第10章 焼結体の構造 - 小山工業高等専門学校

第10章
焼結体の構造
焼結体の構成:粒子、粒界、気孔
焼結体の物性を左右する微細構造パラメーター:
◆
粒子、粒界、気孔の量、大きさ、それらの組織中で
の幾何学的分布
◆
不純物(原料、添加剤から)は粒界や表面に偏析す
る場合が多い。
焼結体の構造模式図
10.1 粒界
単結晶、ガラス体に粒界が存在しない。
粒界:結晶方位の異なる二つ以上の粒子の
間にあって、粒内の原子配列の規則性や電
子のポテンシャルなどに不連続を生じる領
域である。
粒界の厚み:温度、時間、雰囲気、原子の
移動度に依存する。
粒界の一般的な性質:
(1).原子、イオンの粒界拡散は粒内より一般的に速い。
(2).粒界の融点は粒子より一般に低い。
(3).不純物が偏析または局在しやすい。
(4).電磁気的、機械的、光学的性質が粒子と異なる。
(5).電子の捕獲中心が多く存在し、ポテンシャル
バリアーが形成されやすい。
1.ZnO- Bi2O3系バリスター
電流—電圧の非線形性を示す
低抵抗n型半導体であるZnOが粒子で、粒界層がBi2O3とい
う微細構造をもった焼結体である。
2.BaTiO3焼結体(チタン酸バリウム)抵抗発熱体
キュリー温度を境に、低温側で低抵抗、高温側で高抵抗に
なる。
PTC(positive temperature coefficient)効果
必要条件:粒子:強誘電性の半導体;粒界:絶縁体
3.窒化ケイ素Si3N4
ガスタービンなどの高温機械材料(耐摩耗性、耐熱衝撃性
、耐酸化性)
バリスター
10.2気孔
開気孔:表面まで通じたもの
閉気孔:孤立したもの
燒結過程に伴って 開孔→閉孔
気孔率(porosity)(体積分率)
全気孔率:開気孔率+閉気孔率
気孔の存在:マイナス要因になる場合が多い
*電気的には気孔部分が高抵抗になる
*機械的強度低下をもたらす
*光学的な散乱中心として働く
*熱伝導を阻害する
10.3結晶粒
*大きさと分布は重要である。粒子の成長を抑えると、微
細な結晶粒子の集合になる。(異常粒成長もある。)
*結晶軸の向き具合で、誘電体や磁性体などの性質が異な
る。
配向度:
大きい:ある方向に結晶軸がそろった場合
小さい:結晶軸が無秩序に分布している。
第11章
多孔体材料
多孔体材料:細孔(空隙)の性質を最大限に生かす目的で
作られた材料
11.1多孔体の機能
第1種:細孔量、細孔表面積が大きいことが必要条件
第2種:細孔の分布と形状が本質的に問題となる
11.2触媒担体
触媒を担持させ、触媒の活性や選択性、耐熱性などの機
能向上
表面積大きなセラミックス多孔体:SiO2、Al2O3ゼオライ
ト、活性炭など
細孔分布は広く、不均一である。
ゼオライト:狭い細孔分布をもつ:結晶構造に大きな空洞
が存在するためである。
ゼオライト
11.3多孔質ガラス
ホウケイ酸アルカリガラスは熱処理によってアルカリホウ
酸組成、SiO2組成
それに酸を加えると⇒SiO2の骨格を残す⇒多孔質ガラス
10〜数千Åに変化させることができる。
応用:フィルター:分子を分ける(H2-H2S)
多孔質ガラス
11.4軽量体
建築材料:気泡コンクリート、軽量骨材、泡ガラス建材、
各種バルーン、フライアッシュなど
軽量以外:断熱性、耐熱性、吸音性
気泡の大きさ:Å〜mmまで
形状も様々である。
ALCコンクリート板(Autoclaved Lightweight Concrete)
11.5多孔質金属材料
電極材料、フィルター、耐磨耗など
粒界ガラス相
セラミックフォーム
炭素バルーン