私たちの3.11 ~東日本大震災の経験から感じた こと

私たちの3.11
~東日本大震災の経験から感じたこと、
伝えたいこと~
気仙沼保健所 成人・高齢班
前田 知恵子
H23.3.11 東日本大震災発生
河口から4.5㎞離れた事務所は無傷!だが・・・
• 当日連絡の取れない職員 12名
(その後、11名は無事を確認。非常勤職員1名死亡)
• 宮城県災害対策本部気仙沼支部が所内に設置。
(合庁の被災により、地方機関が全て所内に集結)
• 当日は所内待機。数名の一般避難者もおり、当日は
避難所へ送迎した。
ラジオから「南三陸町民1万人と連絡が取れ
ない」など、悲惨なニュースが流れる中、恐
怖と不安と寒さに震えながら一晩を過ごした。
管内の被災状況
死者数(※)
行方不明者数(※)
避難者数【最大時推定】
住宅,建物被害
(全壊数+半壊数)(※)
避難所数【最大時推定】
仮設住宅戸数(※)
仮設住宅団地数(※)
※平成23年10月19日17時現在
気仙沼市
1,027名
南三陸町
564名
374名
約19,000人
10,941戸
333名
約9,700人
3,299戸
約100カ所
3,451戸
約50カ所
2,195戸
87カ所
58カ所
← H23.3.18
気仙沼市鹿折地区
H23.3.19 →
南三陸町志津川地区全景
初期の所内活動経過
日付
発生後日数
~3/12
0~1日目
・所内待機(警報解除待ち)・活動準備
3/13~3/14
2~3日目
・気仙沼市内の避難所の状況把握
3/15~3/16
4~5日目
・市内最大の避難所と唐桑地区避難所支援
・南三陸町の被災状況把握
6~9日目
・南三陸町の保健活動コーディネート支援
・唐桑地区避難所支援
・業務別での活動
(こころのケアチーム対応や施設受け入れ調整)
10日目
・南三陸町の保健活動コーディネート支援
・業務別での活動
(こころのケアチーム対応や施設受け入れ調整)
3/17~3/20
3/21~
活動内容
3月中旬~4月末の活動
南三陸町支援
• 南三陸町の被害状況から、南三陸町支援
を中心に活動することを所内で決定。
南三陸町でのコーディネート保健師の配置
(1泊2日1名→2泊3日1~2人
→3泊4日~4泊5日2名)
保健師3人の交代制で、町保健師と共に避
難所や町全体の保健活動をコーディネート
3月下旬
兵庫県提供のテントにて
朝のミーティング
各チームの活動予定を確認中
4月中旬
町の仮設庁舎にて
夕方に各チームからの活動報
告を受けている様子
3月中旬~4月末の活動
気仙沼市支援
• 業務を中心とした活動
→こころのケア、感染症対応、要援護高齢者の緊急受
け入れ調整等
• 気仙沼巡回療養支援隊の活動支援
→ミーティングに参加し市内状況の把握、派遣保健師
チームによる在宅訪問活動の調整等。
4月上旬
気仙沼市保健センターにて
朝の全体ミーティング
医療チームと保健チームが
各自の活動予定を報告中
4月中旬
気仙沼市保健センターにて
保健チームの朝ミーティング
訪問する地区について打合せ
5月~6月末の活動
南三陸町支援
5月~所内に保健師が1名増員(兼務)
→南三陸町の常駐保健師として活動
• 派遣保健師のコーディネーター
4月末までの
• 町と外部との繋ぎ役
体制がより強化
• 町の内部の調整を円滑にする役割 された!
• 町保健師の相談役
内部から見た客観性を活かして町保健師に寄り添っ
た活動を展開。
5月~6月末の活動
気仙沼市支援
• 業務を中心とした活動
→こころのケア、要援護高齢者の緊急受け入れ調整等
• 気仙沼巡回療養支援隊の活動支援
→ミーティングに参加し市内状況の把握、個別ニーズ
への支援チーム調整、課題の共有・検討等を行った。
• 派遣保健師と市保健師との繋ぎ役
→仮設住宅訪問調査の調整、避難所の保健活動チー
ムと市保健師との情報交換の場の設置
6月下旬
南三陸ベイサイドアリーナにて
週1回の町保健ミーティング
派遣保健師チームと、町保健ス
タッフ、保健所等の情報共有の場
6月初旬
気仙沼市大島にて
市保健師、派遣保健師と共に
大島で避難所巡回健康相談
7月
異動→保健活動体制の見直し
○総括保健師の配置。
○各市町の担当(班長クラス)を明確化。
系統立った体制で保健活動ができるよう
になった。
町の声
メリット
デメリット
・両市町に対して総合的な
支援が行えるようになった。
・保健福祉事務所の業務と
連携した動きが取れるよう
になった。
・一人を固定した常駐
体制に比べて、全体が
見えにくくタイムリーな
支援が難しい。
「急すぎる!」
「2ヶ月は短い!」
7月~の活動
両市町への支援
• 市町の保健活動体制の再構築支援
→保健活動計画の策定支援等
• 派遣保健師と市町保健師との繋ぎ役
→特に南三陸町では、保健師が交代で常駐を継続し、
派遣保健師の活動をコーディネートした。
• 市町の通常業務の再開に合わせた、業務
を中心とした活動支援
→こころのケア、生活不活発病対策等
現在の支援体制
• 地区担当制での総合的支援
• 班体制での分野別支援
気仙沼市
健康課題の整理、
施策の検討等
地区担当制
複合的支援
南三陸町
健康課題の整理、
施策の検討等
母子・障害班業務(こころのケア等)
班
体
制
成人・高齢班業務(生活不活発病対策等)
疾病対策班業務(感染症対策等)
所内保健活動チームミーティング(週1回)
被災地の保健所として感じること
• 市町からの求めを待つのではなく、一緒に
活動して初めて本当のニーズが見えてくる。
• 業務別の活動では限界がある。市町も保健
所も地区担当で活動すると全体が見える。
• 忙しくても所内での話し合い、情報共有の場
を定期的に持つことが大切。
• 保健所業務専門で活動し、所内を支えてく
れる保健師の存在が不可欠。
災害保健活動に必要な体制
• 市町の保健活動全体を一緒にコーディネートして、
市町保健師に寄り添う常駐保健師の存在が求め
られる。
→常駐保健師を支える体制も重要。
• 県内でも温度差がある。県全体の課題として人
員や事業の見直しが必要。
→保健所への人的支援は短期交代では限界があり、長
期だからこそお互いの力を発揮できる。
• 今回の震災での活動のまとめ・検証、災害時保
健活動マニュアルの見直しが必要。
最後に
• 非常時こそ平常時が見える。日頃
から顔の見える連携や住民が見
える活動を!
• 仲間同士の支え合いが活動の原
動力になる!
被災前の気仙沼市大島
この海と皆の笑顔が戻ることを信じて
ご静聴ありがとうございました