水田農業のあるべき姿の 実現に向けて 地域の水田農業の未来は、地域の皆さんの知恵(創意工 夫)と汗(熱心な議論と実践)にかかっています。 需給調整の的確な取組、ビジョンの点検・見直し等を積極 的に進め、構造改革を着実に推進しましょう。 平成18年1月 農 林 水 産 省 水田農業のあるべき姿の実現に向けて、 着実にステップアップを図りましょう! 18年度は産地づくり対策など現行対策の最終年度です。 需給調整の的確な推進、ビジョンの点検・見直しなど、3年 間の仕上げに向けて地域の取組を今一度見つめ直しましょ う。 地域で取り組んでいただきたいポイント ポイント1 米の需給調整の的確な推進 17年産米に豊作以外の要因により生産過剰が生じたことを踏まえ、 各地域の販売戦略に即し目標数量に応じた生産の徹底を図りましょ う! ポイント2 ビジョンの点検・見直しと産地づくり交付金の 有効活用 何が「弱点」なのかを明らかにし、ビジョンを見直しましょう! 産地づくり交付金の使途もメリハリをつけましょう! ポイント3 担い手の育成・確保の加速 品目横断的経営安定対策の導入に向けて、ビジョンに掲げる地域 の担い手を認定農業者や特定農業団体等に強力に誘導しましょう! 19年度からは米政策改革の新たなステップに入ります。 品目横断的経営安定対策の導入と併せて、新たな需給調 整システムへの円滑な移行ができるよう準備活動を進めま しょう! 19年度以降の米政策改革推進対策の見直しの方向 ○19年度からの国の支援策の大枠 19年産から品目横断的経営安定対策が導入されること、また、 新たな需給調整システムへの移行を目指すことから、支援策の見 直し、再編整理を行います。 現 行 担い手 ・担い手経営安定対策 ・稲作所得基盤確保対策 ・産地づくり対策 ・集荷円滑化対策 担い手以外 ・稲作所得基盤確保対策 ・産地づくり対策 ・集荷円滑化対策 見直し後 担い手 ・品目横断的経営安定対策(ナラシ) ・産地づくり対策 ・集荷円滑化対策 担い手以外 ・産地づくり対策 メニューとして価格下落等に応じた支払い が行えるように措置 ・集荷円滑化対策 ○今後とも地域水田農業ビジョンが取組の基本 19年度以降の産地づくり対策についても、地域水田農業ビジョ ンの実現に向けた支援策として実施していくこととしています。 ビジョンの不断の見直し、実践が今後の取組の成否を左右しま す。 ポイント1 米の需給調整の的確な推進 ○担い手育成・確保運動と連携した生産調整の取組を進めましょう! ○ 19年産から導入される品目横断的経営安定対策の加入対象者となる 認定農業者等については、これらの認定基準等から、生産調整を実施 することが実質的な要件となっています。 ○ このため、認定農業者等の育成・確保を加速するとともに、JA等の生 産調整方針に積極的に参加(または自ら作成)しましょう! ○生産調整方針作成者全員が地域協議会の議論に参画する体制づくりが 重要です! ○ 地域水田農業ビジョンの実践、産地づくり交付金の活用と生産調整の 取組は表裏一体です。地域内の生産調整方針作成者が全員地域協議 会に実効ある形で参画し、地域水田農業の振興について議論していく 体制づくりを進めましょう! ○配分基準単収の適切な設定に努めましょう! ○ 配分基準単収と平年単収の乖離による米の過剰作付の発生を防止す るため、配分基準単収の的確な設定に努めましょう! ○集荷円滑化対策の加入を促進しましょう! ○ 豊作による過剰米が需給に影響しないよう、集荷円滑化対策の加入 を一層進めることが重要です。 ○ 集荷円滑化対策への加入は、19年度以降の新たな産地づくり対策に おいて交付要件とすることが想定されており、また、新たな産地づくり対 策予算の都道府県別配分の要素としても検討予定となっています。 ポイント2 地域水田農業ビジョンの点検・見直しと 産地づくり交付金の有効活用 ○地域水田農業ビジョンの点検・見直しを進めましょう! ○ 18年度は現行対策の最終年度です。