亀岡 市セーフコミュニティ活動 アンケート調査

亀岡市セーフコミュニティ活動
アンケート調査
中谷友樹
(なかや ともき)
立命館大学
歴史都市防災研究センター
助教授
2007 (亀岡市)
Contents
1. 調査の概要
2. 世帯票集計結果I セーフコミュニティへの関心
3. 世帯票集計結果II 亀岡での安心安全
4. 世帯票集計結果III 安心安全感と暮らし
調査の概要
調査目的
• セーフコミュニティに対する意識
– 活動参加へのポテンシャルは?
• けが・犯罪・災害リスクのベースライン評価
– けが・犯罪・災害経験の実態は?
– 不安をどう感じているか?
– 健康と外傷との関係の把握
• 様々なアイデアの募集
調査票設計
• 世帯票(Household sheet) 26問 <世帯代表者>
–
–
–
–
–
–
(H Face) 回答者と世帯構成
(H1) セーフコミュニティへの意識
(H2) 亀岡市での暮らしの評価
(H3) 事故・犯罪・災害の経験・不安
(H4) 世帯構成
(H5) 「ご意見」
• 個人票(Personal sheet) 17問 <18歳以上の個人>
– (P Face) 個人属性
– (P1) 身体的、精神的な健康度
– (P2) 転倒・外傷経験の詳細
調査方法
• 配布と回収
– 調査票: 世帯票(A3 1枚)、個人票(A4 1枚×4人分)
– 配布: 07年2月初旬 自治会を通して29,612世帯へ
– 回収: 07年2月26日までに郵送にて返送依頼
• 調査対象範囲(全居住世帯の9割)
– 2005年国勢調査人口 32,455世帯
– 調査でカバーされている範囲(91.2%)
• 回収率(現時点で24.2%)
– 7,157世帯より返信
世帯票回答者の性・年齢分布
女性
Count
400
male
female
800
q1sex
1,000
男性
度 600
数
200
0
+
90 89
85 84
80 79
75 74
70 69
65 64
60 59
55 54
50 49
45 44
40 39
35 34
30 29
25 24
20
20
年齢age
世帯票の集計結果速報その1
セーフコミュニティへの関心
セーフコミュニティの認知
SCの取り組みを
知っていた世帯は
およそ1/4
情報源は?
市の広報: 14.6%
新聞: 4.9%
自治会: 3.1%
テレビ・ラジオ: 0.5%
SCの理念は?
「多くの事故、自殺、犯罪による死亡やけが
は偶然の結果ではなく、予防できる」
関心は?
賛成しない
0.59%
まったく関心はない
3.44%
どちらかというと賛成しない
1.58%
分からない
23.31%
非常に関心
あまり関心はない12.47%
12.72%
賛成する
37.24%
どちらともいえない
27.63%
すこし関心
43.73%
どちらかというと賛成
37.28%
理念に賛成?
SC活動に関心は?
<賛成しないは少数> <理念に賛成でも関心が低い層がいる>
SCへの関心と世帯代表者年齢
SCへの関心
非常に関心
すこし関心
どちらともいえない
あまり関心はない
まったく関心はない
円は 度数 を表示しています。
90+
85-89
80-84
75-79
70-74
65-69
60-64
55-59
50-54
45-49
40-44
35-39
30-34
25-29
20-24
20-
60歳以下で関心が
低くなる。
地域的な協同について
現状と意義の評価
強くそう 思う
ま っ たくそう 思わな い 1 .5 8 %
そう 思わな い
強くそう 思う
4 .6 6 %
ど ち ら とも いえ な い
1 2 .1 5 %
1 4 .9 9 %
そう 思う
そう 思わな い
2 6 .6 9 %
2 7 .3 8 %
7 0 .6 6 %
そう 思う
地域の人々が一緒になって、
地域の課題にとりくむことは
重要だと思いますか?
ど ち ら とも いえ な い
3 9 .6 8 %
住人が一緒になって熱心に、
地域の課題に取り組んでいると
思いますか?
積極的に参加してみたいSC活動
20%以上の高い
参加意識
高齢者の安全
家庭での事故
子供の安全
交通安全
災害対策
犯罪対策
まとめ(その1)
• セーフコミュニティへの関心・期待は大きい。
• ただし「理念に賛同すること」と「関心をもって参加し
ていくこと」には、少しずれがある。
• 既に関心をもっている人々への働きかけとともに、
このずれを埋める取り組みを考えていく必要もある。
世帯票の集計結果速報その2
亀岡での安心安全
亀岡市の暮らしは
総じて安全で安心なものと
思いますか?
ま ったく そ う思 わ ない 強 く そ う 思 う
2.03% 0.54%
そ う 思 わ ない
20.35%
そう思う
33.41%
どち らと も いえな い
43.67%
事故・犯罪・災害への不安
交通事故・災害・
火事・犯罪への
不安が著しく高い
病院に行くような「けが」の経験
就学前児童のけがの世帯経験
(就学前の児童のいる世帯中)
高・大学生のけがの世帯経験
(高・大学生のいる世帯中)
小学生のけがの世帯経験
