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5.2.3 メタ規則
メタ規則
語彙的ID規則を語彙的ID規則に写像するためのもの
【例】
ID規則(能動形動詞句)―写像→ ID規則(受動的動詞句)
受身化メタ規則:
VP → W, NP ⇒ VP[PAS] → W, (PP[by])
ID規則VP → W, NPがあるときには、
VP[PAS] → W, (PP[by])のID規則もある
VPに与えられる。
“by”をヘッドとする前置詞句を表す。
受動態の素性を持つことを示す。
“(…)”は省略可能を示す。
5.2.3 メタ規則
受身化
VP → H[2], NP ―メタ規則適用→ VP[PAS] → H[2], (PP[by])
He broke the window.
The window was broken (by him).
その他
・疑問文に関する主語助動詞入替えメタ規則
5.2.4 素性例示規則
(1)写像φ
ID規則中の範疇の素性は構文木のノードの素性にそのまま写像される
拡張
X → Y, Z
拡張されている
X
素性
素性
素性
Y
Z
素性
ノードには他の素性を付け加えられる
5.2.4 素性例示規約
(1)写像φ
X → Y, VP <VFROM, FINorINF>
写像φ
X
Y
...
⇒
VP
Y
FCR:素性間の共起に
関する制約
FSD:素性に対して特定の
素性を仮定しておくこと
拡張
X
VP <VFROM, FIN>
拡張された素性
拡張された素性値
FCRを満たさなければ FSDに従わなければ
ならない
ならない
構文木の中での範疇に関する写像φの制約
5.2.4 素性例示規約
(2)ユニフィケーション
構文木において、範疇の拡張はユニフィケーションにより行われる。
範疇に関する拡張の定義
二つの範疇AおよびBに対して、次の条件が満たされるとき、
範疇Aは範疇Bの拡張であるとする。
範疇A
範疇B
<素性標識A,素性値(アトム)>
<素性標識B,素性値(範疇)>
<素性標識C,素性値(アトム)>
<素性標識A,素性値(アトム)>
<素性標識B,素性値(範疇)>
<素性標識C,素性値(アトム)>
等しい
素性値の拡張
二つの範疇が等しいことの定義
二つの範疇AおよびBに対して、範疇Aは範疇Bの拡張であり、
かつ範疇Bは範疇Aの拡張であるとき二つの範疇AとBは等しい。
5.2.4 素性例示規約
(2)ユニフィケーション
・拡張の定義 ⇒ 素性集合間の半順序関係を定義
・ユニフィケーション → 半順序関係が作る束における最小上限で定義
ユニフィケーション
(1) 範疇Cがある範疇の集合に含まれるすべての範疇の拡張であるとき、
上限範疇と呼ぶ。拡張が半順序関係であるので、上限範疇は複数個ありうる。
(2) 範疇集合Sの上限範疇の中で、他のすべての上限範疇が1つの上限範疇C
の拡張であるときその上限範疇Cを範疇集合Sのユニフィケーションと呼ぶ。
5.2.4 素性例示規約
(3)素性例示規約の種類
X
Y
...
X
⇒
Z
Y
伝播
Z
伝播
...
写像φは構文木に関する制約を持つ
***素性例示規約***
構文木中の素性の分布: •Head Feature Convention
•Foot Feature Principle
•Control Agreement Principle
構文木中の範疇の順序: Liner Precedence Statements
5.2.4 素性例示規約
(4) Head Feature Convention (HFC)
Head Feature Convention (HFC)
構文木において親ノードのHEAD素性はそのヘッド娘のHEAD素性に等しい
HFC: φ(C0) | HEAD = φ(Ch) | HEAD
C0,Ch:ID規則中の親範疇とヘッド娘範疇
φ(C0),φ(Ch):構文木中の親ノードとヘッド娘ノード
XXX | YYY:”関数XXXのドメインをYYYに制限する“
を表す
ノードφ(C0)を規定する素性の中で、HEAD
素性のみを取り出したものを表す
5.2.4 素性例示規約
(5) Foot Feature Principle (FFP)
Foot Feature Principle (FFP)
構文木のいかなる娘ノードからでもFOOT素性を伝播させることを規定
(FOOT素性の伝播はHFCによって規定されない)
FFP: φ(C0) | FOOT - C0 = U1<i<n φ(Ci) | FOOT - Ci
ノードφ(Ci)を規定する素性の中で、範疇Ciを規定する
素性でないFOOT素性のみを取り出したもの
ノードCiに規定されていない
FOOT素性
FFPは親ノードに対して例示されたFOOT素性はそのすべての娘ノードに
対して例示されたFOOT素性を集めたものに等しくなければならない。
5.2.4 素性例示規約
(5) Foot Feature Principle (FFP)
VP
HFC
文:He sees a table.
VP → H[2], NP
ヘッド娘
V
NP
sees a table
名詞句:the table that he sees
^
“VP → H[2], NP”のNPが欠落したもの
VP/NP
FFP
V
sees
NP/NP
φ
消失要素
FOOT素性としての
SLASH素性“/NP”
*SLASH素性:p163
消失構成素を持つ構成素の範疇は“/”で表す。
“NP/NP”は名詞句の中で名詞句が消失した構成を表す
5.2.4 素性例示規約
(6) Control Agreement Principle (CAP)
Control Agreement Principle (CAP)
一致素性に関する規約。AGR素性として表される。
動詞を規定する
{人称、数、性}のAGR素性
一致
主語(名詞句)を規定する
{人称、数、性}のAGR素性
*AGR素性:p163
5.2.4 素性例示規約
(7) Liner Precedence Statements (LPS)
Liner Precedence Statements (LPS)
構文木中の娘ノードの順序を記述する。
5.2.5 解析
ID規則を使って部分解析木を順じ作り上げていくことにより行う
メタ規則で拡張されたものも使う
ノードはLP,FCR,FSD,HFC,FFP,CAPを
同時に満たさなければならない
*LP,FCR,FSD:p.164
HFC,FFP,CAP:p.170-172
5.2.5 解析
(1) メタ規則によるID規則の展開
CAP(一致素性),HFC(親、娘の素性は等しい)の制約を満たす
パーサは展開されたID規則を使って解析する。
(2) 語彙冗長規則による範疇拡張
語彙冗長規則:FCR,FSDを使って、素性の規定が不完全な範疇に対して、
完全に規定された範疇を生成する。
(3) 語彙同定規則による語彙項目の同定
語彙同定規則:範疇を語彙項目に対応付ける写像。文中の語の範疇を求める。
(4) 解析
完全に規定された範疇に対してそれを右辺とするようなID規則を見つける。
【条件】ID規則の娘範疇に対してLP規則の条件を満たす
部分解析木中の親範疇、娘範疇間でCAP,HFC,FFPを満たす
5.2.5 解析
GPSGにおける文解析 → ボトムアップ
•メタ規則によるID規則の展開
•部分解析木、階層構造中での素性例示規約の同時適用
処理量が爆発
実験的な解析プログラムを作る目的においての規則適用順序
META < CAP < FFP < FSDlex < HFC < FSDnonlex < LP
*FSDlex:語彙的、 FSDnonlex:非語彙的