西部地域(pdfファイル:52KB) - 群馬県

西
部
地
域
【高崎市、藤岡市、富岡市、安中市、上野村、神流町、下仁田町、南牧村、甘楽町】
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都市近郊を中心とする平坦地帯
【地域の概要と特色】
・この地帯では、米麦二毛作が営まれており、一部機械化集団による生産性の高い水田作経営の展開が見られます。近
年は、畜産農家と連携した飼料イネの作付拡大による飼料自給率の向上にも取り組んでいます。
・野菜では、施設を利用したトマト、きゅうり、いちごや雨よけ栽培によるほうれんそう、にら、チンゲンサイ等の多
品目生産が特色となっており、その販売には、インショップや農産物直売所への周年出荷が行われているほか、学校給
食との連携も図られています。
・花きについては、全国でも有数の生産量を誇るシンビジウム等の切り花のほか、パンジー、ビオラをはじめとした数
多くの花壇苗が周年的に生産されています。
・農地、農業用水等の生産基盤については、混住化、高齢化等の進行に伴う集落機能の低下により、適切な保全管理が
困難となってきています。
【重点推進事項に対する実績】
○土地利用型農業の生産構造の改革
・米麦二毛作地帯においては、市町村、JAとの連携を図り、品目横断的経営安定対策を踏まえ
た認定農業者や組織経営体などの担い手の育成と農地の利用集積を図り、米政策改革の実現を
支援しました。
◇目標を達成した施策内容
・水田経営所得安定対策、ぐんま型集落営農法人育成支援事業
西部地域では23組織(高崎市16組織、安中市1組織、藤岡市6組織)と認定農業者66人(うち法人6)が水田経営所得
安定対策に取り組んでおり、担い手支援協議会(市町村、JA)と連携して、講演会や研修会を実施するとともに、重
点支援集落を設置し、体質強化(法人化)を推進しました。
重点
的な支援により、平成21年11月24日に農事組合法人「浜川」が設立され、品目横断的経営安定対策に取り組んでいる2
3組織で初めての法人化事例となっています。その後、平成22年9月24日に農事組合法人「ふじおか」が、同9月29日に
農事組合法人「小野南」が設立されました。
ぐんま型集
落営農育成支援事業では、美九里営農組合において、モデル地区としてタマネギの導入を図った他、滝川営農組合で
は本県育成の小麦品種「さとのそら」の実証ほを設置し、栽培方法を検討するなど、法人化に向けて収益性の向上を
図りました。
・水田農業総合推進、戸別所得補償制度モデル対策、農地・水・環境保全向上対策
水田農業ビジョンの実践支援により、戸別所得補償モデル対策の水田利活用自給力向上事業で戦略作物として位置
づけられている麦・大豆・飼料イネ・飼料米・米粉等の戦略作物の生産振興を推進しました。また、農地・水・環境保
全向上対策に取り組んでいる浜川、南新波、木部地区で、安心・安全な売れる米作り支援として特別栽培米の栽培面積
の拡大を現地研修会の開催や消費者団体の代表を交えた意見交換会を実施して推進しました。
結果として戦略作物については、1,408ha、そのうち新規需要米の栽培は163ha、特別栽培米については、平成18年の
46ha から平成22年には67.1ha にまで拡大しました。
◇残された課題・新たな課題、解決に向けた対応策
・集落営農組織については、麦の政策の動向を踏まえて、それぞれの集落の実情に応じた方向性(ビジョン)に基づき、
組織の体質強化(協業化・法人化の推進等)やリーダーの育成を図り、水田農業の次の世代へのしっかりした基盤づく
りを図っておく必要性があります。また、今後さらに新規需要米等の栽培面積を拡大するには、飼料イネを中心にコン
トラクタ−の育成や品種の検討が課題となっています。
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○食料自給率の向上を目指した飼料作物等の作付け拡大
・耕畜連携による飼料作物の作付拡大と麦作等の二毛作により、水田の高度利用と土地利用率の
向上を図りました。
◇目標を達成した施策内容
・自給飼料の増産を図るため、水田農業確立推進事業から戸別所得補償モデル対策の水田利活用自給力向上事業に引き
