亀井奈津子、小泉 哲、大坪毅人 体液の分布 細胞外液 20% 血漿 5% 間質液 15% 細胞内液 40% K+ 100~140mEq/l PO42- 150mEq/l 機能的細胞外液 Na+ 140mEq/l Cl- 102mEq/l 水分のバランス Intake 食事・飲水 300ml 2300ml + Output 尿 1500ml + 便 900ml 代謝水 200ml +不感蒸泄 輸液が必要な時とは? Intake 食事・飲水 300ml 2300ml + 下痢 嘔吐 発熱など Output 尿 1500ml + 便 900ml 代謝水 食事摂取 ができない 200ml +不感蒸泄 どう輸液をする? 輸液=維持輸液 +欠乏量輸液×安全係数 食べられな い分を補う 下痢、嘔吐、発熱、出 血などで失った分を補 う 維持輸液 人が生きていくうえで必要最低限の水分、電解質を 補う。 1日必要量 水分量 蒸泄-代謝水) NaCl K Na K 1500~2000ml(1日尿量+不感 50~100mEq/日 40~60mEq/日 1 7 1 1g 3= 1g = mEq/l mEq/l 体液電解質の組成 Na K Cl HCO3 血漿 唾液 142 33 4 20 102 34 24 胃液 胆汁 膵液 小腸液 60 149 141 105 9 5 4.6 5 84 101 77 99 45 92 50 大腸液 汗 130 45 11.2 4.5 116 58 29 0 単位:mEq/l H2O 各輸液製剤 細胞外補充液(等張液) 1号液(開始液) 2号液(細胞内液補充液) 3号液(維持液) 4号液(術後回復液) 細胞外補充液(等張液) 等張液とは細胞外液と浸透圧が等張な輸液。 ・生理食塩水 ・リンゲル液 酢酸リンゲル液 乳酸リンゲル液 重炭酸リンゲル液 電解質(mEq/l) 糖質(%) 商品名 細 胞 外 液 熱量 (kcal/l) Na+ K+ Cl- その他 糖 生食 154 - 154 - - - フィジオ140 140 4 115 Ace‐ 28 1 40 ソルアセトF 131 4 109 Ace‐ 28 - - ソルラクトTMR 131 4 110 Lac‐ 28 Mal 5 200 ビカーボン 135 4 113 Cit3‐ 5 - - 輸液をすると体液はどうなる? 等張液を補充 血 漿 間質 液 細胞内液 細胞外液のみが増加。 血管内には1/4が残る。 維持液を補充 血 漿 間質 液 細胞内液 細胞外液、内液ともに均等に増加。 血管内には1/12が残る。 1号液(開始液) 3/5等張液 Kを含まず、張度も高めで 血 細胞外液の補充に適している。 漿 K freeのため、病態不明な症例 や腎不全患者で使用。 間質 液 細胞内液 血管内には3/20が残る。 電解質(mEq/l) 糖質(%) 商品名 開始液 ソルデム1 Na+ K+ Cl- その他 糖 90 - 70 Lac‐ 20 2.6 熱量 (kcal/l) 104 2号液(細胞内液補充液) 2/3等張液 細胞外液にも十分に分布し、 細胞内液の主要電解質の Kも含まれている。 血 漿 間質 液 細胞内液 血管内には1/6が残る。 長期低栄養状態などの細胞内液 の補充が細胞外液と並行して必要な場合に有用。 電解質(mEq/l) 糖質(%) 商品名 開始液 ソルデム2 Na+ K+ Cl- その他 糖 77.5 30 59 Lac‐ 48.5 1.45 熱量 (kcal/l) 58 3号液(維持液) 1/3等張液 生体を維持させるのに必要な 血 間質 漿 液 細胞内液 電解質バランスをよく含んだ輸液。 血管内には1/12が残る。 電解質(mEq/l) 糖質(%) 商品名 維 持 液 熱量 (kcal/l) Na+ K+ Cl- その他 糖 ソルデム3A 35 20 35 Lac‐ 20 4.3 172 ソルデム3AG 35 20 35 Lac‐ 20 7.5 300 フィジオ35 35 20 28 Ace‐ 10 400 20 4号液(術後回復液) 1/5等張液 術後回復液という名前だが、術直後には不向き。 (理由は後ほど・・・) K freeのため、腎不全患者の維持液として適している。 電解質(mEq/l) 糖質(%) 商品名 開始液 ソリタT4 Na+ K+ Cl- その他 糖 30 - 20 Lac‐ 10 4.3 熱量 (kcal/l) 172 外科侵襲時に起こる体液の移動と変動 細胞外液 血漿 間質液 Output の増加 機能的 細胞外液 の減少 非機能的細胞外液 (サードスペース) 細胞内液 外科侵襲が加わると・・・ Outputの増加 ①出血 ②胃管、ドレーンからの排液 ③不感蒸泄の増加 非機能的細胞外液(サードスペース)の増加 ➡機能的細胞外液の減少 Surgical stress期 細胞外液 20% 血漿 細胞外液 を補充 間質液 非機能的細胞外液 (サードスペース) 40% 細胞内液 Refilling期 細胞外液 血漿 間質液 非機能的細胞外液 (サードスペース) からの戻り 細胞内液 Refilling期 細胞外液 血漿 尿 過剰輸液は細胞内液 心不全、肺水腫の原因 間質液 非機能的細胞外液 (サードスペース) からの戻り 必要最低限の 維持輸液 術後の流れ Surgical stress期 ・出血 ・胃管、ドレーン排液 ・サードスペースの増加 ・ストレスホルモン分泌 輸液 細胞外液 Refilling期 ・ストレスホルモン正常化 ・Refillingによる血液流量 の増加 維持液 糖分 アミノ酸の補充 臓器別周術期輸液管理 ① 消化管手術 ② 肝臓手術 ③ 膵臓手術 消化管手術 術前 通過障害なし→経口摂取 通過障害あり→PPN、TPN 栄養チューブ、大腸ステントで通過障害解除 し、 経腸栄養などでなるべく腸管を使用する。 術後 早期に経口摂取開始。 肝臓手術 術前 経口摂取 肝硬変患者→低栄養状態 分枝鎖アミノ酸(リーバク ト)の投与 LES:就寝前経食摂取 術後 水分貯留、Na貯留傾向、K喪失傾向になりやす い。 水分、Naを抑え気味にコントロール。 水分量:正常肝 45~50ml/kg/日 肝障害、大量肝切除 40~4 膵臓手術 術前 減黄(必要あれば胆汁還元) 血糖コントロール 低栄養改善(経口摂取。必要に応じて経腸、TPN 補充) 下痢による、脱水、電解質異常をきたしやすい。 術後 早期に経口摂取開始。 血糖コントロール。 まとめ 輸液の方法、各種輸液製剤の特徴 外科的侵襲時における体液の移動と変動 臓器別周術期輸液管理
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