4 研究とは何か:研究倫理 Research Ethics 生命科学とは何か 1 知的財産権 特許の始まり • 特許は最初イギリスから。印刷技術を導入 する引き替えに専売権を与えた。 • 目的は技術の公開。これがさらに技術を発 展させる。 • 技術発展の障害とならないよう期限をつけ る • 1985年、レーガン政権下のアメリカは「強 いアメリカ」を取り戻すため」知的所有権の 保護と強化、多くの法律が成立 特許の条件 • 1.産業上利用できる発明である:特許制度の目 的は産業の発展 • 2.新規性のある発明である:学会発表に留意 • 3.進歩性のある発明である:材料を変えてみた だけ、形状が変わっただけ • 4.先願の発明である:アメリカは違う(今後、日 米欧間で調整される) • 5.不特許事由に該当しない発明である:風俗、 公衆衛生を害するような発明 知的財産権の種類 出願手続 弁理士 出願料 特許料、外国特 許は高額 特許の問題点 • 日米欧間で制度が違う アメリカは先発 明主義、日欧は先願 • 学会発表に関し、日本のみ新規性喪失の 例外規定 外国出願には適用されない • 卒論発表会は例外規定が受けられない • 出願が多すぎて十分な審査ができていな い • バイオは進歩が早く審査員が理解できな い 2 学会 • 成果の認知が必要:特許と矛盾 • 学会は任意団体:いくらでも作れる(日本学術会 議の認定には会員数、印刷物の刊行など一定 の条件が定められている) • 年会費を払うと会員になれる:昔は推薦や資格 審査があった。 • 多くの学会は「年会」を開催し、「学会誌」を刊行 している→研究成果の発表=認知 3 論文 • 論文には原著論文Original paperと総説 Review articleがある • 共に審査を経るのが普通:無審査の場合は 論文数に数えない • 論文に関わる倫理はWriting Ethics(連名の 著者は誰にするか、誰が筆頭著者か等) 論文審査 • 担当編集委員がざっと読んで、2人の論文審査 員(refereeまたはreviewerという)を決める。審査 員は独立に意見を述べる。ポイントは新規性、波 及性、先導性 • 判定は担当編集委員が独断で行う。運が左右す る • 採択、小修正(担当編集委員のみが再度審査) 大修正(また審査員を決めて審査) 却下 • 却下に対し異議を述べることは可能、しかし悪い 印象を与えることが多い • 審査に伴う盗作の問題 論文の形式 • 雑誌ごとに形式が決まっている(特に文献) • カバーレター:概要、審査員の候補、審査されたく ない競争関係にある研究者名 • 以下の順に書く • Title 題名、Authors 発表者、Affiliation 所属 ここまで表紙 • Abstract/Summary 要約 • Introduction 序文=目的と背景 • Materials and Methods 実験方法 再現できるよ うに詳しく 論文の形式(続) • • • • • • • • Results 結果 Discussion 検討 結果と一緒にまとめてもよい Acknowlegdements 謝辞 表紙に書くこともある、 学位論文では一番最後 References 文献 書き方が決まっている Tables 表 Figure Legends 図の説明 表紙からここまでは 通しのページ番号 Figures 図 学位論文などでは図、表は適宜、本文中に挿入 4 研究費 現代科学の問題点と研究費 • 産業化・軍事化 特定の研 究に研究費が集中する • 巨大化 生命科学の研究で さえ巨額の施設が必要 • 過度の競争 研究のための 研究費か研究費のための 研究か 主な研究助成財団2006年の実績 • ゲイツ財団 110,000,000 千円 • ハワードヒューズ財団 86,000,000 千円 • ラマシオッティ財団(オーストラリア) 1,400,000 千円 研究費の獲得法 • 大部分は公募申請、ごく少数はトップダウン • 審査はPeer Review 仲間内審査 • 審査の内容:1 計画に独創性はあるか 2 実績はあるかー過去の研究実績の乏しい 人は採択されない 3 要求している経費は適正か Peer Review審査の問題点 • 革新的な研究計画が低く評価される傾向がな いか • 同じように長期にわたる雄大な研究は採択さ れ難い • 審査員は適正か? • 適正な採択率か 基盤的な科研費では採択 率は20-25%、CRESTの基盤的領域では5%、 ノバルティスの助成金は見かけ15%だが実質 は5%以下 5 研究評価 • • • • 評価委員会 これもpeer review 公募、評価、任期制 弊害は伝統が育たない 評価項目 論文の質と量、 研究費獲得実 績、教育の実績、学部、大学(研究所)へ の貢献、 学会や社会への貢献 6 研究室を選ぶ 7 研究テーマの選び方 8 大学院の問題点 • 1991→2000年で倍増以上→レベルの低下 • 職がない • 教員もレベル低下、「大学院生はどの教授が有 能かを驚くほど知らない」白楽 • 大学院教育をしていない • 院生側の問題 • 1)やる気がないー研究室にいない • 2)自分で考える能力がない • 3)もともと社会的に不能力者がいくから • 4)生命科学研究者としての資質を欠いていな いか? 9 研究における不正行為 Spy & Misconduct • スパイは益しない 不正行為 • 税金であるから犯罪である • 科学の社会的信用を失墜させる • 3種ありFFPということがある Fabrication でっち上げ Falsification 変造 Plagiarism 盗作 • 米NSFの調査では年3件=0.01% 企業でも同じ • • • • • • • 自己診断(ロッキード・マーチン社) *あなたの行為は合法ですか *あなたは正直ですか *あなたの行為は時の試練に耐えられますか *自分に対しどんな気持ちでいますか *子供が同じことをしたら親としてどうですか *あなたの行為を家族が知ったらどうですか 不正に対処するには • 公益目的の内部告発は法律により保護さ れている(奨励?) • 1 調査 • 2 公表 • 3 再発防止 10 生命科学とは何か • 生命の研究は、近代自然科学から取り残さ れ「博物誌(史)」であった • やがて総合的な研究が必要となった • 生命科学とは: • 1 生命を貫く一般則を明らかにする 物理 科学の一員であり総合科学である • 2 その上でヒトの特性を明らかにする • 3 その上でヒトがヒトらしく生きる道を探る
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