肺塞栓症患者・家族として ー肺塞栓症の予防とグリーフ・ケアー 江原 幸一 1 私のプロフィール 一級建築士。自営業 国産材住宅・伝統木造の普及 多文化共生のまちづくり 耐震補強普及 →妻が最大の理解者 2 肺塞栓症予防の活動の経緯 妻の状況 2002年2月 37週で骨盤位、臍帯下 垂のため2日後に帝王切開で出産 手術承諾書の肺塞栓症の記載 出産後翌日。担当医は帰宅後、 17:00頃トイレで妻が倒れる 1時間後に肺塞栓症と診断され、そ の後意識不明のまま 2002年4月9日妻が倒れてから53日 後、心臓停止 3 肺塞栓症予防の活動の経緯 家族の状況 3週間病院で寝泊まりして、妻の見舞 いと娘の授乳を繰り返す インターネットで肺塞栓症について調 べ始める 出産から1ヶ月後娘が退院 4 肺塞栓症予防の活動の経緯 肺塞栓症の予防活動 肺塞栓症についての情報収集 2年前の読売新聞の記事 妻が倒れて40日後に肺塞栓症の予 防を訴え始める 5 肺塞栓症予防の活動の経緯 活動の理由 妻の死を無駄にしない 肺塞栓症による犠牲者を出さない 人の善意に頼って活動する 裁判という選択をしない理由 金銭による解決に対する嫌悪 人との争いを避ける 時間・経済的・精神的負担の回避 家族との衝突・誹謗中傷に対する覚悟 6 肺塞栓症予防普及の活動 新聞・テレビの取材 東京都病院経営本部への申し入れ NHK「クローズアップ現代」番組制作 依頼 埼玉県・厚生労働省・国会議員へ申 し入れ ホームページ開設 厚生労働大臣への申し入れ 7 活動の成果 2002.4.9毎日新聞夕刊 2002.5.21テレビ東京のニュース 2002.7.3「クローズアップ現代」放映 2003.4.15読売新聞「医療ルネッサンス」 (2003.11.27『静脈血栓塞栓症予防 ガイドライン』まとまる) 2004.1.16肺塞栓症予防の保険適用 決定 8 肺塞栓症予防の普及 年間2000人の犠牲者(5人/日) 一般人の肺塞栓症の認知 →メディアへの訴え 厚生労働省との面会 →認知不足を認識 政治家へ訴え・政治の力学 保険適用が必須 9 肺塞栓症の周知 患者への啓蒙 保健所の母親学級での啓蒙 病院のパンフによる啓蒙 母子手帳への記載 医療関係者への周知 すべての医療機関への徹底 (予防と発症後の対応) 看護学校への働きかけ 10 医療機関の取組への期待 深部静脈血栓症を見逃さない医療体 制の確立 現在の問題=肺塞栓症・深部静脈血 栓症既往者の出産 →専門医のネットワークの確立 →専門医に関する情報提供 11 妻との死別により私に おこったこと 生きる目的の喪失 自死願望 死の恐怖の喪失 生きる意欲の喪失→健康管理なし 食事が生きるためのえさになる 無意識のうちに涙脆くなる 仕事の意欲の減退 特定の人との接触困難 12 妻との死別により私に おこったこと 家族内の軋轢(家族崩壊) 時間の制約→収入減による不安 13 グリーフケアの過程 カミングアウト→傷口に塩を塗る 死の理解 書物を読みあさる→自分 なりの死の解釈 妻とのコンタクト→知人による自動筆 記・ヒプノセラピー・退行催眠 自助グループに参加 メーリングリストによる吐露・共感・再 現→もっとも有効 14 グリーフケアの過程 妻の死を無駄にしないための活動 肺塞栓症・死別・子育ての相談にの る 15 病院のグリーフ・ケア対策 いくつかのメニューを用意 神経科・心理カウンセラー・ヒプノセラ ピー・自助グループ(死因疾病ごとの グループ・失った対象ごとのグルー プ)・信仰 家族室の設置 16 裁判をおこされないた めの予防策 医療者の誠実さが必要 治療に当たっては一緒に病気を闘う 姿勢 医療者が悲しみを表現してもよい 信頼と共感 『死ぬまでにしたい10の こと』の医師の姿勢 臨終のときの看護師の涙に救われる 17 裁判をおこされないた めの予防策 心ない言葉を発しない 部長のことば「肺塞栓症の治療・予防 は過渡期にある」 インフォームド・コンセント 二つの病院の対応の違い(説明の際、 両親の立ち会いの有無) 情報提供と患者の選択(患者と医者 が共同で病気と闘う姿勢) 18 裁判をおこされないた めの予防策 カルテの開示 (残された家族に対して) 東京都の規則 成人のカルテは家族 に公開できない 19 医療従事者への希望 常に自分の最愛の人を 治療するように・・ 20 21 22 23 24 25 26 27
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