西暦2000年問題に対応する

西暦2000年問題に対応する
平成11年1月19日
文部省西暦2000年問題対策委員会
2000年問題とは
コンピュータが西暦2000年1月1日
以後の日付をを正しく処理できないた
めに、誤動作をしたり、動作を停止し
たりすること。
この他に、2000年閏年問題など派生的な事象
がいくつかある。
2000年問題が起こった理由
コンピュータの記憶容量や処理速度
が十分でなかった時代に、できるだ
け情報量を少なくしようとして、西暦
の上位2桁を省いて扱ったため。
どのような対策が行われてきたか
1980年代までは西暦年を下2桁
で扱うことが標準
・
1989年にはANSI(米国 規格協会)、
ISO(国際標準化機構)で西暦年の
4桁対応の規格が制定された
・
日本では1992年にJIS(日本工業規格)
で西暦年の4桁対応が規格化された
対策は実行されてきたか
全ての機器が規格通り作られたわけではない
・
規格制定以前に製造された機器も使われている
・
アプリケーションソフトウエアーに規格はない
・
コンピュータチップを部品として使う場合
機器製造者にも対応の有無を判定できない
どんな機器が対象となるか
今日ではコンピュータシステムだけでなく、
あらゆる機器(家電や自動車などを含めて)
にコンピュータチップが使われており、これら
の全てが、異常を起こす可能性をもっている
・ ・ ・
電気(電池を含む)を使用する、全ての機器を
チェックしなければならない
どの程度に危険か
正直なところ、その程度はわからない
・
電気や水の供給が停止しミサイルが暴発、
原子力発電所が暴走するなど世の終わり
がくる(TEOTWAKI)との説から
・
2000年問題なんて詐欺だ
2000年1月3日には全て片づいている
との説まである
誰の責任か
•
•
•
•
コンピュータの製造者
ソフトウエアーの供給者
機器の製造者・販売者
機器の購入者・使用者
全ての関係者に責任がある
いわば社会全体がこれを容認してきた
(それによって利益を受けてきた)
我々の義務
人の命を預かる立場
・
危険を見過ごすことによって
・
加害者になってはならない
他人事ではない
実際に機器を扱ったり、コンピュータを
・
管理している人々自身が
・
自分の問題として
・
責任を持って
・
調査し対策する
コンピュータのどこに問題があるのか
DOS/V PCの場合
RTC:
電源を切っても時間を刻んでいる時計
(1980年から1999年までしか扱わない)
BIOS: RTCとOSの間で時間のデータを交換する
(RTCの時間をそのまま伝達する)
OS:
コンピュータの稼働時に働くタイマー(システムタイ
マー)
を持つ(時分秒のみ)、起動時にRTCからBIOSを
通じ
て時間データを取得する
(起動時以後はRTCと独立した時間を刻む)
アプリケーション:OSまたはRTCから時間データを取り込む
(プログラム上で西暦を2桁で扱っている)
(データの西暦日付が2桁になっている)
どんなことが起こるか
1) データの順序が狂う
(19XXと2000の順序逆転など)
2) 日付入力チェックで入力をエラーと判断される
3) 年齢計算で異常値が返される
4) データベースに不正な値が混入する
5) 閏年のカレンダーが正しく作れない
6) 上記の結果、機器が停止したり誤動作する
製造元はどのように
対応しようとしているか
1.対策方法をインターネットなどで公開
2.修正用のソフトをインターネットで供給
3.チェックと修正のためのガイドラインを提供
4.アプリケーションの修正は有料の場合がある
5.対策不可能なものもある
6.医療機器の場合は製品毎に個別対応してい
る場合が多い
情報提供の例
マイクロソフトの場合
Mac OSと2000年問題
Macintoshコンピュータには、バッテリで駆動するクロックチップが
内蔵されており、これ により現在の正確な日時が得られます。この
情報は、1904年1月1日の深夜を起点に 経過した時間(秒)として処
理されています。
Macintoshの登場以来、すべてのMac OSオペレーティングシステ
ムに付属する日時設定用ユーティリティは、いずれも2000年問題を
正しく処理することができます。最初の日時設定用ユーティリティ
(1984年に登場したMacintosh 128Kに付属)は、1904年1月 からの
経過時間を保存するために、ロングワードを使用しました。
これは、2040年の2 月6日、午後6時28分15秒まで、正確に時を刻む
ことができます。
最近のユーティリティプログラムは、符号付き64ビットの値を使って
おり、30081 B.C. から29940 A.D.までの日時をカバーしています。
東芝メディカルの場合
現在販売を行っているすべての弊社医用画像診断装置及び医療事
務コンピューターシステムは2000年対応がなされており安心してご
使用いただけます。
以前に販売されたほとんどの装置は、2000年以降もそのまま使用可
能です。一部製品につきましては、日付に関連して多少影響がある
場合がございます(安全または診断性能上には影響ありません。)
その場合、回避するために下記の対応のいずれかが必要となります
1)お客様のご使用方法により、(ただし、運用上一部制約の発生)
2)バージョンアップ等の適用により(運用上一部制約の発生)
3)耐用年数を超えご愛用頂いている一部製品の中に西暦2000
年対応可能な後継製品への更新が必要となるものがあります
メドトロニック社の場合
何をしなければならないか
(2000年以前)
1)対象機器を洗い出す
(リストアップ、個票の作成、シールの貼付)
2)それらが2000年対応済みかどうか調査する
(インターネット、業者への問い合わせ、など)
3)未対応機器の補修やバージョンアップを行う
4)2000年に働くかどうか模擬テストを行う
5)万一、2000年に動作しない場合の対策をたてる
(危機管理計画)
何をしなければならないか
(1999年12月31日以後)
1) 1999年12月31日23時頃からの観察
2) 2000年1月1日以後の初使用時の観察
3) 動作が異常な場合、危機管理計画に基づく対応
4) 2月29日の動作確認(29日以前に)
対策の対象
病院情報システム
各部門のコンピュータシステム(PCなど)
生命維持装置
モニター・検査機器
治療機器
病院設備(ガス供給、ナースコールなど)
文部省の支援
対応体制づくり
ガイドライン(マニュアル)の提供
関連情報の収集と広報
対策予算の計上