STAS-J導入プロセスと 看護師への影響 宮城千秋(沖縄県立精和病院) 神里みどり(沖縄県立看護大学) 1 研究目的 演者は,200X年Y月から6ヶ月間,A病院緩和ケア 病棟のSTAS-J導入に関わる機会が得られた。 本研究の目的は,STAS-Jの導入のプロセス,とくに 看護師の認識と行動に与える影響を明らかにする ことである。 2 データ収集の場所 ●A病院緩和ケア病棟の概要 200X年 緩和ケア準備室設置 200X+1年 緩和ケア病棟開棟 ●チームの体制 緩和医長:1名 兼任の薬剤師・栄養士・ケースワーカー 看護師長:1名 副師長1名 看護師 :15名 看護方式:チームナーシング+受け持ち制 〈医療監査〉 ケアの質評価未実施 STAS-J導入の必要 〈看護チーム主体〉 ・緩和ケア経験が少ない ・サポートがない STAS-J導入 困難 3 研究方法 4 5 6 7 8 コア看護師7名 9 10(月) 導入のプロセス 学習会の開催(週1回,1時間)計15回 参加観察 ①STAS-J マニュアルの 事前配布 ②資料提供 ③学習内容の記録 ④意見交換 看護師への 影響 個人インタビュー 逐語録作成,質的帰納的分析 STAS-J実施 4 STAS-J学習会と実践への導入 期 間 段 階 内 容 推 進 者 4 5 6 7 8 9 10(月) 第1段階:準備 第2段階:マニュアル 第3段階:STAS-J演習 第4段階:全体 コア看護師の 選出 学習会準備 第1~8回学習会 評価項目の理解 仮想症例 第9~15回学習会 デス・ケースへの活用 入院患者の評価 朝のショート カンファレンス 全体導入 ・準備室メンバー からコア看護師 を選出 ・年間計画 ・資料作成 ・マニュアル事前学習 ・デス・ケースをSTAS-Jの ・評価項目にある言葉 評価項目に照らし,患者・ の意味づけ 家族の状況やケア内容を ・スコアリング訓練 記述する ・事例検討および入院患者 のSTAS-J評価 師長とリーダー リーダー ↓ 6名のコア看護師 コア看護師全体(7名) ・スコアリングを 省く,評価項目 の限定を工夫 ・コア看護師が スタッフを支援 コア看護師 ↓ スタッフ全体 5 実際のSTAS-J評価の手順 受け持ち看護師に合わせて STAS-J評価(2回/月)を計画 STAS-Jの項目に沿った情報および ケア内容の記述,事前評価 STAS評価 カンファレンス 平成○年○月○日 出席者( ) 患者氏名 ○○様 診断名 ( ) 主治医 ○○ キーパーソン ○○ プライマリーナース氏名 ○○ カンファレンス内容 評価点数 1.痛みのコントロール 2.症状が患者に及ぼす影響 3.患者の不安 4.家族の不安 朝のショートカンファレンスで STAS-J評価(情報共有,問題点の把握) 5.患者の病状認識 6.家族の病状認識 7.患者と家族とのコミュニケーション カンファレンス内容を記録に残す ケアの見直し,チーム全体で共有 8.職種間のコミュニケーション 9.患者,家族に対する医療スタッフ のコミュニケーション 6 看護師の認識と行動および今後の課題 ケアの質を考える共通のツール STAS-Jの認識 情報共有とケアの視点の統一 およびチームアプローチ 行動変容 患者・家族,医療者との 関係保持 コミュニケーショと 病状認識の評価困難 困難な点 デスケースでの 評価項目に沿った 記述の負担と評価の限界 緩和ケアの基本に 立ち返るケア行動 課題 緩和ケアの普及と継続教育 7 実践の導入における個人差 共通した行動変容と課題 患者・家族,医療者との 関係保持 緩和ケアの基本に 立ち返るケア行動 緩和ケアの普及と継続教育 肯定 STAS-J病棟全体の取り組み 50代 経験20年以上 管理者 障壁 20-30代 経験5年 スタッフ 看護師A ・スタッフはすぐに評価できる ・全体学習がなくても大丈夫 看護師E ・ケアに戸惑う ・正直わからない 看護師B ・9項目のよさを実感 ・ケアの質向上につながる 看護師F ・全体学習がない,スタッフの負担 ・STAS-J評価導入は早すぎる 8 STAS-J導入プロセスの評価 A病院の 導入のポイント 計画と リーダーシップ ・病棟師長 ・実践モデル看護師 デス・ケース ・評価の限界 入院患者の評価 「病状認識」 ・情報の共通認識 「コミュニケーション」 に有効 ・ケアの質を高める ・評価項目の理解 ・情報の個人差 ・看護実践の力量 ・コア看護師の 役割認知 朝のショート・カン ファレンスへの活用 ・スコアリング省略 ・項目の限定 多職種, 一般病棟 の使用 ・全体の学習会 ・評価結果を実践 に活かす ・共通のツール使用 考える過程が大事 解決課題 9 看護師の行動変容 コミュニケーション 病状認識 9項目を意識 して関わる ケアの質を考える 共通のツール STAS-J 教育効果 情報共有とケアの視点の 統一およびチームアプローチ 傾聴 医師に伝える 情報交換 患者・家族,医療者との 関係保持 その人らしさを 支えるケア 緩和ケアの基本に立ち返る ケア行動 患者・家族のニード よりよい看護ケアへつなげる 10 結論 STAS-J導入に学習会は必須であり、段階的に取り入れな がら、それぞれの看護師に応じた教育とサポート体制を意 図的に行う必要があった。 STAS-Jはケアアセスメントおよび情報共有のツールとして 有用であり、看護師にとって基本的な緩和ケアを学習する 機会となった。 看護師はSTAS-Jの評価項目を視野に入れ、常に自己の ケアを振り返りながら、より質の高い看護ケアを展開できる 可能性が示唆された。 11 御静聴有難うございました。 12
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