(小学生のいる世帯中)
成人( 65歳未満)のけがの世帯経験
(65歳未満の成人のいる世帯中)
中学生のけがの世帯経験
(中学生のいる世帯中)
高齢者のけがの世帯経験
(高齢者のいる世帯中)
犯罪被害経験(過去1年)
外傷に関連する傷害は
低い数字だが、何らかの
犯罪被害を受けてしまう
機会は少なくない(2割弱)。
(注意)
犯罪統計との検証が
今後必要
まとめ(その2)
• どの年代でも、1年に1~2割程度の世帯が医療機関で
手当てを必要とする「けが」を経験している。
• 小中学生のけがの割合がやや高い
– けがの具体的な中身(自由回答)から具体的な課題の洗い出し
を行っていく必要がある。
• 交通事故・災害・火事・犯罪被害への不安が大きく、安心
安全感の向上には、この4点への取り組みが重要。
世帯票の集計結果速報その3
安心安全感と暮らし
生活の満足度と地域への愛着
ま ったく 不 満 足 非 常 に 満 足
2.31% 1.24%
不満足
17.32%
満 足 37.02%
どち らと も いえな い
42.10%
亀岡市での暮らしに
満足していますか?
まったく感じない
1.55%
感じない
6.34%
強く感じる
10.55%
どちらともいえない
25.96%
感じる 55.60%
地域に愛着を
感じていますか?
地域への愛着や満足感と
安心安全感には
密接な関係がある
100%
100%
総 じ て安 全で安 心か
度
50%
数
強くそう思う
そう思う
どちらともいえない
そう思わない
度
50%
まったくそう 思わない
数
25%
25%
75%
総じ
強
そ
ど
そ
ま
75%
0%
強く 感じる
どち ら とも いえ ない ま っ たく 感 じ な い
感じる
感じない
愛着を感じ ている か
0%
非常に満足
どち ら とも いえ ない ま っ たく 不 満 足
満足
不満足
満足し ている か
けがの経験と安心安全感
100%
100%
総じて
総 じ て安 全で安 心か
強く
そう
どち
そう
まっ
強くそう思う
75%
そう思う
どちらともいえない
そう思わない
まったくそう 思わない 度 50%
75%
度
数 50%
数
25%
25%
0%
0%
けがなし
けがあり
in ju r e
犯罪被 害なし
犯罪被 害あり
c r ime 01
けがや犯罪の経験は安心安全感を
当然ながら引き下げる
世帯所得と安心安全感
地域でのつきあいと安心安全感
100%
総 じ て安 全で安 心か
強くそう思う
そう思う
どちらともいえない
そう思わない
まったくそう 思わない
75%
度
数 50%
25%
0%
生活面 での協力関 係がある
挨拶もまれ
世間話 や立ち話をす る
挨拶は交わす
地 域 で のつ き あい
地域でのつきあいが
希薄だと、安心安全を
めぐる不安が強くなる。
まとめ
• 安心安全感の向上は、亀岡市民の生活の
満足度の向上と密接な関係がある。
• 安心安全感の向上には、けがや犯罪被害
の経験ばかりでなく、地域とのつながりも
重要。
2つのSC
• Safe community セーフコミュニティ
– 安全で安心なコミュニティを地域的に作り出し、
維持するしくみづくり
• Social capital ソーシャルキャピタル
– 人の関係性の豊かさが、地域の重要な「資本」
– セーフコミュニティを支える重要な「資本」
(参考資料)防災・防犯対策の現状
個人票の概要
調査票設計
• 個人票 17問 <18歳以上の個人を対象に
各世帯に4枚ずつ同封の上、回収した>
– (目的) 個人を単位とした健康度、外傷の度合
い、相談・手伝いネットワークの基礎情報を得る
– (質問項目) 個人属性、身体的・精神的な健康度
(SF-8)、転倒・外傷経験の詳細
– (回収)16,036人
個人票回答者の性・年齢分布
女性
世 帯票 記 入 者か
世帯票記入者
世帯票記入者 でな い
棒は度数を 表示してい ます。
9
45-49
55-59
65-69
75-79
85-89
40-44
50-54
60-64
70-74
80-84
90+
個人年齢
男性
女性
けが・健康指標
指標について
• 過去1年間のけがの経験
– 予防すべき外傷の中身が分かる。ただし、経験の有無
以外は自由回答であるため、今回は未整理。
– 外傷発生動向サーベイランスと今後つきあわせて精度
評価が可能。
• 過去1年間の転倒の経験(自宅と外出時)
– 高齢者では、転倒を契機として寝たきりになるなど、健
康さらには生活の質の悪化を引き起こす。
• 主観的健康度のサマリースコア(身体的・精神的)
– 主観的な健康評価は、生活の質を評価する重要な指標
である。
けがの経験(過去1年間の通院・入院の有無)
%
女性
男性
個 人けが経 験
1度も な い
あ るが 医療機関にい かなかっ た
通院したことがある
入院したことがある
女性
自宅での転倒(過去1年間)
%
女性
転 倒自 宅
男性
0回
1回
2回以上
棒は度数を 表示してい ます。
女性
外出時での転倒(過去1年間)
%
女性
男性
転 倒外 出
0回
1回
2回以上
女性

