意思決定会計論Ａ 第４回 利益計画と予算管理 2 利益計画の意義 利益計画（ｐｒｏｆｉｔ ｐｌａｎｎｉｎｇ） 将来の一定期間について企業の利益目標を達 成するための経営活動の計画 長期利益計画 ⇒ １年を越える計画 短期利益計画 ⇒ １年以内の計画 意思決定会計論Ａ 3 長期利益計画 通常５年から１０年の計画 長期の利益目標を設定し、これを達成するた め、収益・費用・利益および資本の相互関係 を総合的に計画したもの 意思決定会計論Ａ 4 短期利益計画 １年以内の計画 当該期間中に達成すべき利益目標を設定す るとともに、その達成を可能にするような活 動を統合した総合的な期間計画 意思決定会計論Ａ 5 長期利益計画と短期利益計画の関係 短期利益計画における利益目標は、長期利 益計画で設定された利益目標から誘導し て設定される ↓ 長期利益計画を基礎として短期利益計画が 設定される 意思決定会計論Ａ 6 ローリング方式 長期利益計画の初年度分をそのまま短期利 益計画として設定する 利益計画の進行の過程で一定期間ごとに利 益計画の見直しを行い必要な修正を行う 企業環境の変化に対応した利益計画となる 意思決定会計論Ａ 7 企業予算 予算期間における企業の各業務分野の具体 的な計画を貨幣的に表示し、これを総合編成 したものをいい、予算期間における企業の利 益目標を指示し、各業務分野の諸活動を調 整し、企業全般にわたる総合的管理の要具 となるものである 意思決定会計論Ａ 8 予算管理の意義 企業予算によって、企業の各業務分野の具体 的な計画つまり経営活動の計画を貨幣的に表 現し、企業の全体的立場から計数的・総合的経 営管理を行う 予算編成 ⇒ 企業予算を作成する行為 予算統制 ⇒ 企業の経営活動をコントロール する行為 意思決定会計論Ａ 9 予算管理の機能 計画機能 予算を編成することによって遂行される機能 統制機能 利益目標を達成するのを確実にすることに よって遂行される機能 調整機能 部門予算を全社的な立場から調整して総合予 算を編成する過程で発揮される機能 意思決定会計論Ａ 10 予算管理の利点 ① 予算管理は計画設定に対する管理者の責 任を正式化することにより、彼らが前もって考 えざるをえないようにしむける ② 予算管理はきたるべき将来の業績を評価 するための最上の枠づけである明確な期待 を与える ③ 予算管理は管理者が彼らの努力を調整す る際の助けとなり、したがって組織全体として の目的をその構成部分の目的と調和される 意思決定会計論Ａ 11 予算の種類 短期予算と長期予算 部門予算と総合予算 損益予算と資金予算 経常予算と資本予算 固定予算と変動予算 意思決定会計論Ａ 12 予算の体系 販売予算 損益予算 総合予算 資金予算 資本予算 売上高予算 売上原価予算 販売費予算 売掛金回収予算 製造高予算 製造費用予算 在庫予算 購買予算 製造予算 一般管理費予算 研究開発費予算 営業外損益予算 現金収支予算 信用予算 正味運転資本予算 設備資金支出予算 設備予算 投資予算 資本調達予算 直接材料費予算 直接労務費予算 製造間接費予算 意思決定会計論Ａ 13 予算の編成のプロセス ① 予算編成方針の作成 ② 部門予算案の作成 ③ 部門予算案の調整と修正 ④ 総合予算案の作成 ⑤ 総合予算および部門予算の承認と伝達 意思決定会計論Ａ 14 短期利益計画と予算編成 短期利益計画の設定と予算編成の関係 予算編成のうちに短期利益計画の設定を含 めるべきであるとする見解 予算編成はまず短期利益計画の設定から始ま る 短期利益計画の設定と予算編成とを別個な ものと見なすべきであるとする見解 短期利益計画の設定を予算編成のプロセスに は含めず、予算編成の前提行為であると考える 意思決定会計論Ａ 15 予算編成方針 予算期間における経営者の基本方針 総合予算および部門予算を作成するための基準 理由 トップの経営戦略・政策・意欲を予算に具体化 するための指針を提供する 予算編成作業を効率化し、スピード・アップを 図る 意思決定会計論Ａ 16 予算編成方針に盛り込む内容 予算期間、当該予算期間における販売予想 高、売上利益率 など 予想される経済状態、価格増加と賃金の上昇 に対して取られるべき許容限度、製品系列に おける諸変化、操業の規模の変化、昇進させ うる人員数、期待される営業利益、いかなる情 報が各責任センターから要求されるか、その 情報がいかに予算関係書類に記載されるべ きか 意思決定会計論Ａ 17 予算編成の手続 経常予算の編成手続 ① 予算編成方針が、各執行部門に伝達される ② 部門予算案を作成し、予算課に提出する ③ 予算課は各部門予算案を調整し、総合予算 案を作成する ④ 総合予算案および各部門予算案を予算委 員会に提出され、審議され、決定する ⑤ 各執行部門に伝達される 意思決定会計論Ａ 18 予算編成の手続 ２ 資本予算の編成手続 ① 常務会の発議により、予算課が原案を作 成し、予算委員会に提出する ② 予算委員会で審議され、常務会の承認を 経て、取締役会で決定される 意思決定会計論Ａ 19 マズローの欲求５段階説 ⑤ 自己実現の欲求 ④ 社会的欲求 ③ 安全の欲求 ② 経済的欲求 ① 生理的欲求 意思決定会計論Ａ 20 参加的予算管理 予算編成のプロセスに部門管理者を積極的 に参加させることにより、当該部門管理者を 予算目標に向けて動機づけることを意図した 予算管理の方法 意思決定会計論Ａ 21 参加的予算管理の利点 ① 仕事にやりがいを与え、管理者に責任感を 持たせる ② 自らが参加して決めた予算を、自らの目標 として受容する可能性が増す ③ 管理者間におけるコミュニケーションを高め、 円滑な仕事ができるようになる 意思決定会計論Ａ 22 予算統制と予算実績差異分析 企業予算はそれが意図どおりの経営活動を達 成できたかをコントロールする必要がある 予算実績差異分析による事後統制 モチベーション・コントロールによる事前統制 意思決定会計論Ａ
© Copyright 2024 ExpyDoc
