10 22-27 28-29 17-19 18-18 22-27 17-21 16-19 グループ 多様性寄 系統樹 内種数 与 長 205 15 6 67 580 34 1000 68 10 20 20000 249 1400 20 20115 2000 0.0291 0.0309 0.0772 0.0488 0.0085 0.0300 0.0178 0.0733 0.0707 0.0315 0.0053 0.0277 0.0157 0.0315 0.0056 0.0147 11.6 12.3 30.9 19.5 3.4 12.0 7.1 29.3 28.3 12.6 2.1 11.1 6.3 12.6 2.2 5.9 EN VU VU VU VU VU VU VU VU NT VU VU VU NT VU NT http://risk.kan.ynu.ac.jp/matsuda/2001/010825e.ppt ELB=9200年分の損失 rank DN logN Ng 1-R T logD(1/T) logB ELB イトトリゲモ EN ? 3.3 29 80% 38 -3.81 7.1 1782 ヒメビシ VU >1000 3.6 50 55% 85 -3.85 7.1 1755 オオカカウキクサ VU >1000 4.8 80 75% 53 -4.39 7.5 1267 デンジソウ VU >100 4.3 51 87% 32 -4.19 7.3 1254 ミズトラノオ VU >100 3.7 17 76% 36 -3.45 6.5 1214 ミズアオイ VU >1000 3.9 52 68% 56 -4.18 7.1 802 ヤナギヌカボ VU >10 3.8 33 62% 54 -4.37 6.9 303 ミズニラ VU >100 4.4 149 58% 90 -5.05 7.5 261 サンショウモ VU >100 4.7 104 77% 55 -5.24 7.5 161 ナガエミクリ NT <10 4.4 114 34% 202 -4.96 7.1 139 オオニガナ VU >100 4.1 98 49% 120 -4.29 6.3 108 アギナシ NT >100 4.8 128 40% 162 -5.36 7.0 49 カキツバタ VU >100 4.4 81 54% 102 -5.20 6.8 40 ミクリ NT >100 4.6 148 38% 185 -5.72 7.1 24 ミズトンボ VU >100 4.1 121 61% 82 -5.83 6.3 3 Species name http://risk.kan.ynu.ac.jp/matsuda/2001/010825e.ppt ELBは絶滅危惧種の・・・ • 種数が多い土地ほど重く、 • 個体数が多い土地ほど重く、 • 系統的に孤立している種が多い 土地ほど重い。 • 絶滅危惧種の宝庫(hotspot)を守 れ! http://risk.kan.ynu.ac.jp/matsuda/2001/010825e.ppt 2つの極端な前提 • 大阪ガスの保全エリア(湿地部 3ha)により、放置すれば失わ れる希少種の宝庫を守れる • 保全エリアは有効な対策ではな く、LNG基地建設により希少種 の宝庫が全て失われる。 http://risk.kan.ynu.ac.jp/matsuda/2001/010825e.ppt LNG備蓄基地建設の便益 • 天然ガスは環境に比較的優しい • 今後需要は増える(下方修正) • 日本海側の基地の方がリスク分 散 – ロシアからの天然ガスパイプラ イン http://risk.kan.ynu.ac.jp/matsuda/2001/010825e.ppt 福井港建設案の費用 • 75km長いパイプライン • 福井港のさらなる浚渫が 必要 =+910-1000億円 =年40億円 http://risk.kan.ynu.ac.jp/matsuda/2001/010825e.ppt 保全エリアの費用 • 初期投資が10億円(25年で減価 償却+年3%の利子)=5700万円 • 毎年6000万円の維持管理費 • 1年あたり1億2000万円 • 期待多様性1年あたり1.3万円 http://risk.kan.ynu.ac.jp/matsuda/2001/010825e.ppt ELB自身は、保全策の是非は 問わない • 中池見開発による期待多様性損失は、 一方で-9200年になり、他方で9200年 (保全エリアの活動を自然の保全とみ なすかどうかに依存) • これは、二次的自然と人工生息地とを どう区別するかという問題に行き着く • どちらにしても、リスク便益分析が可 能 http://risk.kan.ynu.ac.jp/matsuda/2001/010825e.ppt 絶滅危惧種を守るための費用 実績 政策 期待多様性保 年あたり費用 全に払う費用 保全エリア 1.2億円 1.3万円/年 福井港を使う <39億円 <42万円/年 http://risk.kan.ynu.ac.jp/matsuda/2001/010825e.ppt 放棄水田は遷移が進む コナギ-オモダカ群落 1~3年 3~5年 ~5年~ 5~10年 10年~ ミゾソバ群落 アゼナ群落 ケイヌビエ群落 ヒメクグ-サンカクイ群落 チゴザサ群落 アシカキ群落 ミゾトラ ノオ群落 ヒメガマ群落 マコモ群落 ヤナギ林 ハンノキ林 ↑大阪ガスの環境影響評価書より →3大学学術調査報告書より ヨシ群落 チゴザサ- アゼスゲ群落 http://risk.kan.ynu.ac.jp/matsuda/2001/010825e.ppt 遷移の将来予想 100% ヤナギ ヨシ+マコモ ヒメガマ チゴザサ群落など ヒメクグーサンカクイ ミゾソバ アゼナ+ケイヌビエ コナギーオモダカ 生 育 地 10% 面 積 比 1% 率 0% 0 10 20 30 40 50 260 270 280 290 300 年 • 松田「環境生態学序説」を改変 http://risk.kan.ynu.ac.jp/matsuda/2001/010825e.ppt 遷移を留めた保全エリア • 移植はできるだけ避け、埋土種 子の自然生長に期待する • 草刈りを行い、各段階で遷移を 止める • サザエさん症候群 http://risk.kan.ynu.ac.jp/matsuda/2001/010825e.ppt 生物多様性保全とは • • • • いつか死ぬ生物を守る 変わり行く生態系を守る 全ての個体は唯一無二 人為的な大量絶滅を防ぐ(種> 地域集団>希少系群>個体) http://risk.kan.ynu.ac.jp/matsuda/2001/010825e.ppt 生態系管理は子育てと同じ • • • • • 無菌室教育も完全放任も失敗 正解不詳 可愛い子には旅をさせよ 親や周囲の愛情が大切 教育精神を明示し、合意形成
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