日本語・ドイツ語・英語の主語

日本語・ドイツ語・英語の主語
大石有希子
主語の役割
「主語」とは、文において、述語の示す動詞・
作用・属性などの主体を表す部分。
「何が」に当たる部分。
主語の省略(例1)
独:Sie warteten nur den richitigen Ausblick ab, in
dem sie ihn fassen konnten.(P.57 l.23)
英:They waited for the ideal moment to entrap
him, ...(P.55 l.21)
日:そしてその人間をつかまえる潮どきを待つのです。
(P.84 l.9)
主語の省略(例2)
独:Herr Fusi schloß die Ladentür, denn es war ihm,
als würde es plötzlich .... (P.59 l.10)
英:Mr. Figaro shut the street door because he
suddenly found it .... little shop. (P.57 l.1)
日:フージー氏は、小さな店の中(略)気がして、入り口
をしめました。(P.86 l.9)
どうして主語が必要か
例3) 「夏」 「Summer」 「Sommer」
日本語は
「夏だ。」「夏だった。」
「夏」という単語に付属語を付けることで安定し
た文ができる。
ドイツ語、英語は
名詞に付属語が付くことはない。
日本語の「だ」に当たる部分はそれぞれ"is" "ist"
"is sommer." "ist Sommer."では文として成立しない
そこで主語が必要になってくる。
→"It's
summer." "Es ist Sommer."
例4)「働く」 「work」 「arbeiten」
「働く」 「働かせる」 「働かない」
→付属語で様々な言い方ができる。
「work」と「arbeiten」が作用するためには
「働く」→"I work."
「働く」→"Ich arbeite."
文を組み立てる必要がある。
主語と主題
主題優勢言語
→主題が明示される言語。主語が重視されな
い、一般的に主語を示す必要がない。
主語優勢言語
→主語が語順や名詞の形などで明示される言
語。
例5)
独:《Darüber habe ich eben nach gedacht.》 (P.60
l.5)
英:"That's just what I was thinking a moment
ago." (P.57 l.26)
日:「まさにそのことを、ついいましがた考えていたと
ころです。」(P.87 l.15)
まとめ
日本語は文を読んでいけば主語がなくても何
のことについて話しているのかわかる。ドイツ
語も英語も文から判断できるけど主語がない
と文が成り立たないのが、普段主語を省略し
ているからとてもめんどうに感じる。そして主
語が人や物でない時に何を主語にすればい
いのかわからない時がある。