アカデメイア相談室 第二回 労働問題総論 浅野直樹(京都アカデメイア) 1 目的 労働問題について総合的な見通しを得ること ● 自分の生活に役立てる ● 相談に乗れるようになる ● 抽象的な議論をする際の土台を作る 2 全体の目次 1.法律に関する資格、法律の基礎 2.労働問題の実践的な知識 3. 学問的な考察 法律 実践知 学問 3 法律だけだと… ● ● 法律的には正しくても現実的な状況に合わないこと がある 法律が変わることもある(法律を作るのは現実的な 力関係) 4 実践知だけだと… ● 部分部分の知識は正しくても整合性が取れていな いこともある ● 断片的な知識だと覚えきれない ● 他の人に伝えるのが難しい 5 学問だけだと… ● ● 現実から離れた机上の学問になってしまうこともあ る 学問をする人の立場(主体と対象との分離) 6 法律に関する資格、 法律の基礎 7 法律資格紹介 ● 司法試験(裁判官、検察官、弁護士) ● 司法書士 ● 行政書士 ● 社会保険労務士 8 司法試験(裁判官、検察官、弁護士) ● ● ● ● 法科大学院(ロースクール)→司法試験が原則 必須科目は六法(憲法(+行政法)・民法・商法(会 社法)・民事訴訟法・刑法・刑事訴訟法) 選択科目は労働法、倒産法、国際関係法など 試験合格後、研修を経て三者のどれになるか決め る 9 司法書士 ● ● 仕事内容は登記・供託、簡裁代理等 試験科目は憲法、民法、商法、刑法、供託法、民 事訴訟法、民事執行法、民事保全法、司法書士 法、不動産登記法、商業登記法、不動産登記、商 業登記 10 出典 商業登記簿とは?|法 務局の商業登記簿謄本 (会社・法人登記簿謄 本)オンライン取得は商 業登記簿ネットで http://www.shogyotoukibo.net/contents/a bout.html 11 出典 法務省:不動産登記のABC http://www.moj.go.jp/MINJI/minji02.html 12 行政書士 ● 仕事内容は行政に提出する書類作成等 ● 試験科目は憲法、民法、行政法、商法、一般知識 13 社会保険労務士(社労士) ● ● 仕事内容は労働関連法令や社会保障法令に基づ く書類等の作成代行等 試験科目は労働系科目、社会保障系科目、一般 常識の3つに大きく分けられる 14 労働系科目 ● 労働基準法及び労働安全衛生法 ● 労働者災害補償保険法 ● 雇用保険法 ● 労働保険徴収法 15 社会保障系科目 ● 健康保険法 ● 厚生年金保険法 ● 国民年金法 16 一般常識(労働系) ● 労働組合法 ● 育児介護休業法 ● 労働関係調整法 ● 次世代育成支援対策促進法 ● 労働契約法 ● パートタイム労働法 ● 雇用対策法 ● 職業能力開発促進法 ● 職業安定法 など ● 労働者派遣法 ● 高年齢者雇用安定法 ● 障害者雇用促進法 ● 男女雇用機会均等法 17 一般常識(社会保障系) ● 国民健康保険法 ● 船員保険法 ● 高齢者の医療の確保に関する法律 ● 介護保険法 ● 児童手当法 ● 確定給付企業年金法確定拠出年金法、 ● 社会保険労務士法 など 18 法律に関する資格のまとめ ● 裁判をする→弁護士 ● 供託・登記関係→司法書士 ● 労働や社会保障関係→社会保険労務士 ● その他行政への書類提出→行政書士 19 法律の専門家への依頼 ● まとまった仕事を依頼すると十万単位のお金がか かる ● 知識と時間があれば自分で動くことも可能 ● 依頼をするにしても知識があったほうがよい ● お金がないがどうしても弁護士が必要なときは法テ ラスへ 20 法律の基礎知識① 民法 会社法 労働契約法 民訴法 … 行政不服審査法 行政事件訴訟法 憲法 刑法 労働基準法 労働組合法 … 刑訴法 21 法律の基礎知識② ● 一般法と特別法 ● 実体法と手続法 ● 憲法>法律>命令・規則 ● 判例 ● 通達 22 日本国憲法 ● 1947年施行 ● 最高法規 ● 国民主権、三権分立、平和主義 ● 前半は主に人権、後半は主に統治 23 憲法25条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営 む権利を有する。 24 憲法27条 すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。 ○2 賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関 する基準は、法律でこれを定める。 ○3 児童は、これを酷使してはならない。 どのように定められている? 25 憲法28条 勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体 行動をする権利は、これを保障する。 どのように保障されている? 26 民法 ● 1898年施行 ● 日本国憲法の制定に伴い大改正 ● パンデクテン方式 ● 総則、物権、債権、親族、相続 ● 権利能力平等の原則、私的所有権絶対の原則、 私的自治の原則 27 民法627条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事 者は、いつでも解約の申入れをすることができる。 この場合において、雇用は、解約の申入れの日か ら二週間を経過することによって終了する。 二週間でクビになる? 28 民事訴訟法 ● 1890年に制定 ● 民事執行法、民事保全法がその後独立 ● 当事者主義(処分権主義、弁論主義) 29 民訴法228条 文書は、その成立が真正であることを証明しなけれ ばならない。 (中略) 4 私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印 があるときは、真正に成立したものと推定する。 30 刑法 ● 1908年施行 ● 総論と各論 ● 構成要件+違法性+責任能力 31 刑法230条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その 事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しく は禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。 第230条の2 前条第一項の行為が公共の利害に 関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図 ることにあったと認める場合には、事実の真否を判 断し、真実であることの証明があったときは、これを 罰しない。 32 刑事訴訟法 ● 1949年施行 ● 逮捕→勾留→起訴→裁判 33 刑訴法203条 司法警察員は、逮捕状により被疑者を逮捕したとき、 又は逮捕状により逮捕された被疑者を受け取つた ときは、直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任 することができる旨を告げた上、弁解の機会を与 え、留置の必要がないと思料するときは直ちにこれ を釈放し、留置の必要があると思料するときは被疑 者が身体を拘束された時から四十八時間以内に書 類及び証拠物とともにこれを検察官に送致する手 続をしなければならない。 34 刑訴法205条 検察官は、第二百三条の規定により送致された被疑 者を受け取つたときは、弁解の機会を与え、留置の 必要がないと思料するときは直ちにこれを釈放し、 留置の必要があると思料するときは被疑者を受け 取つた時から二十四時間以内に裁判官に被疑者 の勾留を請求しなければならない。 35 刑訴法208条 前条の規定により被疑者を勾留した事件につき、勾 留の請求をした日から十日以内に公訴を提起しな いときは、検察官は、直ちに被疑者を釈放しなけれ ばならない。 ○2 裁判官は、やむを得ない事由があると認めると きは、検察官の請求により、前項の期間を延長する ことができる。この期間の延長は、通じて十日を超 えることができない。 36 行政法 ● 「行政法」という名称の法律は存在しない ● 行政国家化とともに発展 ● 行政組織法、行政作用法、行政救済法 37 行政手続法7条 行政庁は、申請がその事務所に到達したときは遅滞 なく当該申請の審査を開始しなければならず、か つ、申請書の記載事項に不備がないこと、申請書 に必要な書類が添付されていること、申請をするこ とができる期間内にされたものであることその他の 法令に定められた申請の形式上の要件に適合しな い申請については、速やかに、申請をした者(以下 「申請者」という。)に対し相当の期間を定めて当該 申請の補正を求め、又は当該申請により求められ た許認可等を拒否しなければならない。 