続き、WCS用稲(稲発酵粗飼料)
、飼料用米等の飼料用イネの作付を市町村及び農協等と一体となり推進した結果、
飼料用イネ作付面積134ha(WCS用稲100ha、飼料用米34ha)は、平成17年度策定時に対し約2倍であり、平成22年度
目標値の約10%増となりました。
◇残された課題・新たな課題、解決に向けた対応策
・土地利用率の向上と水田転作作物として大豆の作付推進を図ってきましたが、湿害や病害虫被害を受けやすいため、
収量が、標準反収の60∼70%程度と低く、平成18年の21ha を境に微減傾向から、戸別所得補償モデル対策により新規
需要米に切り替わる生産者が見受けられ、大豆生産農家の生産安定を図る必要があります。
・飼料イネ栽培の低コスト省力化を図るため、疎植栽培の有効性実証展示ほを設けて、移植作業及び生産・収量に関す
る調査を行った結果、慣行栽培と比較して茎数及び重量は上回り、生収量はほぼ同じであるため、飼料用イネのコス
ト低減に向けて新たに疎植栽培を作付推進し、反収の維持増収を図ります。
・西部地域飼料増産推進会議を通して粗飼料生産の作付状況を把握するとともに、WCS用稲の安定的な作付拡大を推
進する観点から、収穫作業の効率化や収穫オペレータの養成に取り組み、収穫調整に必要な作業体制の強化とコント
ラクタ−稼働率の向上を図ります。
○産地育成と地産地消に向けた少量多品目産地への支援
・トマト、いちご、花きなどの施設園芸作物やニラ、白菜などの地域特産物を中心とした産地の
育成を推進するとともに、直売所を核とした消費者と生産者の交流を推進し、マーケットに応
じた少量多品目生産の産地化を図りました。
・安心安全な農産物の生産と供給を図るため、農薬の適正使用、生産履歴の記帳を推進し、土着
天敵を活用したIPM(総合的病害虫・雑草管理)技術の普及により、環境にやさしい農産物
生産を推進しました。
◇目標を達成した施策内容
・各JA毎に野菜生産振興計画を策定するとともに、県重点品目産地の充実に向け各種事業の活用、栽培講習、現地研
修会を実施し、新規作付け推進および作付け拡大、栽培技術の向上を図り農家経営の安定化に向け取り組み、野菜栽培
における認定農業者の育成を図りました。
・各地区の農業まつりの他、ソバ・トマト・イチゴ・ハクサイ・ウメ・ナシ等の地域特産物の振興イベントや地産地消に取
り組む生産組織と消費者組織との交流、情報交換などに対する支援を行いました。
・環境に優しい農産物生産の振興を図るため、エコファーマー認定に向けた計画策定支援に努めるとともに、持続的農
業技術の現地実証ほを設置するなどし、特別栽培農産物生産に向けた支援を行いました。また、各地区の生産組織、直
売組織に対し農薬の安全使用および生産履歴記帳を指導し、不十分な点については改善を促しました。
・農地・水・環境保全向上対策により環境保全型農業を木部、南新波、浜川の3地区において推進し、集落機能の向上
と適切な保全管理の実施など、環境負荷低減への取り組みに向け支援しました。
◇残された課題・新たな課題、解決に向けた対応策
・県野菜振興計画に基づき重点品目ならびに地域振興品目に対し、今後も各種事業の活用を図りながら推進していくと
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ともに、JAの野菜振興計画などの取り組みに対する支援が必要です。
・各地域のイベントの運営支援を行うとともに、農産物PR、消費者交流など新しい取り組みの働きかけを行います。
・エコファーマーの再認定および新規認定に向けた計画策定支援および特別栽培農産物の生産振興を図るとともに、環
境保全型農業を推進し、安全・安心な農産物生産活動を支援する必要があります。
・安全・安心な農産物の生産・販売のために、農産物直売所などに対し、農薬の安全使用や生産履歴の記帳等について、
今後も継続して働きかけを行う必要があります。
○担い手育成に向けた水田整備の推進と農地・水・農村環境保全の向上
・水田地帯の区画整理、農道整備などの基盤整備を契機として、担い手の育成・確保や農地の利
用集積を促進しました。また、農地・水・農村環境の地域資源を適切に保全し、質的な向上を
