シンポジウム:人口減少下の日本社会 3. 高年齢者層を

北海道における少子化の
シミュレーション・モデル:その1
第58回日本人口学会:一般報告 慶応義塾大学三田キャンパス
原 俊彦(札幌市立大学)
1.シミュレーションモデルの構造
図1 シミュレーションモデル全体の構想
海外
道外
道内他地域セクター
札幌市セクター
転出入
北海道
セクタ
-
集計値
図2:プロトタイプ・モデルの基本構造
性・年齢5歳階級別人口
(a,t)
道外他地域
道内他地域
有配偶人口
転入・転出
未婚人口
海外
離別人口
転出入誤差
死亡数
死亡
人口数の変化
未婚初婚・
有配偶離
婚・有配偶
死別
性・年齢5歳階級別人口
(a+1,t+1)
死別人口
不詳人口
配偶関係の変化
図3 出生力の計算
年齢5歳階
級別女子未
婚初婚率
年齢5歳階級
別女子未婚初
婚率倍数
性・年齢5歳階級別
人口(女子15-19,t)
性・年齢5歳階級別
人口(女子20-24,t)
性・年齢5歳階級別
人口(女子25-29,t)
年齢5歳階
級別女子有
配偶率
年齢5歳階級別有
配偶出生児数
性・年齢5歳階級別
人口(女子30-34,t)
性・年齢5歳階級別
人口(女子35-39,t)
年齢5歳階
級別女子有
配偶出生率
年齢別出生率
性・年齢5歳階級別
人口(女子40-44,t)
性・年齢5歳階級別
人口(女子45-49,t)
性・年齢5歳階級別
人口(男子0-4,t+1)
年齢5歳階級
別女子有配偶
出生率倍数
出生時性比
総出生数
性・年齢5歳階級別
人口(女子0-4,t+1)
0-4歳児補正率
合計特殊
出生率
2. 未婚初婚率・有配偶出生率に対す
時系列回帰分析と変動倍数の設定
表1:女子未婚初婚率の時系列回帰結果
重相関 R
決定係数
R2
補正 R2
女子未婚
0.867
0.752
0.703**
初婚率
0.721
0.519
0.423
1519
0.944
0.891
0.869*
女子未婚
0.944
0.891
0.869**
初婚率
0.830
0.688
0.626*
2024
0.948
0.899
0.849**
女子未婚
0.977
0.955
0.945**
初婚率
0.897
0.804
0.765*
2529
0.985
0.971
0.956**
女子未婚
0.965
0.932
0.918**
初婚率
0.990
0.980
0.976**
3034
0.998
0.996
0.993**
女子未婚
0.364
0.132
-0.041
初婚率
0.099
0.010
-0.188
3539
0.656
0.430
0.146
女子未婚
0.407
0.165
-0.002
初婚率
0.015
0.000
-0.200
4044
0.411
0.169
-0.246
女子未婚
0.649
0.421
0.305
初婚率
0.563
0.317
0.180
4549
0.657
0.432
0.148
*5%水準で有意、**1%水準で有意
標準誤差 観測数
0.005
0.008
0.044
0.044
0.075
0.048
0.039
0.081
0.035
0.018
0.010
0.005
0.028
0.030
0.025
0.037
0.041
0.042
0.213
0.039
0.040
7
7
7
7
7
7
7
7
7
7
7
7
7
7
7
7
7
7
7
7
7
切片
0.004
-0.011
0.016
-0.140
-0.425
-0.041
-0.020
-0.625
-0.215
0.198
0.000
0.054
0.217
0.233
0.432
0.070
0.149
0.109
-0.385
-0.382
0.110
高卒以下 2次産業
Durbin割合の係 就業率の
Watson比
数
係数
0.074
2.729
0.102
1.875
0.107
-0.060
3.234
0.617
2.551
2.475
2.882
0.753
-0.672
2.551
0.873
1.603
4.315
2.000
0.691
1.157
2.181
0.366
1.564
1.649
1.515
0.127
1.130
2.439
0.060
2.565
0.093
2.320
0.254
-1.218
3.024
0.112
2.453
0.034
1.953
0.115
-0.141
2.564
1.181
2.002
1.600
1.611
0.293
-0.809
2.198
女子
子の
の未
未婚
婚初
初婚
婚率率倍倍数数 35-39
15-19
女
女 子女
の子
未の
婚未
初婚
婚初
率婚
倍率
数 倍40-44
数 20-24
1.2
1.2
1.2
1.2
1
1
1
0.8
0.8
0.8
0.6
0.6
0.4
0.4
0.2
1
倍数 1965=1.00
倍数 1965=1.00
倍数 1965=1.00
倍数 1965=1.00
1.4
0.6
0.8
0.6
0.4
0.4
0.2
0.2
0
0.2
0
1965-70 1970-75 1975-80 1980-85 1985-90 1990-95 1995-00
0
1965-70
