けんさの豆知識 2014年 7 月 臨床検査部発行 [44] ~下肢静脈エコー検査について~ 近年、血管疾患の診断・治療判定においてエコー検査は欠かせない検査法となっています。 今回はその中でも発展の著しい下肢静脈エコー検査について簡単に説明します。 検査の目的 この検査は下肢(脚)の静脈を超音波診断装置で観察します。 主に脚の 深部静脈血栓(DVT:deep vein thrombosis) や 下肢静脈瘤 の有無を検査します。 深部静脈血栓症 長時間、同じ姿勢で座っていたり、運動不足や慢性的に脚の血流が悪い場合、脚の静脈に血栓が形成されます。 その後、血栓が血管壁から剥がれてしまうと血流に乗って心臓を通り抜け、肺の血管を詰まらせ 肺塞栓症 という病気を 引き起こします。胸が痛くなったり、呼吸が苦しくなったり、場合によっては死に至ることもあります。 早期発見・早期の治療が必要となります。 最近では長時間の飛行機搭乗によるエコノミー症候群や震災後の被災地での発症が注目されています。 日本でも増加傾向にあり、女性にやや多く40歳代後半~60歳に多い疾患です。 【血栓の原因】 ① 血流のうっ滞 : 長期臥床、腫瘤、妊娠、多血症 ② 血管障害 : 静脈炎、外傷、出血、カテーテル、ペースメーカー ③ 血液凝固能の亢進 : 血液凝固因子異常、癌、血小板増多症、妊娠、経口避妊薬、脱水 【症状】 深部静脈血栓症 : 下肢の 疼痛 ・ 腫脹 ・ 発赤 ・ 熱感 肺塞栓症 ・無症状の場合もある : 突発的な胸痛 ・ 呼吸困難 ・ 血痰 ・ 喀血 ・ 意識消失 ・ 無症状の場合もある 【大腿静脈エコー画像】 総大腿静脈 浅大腿静脈 太ももの付け根の静脈を観察。 カラー表示(→)は血流を示す。総大腿静脈に 壁在血栓(→)を認め、血管内腔が狭くなり、 浅大腿静脈は閉塞(→)している。 深大腿静脈 下肢静脈瘤 脚の静脈の中にある逆流防止弁が壊れると血液の逆流・うっ血がおこり、こぶの様な膨らみが出来る病気です。 日中、立っていると足に血がたまるために午後になると足がむくんだり、だるくなります。悪化すると皮膚炎がおこり、 湿疹・色素沈着をおこしたり、潰瘍になったりします。 下肢静脈瘤検査では瘤の有無や瘤内血栓の存在、静脈瘤の原因とされる静脈弁逆流を評価します。 検査の方法・手順 検査時間は約30分。所見によっては長時間になる場合がありますので、検査前にトイレを済ませておいてください。 観察部位は下腹部から足首まで、ズボンは脱いで検査します。態勢は仰向け・座位・うつ伏せになります。 ゼリーを塗り、静脈を圧迫しながら観察していきます。 慢性的に上記のような症状がある方はご相談ください。
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