YBCO-coated線材の高温における臨界電流特性の超電導層厚依存性 木村健吾, 吉田貴昭, 木内 勝, 小田部荘司, 松下照男 (九工大・情報工) 宮田成紀, 衣斐 顕, 山田 穣 (SRL – 名古屋) 塩原 融 (SRL) 春季低温工学・超電導学会 2006 1. はじめに 4. 実験結果 ・ SQUID磁力計による測定 E - J特性( 77.3 K ) l 44 5K B af 2 0 J c 10 1/ 2 10 ;ピンニング相関距離 af : 磁束格子間隔 10 –4 10 –6 B (T) 0 0.1 0.2 0.3 0.5 l44 = 0.085 μm < 超電導層厚 d 10 2 Jc (A/m ) 3次元 Jcが厚さに依存しない 10 –8 1 2 3 4 5 6 10 10 –10 10 8 10 9 10 10 10 10 11 2 Jc(A/m ) 10 #1 11 #2 #3 10 –2 0.5 μm 1 μm 1.5 μm 10 –1 10 0 10 B (T) 秋季低温工学・超電導学会(2005) 10 –2 77.3 K #3 –4 10 –6 B (T) 0 0.1 0.2 0.3 0.5 –8 1 2 3 4 5 10 8 10 9 10 10 10 10 10 –10 10 11 2 –4 –6 B (T) 0 0.1 0.2 0.3 0.5 –8 1 2 3 4 5 6 –10 10 8 10 9 10 10 10 11 2 Jc(A/m ) Jc(A/m ) 低電界領域 : 10-2~10-4 V/m 超低電界領域 : 10-8~10-10 V/m 直流四端子法 磁化緩和法(SQUID) PLD/IBADで作製されたYBCO-coated線材の 厚さ依存性は、厚い線材における超電導層の組織 が劣化によるものである。 1 –2 77.3 K #2 E(V/m) 10 12 –2 77.3 K #1 E(V/m) PLDテープ 10 E(V/m) 低磁界領域における超電導層厚依存性 臨界電流密度( 77.3 K )の比較 高温高磁界領域における超電導層厚依存性 低磁界 両電界領域共にJcは薄い試料で優れて いる #1 #2 #3 77.3K SQUID 4 probe 10 2 Jc(A/m ) 10 77.3 K 厚い 10 高Jc 10 薄い 2 Jc (A/m ) 10 SQUID E = ~10-8 9 10 #1 8 10 –2 10 –1 10 0 B (T) 0 2 4 B(T) 10 10 10 8 Jc=1x10 A/m YBCO-coated線材の超電導層厚依存性は複雑である。したがって、目的に応じ た厚さを決定するために臨界電流特性に対する厚さ依存性の影響を調べ、その機 構を明らかにする必要がある。 10 U0 R (a) バルク試料 V R2L ・ ピン力A の分布 m 1 B B 1 Bc2 測定( 70~85 K ) 2 5 8 4 ⊿Jc = 1x10 A/m 10 9 8 7 6 5 2 77.3 K 超低電界 4.23g k B J c0 d 2 B1/ 2 3 低電界 磁束クリープの影響を抑える Bi(T) Bi(T) 2 3 2 低電界は超低電界に比べてg2の値 が大きい exp. theo. 8 ⊿Jc = 3x10 A/m 2 77.3 K 10 0 10 1 1 –1 10 10 保護膜(Ag) g 2 キャップ層(CeO2) g e2 5 k BT Baf 0 log Ec 2Ue 4/3 * ピン力の分布は含んでいない 中間層(GZO) 基板 (hastelloy) ( SRL – Nagoya ) 0 d(m) g2の比較 Ic(A ) 130 202 230 薄い試料においてg2の値を大きく することでより良い一致が得られた 4 超電導層(YBCO) 直流四端子法 ( B // c 軸 ) m γ 2.0 0.63 / 0.83 3.5 / 40 2.0 0.63 / 0.83 2.2 / 15 2.1 0.63 / 0.83 2.0 / 9.0 不可逆磁界の厚さ依存性 d(m) Tc d (μm) Specimen (K) #1 87.2 0.5 #2 87.1 1.0 #3 87.9 1.5 : ピンパラメータ g2 Specimen Am σ #1 8 x 1011 0.020 / 0.0020 11 #2 6 x 10 0.015 / 0.0015 #3 5 x 1011 0.010 / 0.0010 1 –1 10 試料諸元 log A log Am 2 f ( A) K exp 2 2 2 Am, m ,γ ,σ2, g2 薄い試料でJcが減少する 4. 実験 1 T/Tc exp. theo. 磁束バンドルの模式図 0.9 2 2 R (b) 薄膜試料 0.8 ・ E- J 曲線 L R 1 –1 K : 規格化定数 U0 U 0 R d R T A 1 T c g2 : 磁束バンドル中の磁束線数 d 0.9 10 モデルによる解析 (b) d < L (2次元) L 0.8 J c0 ピンポテンシャルエネルギー密度 : #1 #2 #3 –1 0.7 低電界領域 薄い試料のBiが高い 5. ピン力の分布を考慮した磁束クリープ・フロー・ 3. ピンニング特性 ・ 磁束バンドルの縦方向のサイズ : 0 ・ Jc0のスケール則 ピンポテンシャル 2 超低電界領域 薄い試料のBiが低い T/Tc 高温領域(70~85K)において超低電界領域と低電界領域での臨界電流 密度、不可逆磁界、n値の比較をした。 ・ 磁束バンドルの横方向のサイズ : 8 Jc=3x10 A/m 2 #1 #2 #3 一般的には、これまで測定した超低電界領域よりも高い電界領域にお いても応用が考えられるため、本研究ではこれまでより高い電界領域 において厚さ依存性を議論した。 磁束バンドルの体積 : 10 1 Bi(T) B(T) 2. 目的 U 0 U 0・ V 低電界 1 秋季低温工学・超電導学会(2005) 6 超低電界 1 10 8 不可逆磁界Biの比較 薄い試料は高磁界で磁束 クリープの影響を受ける #3 9 低Jc 10 #2 高磁界 超低電界では薄い試料でJcが劣化して いるが、低電界ではその劣化は見られ なかった 4probe E = 10-4 ~ 10 1 薄い試料でBiが低くならな かったと考えられる U e U 0 ( g 2 g e2 ) 0 C 66 g e2 2 J c0 Baf ( perfect FLL in bulk ) 薄い試料でg2が高くなり、それは 高磁界になるに従って顕著になる 同じ磁界においては理論値とパラ メータの値ともに抵抗法でのg2が 小さい E - J 特性, n値, Jc - B 特性, 不可逆磁界Bi 6. まとめ 薄い試料において、超低電界領域では厚さの増加と共に不可逆磁界Biは増加するが、低電界領域では薄い試料でBiは低下 しなかった。これはピンポテンシャ ルの横方向のサイズを表すg2が大きくなったことにより磁束クリープの影響が抑えられたと考えられる。 理論より得られたg2は薄い試料の方が高磁界側で大きくなった。また、ある磁界でのg2の値は低電界領域より超低電界領域の方が大きくなった。 目的に応じた最適な厚みを設計するためには、使用する環境を十分に把握する必要がある。 Kyushu Institute of Technology
© Copyright 2025 ExpyDoc