Document

第7分科会(43名・8グループ)
自殺予防って本当にできるの?
~青森県南部町(なんぶちょう)の取り組み~
旧名川町(人口約1万)では自殺率が高く,対策をどうしよ
う?と思っていた。研究事業(オール国庫)等を活用して,高
齢者のうつ対策(スクリーニング+2次精密,各種相談事業,
地区毎に高齢者が集う場=集団支援の整備→自主運営,
遺族支援等,事業の非公表→公表)を通した「自殺対策」に
1999年から取り組んでいた。2006年1月,自殺率の名川町
より低い村(人口約5千)と町(人口約7千)と合併することに
なるが,合併前のそれぞれの立場であったら?という想定で
議論。さて,議論された事について合併後の展開は?
1回目のグループワーク





他町村(住民・役場・保健担当部署)への説明
留意点(役場等):本当に自殺予防ができるのか?(これ
までの名川町の成果は?) 実務上の問題はないか?
自殺対策事業と他事業との調整は? 従事する職員体制
(スキルアップ,職員自身のサポート)は? 住民の理解
無くしては進まなさそう。 連携体制は? 特に遺族支援
はいつ・どこで・どの様に・誰がやる?=やっていいの
か? )
留意点(住民):自殺等の現状を知っている?(感じている
が知らない?) うつ病のこと(症状,治療,対応等)を正し
く知っているのだろうか?
その他:自殺する原因・背景は多種多様 →保健?
誰が仕掛け人となっていたのだろう??!!
紹介:学生Gから出た素朴な疑問・提案






自殺者と残された人との関わりが難しい。そんな中で
訪問等をしてよいのだろうか?
電話相談は必要ない!?(学生の声:電話をかけてく
る人は自殺しないよ。) →大人の声「『行政の不作為』
を問われる厳しい時代。。」
自殺率が高い ・・ なぜ、ここだけ?
生きがいと自殺率 ・・働く/働けないだけが生きがい
の指標でいいのだろうか?
合併時は忙しいから,後回しになりそう
明るくない事業っぽいから,手を出したくなさそう
「自殺対策」を考える上で気になる
事項として以下の4つに論点整理
暗い?「テーマ」への取り組み
 手法(スクリーニング、訪問指導、電話相
談、遺族ケア,他)の確立・開発
 従事する職員(保健師)の体制整備
 誰が関係すること?(公表という課題も含
めて)

暗い「テーマ」だと取り組まないのか?
そもそも明るい/暗いは誰が決めている?
 保健事業の展開の限界もあるが,住民も実態や事
実を知って始まる保健事業という展開が必要!
 「命の大切さ」の周知とも関連する →性教育とも
つながる =明るい?ネタ
 自殺予防=「こころの健康」「いきがいづくり」につ
ながるので必要! (明るい?テーマ)
 明るい/暗いテーマ
<< 共感するかが大事

手法(スクリーニング、訪問指導、電話
相談、遺族ケア,他)の確立・開発
開発されないと取り組めない現状・現場!(旧手
法をそのままする?→とりあえずは引き継ぐ)
 専門職,カウンセラーや他専門職との連携によ
り、バージョンアップしていく!(検証する体制)

初版の開発は? 大学,研究事業,保健所
 効果等の分析とそれを踏まえた改訂版開発
は? 大学,研究事業,保健所,現場かな

従事する職員の体制
事業の対象者の数と属性の確認 = 事業のボ
リューム把握 →従事する職員(年齢構成,人員
数)の配置を決める材料
 職員それぞれのスキルアップ → 研修+関係者
間での連絡・協議での検証,これらの体制づくり!
 他職種への説明も必要 = 事業の内容・量を示
す(説明できる)体制も必要
 「いつまで」というゴール設定をしておくことも必要
 バックアップ機関や関係機関も意識した体制整備

誰に何を・どのような方法で公表する?
( 事業は誰の者? )
対象は?:合併後の住民、マスコミ(マスコミを
通じて地元住民・県内・全国への発信、管轄
保健所、福祉協議会
 何を?:事業の内容・現状・自殺の実態、どう
死んでどう生きるのか? うつ病のこと、町事
業としての位置づけ
 方法は?:町の広報誌を利用,事業実施の中
での周知,学会等での発表(情報発信)

実際の事例では。。(転結)

職員間の認識のずれ,住民の認識のずれがあ
ることを先ず課題として取り組むことに。。。
 住民への周知は,一般的な周知以外に,住
民の参加するビデオ制作・回覧や,イベントの
開催(出演者に住民)を通じて行ってきている
(進行形)。

組織内では検討会を設置し,検討してきた。
保健師の工夫
訪問前の事前情報収集
・家族の状況、自殺した推測できる理由、自殺前の本
人の状況等
 遺族訪問時は、
→自殺という言葉は出していない。「亡くなられ
た事をお聞きしまして・・・」と切り出している。
 パンフレット(配布,持参,他)の準備

自殺予防活動の課題
保健行政だけの活動の限界
→ 包括的な自殺予防活動の枠組みの必要性
→ コミュニケーションレベルでのサポート体制の充実
 従事者の精神的サポート体制の確立
→ 保健師のネットワークづくり
→ 定期的なカンファレンスの開催

最 後 に ・・・
青森県南部町保健師



根市恵子
保健活動で、自殺者を減らすことは可能か?
私達は、可能だと考えています。それは、自殺者
は亡くなる前にうつ病(うつ傾向)がみられること
があると言われているからです。うつ病を早期発
見し、何らかの対応を行う事で防げる自殺は必
ずあると考えます。
地域住民が、身体の健康と同様に心の健康にも
高い関心を持ち、心の不調がある場合はいつで
もSOSが出せるよう、今後も継続し啓発普及に
努めていきたいと思っています。