38 会社法 ● 2006年施行 ● 株式会社と持分会社 ● 機関、計算など 39 会社法3条 会社は、法人とする。 法人って? 40 労働法 ● 「労働法」という名称の法律は存在しない ● 資本主義の拡大に対応して整備 ● 労働基準法、労働組合法、労働契約法など ● 民法の原則を修正 41 労働基準法20条 使用者は、労働者を解雇しようとする場合において は、少くとも三十日前にその予告をしなければなら ない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日 分以上の平均賃金を支払わなければならない。但 し、天災事変その他やむを得ない事由のために事 業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責 に帰すべき事由に基いて解雇する場合において は、この限りでない。 42 労働契約法16条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上 相当であると認められない場合は、その権利を濫 用したものとして、無効とする。 43 労働組合法1条 この法律は、労働者が使用者との交渉において対等 の立場に立つことを促進することにより労働者の地 位を向上させること、労働者がその労働条件につい て交渉するために自ら代表者を選出することその 他の団体行動を行うために自主的に労働組合を組 織し、団結することを擁護すること並びに使用者と 労働者との関係を規制する労働協約を締結するた めの団体交渉をすること及びその手続を助成する ことを目的とする。 2 刑法 (明治四十年法律第四十五号)第三十五条 の規定は、労働組合の団体交渉その他の行為であ44 つて前項に掲げる目的を達成するためにした正当 労働問題の実践的な 知識 45 労働問題のアウトライン ● 雇用関係の開始 ● 雇用に関するルール ● 集団的労使関係(労働組合) ● 賃金、休日、労働時間 ● 傷病(怪我や病気)、損害 ● ハラスメント ● 雇用関係の終了 ● 労働問題解決法 ● 労働問題から生活問題へ 46 雇用関係の開始 ● そもそも「雇用」とは ● 正社員、アルバイト、パート、派遣… ● 就職活動 ● 労働条件のチェックポイント ● 社会保険 47 そもそも「雇用」とは ● 指揮・命令に従って仕事をする関係 ● 「請負」、「委任」は「雇用」ではない 48 ● 正社員、アルバイト、パート、派遣… ● 期間の定めがあるかどうか(有期雇用と無期雇用) ● フルタイムかパートタイムか ● 派遣は間接雇用、その他は直接雇用 フルタイム パートタイム 無期雇用 有期雇用 正社員 契約社員 アルバイト・パート アルバイトとパートはどう違うの? 49 就職活動 ● 学校経由の新卒採用(推薦と自由応募) ● ハローワーク ● 就職支援 ● 求人誌 ● 人づて 求人票の内容が労働条件になるとは限らない 50 労働条件のチェックポイント ● 雇用期間、更新の有無 ● 労働時間(残業含む) ● 勤務地、勤務内容 ● 賃金(最低賃金の確認も) ● 社会保険、各種手当 労基法違反の部分があっても慌てて指摘する必要 はない(労基法は強行法規なので) 51 社会保険(加入要件) ● 労災保険…原則全員加入 ● 雇用保険…週あたりの労働時間が20時間以上 ● 健康保険…週あたりの労働時間が30時間以上 ● 厚生年金保険…週あたりの労働時間が30時間以 上 52 労災保険 ● 業務上の傷病に対して保険給付 ● 療養についてはほぼ全額給付 ● 8割の賃金補償 ● 障害給付あり ● 通勤時の災害も対象 ● 精神疾患も対象 53 雇用保険 ● 管轄はハローワーク ● 失業手当など ● 自己都合退職と会社都合退職 ● 職業訓練 54 健康保険 ● ● 私傷病に対して保険給付 国民健康保険と区別される(職場の健康保険と呼 ぶとわかりやすい) ● 療養の自己負担割合は3割(国民健康保険と同じ) ● 傷病手当金(3分の2の賃金補償) 55 厚生年金保険 ● 老齢、死亡、障害に対して保険給付 ● 国民年金部分も含まれる(二階建て) ● 報酬比例部分がある ● 離婚時の分割制度 ● 公務員は共済年金 56 雇用に関するルール ● 労働契約 ● 就業規則 ● 労働協約 法令>労働協約>就業規則>労働契約 ● 労働条件の不利益変更 57 労働契約 ● 契約は口頭でも成立する ● 裁判等で争うためには証拠が必要 録音の積極的な活用を 58 就業規則 ● ● ● ● 就業時間、賃金、賞罰などを定めた職場のルール 常時10人以上の労働者を使用する使用者は就業 規則を作成しなければならない 作成の際には労働者の代表の意見を聞かなけれ ばならない 労働者に周知させなければならない 59 労働協約 ● ● ● 労働組合と使用者との間で締結するルール 「労働協約」という名称の文書でなくても労働協約 としての効果を持つ 組合員以外にも拡張されることがある 60 労働条件の不利益変更 ● ● 賃下げなど、労働条件の不利益変更には根拠が 必要 労働条件の不利益変更は制限されている 61 集団的労使関係(労働組合) ● (職場の)労働組合と(地域の)ユニオン ● 団結権 ● 団体交渉権 ● 団体行動権 62 (職場の)労働組合と(地域の)ユニオン ● ● ● 職場に労働組合があるかどうか 地域には誰でも入れるユニオンがたいてい存在す る 2人以上集まれば労働組合を作ることができる 63 団結権 ● 団結権は保障されているが、現在の労働組合組織 率は20%弱 労働組合の意義とは? 64 団体交渉権 ● 使用者は団体交渉に応じなければならない ● 数の力で議論の流れが変わることもしばしば ● 少なくとも社長などの責任者に直接文句を言える 65 団体行動権 ● 抗議活動(ビラまき、街頭宣伝、インターネット) ● ストライキ 66 賃金、休日、労働時間 ● 賃金支払い5原則 ● 休業手当 ● 法定休日 ● 年次有給休暇 ● 労働時間 67 賃金支払い5原則 ● 通貨払いの原則 ● 直接払いの原則 ● 全額払いの原則 ● 毎月1回以上払いの原則 ● 一定期日払いの原則 罰金等の天引きは許されない 2年で時効(退職時にまとめて請求するのもあり) 68 休業手当 ● 会社都合の休業は賃金の6割以上の休業手当が 必要 69 法定休日 ● 毎週少なくとも1日の休日(4週で4日以上の休日) ● 日曜日とは限らない ● 休日労働は3割5分の割増賃金 70 年次有給休暇 ● ● 雇入れの日から6ヶ月で発生し、以後1年ごとに発 生する 全労働日の8割以上出勤した労働者に10日の有 給休暇 ● 短時間労働者でも比例的に発生する ● 休暇を取得する理由は問われない 現実にあまり活用されていないのはなぜ? 71 労働時間 ● ● 1日8時間、1週40時間が原則 労働者代表と三六協定を結ぶことで労働時間の延 長が可能になる ● その場合は2割5分の割増賃金 ● 深夜労働も2割5分の割増賃金 ● 変形労働時間制と裁量労働制(労働時間の例外) なぜこれほど例外が多いのか? 72 傷病(怪我や病気)、損害 ● 業務上の傷病 ● 私傷病 ● 損害 73 業務上の傷病 ● 使用者には安全配慮義務がある ● 労災保険の対象 ● 労災隠しの可能性もある 74 私傷病 ● (職場のまたは国民)健康保険の対象 ● いきなり退職ではなく休職するのが一般的 体調管理も労働者の責任? 75 損害 ● 使用者は使用者責任を負う ● 労働者への求償権は制限されている ● 損害賠償の予定は禁止 76 ハラスメント ● セクハラ ● パワハラ 77 セクハラ ● ● ● 対価型セクハラと環境型セクハラ 男女雇用機会均等法で「必要な措置を講じなけれ ばならい」と規定 二次被害 78 パワハラ ● ● 近年取り上げられることが多くなってきている パワハラを直接規定した法律は存在しない(一般 の刑事・民事責任を追及する) なぜ最近パワハラが問題とされるようになってきた のか? 79 雇用関係の終了 ● 懲戒解雇 ● 通常解雇 ● 整理解雇 ● 雇い止め ● 合意退職 ● 一方的退職 80 懲戒解雇 ● 即時解雇できる ● 就業規則に定められていることが必要 ● 手続き面の相当性 ● 内容面の相当性 81 普通解雇 ● 長引く傷病 ● 著しい勤務態度不良 ● 業務命令違反 など 82 整理解雇 ● 人員削減の必要性 ● 解雇回避努力 ● 人選の合理性 ● 手続きの妥当性 83 雇い止め ● ● 契約不更新は雇い止めであり、前述の解雇には該 当しない 労働契約法により一定の規制 解雇と雇い止めとの大きな落差 84 合意退職 ● 合意により退職するのは自由 ● 退職勧奨に応じる義務はない ● ひどい場合は退職強要になる 85 一方的退職 ● ● 2週間前に通知すれば労働者の側から一方的に 退職することができる(民法) 不安があるときは内容証明郵便と使うとよい なぜ「辞めさせてもらえない」問題が生じるのか? 