幻灯片 1

中級日本語
第15課 テレビ映像の伝えるもの
吉林華橋外国語学院
日本語学部 製作
第15課 形式段落
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第1段落(話題提示:テレビ)
日本全国、世界各地で起こっている事件がテレビの画面を通して
家庭に伝わってくる。
第2段落(テレビの利点)
昔は海外の様子などを見る機会がなかったが、今は後から後から
波のように押し寄せてくる。
第3段落(テレビの利点の例)
たとえばオリンピックにおける実況中継を世界中の何億という人々
とともに見ることができる。
第15課 形式段落
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第4段落(話題転換:文章の利点・必要性①)
テレビで知ったニュースを更に詳細に知りたい、あるいは世間がど
う考えているか知りたい時など、新聞は大いに役立つ。
第5段落(文章の利点・必要性②)
われわれが求める知識には、人々の思想、過去の出来事の記録
など、言葉でしか得られないものもある。
第6段落(文章の利点・必要性③)
文章には、自分の好みのスピードに応じて読めるという優れた利点
もある。
第15課 形式段落
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第7段落(テレビの不十分な点)
テレビの画面の伝えるものがものの一面に過ぎないことにも注意
せねばならない。
第8段落(視聴者が気を付けるべきこと)
テレビの画面には一定の枠があって、人間が作る以上、どうしても
一面的にならざるを得ないということを知ればよい。
第9段落(まとめ)
テレビを楽しむ際は、テレビの一面性に気付かずに過ごす恐ろしさ
を忘れずにいたいものだ。
第15課 意味段落
1-3段落
話題提示
テレビの利点
4-6段落 文章との対比
文章の利点・必要性
7,8段落 テレビの一面性
9段落
まとめ
視聴者が気を付けるべきこと
第15課 本文 第1段落
日本全国、あるいは世界各地で起こっている事件が
刻々とテレビの画面を通して家庭に伝わってくる。当り前
のことと思われるだろうが、これは、昔の人にとって想像
もつかぬことであった。
第15課 本文 第2段落
日本においてテレビ放送が開始されたのは、昭和28年
(1953)である。それ以前にも写真があり、映画も発達し
ていた。映像による情報も、一応あるにはあった。しかし、
テレビが直接茶の間にもたらす知識の量は、各段に違っ
ている。居ながらにして南極の氷山だの北洋の荒れる海
だのアフリカの砂漠だのを見ることができる。今や、日本
の隅々までテレビが普及し、テレビのない家庭はむしろ
珍しくなってしまった。昔は海外の様子などを見る機会が
なかったが、今は後から後から波のように押し寄せてくる。
第15課 本文 第3段落
海外で今まさに起こっている光景、たとえば、オリンピッ
クの実況中継を、衛星を通して世界中の何億という人々
とともに見ることなど昔は夢にも考えられぬ話であった。
第15課 本文 第4段落
では、テレビがあれば、万事それで済むかといえば、そ
うではない。テレビ出現のころは、その普及にともなって、
新聞は世の中から消え去ってしまうのではないかという
人がいた。しかし、そうはならなかった。今でも結構、新聞
は多くの人に読まれている。昨夜のナイトゲームの結果
を新聞のスポーツ記事で読もうとする人はかなり多い。ス
ポーツに限らず、テレビで知ったニュースをさらに詳細に
知りたい、あるいは、世間がどう考えているか知りたい時
など、新聞は大いに役立つことになる。
第15課 本文 第5段落
すでに述べたように、テレビは、目で見ることのできる
知識の伝達には、量・同時性・迫力などの点で、圧倒的
な力を持っている。しかし、我々が求める知識には、言葉
でしか得られないものもある。人々の思想、過去の出来
事の記録などである。
第15課 本文 第6段落
また、文章には、自分の好みのスピードに応じて読め
るという優れた点もある。考えながら読めるし、望むなら、
再度読むことも可能である。物事を真剣に理解したり、正
しい判断を下したりするには、どうしても書き言葉による
知識が必要になってくる。
第15課 本文 第7段落
もう一つ、テレビの画面の伝える内容が、ものの
一面に過ぎないことにも注意せねばならない。外国
のテレビ局で制作、撮影したスポーツ番組を見ると、
参加した日本人選手が画面に映ることが少ないと
いった印象を受ける。これは、逆に、日本側の製作、
編集する番組は日本人選手の活躍を中心に構成して
いるということを暗示している。外国人はきっと、
日本のテレビ番組に不満を感じるに違いない。
第15課 本文 第8段落
だからといって、必ずしも愛国心に満ちた番組が悪いと
は限らない。テレビの映像には一定の枠があって、人間
が作る以上、どうしても一面的にならざるをえないという
ことを知ればよいのである。なにもテレビに映る光景が作
りものだと言っているのではない。事実にはちがいない
が、その番組を作る制作者によって、意識的に、あるい
は無意識に、全体の中から一部を切り取って示されるも
のだということを知った上で見てほしい。そこに映し出さ
れていない部分が一方に厳然として存在していることを
忘れなければいいのである。
第15課 本文 第9段落
新聞のニュースにも一面的な性格がある。しかし、ここ
ではテレビ映像の迫力、次々に変化する画面に気を取ら
れて、テレビの一面性に気づかずに過ごすことの恐ろし
さについて述べてみた。テレビを楽しむ際にも、そういうこ
とをぜひ忘れずにいたいものだと思うのである。