数学科教育論(3) 1.生活単元学習の時代/1950年代 第2次世界大戦の終結ー1945(昭和20)年 アメリカの教育使節団の勧告により、 学校制度を6−3−3−4制に改訂。 カリキュラムや指導法の改善勧告も受け入れ大幅に改 定。 アメリカの経験主義的な傾向の色濃い生徒中心の自主 的学習活動を全面に据えた「生活単元学習」の形態であ った。」 数学科の一般目標:生活単元学習 1951(昭和26)年改訂 a 数学の有用性と美しさを知って、真理を愛し、これを求めていく態度を養う。 (数学の有用性と美しさ) b 明るく正しい生活をするために、数学の果たしている役割の大きいことを知り 、正義に基づいて自分の行為を律していく態度を養う。(明るく正しい生活) c 労力や時間などを節約したり活用したりする上に、数学が果たしている役割 が大きいことを知り、これを勤労に生かしていく態度を養う。(勤労に生かし ていく態度) d 自主的に考えたり行なったりする上に、数学が果たしている役割の大きいこ とを知り、数学を用いて自主的に考えたり行ったりする態度を養う。(自主的 に考えたり行ったりする態度) e 数学がどのように生まれてきたかを理解し、その意義を知る。(数学がどの ように生まれてきたか) f 数学についての基礎となる概念や原理を理解する。(基礎となる概念や原理 の理解)」 数学科の一般目標:生活単元学習 1951(昭和26)年改訂 g 数量的な処理によって、自分の行為や思考をいっそう正確に、的確に、しか も能率をあげるようにする能力を養う。(正確に、的確に、しかも能率的に) h 自分の行為や思考をいっそう正確に、的確に、しかも能率を あげるように することが、どんなに重要なものであるかを知り、これを日常生活に生かし ていく習慣を養う。(日常生活に生かしていく習慣) i 社会で有為な人間となるための資質として、数学についてのいろいろな能力 が重要なものであることを知り、数学を生かして社会に貢献していく習慣と 能力を養う。(社会に貢献していく習慣と能力) j 職業生活をしていくための資質として、数学についてのいろいろな能力が重 要なものであることを知り、いろいろな職業の分野で、数学を生かして用い ていく習慣と能力を養う。(いろいろな職業の分野で、数学を生かして用いて いく)」 数学科の一般目標:生活単元学習 要約 a 数学の有用性と美しさ b 明るく正しい生活 c 勤労や時間などの節約 d 自主的に考えたり行ったりする態度 e 数学がどのように生まれてきたか f 基礎となる概念や原理の理解 g 正確に、的確に、しかも能率的に h 日常生活に生かしていく習慣 I 社会に貢献していく習慣と能力を養う j いろいろな職業の分野で、数学を生かして用いていく」 昭和22年版国定教科書 ー中学数学ー 第1学年:主食の統計、力とその伝達、夏休みの研究 (アルキメデス の原理)、形と図(投影図・地図)、正の数・負の数(一次方程式) 第2学年:賃金の統計、運動と安定、夏休みの天気、 こと、式とグラフ(一次函数・連立方程式) 第3学年:数と計算(数学史)、稲作の研究、家計の の研究、直線と角(平行、合同、相似、三角比)」 量をはかる 研究、結核 昭和22年版中学数学教科書目次—文部著作— 中学1年用(昭和22年4月22日発行) 1年(上) 1年(下) ・主食の統計 (1頁〜) ・計算練習 (15〜) ・力とその伝達 (25〜) (力とはかり、摩擦、比例、てこ、いろいろ な比例、滑車、仕事) ・計算練習 (71〜) ・種々の問題 (81〜90) ・夏休みの研究 (1頁〜) (茂の研究、秋子の研究) ・計算練習 (9〜) ・形と図 (17〜) (いろいろな形、投影図、測量) ・計算練習 (60〜) ・種々の問題 (67〜) ・正の数、負の数 (74〜) (正・負の符号、加法、減法、乗法・減法) ・計算練習 (112〜) ・種々の問題 (120〜124) 昭和22年版中学数学教科書目次—文部著作— 中学2年用(昭和22年4月22日発行) 2年(上) 2年(下) ・賃金の統計 (1頁〜) ・計算練習 (8〜) ・運動と安定 (14〜) 1 運動 2 運動の伝達 3 力と運動 4 重心と安定 ・種々の問題 (60〜) ・計算練習 (68〜74) ・夏休みの天気 (1頁〜) ・計算練習 (10〜) ・量をはかること (14〜) 1 いろいろな測定の方法 2 三平方の定理 ・計算練習 (45〜) ・種々の問題 (51〜) ・式とグラフ (58〜) (座標、一次函数とグラフ、一次方程式の グラフ、連立方程式とグラフ、1次不等 式 とグラフ) ・種々の問題 (92〜98) ・平方、立方、平方根、立方根の表 昭和22年版中学数学教科書目次—文部著作— 中学3年用(昭和22年4月22日発行) 3年(上) 3年(下) ・数と計算 (1〜) 1 整数 2 記数法 3 位取り 4 整数の計算 5 整数の性質 6 分数 7 小数 8 無理数 9 正の数、負の数 ・問題練習 (74〜78) ・数表(巻末) ・稲作の研究 (1〜) (反当たりの収穫高の変化、作柄と天気) ・家計の研究 (17〜) (家計簿の研究、物価の研究) ・結核の研究 (43〜) ・種々の問題 (53〜) (表とグラフ、式) ・計算練習 (73〜) ・直線と角 (81〜) (平行、合同と相似、三角比) ・種々の問題 (144〜) (対称と回転、合同と相似、三角比) ・計算練習 (164〜174) (平方、立方、平方根、立方根、三角函数表) (参考)平成9年度版中学数学教科書/教育出版 中学1年(3) 181頁 1章 正の数、負の数 正の数、負の数、加法と減法、乗 法と除法 2章 文字と式 文字の使用、式の計算 3章 方程式 方程式とその解き方、方程式の利 用 4章 関数 変化と関数、比例と反比例 5章 平面図形 平面図形の基本、点の集合と作図 6章 空間図形 空間図形の基本、空間図形の見 方、表し方 中学2年(4) 219頁 1章 式の計算 式の計算、式の利用 2章 不等式 不等式 3章 連立方程式 連立方程式とその解き方、連立方 程式の利用 4章 1次関数 1次関数、1次関数と方程式 5章 平行と合同 平行線と角、合同、合同と証明 6章 三角形と四角形 三角形、四角形 7章 相似な図形 相似な図形、平行線と線分の比 8章 資料の整理 資料の整理、数の表し方 中学3年(4) 211頁 1章 式の計算 多項式の乗法と除法、因数分解、 式の利用 2章 平方根 平方根、平方根の計算 3章 2次方程式 2次方程式とその解き方、2次方 程式の利用 4章 関数 関数 y=ax2 5章 円 円と直線、円周角 6章 図形の計量 三平方の定理、三平方の定理の 利用、相似と計量 7章 確率と標本調査 確率、標本調査 新制中学校の教科時間数/1947年 è ò aÇQÇQîNìxã â»ï éˆã²éûä‘êîÅ^íÜäw ÇVîN ÇWîN ÇXîN 7 6 5 4 èTÅ^éû 3 2 1 0 çëåÍ é–âÔ êîäw óùâ» âšäy ê}âÊçHçÏ ëÃàÁ êEã² ëIë¾â»ñ¹ 生活単元学習とは、 学習主体である子供が、生活環境に働きかけ、 その中から問題を発見し、それを解決していくこ とを通して、学習を深めていく方法。 子供中心,経験重視の教育 デューイ(J.Dewey)に代表される実用主義,経験 主義教育 高校数学:1951(昭26)年改訂(試案) 1951年度から施行/「生活単元」の時代 一般教養としての数学、 「数学一般」(5単位) 将来もっと深く数学を学習したい生徒のため 「解析 I」 (5単位) 「解析 II」 (5単位) 「幾何」 (5単位) 「一般数学」の指導内容(1) 1. 自然現象や社会現象を理解したり、これについての問題を 解くために公式やグラフを用いる。(函数、変化率、2乗に 比例・反比例、一般角、周期、振幅) 2. 日常生活に関係して起こる問題を、方程式を用いて解く。 (元、一次、二次、消去) 3. 図形の取り扱いになれ、簡単な図形の性質を知る。(公 理、定義、定理、証明、同位角) 4. 測定値について、その代表値の信頼度やその制限の意味を 理解し、また、これを計算に用いる。(相加平均、代表値) 5. 社会現象や自然現象について確からしさの意味を理解し、 これに関する問題を解く。確率、独立、背反、加法定理、乗 法法則、期待値、順列、組合せ) 「一般数学」の指導内容(2) 6. 