86 87 労働問題解決法 ● 自主的解決 ● あっせん ● 労働組合 ● 労働基準監督署 ● 労働審判、裁判 88 自主的解決 ● 話し合いで解決できることもある ● 当事者同士で話し合いづらいなら第三者を交える ● いざとなれば逃げるのも解決のうち 89 あっせん ● 中立的な第三者が当事者の間を取り持つ ● 労働局、労働委員会など ● 基本的に無料 ● 強制力がない 90 労働組合 ● (職場の)労働組合と(地域の)ユニオン ● 法律で守られている ● 同じような体験をしている人がいる ● 主体的に活動することが求められる 91 労働基準監督署 ● 労働関係の警察 ● 対象は労基法違反 92 労働審判、裁判 ● 強制力がある ● 弁護士に依頼する場合が多い 93 労働問題から生活問題へ ● 社会保険 ● 雇用によらない生活 ● 生活保護 94 社会保険 ● 労災保険(傷病年金、障害年金) ● 健康保険(傷病手当金) ● 雇用保険 ● 年金保険(老齢年金、障害年金、遺族年金) 老齢基礎年金は満額で月額64,875円 障害年金のために免除の申請はきちんとすべき 95 雇用によらない生活 ● 家族福祉 ● 自営業(協同組合、ノマド、起業など) ● 支出を減らす試み(シェア、フリーなど) ● その他(アフィリエイト、治験、株取引など) 96 生活保護 ● 確認ポイントは収入、資産、扶養 ● 基準額以下の収入なら受給可能 ● 家や車については個別検討の道あり ● 扶養は保護に優先する(要件ではない) なぜ生活保護に批判が集まるのか? 97 学問的な考察 98 疑問 ● ● アルバイトとパートはどう違うのか? なぜ有給休暇や労働時間の規制が有効に機能し ないのか? ● なぜ最近になってパワハラが問題化したのか? ● なぜ「やめさせてもらえない」問題が生じるのか? ● なぜ労働組合は守られているのにあまり活用され ていないのか? 99 疑問への応答 ● 家族賃金モデル ● メンバーシップ型雇用とジョブ型雇用 ● 労働と承認 ● 史的唯物論 ● 労働の未来(まとめ) 100 家族賃金モデル ● 各種手当 ● 103万の壁、130万の壁 ● アルバイト=学生(父親が扶養) ● パート=主婦(夫が扶養) ● 家父長制と資本制との共犯関係 →1990年代以降、学生でも主婦でもない非正規雇 用が大量に登場して問題化 101 メンバーシップ型雇用とジョブ型雇用 ● 「入社」と「就職」 ● OJTと職業訓練 ● 職能給と職務給 低負担 高待遇 低待遇 アルバイト・パート 高負担 正社員 ブラック企業 102 労働と承認① ● 生きさせろ(雨宮処凛) ● 希望は戦争(赤木智弘) ● ニートって言うな(後藤和智) ● やりがいの搾取(本田由紀) ● 自分自身からの排除(湯浅誠) ● 幸福な若者たち(古市憲寿) 103 労働と承認② ● 労働、仕事、活動(アーレント) ● 神話と労働(ヘシオドス) ● 労働を通じた矯正(フーコー) ● プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神(ヴ ェーバー) ● 疎外(マルクス) ● 消費社会(ボードリヤール) 104 史的唯物論 ● 分業、市場(アダム・スミス) ● 二重の意味で自由な労働者(マルクス) ● 帝国主義(レーニン) ● 感情労働(ホックシールド) ● 非物質的労働、マルチチュード(ネグリ) 105 労働の未来(まとめ) ● ● メンバーシップ型雇用の家族賃金モデルがそれな りに残る 非正規雇用でも法律や実践知を使えば抵抗できる 場面がある ● 承認をどれほど労働に求めるか ● 生産関係を踏まえた対応 106 参考文献 ● 田島隆、東風孝広『カバチタレ』 ● 菅野和夫『労働法』 ● 西谷敏『労働法』『労働組合法』 ● 日本労働弁護団『労働相談実践マニュアル』 ● 村中孝史、荒木 尚志『労働判例百選』 ● 今村仁司『近代の労働観』 107
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