身体的サマリースコア
• SF-8(8項目によるQOL測
定)に基づく主観的な身体
的健康度を示す合成得点
• 50点が日本人の平均であ
り、高いほどよい。
個 人性 別


男性
女性
エラー バーは平均値の 95.0% 信頼区間を 表示していま す。



• 定年年齢である60-65歳を
境に、急激に低下する。

精神的サマリースコア
• SF-8(8項目によるQOL測
定)に基づく主観的な精神
的健康度を示す合成得点。
• 日本人の平均が50点であ
り、高いほどよい。
個 人性 別


男性
女性
エラー バーは平均値の 95.0% 信頼区間を 表示していま す。



• 定年年齢である60-65歳前
後で高く(定年で心の開放
されるのか?!)、それ以
後、急激に低下する。
転倒と身体的サマリースコア
の関係
転倒経験者の身体的な
健康度はほぼどの年齢
でも一貫して低い
転倒と精神的サマリースコア
の関係(50歳~89歳)
転倒経験があると、
精神的な健康度も
低下する。
まとめ(その1)
• けが・転倒の経験は、性・年齢に応じた特徴をもっている。
– 深刻なけが(通院や入院を必要とする)は高齢者で多くなる。
– 男性のほうが「けが」や外出時の転倒は多い。
– しかし高齢者で、自宅での転倒や入院につながる「けが」は男性よりも
女性で多い。
• けがや転倒の経験は、身体的・精神的な健康度(生活の質)を
低下させる。
– とくに中高年層では、転倒が身体的な活動を阻害するとともに、さらに
は精神的な健康を低下させるため、転倒予防がとくに重要となる。
• けがの具体的な内容については、現在自由回答を集計作業
中であり、おって報告することにしたい。
けが・健康指標とネットワーク
ネットワーク指標
• 個人票では、個人の生活を支える2種類の
ネットワークについて質問している。
– 相談ネットワーク: 気軽に相談事ができる親
族や友人・知人の人数
– 手助けネットワーク: 病気や怪我をした時に、
身の回りの手助けをしてくれるような親族や友
人の人数
相談ネットと精神的サマリースコア
個 人性 別
50.000



48.000



精
神
的
サ 46.000
マ
リ



男性
女性
エラー バーは平均値の 95.0% 信頼区間を 表示していま す。




気軽に相談できる人が
いるほど、精神的な健康度
は高い。


44.000

42.000
0人
1人
2人
3人
相 談ネット
4人
5人
6人以上
手助けネットと精神的サマリースコア
個 人性 別


50.000





48.000
精
神
的
サ
マ 46.000
リ
44.000



男性
女性
エラー バーは平均値の 95.0% 信頼区間を 表示していま す。



何かあったときに助けてくれる
人がいるほど、精神的な健康度
は高い。



0人
1人
2人
3人
4人
手 助けネット
5人
6人以上
相談ネットと転倒
%
女性
男性
転 倒自 宅
0回
1回
2回以上
女性
まとめ(その2)
• 「孤立」することは、精神的な健康度を低める重
要な危険因子だと思われる。とくに「相談ネット」
が重要のようである。
• 「孤立」は女性の場合、転倒など外傷経験とも関
係しやすい。
・ 豊かな人間関係が築けている人が身体的・精神
的にも健康である。
今後の課題
• 自由回答項目の整理
– 外傷経験の内容
– 市民からの意見の整理
• 自殺と精神的健康度との関連
– さらなる絞込み
• 地域差と地域的な取り組みにむけた提言