この3年間のビジョンの総仕上 げを行うとともに、19年度以降の取組につながるよう、ビジョンの点検・ 見直しや産地づくり交付金の効果的活用に努めましょう! 19年度以降の産地づくり対策についても、地域の水田農業ビ ジョンの実現に向けた支援策として位置付けていくこととしています。 地域の皆さんの「知恵」と「汗」で血の通ったビジョンとなっている かが、今後の取組の成否を大きく左右します! まずはビジョンの各目標の達成状況の確認から。 各目標に対する取組と成果を持ち寄り、目標そのものが適切だったか、 さらなるステップアップを目指す必要はないか、何が弱点で何を克服する 必要があるのか、議論を深めましょう! 地域協議会による自己点検結果(16年度) 考えてみよう! 需要に応じた作物生産 担い手の育成・ 確保 顕著な達成 21 ( 1% ) 53 ( 2% ) かなり達成 106 ( 4% ) 124 ( 5% ) 達成 1,063 ( 43% ) 768 ( 33% ) 概ね達成 1,048 ( 42% ) 820 ( 35% ) 252 ( 10% ) 584 ( 25% ) 未達成 新たな取組へのチャレンジを。 目標水準は妥当? さらなる飛躍を 弱点を明らかにして目標達成に向け たテコ入れを! 目標の再設定が必要では? 項目ごとの点検・見直しのポイント 売れる米づくり ○ 地域全体として需給調整に的確に取り組めましたか? ○ 昨年の販売ルート、販売量、価格状況はどうでしたか? ○ 実需に求められる特徴のある米づくりができていますか? 麦・大豆等の産地づくり ○ 麦、大豆の取組(産地強化計画)との一体的な推進に努めましょう! ○ 「転作」という意識ではなく、それぞれの作物の需要に対応した生産ができています か? 安定供給こそが売り先確保の基本です。 ○ 他の地域に負けない「一品」が育っていますか? 担い手の明確化 ○ 5年後、10年後を見据え、誰が地域の農地を引き受けていくのか、地域内の合意 形成はできていますか? ○ 品目横断的経営安定対策の導入に向けた担い手育成・確保の取組と併せて、ビ ジョンの担い手リストは見直されていますか? 産地づくり交付金を効果的に活用しましょう! ○ ビジョンの点検・見直しにより明らかとなった、地域の弱点やテコ入れすべき点にメ リハリをつけて活用しましょう! ○ 担い手に限定した交付メニューを設けている ○ 特に、担い手の育成・確保を加速 地域協議会は全体の約4割。 するため、例えば、品目横断的経営 産地づくり交付金 うち担い手のみを対象 安定対策の対象者要件をクリアする を活用した地域協 とした交付メニューを 割合 ために取組む農業者への加算メ 議会数 設けているもの ニューの設定など、担い手への交付 の重点化を図りましょう! 2,460 1,070 43% 資料:農林水産省調べ これまでの産地づくり交付金の効果は? ○ ○ この2年間の産地づくり交付金を活用した取組により、 需要に応じた作付けの増加や担い手の育成・確保など の具体的な成果は上がっていますか? ①地域の戦略の明確化、②戦略に沿った産 地づくり交付金の活用、③そして関係者の取組 いずれがかけても効果はあがりません! 地域の戦略の 明確化 戦略に沿った産地づ くり交付金の活用 関係者の 取組 ポイント3 担い手の育成・確保の加速 ○担い手の育成・確保を加速化しましょう! ○ 地域水田農業ビジョンに位置づけられた担い手について、認定農業者 や特定農業団体等への強力な誘導を図りましょう! ○ 特に、麦・大豆転作の重要な担い手である営農組織をはじめ、品目横 断的経営安定対策の対策要件を踏まえた担い手の育成・確保の取組を 進めましょう! ○品目横断的経営安定対策の対象者の経営規模要件 経営規模要件 基 本 原 所得確保の場合の特例 則 経営面積が小さくても農業で相当の所得を得ている経 営は対象となります! ① 農業所得が基本構想の半分を超え、 ② 対象品目の収入、所得又は経営規模のいずれ かが概ね1/3以上の場合 ○ 認定農業者 都 府 県 : 4ha 北 海 道 : 10ha ○ 一定の条件を備える集落営農 : 20ha 複合経営等 物理的制約 生産調整 中山間地域 農地が少ない場合の特例 生産調整組織の場合の特例 集落の農地が少ない地域は面積規模を緩和します! 