図る取り組みを支援しました。
◇目標を達成した施策内容
・藤岡南部地区において、75ha の基盤整備を実施し、これを契機に、担い手の育成・確保や農地の利用集積が促進され
ました。
・農地・水・環境保全向上対策に、16地区、840ha(高崎市、藤岡市)が取り組み、地域共同による農地・農業用水等の
良好な保全管理や農業・農村の多面的機能の発揮が図られています。
◇残された課題・新たな課題、解決に向けた対応策
・西部地域の基盤整備率(H21年度まで)は、県平均58.3%に比べ35.9%と依然として低く、大型機械による作業が難し
い未整備の農地が多く存在しています。担い手の育成・確保や規模拡大を図る観点から、整備要望の高い地域を中心に、
事業実施に向けた推進を行います。
・農地・水・環境保全向上対策の取り組みについては、対象農地の1割程度に留まっており、次期対策である農地・水保
全管理支払制度の取り組みに向け、市町村や土地改良区と共に推進し、地域共同による農地や農業用水等の良好な管理
を図っていきます。
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榛名山南麓、甘楽郡、旧碓氷郡等の丘陵地帯を中心とする中山間地帯
【地域の概要と特色】
・この地帯は、果樹生産が盛んで、うめ、なし、もも、プラム、キウイフルーツに加え、近年、りんご、かき、ブルー
ベリー、いちじくの生産も進められ、観光と結びついた農業振興が図られています。
・地域特産物のこんにゃくは、緑肥作物との輪作体系や作業機械の導入により経営の規模拡大が図られている一方で、
高齢農業者においては、野菜等との複合経営が進んでいます。
・きのこについては、しいたけ、なめこ、まいたけの生産が盛んであり、しいたけについては、原木栽培から菌床栽培
への移行が進んでいます。
・畜産については、榛名山南麓等の中山間地域を中心として、経営規模の拡大が図られています。
・農業基盤整備の立ち後れから担い手の育成・確保、農地の利用集積に支障を来しています。
【重点推進事項に対する実績】
○果樹産地の振興と観光農業の推進
・果樹については、たい肥の施用やフェロモン剤の導入等環境に優しい農業を推進するとともに、
農業者の高齢化対策として新規就農者等担い手の育成を図りました。
・観光農業では、果樹園や市民農園等において消費者との交流による地域農業の活性化への取り
組みを支援しました。
◇目標を達成した施策内容
・各果樹において、フェロモン剤やたい肥を活用した環境に優しい農業を推進しました。フェロモン剤は、地域で広域
的に利用することが効果的であることから、各生産組織単位での取り組みを推進し、ウメ、ナシ、プラム、モモ、リン
ゴで利用されるようになり殺虫剤の削減につながりました。また、耕畜連携によるたい肥の有効利用を図るため、畜産
農家への特殊肥料生産・販売届出を推進しました。果樹農家では、減農薬やたい肥活用によりエコファーマーの認定者
が増加しました。また、主要果樹の改植や新規果樹類の導入を推進し、ウメ等で改植が進むと共にイチジク等では新規
栽培者の確保を図ることができました。
・消費者との交流による地域農業の理解促進を目的に、市・JAと連携しウメ樹のオーナー契約やウメ漬け体験ツアー
を開催し、定着化が図られました。
◇残された課題・新たな課題、解決に向けた対応策
・フェロモン剤利用については導入コスト等の問題もあり経営的な判断も必要となっています。また、異なる樹園地間
での害虫飛来という問題もあり、生産組織間の協力・連携が必要となっています。
・消費者交流は、関係機関との連携と継続したPR活動が必要です。
○地域の特色を活かした産地育成
・増大する遊休農地を活用するため、緑肥作物・野菜等との輪作栽培体系を図ったこんにゃく栽
培や、耕畜連携による資源循環型農業を推進し、有機・特別栽培農産物の生産と流通を支援し
ました。
・家畜衛生の総合指導と畜産物の安全性の確保対策、畜産基盤環境対策を推進し、畜産農家の経
営の安定を図りました。
・地域伝統農産物の栽培技術、加工技術の確立を支援し、「地域限定ブランド」づくりによる地
域の活性化を推進しました。
