パラメトリック電力需給 ネットワーク 西関研究室 9527 森下志保 1 電力需給ネットワーク 全ての点は 供給点又は需要点である 供給量,需要量が定数(一定) 定常ネットワーク 供給量,需要量が変動し, パラメータ𝜆の関数 パラメトリック ネットワーク 𝜆:時間,気温,石油価格,風力量等 2 定常ネットワーク 需要点 2 8 15 3 2 2 3 15 8 3 必要な需要量 供給点 2 1 7 1 供給可能な供給量 供給点 需要点 3 定常ネットワーク 13 許容分割 8 15 15 3 7 15 2 3 2 2 8 3 2 1 7 1 ・各部分グラフは連結である ・各部分グラフは丁度一 つの供給点を持つ ・供給量は需要量の合計 以上である 供給点 需要点 線形時間判定アルゴリズム O(n) [Ito et al. 2005] n : 点数 4 許容分割がない定常ネットワーク 14 7 10 28 8 10 6 15 12 14 12 18 4 2 42 5 許容分割がないとき すべての需要量𝑑𝑣 を一様に𝑟倍(0 ≤ 𝑟 < 1)に減 少させ,新たに需要量を 𝑑′𝑣 = 𝑟・𝑑𝑣 として, 許容分割があるようにする 供給率最大化問題 このような𝑟の最大値𝑟 ∗ を求める (𝑟 ∗ :最大供給率) 1 − 𝑟 ∗ : 最小節電率 6 𝑟 = 0.7 𝑑′𝑣 = 0.7・𝑑𝑣 の新しいネットワーク 14 7 10 28 8 10 6 15 12 14 12 18 4 2 42 7 𝑟 = 0.7 𝑑′𝑣 = 0.7・𝑑𝑣 の新しいネットワーク 9.8 4.9 7.0 28 5.6 9.8 + 7.0 + 4.9 + 5.6 ≤ 28 7.0 最大供給率 𝑟 ∗ = 0.7 許容分割がある 4.2 10.5 8.4 14 8.4 12.6 2.8 1.4 42 7.0 + 4.2 + 2.8 = 14 𝑟 ∗ (10 + 6 + 4) = 14 10.5 + 8.4 + 1.4 + 8.4 + 12.6 ≤ 42 8 結果1 • 点数𝑛の定常木ネットワーク𝑇の最大供給率 𝑟 ∗ を𝑂 𝑛𝐿 時間で求める多項式時間アルゴリ ズムを求めた 𝐿: 𝑇の対数サイズ 9 パラメトリックネットワーク 需要量𝑑𝑣 (𝜆)や供給量𝑠𝑣 (𝜆)が変数𝜆とともに変化 ビルの需要量 0 8 野球場の需要量 17 λ 24 時間 0 区分的線形 8 17 23 24 λ 時間 10 パラメトリックネットワーク 水力発電所の供給量 0 太陽光発電所の供給量 λ 24 0 時間 区分的線形 7 10 λ 17 19 24 時間 11 パラメトリック木ネットワークの 許容分割問題 𝑠1 (𝜆) 許容分割があるような𝜆 の値 全てを求める 𝑑2 (𝜆) 𝑠3 (𝜆) 6 𝑑4 (𝜆) 8 𝑑5 (𝜆) 5 2 𝑑6 (𝜆) 𝑓𝑇 (𝜆) λ 12 パラメトリック木ネットワークの 許容分割問題 𝑠1 (𝜆) 許容分割があるような𝜆 の値 全てを求める 𝑑2 (𝜆) 6 𝑠3 (𝜆) 𝑑4 (𝜆) 8 𝑑5 (𝜆) 5 2 𝑑6 (𝜆) 𝑓𝑇 (𝜆) λ 区間 区間 区間 13 結果2 • パラメトリック木ネットワークの許容分割問題 を𝑂 𝑛𝑊 2 時間で解く擬多項式時間アルゴリ ズムを与えた 𝑊:供給量と需要量を表す区分的線形関数の全ての 整数係数の絶対値の合計 14 予備スライド 質問用 𝜆の値による分割の変化 1 2 余裕量 𝑓𝑇 (𝜆) 𝑑1 𝑑2 8 8 𝑩=𝟑 𝑷=𝟓 区間 区間 𝜆の値による分割の変化 2 2 余裕量 𝑓𝑇 (𝜆) 𝑑1 𝑑2 8 8 𝑩=𝟑 𝑷=𝟓 区間 区間 分割が変わるタイミング 2 余裕量 𝑓𝑇 (𝜆) 𝑑1 𝑑2 𝑑1 𝑑2 8 8 8 8 例えばここ 𝑷=𝟓 区間 2 区間 ・グラフが折れ曲がるところ ・直線で変わることもある 対数サイズ𝐿について • 点数𝑛の定常木ネットワーク𝑇の最大供給率 𝑟 ∗ を𝑂 𝑛𝐿 時間で求める多項式時間アルゴリ ズムを求めた 𝐿: 𝑇の対数サイズ 𝐿= log 𝑠𝑣 + log 𝑑𝑣 *logの底は2 *(𝑠や𝑑を二進数にしたときの桁数の合計) 供給率最大化問題の理由 (最小節電率ではない理由) 需要量𝑑𝑣 を 𝑑′𝑣 = 𝑟・𝑑𝑣 として, 許容分割があるようにする (最大供給率の場合) 最大供給率で解くほうがわかりやすい式になるから 需要量𝑑𝑣 を 𝑑′𝑣 = (1 − 𝑟 ∗ )・𝑑𝑣 として, 許容分割があるようにする (最小節電率の場合) 定常ネットワークの許容分割 13 需要点 8 2 供給点 15 3 15 2 18 2 2 3 3 15 供給可能な供給量 8 供給点 需要点 2 1 18 1 5 20 4 2 1 1 5 6 1 2 必要な需要量 部分グラフ は連結成分である パラメトリック電力需給ネットワーク 線形時間アルゴリズム O(n) [Ito et al. 許容分割がある 2005] 18 23 𝑟 = 0.7 𝑑′𝑣 = 0.7・𝑑𝑣 の新しいネットワーク 14 7 10 28 8 9.8 + 7.0 + 4.9 + 5.6 = 27.3 ≤ 28 10 最大供給率 𝑟 ∗ = 0.7 許容分割がある 6 15 12 14 12 18 4 2 42 7.0 + 4.2 + 2.8 = 14 𝑟 ∗ (10 + 6 + 4) = 14 10.5 + 8.4 + 1.4 + 8.4 + 12.6 = 41.3 ≤ 42 パラメトリック電力需給ネットワーク 24 結果1 • 点数𝑛の定常木ネットワーク𝑇の最大供給率 𝑟 ∗ を𝑂 𝑛𝐿 時間で求める多項式時間アルゴリ ズムを求めた 𝐿: 𝑇の対数サイズ 𝐿 = log 𝑠𝑣 + log 𝑑𝑣 • アイディア 𝑆 1≤𝑧 ≤𝑆∙𝐷 𝑧 𝑆 = 𝑠𝑣 , 𝐷 = 𝑑𝑣 𝑟∗ ∈ • 𝑟 ∗ は有理数 • 伊藤らの判定アルゴリズムを利用した二分探索 パラメトリック電力需給ネットワーク 25 パラメトリック木ネットワーク 許容分割問題 𝑠1 (𝜆) 2 𝑠3 (𝜆) 6 すべての𝜆に対して許容分割があるか? 𝑑4 (𝜆) 8 𝑑5 (𝜆) 5 2 𝑑6 (𝜆) 𝑓𝑇 (𝜆) λ 26 パラメトリック木ネットワークの 許容分割問題 𝑠1 (𝜆) 2 6 𝑠3 (𝜆) 許容分割がある𝜆 の値全て? 