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談合
2005.6.19
通常の倫理
• お互いが争わずに、共存共栄でいこう
• これは助け合い、平和主義とも近いもので
ある
• 限られたパイを皆で分けようとする
談合
• 談合は、業者同士の共存共栄策である
• 談合をばらさないのは、約束を守ることに
つながる
• 問題は、公共事業という点だ
• 事業のお金は、国民が税金として支出す
る
• それをムダ使いすることが許されるか
贈賄
• 店で物を買う
• まけてくれる、かわいい子がいる、という理由で
その店を選ぶのは勝手だ
• 相互にラッキーと思っている
• 贈収賄で、便宜を図ったお礼に賄賂をもらう(恩
義に対して謝礼をしている)
• 問題は、税金で公共事業をするときにある
• 自分の家を建てたり、自分の買い物をするなら、
好きなように決定すればよい
利害相反
• 契約によって雇用されている(自社の利益
を守る必要がある)
• 他社の言い値で買って、自社に損害を与
えることは許されない
• 公共事業では、公務員にとっても、自分の
お金という感覚がなくなってしまう
• ティッシュを持ってきた、ボールペン、ワイ
ン、どこまでで技術的決定に私情が入るか
自由な競争
• 自由な競争によって、価格は下がるか
• 技術的に良いものをつくる、というのとは少
し立場が違う
• 技術を持っている所に、随意契約をすると
良いものができるかもしれない
談合
• 独占禁止法違反
• ある企業が官公庁の入札に参加したとき、
談合の誘いを受けた
• この場合、「談合という違法行為により得ら
れる利益」と「談合が発見された場合に被
る損害×発見される確率」の比較衡量(バ
ランシング)は許されない
• ノー・バランシングの鉄則
談合の経済
• 談合が摘発される可能性が高くなった
– 内部告発(終身雇用制度の崩壊、リストラ、従業員の
企業に対する忠誠意識が低下)
– 公益通報者保護法(2004年)⇒内部告発は、告げ口と
いうよりも、公益のための通報
– 課徴金減免制度(公正取引委員会の調査開始前に自
主的に違法行為を申告すれば、最初の企業は100%、
二番目は50%と減免される)
• 摘発ダメージ
– 独禁法(実行期間の売上額の6%の課徴金が10%に
増額予定)
企業が受けるダメージ
• 企業ブランドの著しい低下
– 談合は、国民が納めた税金の無駄使い
• 法律によるダメージ
– 刑法96条の3で、二年以下の懲役又は250万円以下
の罰金
– 独禁法の改正
• 国や地方自治体による損害賠償訴訟の提起
– 一定期間の指名停止処分
– 公正な入札価格より高い買い物をさせられた差額を
損害として請求
– 取戻しを怠った自治体の幹部は、地方自治法(242条
の2)に基づく住民訴訟の対象
エンジニアという専門家
• 専門的知識を持つ
• 依頼者に忠実
– エンジニアと依頼者との間の契約を守った行動
• 公衆を配慮する
• (ユーザの安全、・・税金の使い道)
• 談合は、契約する時点、入札の時点が問題
– 消費財をつくり、売るときと、構造物の入札とは違う
– 人工物の対価は通常は市場で決まる(建売住宅)
– 唯一の人工物をつくる⇒値段が決めにくい
談合の構造
• 会社1、会社2、会社3、・・(仲間同士の信頼、利
益を図る)
• 業者間でみんな仲良くやる
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しかし、公共事業が問題となる
税金の無駄(エネルギーの無駄)
結局は公衆の利益にはならない
安全問題なら随意契約の方がいいかもしれない
談合
• 見積もりの費用が大きい
• しかし、消費財では、見積もり、設計、製作をやっ
ている
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官主導
スムーズな予算消化
予定価格
指名競争入札
– 地域の利益を図る
入札の法
• 公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関
する法律(2000年)
– ①入札および契約の過程並びに契約の内容の透明
性が確保されること
– ②入札に参加しようとし、または契約の相手方になろ
うとする者の間の公正な競争が促進されること
– ③入札および契約からの談合その他の不正行為の
排除が徹底されること
– ④契約された公共工事の適切な施工が確保されるこ
と
談合の問題
• エンジニアの倫理の基本
– 専門家としての知識、技能を持つ
– 依頼者に忠実
• これらは、契約後に重要になる
• しかし、公衆の配慮が問題
– ユーザの安全はひとつの問題だった
– もう一つが、公共工事での税金の使い道だ
税金問題
• 税金の無駄
– エネルギーの無駄に近い(その意味で、環境問題に
近い)
• 談合は、企業間での仲間意識、お互いに迷惑を
かけない、競争で共倒れを避けるという考えに
従っている
• 談合は入札時、契約する時点での問題
– 消費財では独禁法で禁止されている
談合の位置
• 安全問題を考えると、随意契約の方がいいかも
しれない
– しかし、資金、コストの面から入札が行われる
– ただ、総合評価落札でも談合が行われたと言われる
(橋梁工事では技術提案書の内容まで事前調整:読
売新聞2005.6.19)
• 指名競争入札でなく、一般競争入札が必要と言
われる
– 地域経済の問題、技術がなく夜逃げまでするかもしれ
ないという問題(事後のチェック)
賄賂
• 贈賄側も収賄側も得をする
– 恩恵に恩恵で報いる(子どもの頃からの倫理)
• 損をするのは、国民の税金
• 問題は、税金の使い方を決める人が、そ
の税金の所有者ではないことにある(代理
人による業務の執行)
– 自分の金を自分で処分⇒他人の金の処分
談合と職場
• 日本では社員の流動性が低い
• 昇進の際には限られたポストをめぐって仲間同
士がゼロサム型の競争をする
• 相対評価になる
• 誰かが高い目標を掲げると、他のメンバーも目
標を引き上げざるをえなくなる
– スタンドプレーは排除
– 職場での談合
– お互いに苦労しないように、社員間で申し合わせ