情報社会論II 第3回 インターネットの歴史(1) 東邦大学2003年秋学期講義 2003年10月17日 Agenda 前回授業コメントから スライドについて 「電話倫理学」? 情報倫理学とは何なのか?再び インターネットの歴史(1) BS特集 地球デジタル化最前線 前回授業コメントから スライドについて 「電話倫理学」? 再び、情報倫理学とは何か? スライドについて スライドは、下記のURLで公開。無理に授業 時間内に筆写する必要はない。 http://www.venus.dti.ne.jp/~ootani/toho2 003lecture.htm しかし、板書やスライドに頼らずに、講義内容 からメモ・ノートを取る能力は社会に出てから 非常に役立つ。訓練・練習と考えたほうがよ い。 「電話倫理学」? 新技術登場時には、社会を変えてしまうので はないか、道徳・規範に対する影響があるの ではないかという不安が、過去にもあった。 情報技術は、電話や自動車とは違い、社会 制度を支えている概念を動揺させている。そ のため、社会への定着に関して、時間の経過 を待つということができない可能性がある。 情報技術による概念の動揺の例 ソフトウェアの所有権 物の所有と、情報の所有は、まったく概念が異な る。 かなり無理があるのに、ソフトウェアの所有権は 著作権の一部として扱うこととした。 強力な複製技術と通信技術が、ソフトウェアの所 有権にまつわる既存の社会やビジネスの構造を 揺るがしている(ように見える)。 再び、情報倫理学とは何か? 情報倫理学は「単なる」ネチケット教育ではな い。 情報倫理学=ネチケット教育という通念は、 倫理学・哲学のバックボーンがない人たちが 広めているもの。 第1回目の授業での、「倫理学」とは何かとい う説明を思い出そう! 倫理学とは何か? 倫理学は、道徳という現象の解明。 道徳の説明を正当化するために提示される論証 や理論、理由を評価すること が役割。 そのうえで、人間は何をすべきか、どのように 生きるべきなのかなどを問う学問である。 ネチケット教育は倫理学か? ネチケットは、ガイドラインにすぎない。 ネチケットも利用規定も、情報処理概論やイン ターネット利用講習で学ぶべきもの。 ネチケットにおいて、道徳的に正・不正とされ ることについて、その根拠を問うことこそむし ろ情報倫理学の目指すところ。 情報倫理学は法学ではない 情報倫理学は法を扱うのか? 法・道徳などのあらゆる規範が倫理学の対象となりうる。 政治哲学・法哲学とも密接に関係する。 法を作成したり、法を改めるという場面では、倫理 学・哲学的な思考が必要とされるケースもある。 法を支えているわれわれの根拠・論証を考察する。 「法哲学」という分野の存在。 情報倫理学の役割は? 最終的には、あるべき情報社会を構想するこ と。 どのような規範を作るか、選択するかは、情報社 会のあり方を決めることである。 情報技術の進歩は著しいので、規範を時代遅れ にする可能性がある。常に情報倫理学的な思考 は必要。 民主主義社会においては、国民一人一人が情報 社会の構想に原理的には参加できるべき。 インターネットの歴史(1) なぜ歴史を学ぶか? われわれが生きている情報社会がどのようにつく られてきたかを学ぶ。 今後の情報社会の構想が、現実に根付いたもの となるためには、情報社会がどのようにつくられ てきて、今どのような姿なのかを知らなければな らない。
© Copyright 2024 ExpyDoc