社会的な現象について、その実態を理解したり、将来を予 測したりするのに、統計的な資料を用いる。(モード、中央 値、標準偏差、相関関係、ヒストグラム) 7. 経済ら金融に関して用いられているいろいろな比率の意味 を理解し、これに関する問題を解く。(年金、数列、等比級 数、対数、加重平均、相乗平均) 8. 金融に関する計画や記録の際にバランスを考えることが重 要であることを理解し、これに関する計算をする。 9. 数学が文明の上に果たしている役割を理解する。」 「解析 I」の指導内容 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 中学校数学の復習 比例および一次の関係を求めること 函数の概念を用いること 数や式についての計算をすること 連立一次方程式を用いること 二次式や分数式を用いること 図形を式を用いて研究すること 数計算を能率よくすること」 「解析II」の指導内容 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 確率を理解し用いること 資料を整理し、解釈すること 数列や級数を用いること 函数の概念を拡張し、完成すること 変化率を求めること 計算において極限を用いること 三角関数を用いること 「幾何」の指導内容 1. 中学校の復習 2. 幾何に用いられる方法を理解するこ と 3. 空間における図形の関係を理解し、 用いること 4. 直線図形の性質を用いること 5. 円と球の性質を用いること 6. 軌跡の概念を発展させること」 高校数学:1951(昭26)年改訂(試案) 1951年度から施行/「生活単元」の時代 解析I:5単位 解析II :5単位 幾何:5単位 1. 中学校数学の復習 2. 比例および一次の 関係を求めること 3. 函数の概念を求め ること 4. 数や式についての計 算 5. 連立一次方程式 6. 二次式、分数式 7. 図形に式を用いて 研究する 8. 数計算を能率良くす ること 1. 確率を理解し用い ること 2. 資料を整理し、解 釈すること 3. 数列や級数を用い ること 4. 函数の概念を拡張 し、完成すること 5. 変化率を用いるこ と 6. 計量において極限 を用いること 7. 三角函数を用いる こと 1. 中学校の復習 2. 幾何に用いられる 方法を理解すること 3. 空間における図形 の関係を理解し、用 いること 4. 直線図形の性質を 用いること 5. 円と球の性質を用 いること 6. 軌跡の概念を発展 させること 生活単元学習批判(1) 戦前の学習内容に比べて、レベルダウンは著しい。 生徒の学力低下を招いたー国立教育研究所などの調 査で明らかにー 1954(昭和29)年の日本数学教育会(第36 回総会、東京)での2人の教育学者海後宗臣(東大 教授)と梅根悟(東京教育大教授)の講演(日数教 第36回総会特集号参照)は、生活単元学習の論議 に大きな影響を与えた。 海後氏の「数学と国語は、他の教科と異なり基礎学 習を担当している教科であるから単元学習はなじま ない。」 生活単元学習批判(2) 梅根氏の「数学教育は、むしろ本来の系統的な教材 単元である。」 また、戦後の数学教育に批判的であった小倉金之助 や遠山啓等がこの時期に「数学教育協議会」を1952 年に設立し、 「学力低下の最大の原因は、生活単元と呼ばれる学 習形態にあり」と批判し、その後の数学教育改革運 動に大きな足跡を残した。 高校数学科の目標:昭和31年 1.数学の基本的な概念・原理・法則等を理解し、それら を応用する能力を養う。 2.数学が体系的に出来ていること、その体系を組み立て ていく考え方とを理解し、その意義を知る。 3.数学的な用語や記号の正しい使い方を理解し、それら によって数量的な関係を簡潔明確に表現し、処理す る能力を養う。 4.論理的な思考の必要性を理解し、筋道を立てて物事を 考えていく能力と習慣とを身につける。 5.数学的なものの見方、考え方の意義を知るとともに、 これらにもとづいて物事を的確に処理する能力と態 度とを身につける。 