夫婦別姓制度導入是か非か 結論を急ぐことはない ・現夫婦別姓制にさまざま問題があることはわかる。 ・しかしそれは現行法下でも工夫すれば解決できる問題だ。 ・一方反対論、それが家族崩壊につながるなど主張にもとり たてて根拠があるとは思えない。 ・「家族崩壊」と言えば、少子化の問題が最重要の政治課題 であって別姓制度導入などどちらにころんでもたいした問 題ではない。 ・家族問題、社会問題、政治問題の一環としてこの問題を 論じる意味はあり、それは否定しない。 ・もっともこの問題はさしたる緊急性はなくさまざまな論点か ら時間をかけてこれを論じ、結論を出せばいい。 日本の現状 ・現行民法は婚姻時に夫または妻のいずれかの氏を選択 する「夫婦同氏原則」(民法750条)を規定している。 ・これにより夫婦同氏は届出の際には必須の形式的要件 となり(民法750条、戸籍法74条1項)、また婚姻期間中は 公文書において夫婦が異なる氏となることはない。なお、 これらの規定は夫婦ともに日本国籍を有する場合に適用 される。 ・民法の改正は他に影響することが多いので慎重にやる べきという意見は傾聴すべきだ。 論 点 ・婚姻時の改氏に不都合を訴える人が実在する 夫婦同氏の原則の緩和を求める声がある。そこ で、選択的夫婦別氏制度の導入など民法750条 の改正が提案されている。 ・一方で、現状制度の維持を望む人も実在する。 それが家族関係の破壊をもたらすという観点 もある。 民法750条改正の是非を争点として、論争が続 いている。 賛成論、反対論 賛成論 ・妻の側が改氏する割合が全体の97 反対論 ・選択的夫婦別氏制度にしなけれ といわれており、男女平等に反する 。 仕事上、氏の変更が業績の連続性に とって損害となる場合がある ・協議による選択であるから、結果が 「均等になるとは考えにくい」という反論 がある。 • 女子に対するあらゆる形態の差別の 撤廃に関する条約により夫婦別氏の 推進が要求されている 。 ばならない切実な理由がない。 ・主張の理由が家族・家庭より個 人を過度に優先する思想であり、 現今問題となっている家庭崩壊 を促進する惧れがある ・職業上の不便などはおおむね旧 姓の通称使用で解決が可能で ある 世界の制度はまさに千差万別 ・ 中国 父系祖先を示す姓を用い、夫婦間で統一されることはない。子供の姓は 両方 のいずれかから選択する。 ・韓国 夫婦がそれぞれの父系名を名乗る。子供は原則的に父親の姓を名乗る。 ・英語圏 家族名としての姓を用い、夫婦で統一される。アメリカでは法律に特に 規定がなく、女性が婚姻前の姓をそのまま名乗り続けるケースは珍しく ない。イギリスにおいても夫婦別姓は選択可能。 ・ドイツ 家族名としての姓を用い、夫婦で統一される。法律上では1994年に婚 氏統一原則の例外が規定され、別姓での婚姻も可能になった。さらに 2005年には婚氏を出生時の氏だけではなく前婚の氏へも拡大した。 ・イスラム圏 文化として家名にあたる名を持たないが、「~の子」を示す名や「~の出 身」 を示す名が家名のように使われる例もある。 世論は特に明確でない ・改氏で何らかの不便があると考える人の割合は全体で46.3%であっ た。過去の調査結果から推移を見ると回を追うごとに増えている。 1. 41.1%(1996年6月実施) 2. 41.9%(2001年5月実施) 3. 46.3%(2006年11月実施) ・子供に影響はないと思う」という回答は30.3%ではあるが、過去の調 査結果から推移を見ると回を追うごとに増えている。 1. 25.8%(1996年6月実施) 2. 26.8%(2001年5月実施) 3. 30.3%(2006年11月実施) 本の紹介 洋泉社
© Copyright 2024 ExpyDoc