𝑑4 (𝜆) 8 𝑑5 (𝜆) 5 2 𝑑6 (𝜆) 𝑓𝑇 (𝜆) λ 区間 区間 区間 27 結果2 • パラメトリック木ネットワークの許容分割問題 を𝑂 𝑛𝑊 2 時間で解く擬多項式時間アルゴリ ズムを与えた 𝑊:供給量と需要量を表す区分的線形関数の全ての整 数係数の絶対値の合計 𝑊 = 𝑣 𝐵𝑖=1 𝑎𝑣𝑖 + 𝑏𝑣𝑖 区間𝑖で 𝑠𝑣 𝜆 , 𝑑𝑣 𝜆 = 𝑎𝑣𝑖 𝜆 + 𝑏𝑣𝑖 • アイディア • 葉から根に向かって, 各部分木𝑇 ′ の根から出せる電力量, 即ち余裕量𝑓 𝑇 ′ (𝜆)を動的計画法で計算する パラメトリック電力需給ネットワーク 28 余裕量𝑓 𝑇′ (𝜆) 部分木𝑇 ′ 𝑇 ′ 不足量𝑔 𝑇′ (𝜆) 𝑇′ 𝑓 𝑇′ 𝜆 :部分木𝑇 ′ 内の全ての需要点を充足させたと きに, 𝑇 ′ の根から出せる最大量 𝑔 𝑇′ 𝜆 : 𝑇 ′ 内の全ての需要点を充足させるために, 𝑇 ′ の根から入れ ないといけない最小量 パラメトリック電力需給ネットワーク 29 𝑓 𝑇′ (𝜆) 𝑔 𝑇′ (𝜆) 𝑇 𝑂(𝑃)時間 合計𝑂(𝑛𝑃)時間 ′ 𝑇1 𝑇2 𝑇の𝑓𝑇 𝜆 と𝑔𝑇 𝜆 は, 𝑇 ′ の部分木内𝑇1 と𝑇2 のそれら から計算できる パラメトリック電力需給ネットワーク 30 2 余裕量 𝑓𝑇 (𝜆) 𝑑1 𝑑2 8 8 𝑩=𝟑 𝑷=𝟓 区間 区間 𝑑𝑣 𝜆 や𝑠𝑣 𝜆 の折れ点 𝑏𝑟𝑒𝑎𝑘𝑝𝑜𝑖𝑛𝑡 𝑓𝑇 (𝜆)の折れ点𝒑の個数 𝑷 ≤ 2𝑊 2 𝑏 𝑊 = 𝑣 𝐵𝑖=1 𝑎𝑣𝑖 + 𝑏𝑣𝑖 , 𝑝 = 𝑎 , 𝑎 , 𝑏 ≤ 𝑊 パラメトリック電力需給ネットワーク 区間𝑖で𝑑𝑣 𝜆 = 𝑎𝑣𝑖 𝜆 + 𝑏𝑣𝑖 31 3 8 − 𝑑2 3 − 2 = 3 2 余裕量 𝑓𝑇 (𝜆) 連続折れ点数≤ 𝑊 2 𝑑1 𝑑2 8 8 𝑩=𝟑 𝑷=𝟓 3 区間 区間 𝑑𝑣 𝜆 や𝑠𝑣 𝜆 の折れ点 𝑏𝑟𝑒𝑎𝑘𝑝𝑜𝑖𝑛𝑡 𝑓𝑇 (𝜆)の折れ点𝒑の個数 𝑷 ≤ 2𝑊 2 𝑏 𝑊 = 𝑣 𝐵𝑖=1 𝑎𝑣𝑖 + 𝑏𝑣𝑖 , 𝑝 = 𝑎 , 𝑎 , 𝑏 ≤ 𝑊 パラメトリック電力需給ネットワーク 区間𝑖で𝑑𝑣 𝜆 = 𝑎𝑣𝑖 𝜆 + 𝑏𝑣𝑖 32 3 8 − 𝑑1 3 − 2 = 3 2 余裕量 𝑓𝑇 (𝜆) 連続折れ点数≤ 𝑊 2 𝑑1 𝑑2 8 8 𝑩=𝟑 𝑷=𝟓 3 区間 区間 𝑑𝑣 𝜆 や𝑠𝑣 𝜆 の折れ点 𝑏𝑟𝑒𝑎𝑘𝑝𝑜𝑖𝑛𝑡 𝑓𝑇 (𝜆)の折れ点𝒑の個数 𝑷 ≤ 2𝑊 2 𝑏 𝑊 = 𝑣 𝐵𝑖=1 𝑎𝑣𝑖 + 𝑏𝑣𝑖 , 𝑝 = 𝑎 , 𝑎 , 𝑏 ≤ 𝑊 パラメトリック電力需給ネットワーク 区間𝑖で𝑑𝑣 𝜆 = 𝑎𝑣𝑖 𝜆 + 𝑏𝑣𝑖 33 8 − 𝑑2 8 = 0 余裕量 𝑓𝑇 (𝜆) 2 𝑑1 𝑑2 8 8 非連続折れ点数≤ 𝑊 2 𝑩=𝟑 𝑷=𝟓 8 区間 区間 𝑑𝑣 𝜆 や𝑠𝑣 𝜆 の折れ点 𝑏𝑟𝑒𝑎𝑘𝑝𝑜𝑖𝑛𝑡 𝑓𝑇 (𝜆)の折れ点𝒑の個数 𝑷 ≤ 2𝑊 2 𝑏 𝑊 = 𝑣 𝐵𝑖=1 𝑎𝑣𝑖 + 𝑏𝑣𝑖 , 𝑝 = 𝑎 , 𝑎 , 𝑏 ≤ 𝑊 パラメトリック電力需給ネットワーク 区間𝑖で𝑑𝑣 𝜆 = 𝑎𝑣𝑖 𝜆 + 𝑏𝑣𝑖 34 辺容量があるときも同様 (1) 最大供給率𝑟 ∗ 𝑂(𝑛𝐿)時間 𝑟 ∗ = 0.7 (フロー) パラメトリック電力需給ネットワーク 35 辺容量があるときも同様 (2) パラメトリック木ネットワークの許容分割問題 𝑠1 (𝜆) 𝑐1 (𝜆) 𝑐2 (𝜆) 𝑠3 (𝜆) 𝑓𝑇 (𝜆) 9 2 𝑑4 (𝜆) 𝑑5 (𝜆) 𝑐3 (𝜆) 10 6 8 5 6 𝑂(𝑛𝑊 2 )時間 7 2 2 𝑐4 (𝜆) 𝑑6 (𝜆) λ 区間 区間 区間 パラメトリック電力需給ネットワーク 36 結論 • 定常木ネットワークの最大供給率𝑟 ∗ を求める アルゴリズム 𝑂(𝑛𝐿) 𝐿: 𝑇の対数サイズ • パラメトリック木ネットワークの許容分割問題 を解く擬多項式時間アルゴリズム 𝑂(𝑛𝑊 2 ) 𝑊:整数係数の絶対値の合成 パラメトリック電力需給ネットワーク 37 辺容量のある定常ネットワーク 辺容量 14 7 10 6 20 28 8 10 7 14 4 8 12 25 12 11 18 40 4 7 供給点 15 20 9 3 10 5 2 3 42 需要点 パラメトリック電力需給ネットワーク 38 供給率最大化問題 定常ネットワーク ・供給量と需要量が正の数 多項式時間𝑂 𝑛𝐿 で解く ことができることの証明 パラメトリック電力需給ネットワーク 39 文字の定義 𝑉:点集合 𝐸:辺集合 𝑉𝑠 :全ての供給点の集合 𝑉𝑑 :全ての需要点の集合 𝐺 = 𝑉, 𝐸 𝑉 = 𝑉𝑠 ∪ 𝑉𝑑 , 𝑉𝑠 ∩ 𝑉𝑑 = ∅ 𝑛= 𝑉 𝑛𝑠 = |𝑉𝑠 | ( 点の個数 ) ( 部分グラフの個数 ) パラメトリック電力需給ネットワーク 40 9.8 4.9 7.0 28 5.6 7.0 4.2 10.5 8.4 14 8.4 12.6 2.8 1.4 42 パラメトリック電力需給ネットワーク 41 定常ネットワークと計算時間 供給率最大化問題 ・ NP困難である 分割問題 ・線形時間で解ける (既存の研究より) パラメトリック電力需給ネットワーク 42 削除スライド ネットワーク𝐺の分割と分割問題 部分グラフ𝐶 全ての部分グラフ𝐶が 𝐶の需要量𝑑𝑣 𝜆 の合計<𝑠𝑣 𝜆 ・連結成分が含まれている ・丁度一つの供給点をもつ 2 𝑑𝑣3 8 部分グラフC 𝐺は分割可能である 2 𝑑𝑣4 8 𝑑𝑣3 𝑑𝑣4 𝐺の分割問題 𝜆に対し𝐺は分割をもつ かどうかを問う問題 8 8 パラメトリック電力需給ネットワーク 44 分割問題と供給率最大化問題 電力配送ネットワークに対する電力供給問題に適用 供給量又は需要量 時間,気温等 パラメータ𝜆に依存する パラメトリック電力需給ネットワーク 45 パラメトリック木ネットワーク 𝑠𝑣 𝜆 :点𝑣の供給量 𝑑𝑣 𝜆 :点𝑣の需要量 許容分割がある𝜆 の範囲全て? 解 :区間 𝟎 ≤ 𝝀 ≤ 𝟖 と 𝟏𝟎 ≤ 𝝀 2 𝑑1 ●破点 𝑑2 𝑩=𝟑 𝑠𝑣 𝜆 =8 8 8 パラメトリック電力需給ネットワーク 46 今後の課題 パラメトリックネットワーク木に辺容量がある場合, もしくはない場合にFPTASがあるか 2 供給可能な 供給量 7 𝑑𝑣3 4 必要な需要量 𝑑𝑣4 8 6 8 8 辺容量 パラメトリック電力需給ネットワーク 47 今後の課題 • 分割問題の最大化版である最大分 割問題をパラメトリック木ネットワー クに対し近似的に解くFPTAS? パラメトリック電力需給ネットワーク 48
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