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久我雅紹教授の退職記念号の刊行にあたって
経営学部長 大 島 正 克
久我雅紹先生は,2009(平成21)年3月31日をもって,亜細亜大学経営学部をご定年により
ご退職されます。経営学部は,先生のご退職を記念して『経営論集』第44巻第2号を退職記念
号として刊行し,これを謹んで久我先生に献呈させて戴く次第です。
久我先生は,1962(昭和37)年3月,明治学院大学文学部文学科をご卒業され,しばらくの
間,千葉の高等学校の教月をされた後,1966(昭和41)年4月,亜細亜大学教養部に専任助手
としてご着任されました。久我先生は,亜細亜大学着任後,1969(昭和44)年に英語担当の専
任講師へ,1973(昭和48)年に助教授へ,1981(昭和56)年に教授へと昇格されました。亜細
亜大学には43年の長きにわたり,英語教育と英語研究の分野を中心に貢献してこられました。
本当にお疲れ様でした。有難うございました。久我先生がご着任された当時の亜細亜大学では
1,2年生は教養部が受け持ち,3,4年生は商学部が受け持っていました。その後1970(昭和45)
年,商学部は経営学部に改組され,さらに21世紀がスタートする2001(平成13)年,教養部は
各学部に分属という改組が行われました。久我先生は,この分属に伴い,経営学部教授会のメン
バーとなられました。
小生の大先輩である久我先生は,小生が亜細亜大学経営学部に専任助手として奉職致しました
1981(昭和56)年には,すでに教授でいらっしゃいました。当時の『私のプロフィール』を紐
解きますと,今と全く同じく頭髪を7:3にきちんと分け,きりっとしたお写真が載っておりま
す。当時と比べて多少お太りになってはおられますが,当時と現在とではイメージもほとんど変
わっていらっしゃらないのに驚きます。心身ともにお若いと存じます。その源は何であろうか,
と興味が湧いてきます。『私のプロフィール』にその原点を見つけたような気がしています。先
生は(大学受験に際し)「詩や小説や随筆を読むようになり,人生という単語を知った。ぼくの英
語の乏しい知識でも,ヘミングウェイとかスタインベックといった大家の原文に直接触れること
が出来るのは,不思議な感動であった」とあります。その後,今日に至るまで,ご研究対象の英
文学を通してその感動を持ち続けていらっしゃるからであろうと想像致しております。その感動
を学生諸君に伝えてこられたものと存じます。久我先生は,亜細亜大学の英語教育に多大なるご
貢献をされてこられました。今日の亜細亜大学の英語の隆盛は久我先生の半生の証といえます。
久我教授ロマンを語り夢語り
学徒に託す文化の継受
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亜細亜大学経営論集 第44巻第2号(2009年3月)
久我先生は,英語に関する教育と研究に止まらず,亜細亜大学の全学的な役職もお務めになっ
てこられました。とりわけ2003(平成15)年度には図書館長という重職を務められました。そ
の他に1997(平成9)年から1999(平成11)年までの2年間は,英語教育センター所長を務め
られましたが,AUAP(亜細亜大学アメリカプログラム)は,亜細亜大学の英語教育のみならず
亜細亜大学全体の教育に関係しているだけに,いかに激務だったことかとお察し申し上げます。
さらに,英語ご担当の先生には入学試験の英語問題作成という外部にはあまり公表されないので
すが,実は一箇所でもミスがあると問題となる大変神経を使うお仕事があります。先生が在職さ
れておられた43年間,ずっと作成してこられました。この間,久我先生が作成された入試問題
で入学してこられた学生の数は,想像を絶する数と存じます。まさに,亜細亜大学の英語教育の
根幹を築いてこられたと申せます。
分属後は,留学生教育推進委員会(留学生問題検討会)のメンバーとして留学生に関する英語
教育について,またホスピタリティ専攻運営委員会のメンバーとしてホスピタリティ生に対する
英語教育の諸問題について,有益なアドバイスを戴いて参りました。久我先生の卓越しかつ適切
なアドバイスは,各委員会メンバーの信任厚く,先生のコメントによって,あるべき方向が決定
付けられたと申し上げても過言ではありません。久我先生をおいてこれ程の先生が他にいらっ
しゃらないだけに,先生が去られた後,私達は一体どうすればよいかと不安になります。
定年規定によるご退職とはいえ,このように多大なご業績を残された先生が去られることは経
営学部そして亜細亜大学にとりまして計り知れない損失であり,大変残念なことです。残された
私達は久我先生から教育と研究と大学行政に関する情熱と実行力をしっかり脳裏に刻み込んでお
かなければなりません。久我先生が去られるというこの場に及んで,久我先生のこれまでのご業
績を今後の私達の心の拠り所とし,私達一人ひとりが教育と研究と行政を通して経営学部さらに
は亜細亜大学の発展に尽力しなければならない,という決意を改めて致しました。本当は久我先
生からもっともっと多くのことを教えて戴きたかったというのが,偽らざる気持ちです。
久我先生は,オペラ・演劇・音楽の鑑賞,英国のウイスキーを味わうこと等,多彩なご趣味を
お持ちです。小生のような無粋の人間には,ちょっと分かり兼ねるのですが,温泉だけは共通に
楽しむことができました。温泉楽会のメンバーに入れて戴き,何度か温泉にご一緒させて戴いた
ことが懐かしく思い出されます。温泉楽会には定年がございませんので,今後もご一緒に温泉に
出かけることを楽しみに致しております。このような素晴らしい先生と亜細亜大学ならびに亜細
亜大学経営学部という職場を共にすることができたという誇りを胸に,さらに前進することをお
誓い申し上げ,送る言葉とさせて戴きたく存じます。
久我雅招先生,長い間本当に有難うございました。これからの先生の益々のご活躍とご健勝を
心から祈念致しております。
(平成21年1月吉日)