麦 作 技 術 情 報

麦 作 技 術 情 報
No.4
平成24年5月22日
鳥取県産米改良協会
■適期刈り取り
・本年の出穂は二条大麦、六条大麦とも平年より7から10日遅かった。
・冬季の大雪・厳寒早春季の低温の影響により生育が遅れたが、茎数は適度に確保
されている。出穂期後は比較的高温で登熟は良好。
・品質を大きく左右する適期刈り取りが出来るかどうかが高品質麦生産の鍵を握る
ので、刈り取り適期の見極めと、適切な乾燥調製を徹底すること。
1 生育概況
(1)二条大麦
・農業試験場の11月4日播種のアサカゴールドの出穂期は4月17日で、平年より10日遅い。
穂数は平年より多く、登熟は現在のところ良好である。
・現地の出穂期は、11月上旬播種で4月下旬で平年より7日から10日遅かった。
・穂数等生育平年並以上に回復し、網斑病がほぼ全体で見られるが、深刻な程度までは
至っていない。一部ほ場で降雨や強風による倒伏が見られる。
・出穂前後から現在まで著しい低温に遭遇していないため不稔粒は少ない。アサカゴール
ド特有のアントシアンによる芒や茎葉の呈色も少ない。
(2)六条大麦
・農業試験場の11月4日播種のシュンライの出穂期は4月25日で、平年より9日遅い。穂数
は平年より多い。
・現地の出穂期は、10月下旬から11月上旬播種で4月下旬であった。
・特に病害はなく、登熟は良好である。
農業試験場での生育状況
H23年播き農業試験場 麦の生育状況
播種日
茎立期
最高分げつ期
月日
月日
月日
アサカゴールド 21年産
11月4日 2月中旬
2月上旬
(ビール麦)
22年産 11月5日 2月中旬
3月中旬
23年産 11月8日 3月中旬
過去5年平均 11月5日 2月中下旬 2月下旬~3月上旬
24年産 11月4日 3月中旬
3月下旬
しゅんれい
22年産
11月5日 2月中旬 3月中旬
(ビール麦)
23年産 11月8日 3月上旬
過去平均 11月4日
-
-
24年産 11月4日 3月中旬
3月下旬
シュンライ
21年産 11月4日 3月中旬
2月下旬
(六条大麦)
22年産 11月5日 3月中旬
2月下旬
23年産 11月8日 4月上旬
-
過去5年平均 11月4日 3月中下旬
2月中下旬
24年産 11月4日
3月上旬
注)平均は過去5年間の平均
品種
産年
最高茎数
本/㎡
1172
806
1018
1008
981
-
1050
689
797
-
874
550
出穂期
月日
4月3日
4月5日
4月22日
4月7日
4月17日
4月6日
4月22日
4月8日
4月20日
4月13日
4月13日
4月27日
4月16日
4月25日
- 1 -
奨決デ タ(累年参考)
成熟期 穂揃期穂数 収穫期穂数
稈長
月日
穂数 本/㎡
本/㎡
cm
5月19日
788
799
91
5月23日
547
903
82
6月5日
456
515
79
5月24日
610
724
85
(6月1日)
900
5月23日
561
1132
72
6月5日
639
577
73
5月25日
-
837
77
(6月5日)
858
5月28日
369
369
83
5月27日
367
485
86
6月8日
300
419
77
5月29日
357
402
85
(6月9日)
456
穂長
cm
5.2
6.0
6.6
5.9
奨決デ タ
収量
kg/a
34.8
28.3
21.9
31.1
4.8
6.0
5.1
31.6
21.2
33.5
4.0
4.3
4.1
4.2
42.0
41.1
29.5
40.0
2 技術対策
本県産麦の最も重要な課題は高品質化である。そのための最終作業である収穫・調製作
業については、降雨も予想されることから天気情報に注意し、収穫作業が円滑に進むよう、
事前にコンバインの整備等の準備を行っておく。
(1)収穫
《二条大麦》
ア)刈取適期の判定(P4参考資料参照)
・熟色がついて茎葉の青味がとれ、大部分(80%以上)の穂首が90度以上曲がった
頃で、適期幅は成熟後3~5日と短い。
・ビール麦は収穫時に損傷を受けると発芽勢が落ちて品質上問題となるので、子実が
硬くなる穀粒水分25%以下の状態で刈り取りを行い、コンバイン扱胴回転数は機
種所定の範囲(水稲より下げる)に設定する。
イ)品質低下の防止
・刈取適期より早く収穫すると、子実の充実度不足や色浅未熟等により下位等級に格付
けされやすくなる。
・アサカゴールドに多い凸腹粒は成熟期以降の降雨には影響しない。
・ほ場による成熟程度のばらつきがある場合、成熟期の異なるほ場を同じ日に刈り取ら
ない。
・倒伏の著しいほ場・熟れむらのあるほ場は、他と分けて収穫し、調製施設でも区分し
て荷受けし、不良品が混ざらないように注意する。
・数日程度の刈り遅れは早刈りほど外観品質が低下しないので、好天が予想される場合
は熟れの遅い部分に合わせて収穫する。ただし全体に遅れ穂が多いような生育の場合
は、強勢穂を基準にして遅れ穂が登熟する前に収穫する。
規格外
81あまぎ二条
83あまぎ二条
00ほうしゅん
00ミハルゴールド
等外上
下
2等
中
上
下
1等
中
上
-4
-2
0
2
4
6
刈り取り日(成熟期前後日数)
8
図 ビール麦刈り取り日と検査等級(福岡農総試)
《六条大麦》
ア)刈取適期の判定
・成熟期の判定は、熟色がついて、子実がロウ状の硬さ(爪を立てても跡が残らない
程度)になった頃である。子実の水分含量は30%より低下し、外観上はほとんど全
ての穂首が黄化して穂首の湾曲がわずかに始まる。
・収穫適期は成熟期後3~8日程度と考えられ、降雨に遭遇しなければ遅めが良い。
刈遅れると稈折れ・首折れによる収穫ロスが懸念されるが、品質の面からの収穫適
期はこの時期となる。
・倒伏程度の大きいほ場では、成熟の遅れ、不揃い、穂発芽等が懸念される。稈折れ
- 2 -
・首折れは成熟前の発生はあまりないと考えられるので、基本的には適期を待って
収穫する。
イ)品質低下の防止
二条大麦の同じ項を参照する。
下
規
格
外
中
02産
03産
04産
上
下
2等
中
*収穫適期
成熟期後3~8日
上
-8
-6
-4
-2
0
2
4
6
8
10
刈り取り日(成熟期前後日数)
図 六条大麦刈り取り日と検査等級(シュンライ、鳥取農試)
(2) 収穫後、乾燥調製まで
・ 高水分麦は貯蔵中に発芽障害を起こしやすいので、刈取後2時間以内には乾燥施
設に張込み、乾燥開始までは常温通風する(ビール麦)。また、刈取当日に必ず乾
燥作業を開始する。
- 3 -
( 参考資料)
二条大麦収穫適期カラーチャート
(出典) JAグループ栃木作成資料
・収穫期の判定は、穀粒水分を優先して、総合的に判定すること。
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