株式会社ココロラボ代表取締役 2012.6 Special Feature 野田浩平 URL http://www.kocorolab.com 元気な会社に「研修堂」登録コンサルタント http://www.kenshudo.net 共通すること E-mail [email protected] ビジネスコーチングで風評にも負けない強い意志を持った元気な組織を作る !! 震災で被害にあった岩手県内で、黒毛和牛の飲食・卸売業を営む会社がある。震災による客足の落ち込み、原発風評被害、ユッケ食中毒問題など、逆風の中で社長と社員たちに悩みが生じた…。我々の目標とは一体何なのか？個人軸、会社軸、それぞれがビジネスコーチングを通じて本音を出し合った。本稿は、そんな危機的な状況から全社員が一丸となって、元気を取り戻し甦った会社の成功事例レポートです。自社グループの牧場で生産するブ売部門の売上げが半減し、飲食部岩手県内に本社を構えるＡ社は、逆風にさらされました。実に、卸考察します。いかに会社が元気でありうるかを牛の飲食卸売業者の事例を通じて、セシウムビーフ問題など、市場は食の冷え込み、ユッケ食中毒問題、震災後、被災地店舗エリアの外舞われた岩手県のブランド黒毛和 ● 揺れる社員の感情打撃を受け、すさまじい逆風に見本稿では、昨年の震災で大変な社長へのコーチングを回復することも可能です。元気な場合もあり、その後に業績業績が一時的に厳しくても社員が気がないケースもあります。逆に、しかし、業績が良くても社員に元気になる可能性は高くなります。会社の業績が良ければ社員が元ねていました。課題と取り組みについて議論を重わせて人材が代謝する、人事上のから交流があり、組織の拡大にあいます。同社の社長と筆者は以前いう製法に特化して販売を行ってそのものと言えます。と捉えれば、まさしく社員の感情キーワードを社員の心のありようっています。その﹁元気﹂というの肉で、数年前から﹁熟成肉﹂とて赤みの強いＡ３からＡ４ランクてはやされる業界において、敢えＡ５ランクの霜降り肉などがも社に共通すること﹂がテーマとな企業です。さて、本号の特集は﹁元気な会三代にわたり続く地元に根付いたに提供しています。ンタルヘルスなど︶を、法人向けベーション、ＥＱ＝感情知能、メコンサルティングサービス︵モチ筆者は、社員の感情に関係する立から 13 年目ですが、牧場自体は売りが主なビジネスです。会社設級ホテルやレストランなどへの卸および東京都内︶、通販、全国の高現在、店舗数が５店舗︵岩手県プロローグ卸売業を展開しています。ランド黒毛和牛による、飲食業と特集企画 24 2012.6 Special Feature 元気な会社に共通すること業のことです。けて、ガイドやサポートを行う作受ける側、社員︶の目標達成に向職がクライアント︵コーチングを描写しなければなりません。そしり、問題があればそれを客観的にや人生の中で起こる現象を振り返その達成に向けて日々の業務遂行画を実現するための課題が見えて始めて、社長の本当の夢や事業計そして ⋮ 、社長のコーチングを ● 社長の想いをどう伝えるか部のコーチ、あるいは社内の管理目標発見、確認、設定の後は、チングは、目標達成に向けて、外が大切です。になってきました。ビジネスコー ● ビジネスコーチングビジネスの世界でも普及するようポーツの世界で有名ですが、近年、ご存じの通りコーチングは、スら動た揺めがて発 ”生振しりま返する。 “ そとのいたうめ作、業あり、同社の社員に起こったような後は、特に価値観の揺らぎが起こ災のような大きな出来事があった気づきを高める手法が発達してい問によりコーチングを受ける人のていることです。具体的には、質ります。性や目標達成の能率がより高くなます。このテクニックにより生産クトを開始しました。改善し一体化を図ろうとプロジェ重要な作業の一つです。今回の震ぴったり合ったゴールの発見は、まヶ内回マを時東いコす月でかに取間京る同ー︶。か細らもりのにの社チらか４よまセ出ではン１く回りしッ張、、グ年セ、またシす社岩でのッ１す︵ョる長手はサシ回がコン際が県自イョあ、ーをに月が身クンた通チ持、に拠のルをり常ンつま１点価で持１はグスと週と値実ち時月のタめ間な観施、間にテイて程っにし３以２ール数度て、きた各種のテクニックを取り入れイメージトレーニングで発達して床心理学やスポーツコーチングのを通じて、組織のマネジメントをデータに基づくだけではなく、臨です。