スライド 1

Lotka-Volterraの競争モデル
dN1
N1  12 N 2
 r1N1 (1 
)
dt
K1
dN2
N 2   21 N1
 r2 N 2 (1 
)
dt
K2
ri, i種の内的自然増加率,
Ki,i種の環境収容力,
a ij,競争係数(種jが1個体増加したとき種iの増加率を
種iの個体数に換算して何個体分下がるかを示す)
(6.2)
N1  K1  12 N 2
右辺>左辺のときdN1/dt<0
N2  K2   21 N1
右辺>左辺のときdN2/dt<0
K1<K2/α21,K1/α12>K2のとき:安定共存
K1<K2/α21,K1/α12>K2は
変形すると1/K1>α21/K2,1/K2>α12/K1。
このことから,種間競争より種内競争が強い
とき,安定共存になることがわかる。
ヒラタコクヌストモドキ
これら2種の幼虫,成虫は,共通
の餌である小麦粉以外に同種及
び他種の卵,蛹を食べる。
しかし,他種の卵,蛹を好む傾向
が強いため,安定共存はできな
いと考えられている 。
V.競争排他(排除)の原理(Competitive exclusion principle)
実現ニッチが重なる2種は共存できない.
この原理は,ほとんど証明することができないと考えら
れる。それにもかかわらず,観察(形質置換),実験結
果をうまく説明できることから,また,L-Vの競争モデル
の解析がこれを支持しているために,この原理はほとん
どの研究者によって支持されている。
ただし,なりたつためには,
1)資源量が限られていること,
2)環境が変化しないことが必要である。言い換えると,
環境が常に変化して,平衡密度に達してない場合は,こ
の原理は成立しない。また,競争種2種に有利な環境が異
なり,それが交互に生じる場合も成立しない。
競争排他(排除)の原理(Competitive exclusion principle)
ハワイ諸島に導入された寄生蜂
ミカンコミバエ
ギルド構造
(Guild
structure)
共通の資源を良く似た方
法で利用している種のグ
ループをギルドと呼ぶ。
単に,同じ資源を利用し
ているグループを指すこ
ともある。
群集に含まれるギルドの数と各ギルドに含まれる種数を調
べることによって,群集に含まれる総種数を予測すること
ができるかもしれない。
しかし,ギルド構造は,異なった地域で似ている場合もあ
るが異なることもある。
これは,ギルドの形成が,過去に起こった偶然性に強く左
右されるためであると考えられる。そのため、同じような
環境でも、群集に含まれる総種数は地域によって大きく異
なっていることが多い
ワラビが育っている面積
○アマゾンの熱帯雨林(207種)と北米温帯林(40種)の鳥群集
(Terborgh 1980)
アマゾンには地上に落ちた漿果(しょうか;トマト,ブドウ,
スグリなど)を食べるギルド,樹上で殻の硬い堅果(けんか;栗
,樫など)を食べるギルドなど,温帯には無いギルドがある他,
同一ギルドに含まれる種数も多い。また,同じ熱帯林でも,東南
アジアとアマゾンとでは,完全にギルド構造が一致しているので
なく,一方にあり他方にないギルドもある。
Hutchinson(1959)は,同一ギルドに属する種は,大きさの
順に並べたとき,それぞれの種はすぐ下位の種と体重で2倍,
長さで1.3(2の3乗根)の差があることを提唱した。
これは経験法則であり,以下に述べる競争理論がこの値を予
測しているのではない。当てはまることもあるが当てはまら
ないことも多く,この法則を今も信じる人は少ない。
ただし,同一ギルドの2種が共存するためにはある程度の大
きさの差が必要であることを示すデータは多い。
同一ギルドに属する種のサイズ比
2種共存する区画について
実測値が理論値 より大
種子食の砂漠に棲むネズミ
実測値が理論値 より小
任意に選ん
だ2種の体重
比
両種が一つの区画に共存する割合を両種に相互作用がないと
仮定したときの理論値と実測値を比較
小型 <11g
大型 >100g
砂漠に住む種子食のネズミの分布
VIII. 群集における種間競争の役割(競争理論)
群集構造は,平衡状態にあり,競争を基にした,ニッチの
類似限界,ニッチの分割によって生物は共存しているとい
う考え。
ニッチの類似限界,ニッチの分割の概念は,群集におけ
る存在可能な種の特徴と存在可能な種数を決定するが,
ニッチの類似限界についてはあまり支持されてないため,
そこまで予測はできないと多くの研究者は考える。
競争理論が成り立つためには,種間競争が働くほど高密
度が維持されている必要があるが,そうなのだろうか。野
外においてニッチの分割を用いて群集パターンを説
明できるほど,言い換えると,種間競争が働くほど
高密度が維持されているのだろうか ?
種間競争の強弱は,群集によって異なり,
安定した環境にいる鳥,トカゲ,哺乳類あるいは海の付
着生物では強く,植食昆虫では弱い。
現在種間競争が見られないといっても,過去には競争が強くて,その結果
現在の群集構造を決定づけているかもしれない。その場合,次のことが予
想される。
1)ニッチの分割,
2)ニッチの分割の結果としてそれに関連した形質が異なる(形質置換),
3)ニッチがよく似た種は,地理分布が重ならない。
ただし,ニッチの分割は,種間競争の結果というより,それぞれの種が異
なる環境に適応してできた結果かも知れない。両者の区別は通常難しい。
近縁種のおいては,ニッチの分割は交雑をさけるために発達したのかもし
れない。
ニッチの分割と競争排他の例
(多分,種間競争の結果として)
○ハワイにおける1860-1980に移入した同属2種の鳥
の共存の有無
くちばしの大きさの差が大きいほど共存が可能
犬歯
イタチ
形質置換
ガラパゴ
ス諸島の
ダーウィ
ンフィン
チ(種子
食)のく
ちばしの
大き
ラバウル
ニューギニア沖の
ビスマーク諸島の
同じギルドの属す
るハト2種
ニ
ッ
チ
重
複
度
指
数
の
平
均
資源タイプの数は全部を対象にし,選好率
(p)は0から1の間のランダム変数。
P1
P2
P3
RA1で資源タイプの数を実際選んだ資源タイプに
変更し,選好率は0から1の間のランダム変数
各種が示すpの値は変えないが,ど
の資源タイプがそのp値を持つかを,
全資源タイプを対象にランダムに
決める。
RA3で,全資源タイプを対象にす
るのでなく,実際選んだ資源タイ
プのなかからランダムに選ぶよう
に変更