・地域の健全な里山における森林を再生するため、原木しいたけ等の振興を図りました。
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◇目標を達成した施策内容
・コンニャクの生産安定のため、展示ほ設置等により輪作作物として緑肥導入を推進し、平成20年度の緑肥作付面積は5
5ha となりました。また、タマネギではソルゴー類の展示ほ設置により後作に緑肥栽培を推進し、平成22年度の緑肥作
物作付率は57%となりました。
・ 移植機の実演や緑肥作物実証ほ設置等によるタマネギ、展示ほ設置や講習会によるバレイショの特別栽培を推進しま
した。
・生産者の基本である「飼養衛生管理基準」の遵守及び地域と調和した畜産環境対策について、畜産農家への巡回時や
広報等で周知・指導しました。また、家畜伝染性疾病浸潤調査、定期検査及び依頼検査等を通じ、生産性向上のための
家畜衛生の推進を図りました。特に、豚オーエスキー病清浄化計画を推進しました。その結果、管内の野外ウイルスは
沈静化していると考えられます。
・下仁田ネギの農薬飛散防止、葉裂け症の実態調査と各地域での栽培講習会を通して適正な施肥管理を指導、葉裂け症
発 生率は減少しています。また、直売所の組織等へ加工品の試作等技術支援を行いました。
・しいたけの原木共同購入支援事業を実施するとともに、きのこ生産振興のための施設整備事業を実施(原木しいたけ、
なめこ生産施設他10件)し、生産施設の近代化を図りました。
◇残された課題・新たな課題、解決に向けた対応策
・コンニャク産地の維持拡大、畑地整備後の土壌改良対策として引き続き輪作体系の一環として緑肥作物の導入を推進し
ます。タマネギの連作による病害発生が課題であり、この対策として、後作の緑肥栽培推進とともに、輪作の実施、施
肥の適正化が引き続き必要となっています。
・家畜伝染病の防疫対策、家畜衛生指導及び畜産物安全性確保並びに住民の環境問題に対する意識の高まり等による畜
産環境指導の強化が求められています。
・下仁田ネギ葉裂け症の発生には肥料と気象条件が関与するため、継続的な施肥管理指導が必要です。
・今後も主力産地である甘楽富岡産を中心とした生しいたけ出荷量の規模を確保するため、農協出荷施設の広域利用(協
定、合併)の促進を図るとともに、生しいたけ、なめこ等のきのこ生産後継者の確保のための取り組みが必要です。
○地産地消の推進と首都圏と直結した農産物の販売促進
・地域農産物のブランド力の強化及び高付加価値化や、地域の立地条件を活かした少量多品目生
産の周年出荷体制の確立を支援し、市場のみでなく、農産物直売所やインショップによる農産
物の販売を促進しました。
◇目標を達成した施策内容
・地元農業・農産物への理解を深め地産地消を推進するため、「消費者と農業者の交流会」や「子供達への食農教育」の
指導を行いました。その結果、平成19年から22年までの4年間で、延べ3,397人が参加しました。
・消費者ニーズに対応した安全安心な農産物の生産を目指すため、講習会・展示ほ設置などで、IPM導入品目の拡大
を進め、平成18年の4品目から平成22年には8品目と増加しました。
・インショップ取り扱い品目は毎年2品目、新規取り扱いを講習会などにより推進、平成19年から22年までの4年間で8品
目導入されました。地域限定ブランド品目の確立と山菜類の導入を毎年2品目、地域の特色を考えながら支援、平成19
年以降8品目が導入されました。
◇残された課題・新たな課題、解決に向けた対応策
・農産物の安全性への理解を深めたり、新規栽培農産物の販売を促進して行くには、消費者の認知度を高めるための取組
が必要です。
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○担い手育成に向けた畑地帯の基盤整備の推進と農村環境の保全
・畑地帯の区画整理や農道整備などの基盤整備を契機として、担い手の育成・確保、農地の利用
集積を促進し、コンニャクや露地野菜等を推進するとともに、農村環境の保全を図りました。
◇目標を達成した施策内容
・松義東部、松義中部、丹生、諸戸菅原地区において、178ha の基盤整備を実施し、これを契機に担い手の育成・確保や