そこで社長へのコーチング標発見や問題発見が論理的思考とした。まさに、待ったなしの状況Ａや目標管理制度との違いは、目社員の感情に動揺が充満していまビジネスコーチングと、ＰＤＣち上げたいので辞めたい﹂など、で会社を辞めたい﹂﹁自身で店を立なり﹁地元の復興に関わりたいの向性の違いが、震災でより顕著にう現象として現れていた社員の方さらに、震災前、組織拡大に伴退を決断したところでした。対処のため、都内にある店舗の撤 60 ％となりました。そして、その門も含めた総売上げが前年同月比再確認と統一でした。あり、その目標は社員の方向性のするエグゼクティブコーチングで今回のコーチングは、社長に対するというサイクルを続けます。画して宿題とし、次回までに実行て、それに対するアクションを計﹁私の想いは強いのだけれども、マネジメントでした。きました。それは、やはり社員の入されることが多い︶。成果主義人事評価制度と一緒に導最近、悪評が高くなってしまったます︵目標管理制度のサイクルは、制度のサイクルと同じ発想と言えマネジメントサイクルや目標管理その意味では、ＰＤＣＡなどのれません﹂とのことです︵図１︶。結果に結び付いたサービスは見ら産性は低下し、社員のアイデアでうことを聞くようにしたものの生で今度は、口を挟まずに社員のい萎縮していると感じました。そこその強さの余り、どうやら社員が図1 社員と社長の問題状況萎縮社員Bの想いプレッシャー社員Cの想い社長の想い夢、目標、ゴール社員A の想いそもそも目標や夢を意識しない（小さい） 25 2012.6 会社のゴール、事業計画社員Dの想い接点が小さいコミュニケーション不足社員が避けている方向性の違い人生の方向性を振り返り﹁どのよしました。そこで、社員個々人の本社エリア社員の１日研修を実施さて、ここで挙がった課題としも全く同じ原則が当てはまります。たり、目標管理の面談を行う際にジャや上司が、部下に指示を出しリング調査を行いました。結果、ーチングセッションを通じたヒア次に、ほぼ全社員への１回のコ静に考える余裕が生まれたのです。向性の悩みが解決され、仕事を冷まってしまった ⋮ 。それぞれの方﹁会社からの期待とは違う方向性で会社から与えられたミッションモチベーション研修と銘打ち、 ● 社員の気持ちを可視化する社員主体の研修を実施想なのです。に何でも使うのが、コーチング思極的な研修会となりました。やる気のなさや反発は見られず積かであり、これは、社内でマネーを持って主体的に参加してもらうプの基本は、いかに社員にやる気このような研修やワークショッ実施することにしました。ーチとしてビジネスコーチングをンプルで数名の社員の方に外部コントが機能しないため、筆者がサュニケーション手法ではマネジメこれまでの社長と社員間のコミに話せていなかった ⋮ 。思考が止実施しました。これにより、会社テム︶でコーチングセッションをーネットを使ったテレビ電話シス１回のペースでスカイプ︵インタ数名の重要な社員に対しては、月使えるリソースは制約を加えず夢を元に、会社人生を描いたので、次に取るアクションも明快です。１回のセッションに引き続き、しました。み直接社員に関与する手法を選択ランとして、筆者が社内に入り込ましたが、より変化を促進するプ行・修正していく手法も考えられない本音を引き出します。個人のりすることにより、押し付けではメージしたり、話したり、書いたし、ペアワークや個人ワークでイすべての作業を社員主体で実行ここまで課題が明確になると、間を金で買うことになります︶。 ● 外部コーチの活用を得ることも有効な手段です︵時社員へのコーチング大丈夫な素地を作るまでサポート化し、上司がマネジメントしても発的マネジメントサイクルが定着し、社長自らが現場で改善策を実得た社員マネジメントの課題に対 ● 社長の想いと社員の感情えていませんでした。社員の視点からはそのようには見うのも一つの方法です。社員の自場合は、外部コーチを一定期間雇同社のケースとしては、社長のこのサイクルが基本となります。て再度結果を確認する ③ 次回のセッションまでに実行し務場面での新たな計画を立て ② そこから得た気づきを元に、実場面の振り返りを行い ① コーチングセッションでの実務コーチングとは、紙に可視化してもらったのです。理想の社内の人間関係と対比させ、実現するための人間関係の課題を、らいました。