1970-75
1975-80
年次
1980-85
1965-70 1970-75
1975-80 1980-85 1985-90
0
1985-90
1990-95
1995-00
1965-70
1970-75
1975-80
年次
女 子 の 未 婚 初 婚 率 倍 数 25-29
1990-95
1995-00
1.2
1.2
1
女子未婚初婚率
1
1
0.8
倍数 1965=1.00
倍数 1965=1.00
倍数 1965=1.00
1990-95 1995-00
女 子 の 未 婚 初 婚 率 倍 数 30-34
女子の未婚初婚率倍数45-49
1.2
0.8
0.6
0.6
0.4
0.2
0.4
0
0.2
年次
1980-85
1985-90
年次
0.8
最終学歴高卒以下割合男子
0.6
0.4
第二次産業就業者割合男子
0.2
0
1965-70
1970-75
1965-70
1970-75
1975-80
1980-85
年次
1985-90
1990-95
1995-00
0
1975-80
1980-85
年次
1985-90
1990-95
1995-00
1965-70
1970-75
1975-80
予測値
1980-85
1985-90
1990-95
1995-00
表3:女子有配偶出生率の時系列回帰結果
決定係数
重相関 R
補正 R2 標準誤差
R2
0.763
0.582
0.513*
0.865
0.748
0.706**
0.867
0.751
0.652*
0.335
0.112
-0.035
女子有配偶
0.029
-0.133
出生率2024 0.170
0.505
0.255
-0.043
0.857
0.735
0.691*
女子有配偶
0.556
0.482*
出生率2529 0.746
0.857
0.735
0.629*
0.873
0.763
0.723**
女子有配偶
0.827
0.798**
出生率3034 0.909
0.910
0.829
0.760**
0.735
0.691**
女子有配偶 0.858
0.949
0.900
0.883**
出生率3539
0.949
0.900
0.860**
0.477
0.389
女子有配偶 0.690
0.925
0.855
0.831**
出生率4044
0.943
0.890
0.846**
0.530
0.281
0.161
女子有配偶
0.203
0.070
出生率4549 0.450
0.560
0.314
0.040
*5%水準で有意、**1%水準で有意
女子有配偶
出生率1519
0.523
0.406
0.442
0.090
0.095
0.091
0.047
0.061
0.052
0.044
0.038
0.041
0.024
0.015
0.016
0.003
0.002
0.002
0.000
0.000
0.000
観測数
切片
8
8
8
8
8
8
8
8
8
8
8
8
8
8
8
8
8
8
8
8
8
2.976
4.264
4.396
1.297
1.304
1.552
0.855
0.613
0.864
0.776
1.010
0.983
0.265
0.417
0.420
0.027
0.054
0.053
-0.000
-0.002
0.002
高卒以下 2次産業
Durbin割合の係 就業率の
Watson比
数
係数
-4.783
0.855
-7.677
1.675
0.818
-8.730
1.852
0.155
0.913
0.329
0.901
0.587
-1.953
1.188
0.380
1.062
1.795
1.677
0.389
-0.053
1.033
-0.410
1.287
-1.891
1.534
-0.059
-1.646
1.489
-0.207
0.873
-1.049
1.685
0.005
-1.071
1.697
-0.017
1.028
-0.141
2.612
-0.006
-0.121
2.514
0.001
2.462
0.007
2.309
0.002
-0.010
2.478
年 齢 別 女 子 有 配 偶 出 生 率 40-44 倍 数
年 齢 別 女 子 有 配 偶 出 生 率 35-39 倍 数
2.00
3.00
年 齢 別 女 子 有 配 偶 出 生 率 15-19 倍 数
2.5
2.00
1.00
1.50
0.80
倍数
2
1.5
1.00
1
0.50
0.5
0.00
0
0.80
0.20
0.20
1965
1975
1985
1980
年次
1990
1995
2000
年 齢 別 女 子 有 配 偶 出 生 率 25-29 倍 数
年 齢 別 女 子 有 配 偶 出 生 率 30-34 倍 数
1.80
1.00
1.40
0.80
1.20
0.60
倍数
倍数
1970
1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000
年次
)年齢別有配偶出生率(女
1.60
0.80
倍数
0.40
0.00
1.20
1.00
0.60
0.60
0.00
年齢別女子有配偶出生率 45-49 倍数