農地の利用集積が促進されました。
・松義東部地区では、地域の自然環境や生態系に配慮した環境水路を施工し、農村環境の保全を図りました。
◇残された課題・新たな課題、解決に向けた対応策
・西部地域の基盤整備率(H21年度まで)は、県平均58.3%に比べ35.9%と依然として低く、大型機械による作業が難し
い未整備の農地が多く存在しています。引き続き、担い手の育成・確保や規模拡大を図る観点から、実施中の基盤整備
を着実に進めると共に、整備要望の高い地区を中心に、事業実施に向けた推進を行います。
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奥多野、甘楽西部を中心とする山間地帯
【地域の概要と特色】
・この地帯は、急峻な山間地帯で生産性の向上が困難なことから、有機農業や農産加工、グリーン・ツーリズムなどの
特色ある取り組みが行われています。
・狭小なほ場と農業者の高齢化等の要因により、条件の不利な農地から遊休農地が増大するとともに、野生鳥獣による
農作物の被害も問題となっています。
【重点推進事項に対する実績】
○山村の自然条件を活かした特産物の生産と販路拡大
・山村の気候を活かした色彩鮮やかな花木、切り花、山野草、彩り葉物等の省力栽培技術を普及
し作付面積の拡大を図りました。
・特色のある地域特産物を活用した農産加工品の開発と販路拡大への取り組みに対して支援しま
した。
◇目標を達成した施策内容
・花き生産組織の活性化に向けた栽培振興と活動支援、地域特産物の生産振興と新たな作物導入支援、地域特産物を活
用した農産加工品の開発と販路拡大への取り組みに対して支援しました。
・花き栽培ではハナモモ、ヒペリカム、アジサイ等の枝物栽培面積が985a から1,020a に増加し、市場との情報交換を図
りながら販路の確保に努めました。地域特産物としては赤ジャガイモ、蜂屋柿、在来インゲン豆の作付面積が1.6ha か
ら2.4ha に増加するとともに山村の特色ある加工品として、ブルーベリーソース、豆腐、プラムジャム、赤ジャガのい
も串等12品目が商品開発され、地域の直売所等で販売されています。
◇残された課題・新たな課題、解決に向けた対応策
・枝物の栽培面積が増加し、今後は、農家の労力負担を考慮した導入品目の検討や栽培面積の設定などにより、長期出
荷が可能となる生産体系の確立が必要です。一方、地域特産物の面積拡大と加工品の商品開発にともない、地域内の直
売所や宿泊施設だけでなく、新たな販路拡大対策が必要となっています。
○西上州グリーン・ツーリズムの推進
・地域のグリーン・ツーリズム推進団体を中心として、西上州の自然豊かな農山村の魅力を活か
した都市住民との交流を推進し、地域の活性化を図りました。
・女性農業者等によるアグリツーリズムの推進や豊かな自然と食を核とした都市住民への「癒し
の場」づくりを支援しました。
◇目標を達成した施策内容
・市町村等への啓発活動を行うとともに関係機関との連携により、各地域のグリーンツーリズム研究会やグリーンツー
リズムモデル地区の活動支援や広報活動等を通じて、参加促進や地域住民等への理解を図る取り組みを行いました。
・管内市町村を対象に群馬県グリーン・ツーリズム地域連絡協議会を開催したり、奥多野地区(神流町及び上野村)や
高崎市吉井地区でそれぞれ推進説明会等を開催して啓発推進しました。また、高崎安中地域10団体、多野藤岡地域6団
体、甘楽富岡地域8団体への支援と、モデル地区である吉井グリーン・ツーリズムの里づくり推進委員会の活動に対し
ては、定期的に支援を行いました。
・女性農業者による郷土料理や加工体験などのアグリツーリズム活動に対しての支援や情報発信を随時行いました。
◇残された課題・新たな課題、解決に向けた対応策
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・グリーン・ツーリズム推進については、市町村等関係機関との連携や情報の共有化が必要であり、特に事業導入して
いる団体へは重点的な支援を行うとともに「ソバ・雑穀栽培と食体験」等、各種事業の情報発信も積極的に行う必要が