さらに、その目標をたいのか﹂をあらためて考えてもの程度あるか﹂﹁会社で何を実現しから﹁会社の方向性との接点がどモチベーションを十分に拡大して確認してもらいました。その上で、うな人生が最も望ましいのか﹂をによるマネジメントスタイル﹂も、という傾聴﹂﹁コーチングスタイルると思っていた﹁社員の声を聞くりました。また、社長が出来てい況とは逆であることが明らかにな識が浮き彫りにされ、理想的な状方を見させられている﹂という認接見ていない﹂﹁社内的には社長のン会社としてみている﹂﹁顧客を直ては、﹁社員は自社を社長のワンマけ出せるのが理想です。にも貢献してもらえる接点を見つ社員の方向性を生かしつつ、会社ントを行う社長が直接聞き出し、本来であれば、これをマネジメ声が聞こえてきました。けの付き合いをしている﹂というに相談できない﹂﹁社長と表面上だ人生を計画している﹂﹁それを会社しかし、すぐに成果を出したい特集企画 26 社員A 2012.6 Special Feature 社員B 元気な会社に共通すること 27 方向性の一致社長大きな目標の重なり社員C 社員D 目標のサイズは充分・通販サイトの拡充・キャンペーンによる強化・通販商品の強化・パイロットイベントの実施・新ランチメニューの開発・女子会向け新メニューうになりました。例を挙げると、めの日々の活動の振り返りが、会一致した目標、それを実現するた行しています。本当の人生の夢に持ち生き生きと前向きに業務を遂グで同社は今、全社員がやる気をどを取り入れたビジネスコーチン心理学やイメージトレーニングななるような状況下でしたが、臨床はやる気を失い会社がバラバラに挫、売上も前年比４割減、通常で拡大を狙っていた事業計画も頓はもちろんそれが望ましいです。ましたが、社内で実践できる場合ーチを雇い成果を挙げることにし今回の事例の場合は、外部のコいでください。人は萎縮してしまうことを忘れなしても組織の方が大きくなり、個す。個人と組織の力関係は、どうれました。そして、最も効率的な業務について、見直し検討が行わ与する業務と人に任せた方がいいそのために、社長が積極的に関社の利益の原点なのです。くようなものではなく、それが同いものです。数年で簡単に身につ識や経験は、他には代えの効かな社員から様々な提案が上がるよ ● 元気とやる気が復活めたのです。向かって歩み始め、成果を挙げ始の後、会社も社員も同じ方向性にに見えて現れてきました。数ヶ月イクルを身に付け、その効果は目社員が、目標設定から実行へのサや責任の意味を振り返らなかったたにもかかわらずです。ケの問題、放射能問題が続いてい後で、相変わらず飲食不振やユッ時期は、都内にある店舗の撤退直たな施策が実施されました。この活気が戻った社内では次々と新ケーション能力が求められるのでとのできる、質問設定とコミュニに振り返りと目標設定をさせるこ必要があります。つまり、自発的職は本当に社員を尊重し話を聞く遂行するためには、経営者や管理員が主体となって積極的に業務を分があるものの、牛肉に関する知いては、他の人間に任せられる部しました。社員マネジメントにつ２候補に可能な限り任せることについては、昨年入社した新たな No ちなみに、社員マネジメントに図2 変化した社員の目標とモチベーションい識りを境こ ● こましが希にと業経こすて自求あも績営で。、身すっあは幹ポそとるてり環部イれ会組もま境にンに社織元す要求ト基のは気が因めとづゴ、に、にらないー社前どよれるてル員向のりるの行を一きよ変能が動常人にう動力、しにひ改なす社て認と善環る社を甦らせたのです︵図２︶。社員の満足と幸福につながると再くことがすなわち、顧客、およびでいます。そこに大きな時間を割性のある商品の開発へと突き進んまで以上の磨きを掛け、より独自るべく、知識、経験、技術にいま述の﹁熟成肉﹂をさらに昇華させの後をお伝えします。社長は、前わたるビジネスコーチングの、そ今回ご紹介したＡ社の半年強にる時間を持ちましょう。認し、また、会社の目標を再考すち戻り、自分の人生の価値観を確のとき経営者は、自身の原点に立気と活気は失われていきます。そ間は不満や不安を持ち、組織の元たり、満足のいく状況でないと人た課題でした。状況に変化が起き災前の組織拡大期に既に現れてい同社の目標の不一致問題は、震 2012.6 エピローグ有し仕事にあたっています。長含めた全社員が目標と目的を共人的資源配分を見出し、現在、社認識したのです。