基本原則の概ね8割まで 中山間地域の集落営農は5割まで 経営規模として算入できる面積 地域の生産調整面積の過半を受託し、生産調整の推進に 貢献している組織は面積規模を緩和します! 20ha×生産調整率(その地域で米を作付けていない面積 の割合)まで〈7haを下限〉 中山間地域は 20ha×生産調整率×5/8まで〈4haを下限〉 出荷・販売 農業者 農地基本台帳上の現況地目 が「田」と「畑」の面積の合 計です(樹園地、採草放牧地 は除きます)。 認定農業者 作業受託 権原農地 一定の条件を備える 集落営農 ①主な基幹作業を受託 農地法等に基づき所有 し、②販売名義と③販 権、賃借権等の権原を 売収入の処分権を保有 有する農地面積 する面積 経営規模として算入 基幹作業 委託 農業者 農業者 地域の特徴を活かした産地づくり交付金の活用事例 米づくり 安全・安心なれんげ米・アイガモ米の生産 A市水田農業推進協議会(a県) 【取組内容】 消費ニーズに対応した売れる米づくりのため、減農 薬・減化学肥料栽培等による安全・安心な環境保全 型稲作の拡大 【産地づくり交付金による支援】 レンゲ米・アイガモ米 1,500円/10a 【成果】 H15 H17 レンゲ米・アイガモ米 281ha→415ha 「安心・安全」で生産者の顔が見える米づくり の推進 B市水田農業推進協議会(b県) 【取組内容】 消費者の望む「安心・安全」な米づくりのためJAの 特別栽培暦により栽培し、従来の米づくりからの脱 却を目指す 【産地づくり交付金による支援】 特別栽培米 2,000円/10a 【成果】 H15 H16 特別栽培米等 0ha→550ha 米以外の作物による産地づくり 黒大豆の産地化を目指して ブロッコリー産地の強化 C市水田農業推進協議会(c県) D市水田農業推進協議会(d県) 【取組内容】 オーナー制の取り入れや市場出荷、量販店等の 連携販売等による積極的な販売で産地化を目指す 【取組内容】 「西日本有数のブロッコリーの産地」への復活を目 指し、産地強化を図る 【産地づくり交付金による支援】 黒大豆の作付助成:10,000~30,000円/10a 団地化助成 : 25,000円/10a 【産地づくり交付金による支援】 作物作付(特産品目) 5,000円/10a 特別調整促進加算 8,000円/10a 【成果】 黒大豆 【成果】 ブロッコリー (延べ面積) H15 H17 18ha→ 23ha H15 H17 137ha → 172ha 担い手の育成・確保 農家組合を母体とした集落営農の確立 集落営農組織を特定農業団体へ誘導 E市水田農業推進協議会(e県) F市水田農業推進協議会( f 県) 【取組内容】 全農家組合でのビジョンの作成、担い手の明確化 による土地利用集積体制を確立し、地域の担い手を 育成 【産地づくり交付金による支援】 担い手加算(基本):2.000~ 5,000円/10a (集積):5,000~20,000円/10a 【成果】 H15 H17 集 積:7,567ha→ 7,959ha(H16) 認定農業者: 826人→ 851人 法 人: 7法人→ 11法人 【取組内容】 集落営農組織をビジョンの担い手に位置付け、特 定農業団体へ誘導 【産地づくり交付金による支援】 担い手協業化移行助成 10,000円/10a 【成果】 H15 H17 特定農業団体の認定 0法人 → 12法人
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