県産きのこの放射性物質の挙動と対策 [PDFファイル/59KB] - 福島県

放射線関連支援技術情報
県産きのこの放射性物質の挙動と対策
福島県林業研究センター 林産資源部
事業名
放射性物質除去・低減技術開発事業
小事業名
震災原発事故関連課題
研究課題名
担当者
Ⅰ
県産きのこの放射性物質の挙動と対策に関する研究
武井利之
新技術の解説
1
要旨
きのこ栽培等について以下の点について検討した。
(1) ナメコ菌床栽培において、培地に13種の物質を加えて栽培し、培地から子実体へ移行する放射性Csを抑制でき
るか検討した。その結果、コントロール(移行係数約0.4)に比較して、ゼオライトに極めて強い移行抑制効果が認め
られた(移行係数0.02以下)。このゼオライトは放射性Cs移行抑制剤として有効であると考えられ、これを培地に混
合して栽培することにより、限りなく放射性Cs濃度の低いナメコが栽培できると期待される。また、水分散プルシア
ンブルー(移行係数0.01以下)及び水分散亜鉛プルシアンブルー類似体(移行係数0.03以下)も同様に放射性Csの
移行を強く抑制した。
(2) 野外ほだ場で林内雨と落葉を月ごとに採取し、またほだ木と接する土壌を採取してそれらの放射性Cs濃度を測
定した。その結果、林内雨には100~1,800Bq/㎡、落葉には70~500Bq/㎡の放射性Csが含まれており、ほだ木を
汚染する要因であると考えられた。また、土壌にも高い濃度で放射性Csが含まれており、ほだ木の主要な汚染原
因の一つと推定された。
これら林内雨、落葉及び土壌に含まれる放射性Csの影響を軽減することで、ほだ木の汚染を回避できるか否か
確認する目的で、ゼオライトシート等でほだ木を被覆する試験を開始した。
2
期待される効果
(1) ナメコ菌床栽培において、ゼオライトを添加することにより、放射性Cs濃度が限りなく低いきのこ栽培が可能とな
る。水分散プルシアンブルーと水分散亜鉛プルシアンブルー類似体は適用法令に従った使用方法を検討する必要
がある。
(2) 野外ほだ場での原木栽培では、林内雨、落葉及び土壌との接触を防ぐことにより、ほだ木の放射性Cs汚染を軽
減できる可能性が考えられる。これは、ほだ木被覆試験の結果により判断する。
3
活用上の留意点
(1) ナメコ菌床栽培における培地作成時に、オガ粉や栄養剤等の培地原料と、添加剤であるゼオライトを十分に混
合し、均一に分散させる必要がある。
(2) 野外ほだ場での原木栽培におけるほだ木の汚染軽減方法については、被覆材試験の効果により判断する。
Ⅱ
具体的データ等
表1.
ナメコ菌床栽培に使用した添加剤とその濃度
添加剤名
濃度A(高濃度)
福島県産にがり
1.5
炭酸カルシウム
1.5
りん酸水素二カリウム
1.5
りん酸二水素カリウム
1.5
シュウ酸
1.5
クエン酸
1.5
塩化カリウム
1.5
硫酸アンモニウム
1.5
粘土K
1.5
粘土J
1.5
水分散プルシアンブルー(PB)
0.3
水分散亜鉛プルシアンブルー類似体(ZnHCF)
0.3
ゼオライト(ジークライト製)
15
表2.
6月
1,010
7月
780
8月
440
9月
1,980
10月
2,190
11月
550
表3.
Ⅲ
野外ほだ場試験地の林床に降下した放射性セシウム(Bq/㎡)
野外ほだ場試験地のほだ木及び土壌の放射性Cs濃度(Bq/kg)
落葉除去区
客土区
対照区
ほだ木
380
60
230
土壌
16,380
290
12,640
その他
1
執筆者
武井利之
2
実施期間
平成25~26年度
3
主な参考文献・資料
特になし
濃度B(低濃度)
0.3
0.3
0.3
0.3
0.3
0.3
0.3
0.3
0.3
0.3
0.06
0.06
3