あります。
○中山間地域における農業・農村の多面的機能の保全
・中山間地域等直接支払い制度を活用した集落の取り組みを一層充実し、自立的かつ継続的な農
業生産活動等を推進し、農業・農村の多面的機能の保全に努めました。
・農道や農業用用排水路などの簡易な整備による生産条件等の改善を支援し、継続的な農業生産
活動を推進しました。
◇目標を達成した施策内容
・農業・農村の多面的機能の保全を図るため、中山間地域等直接支払い制度の第2期対策(平成17∼21年度)を活用し集
落での農地保全の取り組みを推進するよう指導しました。第2期対策では平成17年度から藤岡市を除く市町村で実施し、
平成21年度までに123集落の農地約528ha において保全活動が実施されました。
・また、第3期対策(平成22∼26年度)を活用し、集落での農地保全の取り組みを推進するよう指導しています。第3期
対策は、藤岡市及び神流町を除く管内7市町村で実施し、平成22年度から87集落の農地約383ha において保全活動を実
施しています。
・農地・水・環境保全向上対策(平成19∼23年度)においても、制度を活用し地域共同による農地・水・環境保全向上活
動を推進するよう指導しています。平成20年度から、下仁田町で実施し、農地約39ha において地域共同による農地・水
環境保全向上活動が行われています。
・継続的な農業生産活動を推進するため、生産基盤の条件不利地域において、簡易な生産基盤の整備を推進しています。
平成18∼20年度には小規模土地改良事業(農道整備)を南牧村で実施、平成21∼22年度は小規模土地改良事業(排水路
整備・法面保護工事)を南牧村で実施し、生産条件の改善を支援しました。
◇残された課題・新たな課題、解決に向けた対応策
・中山間地域等直接支払い制度においては、第3期対策(平成22∼26年度)で参加し易いように制度の見直しが行われま
したが、中山間地域での高齢化の進行が著しく参加集落が減少しています。制度の見直し内容を農家に良く説明して集
落数の増加や対象面積の拡大を図る必要があります。
・小規模土地改良事業では、条件不利地域での地元要望はあるものの地元自治体での財源確保が難しく、事業実施に至
らない事案もあるので、地元自治体の事業に対する理解を得て事業実施に至るよう努力します。
○野生鳥獣による農作物被害防止対策の推進
・野生鳥獣に忌避効果のあるオクラなどの農産物の導入や鳥獣害防止のための地域の取り組みを
支援しました。
◇目標を達成した施策内容
・広域的な連携支援を図るため、西部地区鳥獣害対策協議会の開催や、捕獲技術研修会等の各種研修会を実施するとと
もに、市町村における鳥獣害対策協議会の設置を指導した結果、対策協議会を8市町村(高崎市、藤岡市、富岡市、上
野村、神流町、下仁田町、南牧村、甘楽町)に設置しました。
・鳥獣害の被害を受けにくい農作物の奨励として、18∼19年にかけて、オクラを始め3品目の奨励を行いました。また、
富岡地区農業指導センターが中心となり考案した「富岡方式簡易電気柵」が、鳥獣害被害地域のイチゴ、果樹で普及さ
れました。
・平成22年度までに31地区で鳥獣害防止柵の設置に対して支援を行うとともに、捕獲檻設置に係る補助を平成21∼22年
に、延べ9ヶ所実施しました。
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◇残された課題・新たな課題、解決に向けた対応策
・情報提供と啓発活動の支援として、野猿調査を安中市、下仁田町で行い、群れの動向はつかめつつありますが、解決
方法を試行している段階です。
・鳥獣被害は18年度被害面積705ha、被害金額52,833千円に対し、22年度被害面積406ha、被害金額65,077千円で被害金額
が増加しており、そのうちイノシシ、ハクビシン、サルの被害が8割を占めている。こうしたことから、県域を越えた
広域連携や一層の総合的対策を強化する必要があります。
・鳥獣害防止柵等の地域支援の要望に対しては、被害を最小限に止めるため、迅速な対応を行う必要があります。
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