1.20
1.20
0.60
1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000
年次
1.40
1.40
1.00
0.40
1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000
年次
1.60
倍数
1.20
倍数
2.50
倍数
3
年 齢 別 女 子 有 配 偶 出 生 率 20-24 倍 数
1.80
最終学歴高卒以下割合男子
1.00
0.80
0.40
0.40
0.60
0.20
0.20
0.40
0.00
0.00
第二次産業就業者割合男子
予測値
0.20
1985 1990
1980 1990
19751985
1970
1965 19701965
1975
1980
1995 1995
20002000
年次 年次
0.00
1965
1970
1975
1980
1985
年次
1990
1995
2000
表5 シミュレーション結果の比較:札幌市の合計特殊出生率(未婚初婚率の影響)
年齢別出生率(合計)
実績値
両倍数=1
未婚初婚率のみ実績値
未婚初婚率のみ推計値
35歳未満の未婚初婚率のみ推計値
1965
1.87
1.87
1.87
1.87
1.87
1970
1.84
1.84
1.84
1.84
1.84
1975
1.68
1.77
1.86
1.71
1.71
1980
1.51
1.76
1.57
1.49
1.49
1985
1.45
1.76
1.37
1.25
1.25
1990
1.31
1.76
1.22
1.11
1.11
図6 シミュレーション結果の比較(未婚初婚率の影響)
2.00
1.80
札
幌
市 1.60
の
合
計 1.40
特
殊
出 1.20
生
率
1.00
0.80
1965
1970
1975
1980
1985
1990
1995
2000
年次
実績値
両倍数=1
未婚初婚率のみ実績値
未婚初婚率のみ推計値
1995
1.17
1.76
1.03
1.00
1.00
2000
1.07
1.76
0.91
0.93
0.93
表6 シミュレーション結果の比較:札幌市の合計特殊出生率(有配偶出生率の影響)
年齢別出生率(合計)
実際の変化
両倍数=1
有配偶出生率のみ実績値
有配偶出生率のみ推計値
20-24歳と45-49歳以外は推計値
1965
1.87
1.87
1.87
1.87
1.87
1970
1.84
1.84
1.84
1.88
1.85
1975
1.68
1.77
1.63
1.75
1.74
1980
1.51
1.76
1.66
1.76
1.74
1985
1.45
1.76
1.79
1.79
1.76
1990
1.31
1.76
1.80
1.85
1.81
図7 シミュレーション結果の比較(有配偶出生率の影響)
2.20
2.00
札
幌
市
の
合
計
特
殊
出
生
率
1.80
1.60
1.40
1.20
1.00
0.80
1965
1970
1975
1980
1985
1990
1995
2000
年次
実際の変化
両倍数=1
有配偶出生率のみ実績値
有配偶出生率のみ推計値
1995
1.17
1.76
1.83
1.92
1.90
2000
1.07
1.76
1.90
1.96
1.98
表7 シミュレーション結果の比較(未婚初婚率と有配偶出生率の影響)
年齢別出生率(合計)
実際の変化
両倍数=1
両倍数とも推計値
未婚初婚率倍数のみ
有配偶出生率倍数のみ
1965
1.87
1.87
1.87
1.87
1.87
1970
1.84
1.84
1.88
1.84
1.88
1975
1.68
1.77
1.69
1.71
1.75
1980
1.51
1.76
1.50
1.49
1.76
1985
1.45
1.76
1.30
1.25
1.79
1990
1.31
1.76
1.22
1.11
1.85
図8 シミュレーション結果の比較(未婚初婚率と有配偶出生率の影響)
2.20
札
幌
市
の
合
計
特
殊
出
生
率
2.00
1.80
1.60
1.40
1.20
1.00
0.80
1965
1970
1975
1980
1985
年次
実際の変化
両倍数とも推計値
未婚初婚率倍数のみ
有配偶出生率倍数のみ
1990
1995
両倍数=1
2000
1995
1.17
1.76
1.16
1.00
1.92
2000
1.07
1.76
1.10
0.93
1.96
まとめ
• 両倍数による推計値を用いたシミュレーション結果
•
•
は、1965年から2000年にかけての、札幌市の合
計特殊出生率の動向を全体としてよく再現してい
る。
1965年以降の札幌市の出生力低下は、主として
女子未婚初婚率の低下とその結果としての女子有
配偶率の低下を反映したものである。これに対し
女子の有配偶出生率は1980年以降はむしろプラ
スに作用していたと解釈できる。
社会経済要因として、男子の第二次産業就業者割
合と男子の最終学歴高卒以下割合の二つの変動
要因で、女子未婚初婚率の低下と女子の有配偶
出生率の両方を十分に説明しうる 。