数学科の科目構成 「数学 I」:6単位または9単位 (代数および幾何の初等的基本的分野) 「数学II」:3単位(数学Iの発展) 「数学III」:3単位または5単位 (微分・積分と確率統計の内容) 「応用数学」: 3単位または5単位 (数学の応用分野に進むための内容) 「一般数学」に代わり「応用数学」が新設された。 2.系統化学習の時代/1960年代. 生活単元学習は、ややもすれば生活経験に振り回さ れて、数理の系統や論理性が見失われ、指導の焦点 があいまいになってしまったというのが、当時の批 判の代表的なものであった。 そこで文部省は、1956(昭和31)年教育課程 審議会に対して、国民の教育水準を高めることを目 指して、「小学校・中学校教育課程の改善について 」を諮問した。 改訂の方針ー中学校数学科ー 小学校算数の内容に系統性を持たせ、内容の 充実。(注:小数・分数の四則は小学校で完 成など) 基本的理解や技能が十分に身に付くようにす るとともに実測、実証などを重視し、実践的 な活用の能力を高める。 生徒の能力、特性に応ずる学習。生徒の進路 の差に応ずる学習。 教育課程の基準として 「学習指導要領」の告示 1958(昭和33)年10月中学校の学習指導要 領が告示された。 教育課程の国家基準が明確にされ、その法律的な拘 束力が明らかにされた。 昭和22年や昭和26年の学習指導要領は目標、内 容、方法の全般にわたって記述されていたが、 この学習指導要領から目標と内容のみが記述され、 指導方法については「指導書」や「指導資料」に分 割して取り上げらるようになった。 中学校数学科の目標ー系統学習ー 1958(昭和33)年改定、1962年度から実施 1 2 3 4 5 数量や図形に関する基礎的な概念や原理・法則の理解を深め、 より進んだ数学的な考え方や処理のしかたを生み出す能力を伸 ばす。 数量、図形に関して、基礎的な知識の習得と基礎的な技能の 習熟を図り、それらを的確かつ能率的に活用できるようにする。 数学的な用語や記号を用いることの意義について理解を深め、 それらによって、数量、図形についての性質や関係を簡潔、明 確に表現したり、思考を進めたりする能力を伸ばす。 ものごとを数学的にとられ、その解決の見通しをつける能力 を伸ばすとともに、確かな根拠から筋道を立てて考えていく能 力や態度を養う。 数学が生活に役立つことや、数学と科学・技術との関係など を知らせ、数学を積極的に活用する態度を養う。 内容領域の設定 小学校の内容は: A.数と計算 B.量と測定 C.数量関係 D.図形の4領域 中学校の内容は: A.数 B.式 C.数量関係 D.計量 E.図形の5領域 内容が系統的、段階的に配置。 1958年改訂/学習内容 中学1年 中学2年 中学3年 A.数 四則の相互関係・法則、 四則計算の習熟 約数と倍数、正・負の数、 近似値 数の平方根 B.式 文字を用いて関係や法則 を式に表す、文字の値を 逆算で 文字と式、単項式、 多項式の四則 乗法公式の利用 C.数量 比および比例式、関係を グラフや式で表す 関係 式とグラフ、比例、 反比例と一次の関係 二次関数のグラフ、グ ラフにより二次方程式 を解く D.計量 測定と誤差、単位系と メートル法 縮図と測定 三角比とその利用 E.図形 基本的な作図、直線図形 の間の関係、空間と平面 、回転と対象 図形の合同・相似、 図形と論証 三平方の定理、円周角 と中心角の関係 選択数学と高度成長への対応 必修数学: 中学1、2年→140時間(週4時間) 中学3年 → 105時間(週3時間) 選択教科としての数学: 中学3年 → 70時間(週2時間) 選択の数学の内容: 二次方程式、連立三元一次方程式、二次関数 、軌跡・作図、三角比など(高度) 高校数学:1960(昭35)年改訂、1963年度から施行 (1/2)「系統化」の時代 •「数学I」(5単位)必修 1 数とその計算:整式と分数式(因数分解を含む)、無理式 2 方程式と不等式:二次方程式(根の公式、判別式、複素数とその四則)、いろいろな方程 式(分数・無理・高次・連立方程式)、不等式(一次・二次の不等式) 3 関数とそのグラフ:二次・分数・無理関数、三角函数(一般角の三角関数、弧度法)、指 数関数、対数関数(対数、対数計算、計算尺の原理) 4 平面図形と式:座標、直線の方程式、円の方程式、不等式と領域 5 