情報社会論II 第1回 イントロダクション

情報社会論II
第3回 インターネットの歴史(2)
東邦大学2003年秋学期講義
2003年10月24日
Agenda
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前回授業のコメントから
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個人的質問は電子メールで
コンピュータの「世代」論
インターネットの歴史(2)
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BS特集 地球デジタル化最前線
このビデオから何を学ぶべきか?
インターネットは誰がつくったのか?
前回授業コメントから
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個人的質問は電子メールで
コンピュータの「世代」論
個人的質問は
電子メールで
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私個人に関することや、受講者個人に関わる
ような質問や相談がある場合には、電子メー
ルで。教室では答えるのが難しいケースもあ
る。
コンピュータの「世代」論
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コンピュータの「世代」・・・素子による時代区分
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第1世代・・・真空管
第2世代・・・トランジスタ
第3世代・・・IC
第3.5世代・・・LSI
第4世代・・・・超LSI
IBMが、ICを利用する汎用コンピュータIBM360発表
に当たって、「第3世代」というキャッチフレーズを作
り出す。
パソコンの歴史の出発点はどこか?
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IBM360は、大型計算機の流れの中では重要だった
が、年表はパソコンに至る流れを追ったもの。その
ため、Intel4004のほうが重要。
Intel4004
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日本メーカーの「電卓戦争」。
1969年、ビジコン社がインテル社に電卓のCPUを発注。
カスタムチップから汎用ロジックデバイスへの転換。
Intel4004の構想者・・・テッド・ホフ
Intel4004の設計者・・・嶋正利
インターネットの歴史(2)
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「BS特集 地球デジタル化最前線」から何を
学ぶか?
インターネットは誰がつくったのか?
BS特集 地球デジタル化最前線
受講者の反応
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受講者の反応は2つに分けられる。
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コンピュータやインターネットはこんなにすごいん
だ!
コンピュータやインターネットによって便利になる
のはよいが、その反面いろいろな問題が起きる
のではないか?
BS特集 地球デジタル化最前線
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現在の最先端の事例を集めたもの。非常に
派手な演出で、「コンピュータやインターネット
はこんなにすごい!」ということを印象付ける。
実は、後半には「情報リテラシー」を身に着け
るべきという指摘があるが、それ以外は、コン
ピュータ技術の発展による「光」の部分のみ
に注目している。
では、どのような問題が生じるか?
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運転者が運転しない自動車が事故を起こした
とき、誰が責任を取るのか?現在の法規では、
このような事態は想定していない。
電子カルテのように、重要データを電子化し
て共有していくとき、プライバシーはどう守る
か?セキュリティはどうなるか?
→技術だけでは解決しない問題が少なくない
デジタル地球?
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「デジタル地球」という用語は、この番組独自のもの。この言
葉に引きずられる必要はない。
「サイバースペース」という概念のほうが、著名。
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William Gibson, Neuromancer(1984)
Cyberspace = Cybernetics + Space
コンピュータと電子ネットワークによって作り出される仮想的な世界、
というような意味。
ちなみに、Gibson自身は、サイバースペースということばを作り出し
たとき、まだコンピュータやインターネットを使っていない。
コンピュータネットワークを土台にした仮想世界というイメージは、実
はGibson以前にもある。例:Verner Vinge, “True Names”(1979)
インターネットの歴史から
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インターネットは、軍事研究から生まれた?
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インターネットは、人間と人間を結ぶ「サイ
バースペース」である?
インターネットは軍事研究から
生まれた?
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RAND研究所(米)のポール・バランの「分散型通信」。
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国立物理研究所(NPL)のドナルド・W.デイビスの「パケット
交換」。
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コンピュータと人間の共生。
ARP情報処理技術室のロバート・テイラー+ローレンス・ロ
バーツ
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イギリスの産業振興。
国防総省高等研究計画局(ARPA)のリックライダー
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軍事的必要性から構想されたもの。
ネットワークはコンピュータを「共同体」として利用するのに役立つ。
ジャネット・アバテ『インターネットをつくる』北海道大学図書刊行会 2002年 第1
章および第2章
インターネットは
人間と人間を結ぶサイバースペース
である?
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ARPAnetは、当初コンピュータ資源の共有のための
ネットワークと考えられていた。
1970年代になって、利用者の需要によって、電子
メールが開発される。
その結果、人間と人間を結ぶネットワークへと変容
する。
ジャネット・アバテ『インターネットをつくる』北海道大学図書刊行会 200
2年 第2章および第3章
設計者の思惑を超えて、利用者と技術との
相互作用によって、技術の変化する方向は
決定付けられる。
インターネットの歴史から
何を学ぶか?
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開発者という「英雄」だけがインターネットを作
り上げてきたわけではない。
多くの人々の相互作用によって、インターネッ
トは出来上がってきた。
歴史的に何度も変遷を重ねてインターネット
は現在の姿になった。