劇的構成の原則① 劇形態とは「動作」の連続 次々と呼び起こされる動作をつなげる 「縦の運び」= プロットの展開を主とする動的な面 「横の運び」= 雰囲気・性格・境遇など描写を主とする 静的な面 劇的構成の原則②能・浄瑠璃 起首・中枢・結尾(アリストテレス「詩学」) 劇=まとまったひとつの統一体 能の序・破(前・中・後段)・急=全部で五段 が原則だが破は増えても良い 序は冒頭、破は主体、急は結末 劇的事情がひとつの線にまとまり、主題が解明 されて終わる 浄瑠璃作法の基準ともされる 浄瑠璃作法の基準 1段目 序(冒頭) 破(主体) 急(結末) 前段 2段目 中段 3段目 後段 4段目 5段目 *全部で5段が基本 劇的構成の原則③歌舞伎 歌舞伎の「世界」=大筋 歌舞伎の「仕組」=副次的挿話 「趣好」=要素を織り交ぜる方法の考案 「横筋」ともいう 仕組と趣好の元に序・破・急が構成され る ★序・破・急から生まれる、その下に位置する起承転結 「起」…劇の発端(萌芽) 「承」…発端を受け継いで様々な葛藤を起こし、 「転」…それが危機をはらむと同時にクライマックスに して、 「結」…それまで紛糾を続けてきた一切の事件が一点に 収拾されて終わりを告げる 達 起 序 承 破 転 急 結 劇的構成の原則④劇作法 三部五点説のピラミッド型構成法 導入・上昇・頂点・下降(反転)・破局 (フライターク) 新劇の勃興とともに、物語よりも性格・ 心理描写へ向かい、立体性から平面性へ と変化 それでも逃れ切れないシナリオの性質 導入・上昇・頂点・下降(反転)・破局 頂点 上昇 導入 発端(導入部) クライマックス 葛藤・危機(展開部) 下降 (解明部) 破局 結末 劇的構成要素の他の呼び名 ●発端・葛藤・危機・クライマックス・結末 ●導入部・展開部・解明部 ●提示…設定紹介と各種の事情説明 仕組…事情の一端が崩れ、重要な葛藤へと導かれる 展開…発生した葛藤が発展、争闘の系列が示される 頂点…事件の最も緊張する瞬間 結末…事件はその後において終結する (ソヴィエトの映画大学教科書) シナリオ的構成の基礎 柱(時間と場所)・ト書き(状態)・セ リフによる構成 説明は必要十分であること(描きすぎな い) 何(ラジオ・劇・映画・マンガ)のシナ リオかを自覚する タイトルとナレーションも要素 ドラマツルギー(ドラマ製作 法) 小説と演劇(地の文とト書きの差) 伝えたいことを形で見せるためのドラマ ストラッグル(葛藤)を作る リトマス法(必要なことを浮上させる) 大まかな構成と起承転結 テーマ=何のために書くか その後に来る「コンストラクション」 「起」 天・地・人をはっきりさせる 傾向(喜劇か悲劇か)を決める 引き込む力を持つ 人物・場所・疑問・行動の魅力 ストーリーを切り出す部所の魅力 ■ 張り手型・積み上げ型 「承」(展開部) 山に登る道の景色 遊びの場所でもある=見せ場が必要 「表」と「裏」の設定力 事件・事情・秘密性・伏線・ハプニング ■ 〈起〉で揃った天地人が事件と事情によっ て頂上へ向かって前進する 「転(クライマックス)」 「承」の最後には、もう説明的要素が あってはならない 「寄せ玉」のうまさがコツ 一発必勝の「突き」を与えられるよう、 「承」で細心の準備をしておく 登場人物は総てテーマのために動く 「結」 「余韻」と「決着」がその機能 しっかりと「終わる」必要性 テーマを印象づけ、余計な情報は避け るべき 連続ものでは「期待」が大きな要素 「描写」の問題 的確な場面・人物描写 ストーリーの伝達 感情の伝え方=リアクションの的確さ メリハリを付ける的確さ 構成の的確さ(説得・情緒・魅力) ナレーション・タイトル・パントマイ ム・セリフ・モンタージュ・意識描写 ト書き 情景・人物動作・シャレード(ジェス チャ)・小道具 ドラマに必要なものだけを描く 「フィルム(視覚物)」として描くこと を基本にし心情(文章的)描写はしない 撮影台本ではないから、照明やカメラ指 定はしない セリフについて①機能 セリフの機能 ・事実を知らせる(説明) ・人物の心理と感情 ・ストーリーの進展 簡単明瞭で、無駄がないことが条件 物語の進展方向へ進むものであること リアリティのある血の通ったセリフ セリフについて②成長 独白(または傍白) 第三者の噂セリフ 答えを予測させる設問セリフ 説明(事件)セリフ 感情あるセリフ 情緒あるセリフ セリフについて③注意点 目的はひとつに絞る セリフの要点はセリフ尻に置く 進行上最も的確なセリフであるべき 誰に向かってしゃべるのか 観客が既に知っていることは、登場人物に しゃべらせない 観客への意識を常に持とう 登場人物の描写① 円型人物(完全個性の主人公) 半円型人物(脇役) 私生活が描写されれば、主人公に昇格 し、複数主人公の物語へ 扁平型人物(シーン限りの人物) ■ 全部をくっきり描写してはいけない 登場人物の描写② 性格・境遇・職業&地位 スタイルや癖、ウィークポイントなど 人間関係 利害関係・縁故関係・親しさを現わす 言葉使いと仕草 紹介すべき人物を何によって紹介するか 小道具・ナレーション・画面構成 人物の出し入れ 板付き法・空舞台法(と、その併用) 人物の出入りはそれだけで意味を持って しまう(特に劇の場合) 退場間際のセリフやしぐさは強調的 狂言回し トリックスターの使い方 時間の処理 タイトル法…「一年後・・・」 小道具法…カレンダーや植物を使う インサート法…乗り物などを使う 記号法(インアウト法)… 暗転、オーバーラップ&ワイプ しりとり法…場所指定し、その場所から カットバック法…2つの場面の切り返し 撮影技術による短縮…コマ落とし モンタージュ・映像の工夫 カメラのつなぎ方で迫力が出る 活動写真に自分の意思が入る この論(エイゼンシュタイン)によって 意思を持って画面を作ることを知った 1.枠がある 2.相克・対照を見せられる 3.場所・時間・距離・角度の転換 4.連想・寄りと引き 5.モノドラマ(見た目の映像) シャレード(象徴) 小道具(属性)・動作 セリフなしで性格を示したり、そのもの ズバリを描かずに「暇な店」であること を示す方法 人間関係を示すシャレード 1.黙って相手のコーヒーに砂糖 2.何杯だったか確かめながら入れる 3.入れましょうかと尋ねる 4.自分のだけ入れてポットを渡す シナリオ診断-悪い例① 過剰・説明的セリフ 無性格セリフ→無駄 「おはようの挨拶一つで性格は語れる」 過少セリフ 人間関係の説明不足 レディメイドな形容 文章体セリフ 告白セリフ(自分のことをしゃべる) シナリオ診断-悪い例② 分裂セリフ(テーマが多すぎる) 一つのセリフにテーマは一つ 間接詞が入るものは分裂症 独白(傍泊)セリフ 長セリフ(聞く立場を考えよ) *マンガではこれを破る例がすでにある シナリオ診断ー悪い例③ 過剰ト書き 過少ト書き 無声映画ト書き セリフなしで場面を作ってしまう 心理描写ト書き 小説的な描写をしてしまう 省略ト書き *これらもマンガでは破る 理由なしの行動 シナリオ診断-悪い例④ シーンのつなぎ方 的確性を示していない 同一シーンの中の時間処理 同一場所でシーンが変わっていく 無意味なフェードインやフェードアウト の多用 シナリオ診断-悪い例⑤ 人物紹介の不足 性格の分裂 独白・傍白による描写 無性格人物 無感情人物 類型的すぎる人物 人物の関係性が不透明 人物の重点の取り方がまずい シナリオ診断-悪い例⑥ 場面描写が的確・簡潔でない ドラマと無関係な場所を設定する 傍系の話に「行って」しまう 団子の串刺し(同じ重さのエピソード) 手法の乱用(回想・アクシデント・カメ ラアングル) スタイルの不統一 シナリオ診断ー悪い例⑦ 充分練れない・資料不足 弱すぎるストラッグル 過去にさかのぼりすぎる設定 主要人物が分からない 人物の出し入れが無意味に多い 動機(理由)づけがない行動・事件 自分の作品を客観視できない 観客を限定する
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