ワイヤーチェンバー製作(実習) 2006.12.6 田中秀治(KEK) 1 目的 • MWPCの製作を通して放射線検出器の基本原理を学ぶ – 放射線検出器を製作する実習を行っている大学は非常に少ない – エレキや信号処理など包括的に学習することができる • ワイヤーのハンダ付けから信号の読み出し部分まで2日程度で一通り のことを学ぶことが可能 – 過去の実績 • 一般公開(おもしろ物理) :対象 小学生 50人(1日) – 宇宙線のヒットパターンデータを携帯電話で見るところまでやっ た • 総研大実習(1.5日)講義(尾高氏)+実習 • 神戸大、岡山大、東邦大など引き合い多数 2 主な仕様 総研大の実習で用いたキット 3 主な仕様 • • • • • ガス:P10(その他でも可) 印加電圧 3kV ワイヤー径 30μm ワイヤー・グランド間隔 7mm ワイヤー間隔 2mm 4 +3 kV アナログ信号 トリガー信号 270 pF 6 kV 1M ASD デジタル 信号 DELAY FF LED センスワイヤー アンプ・シェーパー・ デスクリ回路 遅延・ラッチ回路 5 宇宙線を見た様子 総研大実習での様子 6 製作作業の流れ • • • • • • • • • • • • • • • 工程1:16本のワイヤーを等間隔に張ってハンダ付けする。 ↓ 工程2:ワイヤーの周囲に保護カバーを付ける。 ↓ 工程3:コンデンサー・抵抗・ケーブル・コネクターをハンダ付けする。 ↓ 工程4:保護カバーをはずして基盤全体を超音波洗浄をする。 ↓ 工程5:ガス箱を取りつけて配管し、ガスを流す。 ↓ 工程6:高電圧をかけてリーク電流が少ないことを確認する。 ↓ 工程7:電子回路をつなげ、放射線源をあてて、アナログ信号を確認する。 ↓ 工程8:宇宙線観測装置の中央にセットして、宇宙線を観測する。 (これらの作業でゆっくりやって約3時間程度。3~4人に対し1人のスタッフが必要)7 実習に必要な機材 • • • • • • • • • • • • • • MWPCキット(林栄精器から調達可能になっている) NIM bin NIM HVモジュール (富士実験棟に手持ちあり:10台程度) – アナログカレントモニター付きのものは現在入手不可 はんだこて(人数分必要) – 40本程度在庫あり 抵抗、コンデンサー、コネクタなど(回路室に在庫) オシロスコープ 各種ケーブル ガス用配管部材 超音波洗浄器 タングステンワイヤー ASD (ATLAS TGC用のものを過去には使用したが測定器開発室が開発中のも のを将来的には使用) 遅延・ラッチ回路 (ATLAS TGCエレキの試作基盤を使用したため、再度調達が 必要:回路室の池野氏) コインシデンス回路(近藤さんのお仕事? Or 製作) 各種工具(ラジペン、ニッパー、ドライバー、メスなど) 8 このキットで他に何が出来る? • • • • • アンプなしでLimited proportional modeの信号をパルストランスを介してデ ジタルオシロで見ることで各種線源のパ ルス波形の違いを観察することが可能 (又はアンプを通してADC分布を比較) GainのHVカーブ Single count rateの測定 カソード基盤を追加して位置測定 形状を改変してドリフトチェンバーとして 位置測定(TDCが必要) β線の場合、複数のクラスター を観察 9 他の実習とのコラボ • 工作センターの機械工作実習、製図実習(KEK内部で毎年開催) – MWPCの蓋部分を自分で製作(図面も)など • 大学ではこのような実習のカリキュラムは少ないため院生から問 い合わせが結構ある • Latch基盤のFPGAのソフトウェアの開発(VHDL)実習 • DAQも?(エレキDAQグループ) 10 参考文献・ウエブページ KEK一般公開:2002年9月1日ワイヤーチェンバーを作って、宇宙線を捕まえよう! http://atlas.kek.jp/openhouse2002/ 科学新聞2002年8月23日号8ページ マルチワイヤープロポーショナルチェンバー(MWPC)制作の基礎知識 2003 年総研大夏期実習A - 6 尾高茂、田中秀治 http://odakasrv.kek.jp/Temp/jisshuuA6/kougi.pdf ワイヤーチェンバーを作って宇宙線を捕まえる http://odakasrv.kek.jp/Temp/jisshuuA6/index.html KEK一般公開:2004年8月29日シンチレータを磨いて宇宙線を捕まえよう! http://atlas.kek.jp/openhouse2004/ 科学新聞2004年8月20日号7ページ 11
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