4.「血液透析看護共通転院サマリーVer.2」 の説明 3)本サマリーVer.1に関する評価の研究 目的 • 群馬県腎不全看護セミナーでは、透析条件 や疾患情報だけではなく、看護に関する情報 を網羅する共通転院サマリーを作成した。 • そこで、この血液透析看護共通転院サマリー ver.1に関するアンケート調査をし、評価を 行った。 研究方法 1)対象 幹事会に参加している8施設のスタッフで、 本調査の主旨を説明し同意を得た102名 2)方法 ①調査項目は、 第31回群馬県腎不全看護 セミナー (2008年9月)において、群馬大学医 学部保健学科の岩永喜久子先生の<医療・ 看護情報としての看護記録>の講演内容を参 考に作成した。 【データ・情報・知識の定義】 ・解釈なしに客観的に示される個々の存在 「データ」 :病名・検査データなどの情報 ・解釈・整理され、構造化されたデータ 「情報」 :自己管理内容・教育内容 リスクマネジメント ・相互の関係が明らかにされ、多くの人に認め られるように統合された情報 「知識」 :看護問題・患者の全体像 調査項目について 「データ」 <他院からのサマリーと比べて> 1)見やすいか 2)必要な情報が足りているか 3)不要な情報はあるか <自院のサマリーと比べて> 1)書きやすいか 2)必要な情報が伝えられるか 3)不要な情報があるか 調査項目 「情報」 <他院からのサマリーと比べて> 4)自己管理に必要な情報が把握できるか 5)転出先で実施した教育内容は把握できるか 6)リスクマネジメントに関する問題は把握できるか <自院のサマリーと比べて> 4)自己管理に必要な情報が記載できるか 5)今まで実施した教育内容は記載できるか 6)リスクマネジメントに関する問題は記載できるか 調査項目 「知識」 <他院のサマリーと比べて> 7)患者の全体像が把握できるか 8)継続的に必要な看護問題が把握できるか 9)看護計画立案の参考になるか 10 )患者の訴えが把握できるか <自院のサマリーと比べて> 7)患者の全体像が記載できるか 8)継続的に必要な看護問題が記載できるか 9)自分たちが行っている看護計画が記載できるか 10 )患者の訴えが記載できるか 選択肢: 1.そうではない 2.あまりそうではない 3. まあそうである 4. そうである ②アンケートの配布・回収方法 アンケートは透析スタッフに手渡し、記入 されたものは各施設で封筒を用意し回収し た。 ③分析方法 他院と自院に関する調査項目の全体の 平均点を算出、それをそれぞれ各項目の 平均点と比較し評価した。 分析には、Wilcoxon検定を用いた。 倫理的配慮 本調査の概要と目的を説明し、調査から得ら れたデータは個人が特定されないよう無記名で 統計処理すること、調査協力は自由意志であり 調査に協力しなくても不利益が生じないこと、 ならびに本調査の結果は公表される可能性が あることを文書にて説明し、同意を得た。 結果 (調査対象者の背景) 図1 8 施設 102名 H 透析施設 12名 A 透析施設 18名 G 透析施設 9名 B 透析施設 12名 F 透析施設 26名 C 透析施設 8名 E 透析施設9名 図2 性別 女性 85名 男性 17名 D 透析施設 8名 n = 102 平均年齢 37.7歳 平均経験年数 14.9年 図3 他院からの転院サマリーと 共通転院サマリー Ver.1の比較 n = 102 ** p < 0.001 * p < 0.01 点数 3.5 ** ** ** ** * * ** 3 2.5 2 1.5 1 0.5 0 見やすい 必要情報 が足りて いる 不要な 自己管理 教育内容 リスク 患者全体 看護問題 看護計画 患者の訴え の把握 情報 情報 の把握 マネジ 像の把握 の把握 立案の がある メント 参考 情報 図4 自院の転院サマリーと 共通転院サマリー Ver.1の比較 n = 102 ** p < 0.001 * p < 0.05 点数 3.5 3 ** ** * * * ** * ** ** 2.5 2 1.5 1 0.5 0 書きやすい 必要な 情報が 伝えら れる 不要な 自己管 教育内容 リスク 情報が 理情報 の記載 マネジ ある メント 情報 患者の 看護問題 看護計画 患者の の記載 全体像 の記載 訴えの 記載 の記載 考察 「データ」について ・ 「見やすさ」「書きやすさ」の点では、評価が低 い。 見慣れていない、書きなれていない ・ 「必要な情報は足りているか」「必要な情報が 伝えられるか」は評価が高い。 転院時の必要な項目を満たしているサマ リー 「情報」 ・自己管理・教育内容についての評価は高い。 継続的に看護が支援しやすくなる ・ 「リスクマネジメントに関する問題は把握でき るか」「リスクマネジメントに関する問題は記 載できるか」の評価は高い。 患者の安全に関わる情報を伝達できる 「知識」 ・ 「患者の全体像が把握できるか」「患者の全 体像が記載できるか」と「継続的に必要な看 護問題が記載できるか」「継続的に必要な看 護問題が把握できるか」の評価は高い。 看護に必要な情報が伝えやすく、 把握しやすいサマリー ・ 「患者の訴えが把握できるか」「患者の訴えが 記載できるか」については、評価が低い。 記載側に患者の言葉を入れるような工夫が必要 まとめ 共通転院サマリーVer.1は、 患者の経過や情報が要約されたものであり、 患者が他施設に転院しても 安全で継続的な看護ケアを受けられるといえる。 アンケート調査では、「見やすさ」・「書きやすさ」の評価がやや低かった。 ↓ 群馬県腎不全看護セミナー© 血液透析看護共通転院サマリーVer.2にて改訂!
© Copyright 2024 ExpyDoc