空間図形:直線、平面などの関係(二面角、三垂線の定理、投影図)、空間座標 6 数学と論証:公理・定理・証明、命題とその逆、証明の方法 •「数学IIA」 4単位 1 計算法:近似値、誤差、近似式、表や図による計算(計算図表)、簡単な実験式(対数 方眼紙) 2 確率と統計:確率(順列と組合せ、確率の意味、確率の計算)、統計(標準偏差、推測 統計の考え) 3 数列と極限:等比・等差数列、数列の極限、関数の極限 4 微分法と積分法:導関数とその計算(微分係数、導関数の計算)、導関数の簡単な応用、 不定積分とその応用、定積分とその簡単な応用 •高校数学:1960(昭35)年改訂、1963年度から施行(1/2)「系統化」の時代 高校数学:1960(昭35)年改訂、1963年度から施行 (2/2)「系統化」の時代 •「数学IIB」(5単位) 1 順列と組合せ:場合の数、順列と組合せ、二項定理 2 数列と級数:等比・等差数列、その他の数列(一般項がn2,n3程度とする)、無限等比級 数 3 三角函数とベクトル:三角形の応用(正弦・余弦定理、三角形の面積)、加法定理(複 素数の極形式を含む)、ベクトル(ベクトルの意味、加法、減法、実数との乗法、内積) 4 図形と座標:二次関数(楕円・双曲線・放物線の標準形の方程式)、曲線の表し方(媒 介変数、極形式) 5 微分法:微分係数、導関数とその計算(和・差・積の導関数)、導関数の応用(接線、 関数値の増減、速度など) 6 積分法:積分の意味、積分の計算、積分の応用(面積、体積、速度など) •「数学III」(5単位) 1 微分法とその応用:関数の極限、導関数とその計算(関数の商合成関数の導関数など)、 導関数の応用(曲線の凹凸、加速度など、近似式) 2 積分法とその応用:積分の計算(置換・部分積分)、積分の応用(面積、体積、道のり など、微分方程式の意味) 3 確率と統計:確率の意味、確率の計算、分布(平均と散らばり、二項分布、正規分布)、 標本調査 進学率の急増と学力低下 1958年の高校進学者→53% (就職者は41 %、その他14%) 1962(昭和37)年→ 64% 1969(昭和44)年→ 79% 高校進学率の急増 選択数学が平等の精神に反する。 難しい内容で生徒の大半が落ちこぼれる。 学力低下の問題の提起 数学教育の国際動向 :現代化のきっかけ 科学技術の革新、それに伴う社会構造の変化に対応できるよう に、学校教育を改革しなければならないという気運が1960 年代のアメリカやヨ−ロッパ各国で高まっていた。 それに、1957年10月のソビエトの人口衛星スプ−トニク 打ち上げ成功が、アメリカの数学教育改革に一層拍車をかける 結果になった。 数学教育については、1959年にフランスのロワイモンで開 催されたOEEC(欧州経済協力機構、1961年にOECD と改称)のセミナ−と、その報告書「学校数学における新しい 考え」(1961年)に、その現代化運動の発端を見ることが できる。 学校数学の改革についての提案 OEEC:「学校数学における新しい考え」1961年 スト−ン(アメリカ、Stone,M.)は、「今はカリキ ュラムの転換期であり、現代数学の非常な発展と科 学が数学に著しく依存しているので、中等数学教育 の現代化の精神と新しい内容を注入する絶好の機会 である」 デュドネ(フランス、Dieudonne,J.)は、「特に中 等数学教育からユ−クリッド幾何を追放(Euclid must go!)して、ベクトル幾何を行なうべきであ る」 「学校数学における新しい考え」 報告書から a.中等学校段階で、思考の明確さ、簡潔さや統合的な見方を育 成するために、集合と論理に関する新しい記号(∪、∩、⊂、 0、 〜等)を導入する必要がある。 b.算術、代数の展開は、幾何の演えき的なパタ−ンを用い、代数 的構造の公理的な扱いに集約する必要がある。 c.公理的構造としてのユ−クリット幾何の内容を大幅に修正・削 除する必要がある。 d.関数としての三角関数、不確定事象を科学する確率・統計を 導入する必要がある。 次回:数学教育の現代化 1970年代の数学教育
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