アジア小農業:タイ農民 第1節: 環境に根ざした農業と暮らし

http://www.sfc.keio.ac.jp/~thiesmey/kaihatsunote.htm
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生き方を取り戻したタイ農民:内部的開発
筆者(岩崎美佐子)の経験からの観察・示唆:
1. 「地域の人による地域の開発」
2. 「かわいそう」、「貧しい」、「生活に追われている」、
狭い家がある」、「仕事は満足にないから自分の
子までも育てられない」観念を覆す、現実の経験
3. バンコクスラム街NGOでの経験(=ドゥアン・プラ
ティープ・財団 http://www.dpf.or.th/jpn/index.html )
4. 都市部スラム街の生活水準が上がったことに伴う、大量
消費社会の生まれ
5. 東北農村部の人の皆のための苦労や共同体への意識
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6. 「地域の資源は地域で守る」
アジア小農業:タイ農民
第1節:環境に根ざした農業と暮らし(東北部)
• 農作と狩猟採集に当たる知識や能力:
“親から子への知恵の伝達と経験の積み重ね”
1 食糧知識。「食べられるもの」の選び方、
育ち方、知り方、つくり方。
2 探索・選別能力。
3 捕獲技術。
森林からとれる(材木ではない生産物)とその知識:
水・食料となる植物・薬草・竹・きのこ・果物・狩猟対
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象となる動物・燃料・飼料
アジア小農業:タイ農民
生活の中の熱帯林
タイにおける森林伐採:
1900年から~1996年までの間に、
国の森林面積が80%から20%に減少した。
生物的多様性への脅威:
“種が失われれば二度と再生しない”p131
森林からの生産物:
農家は水田だけではなく、森林の恵みにも頼る:
野草・若芽・葉・果実・花・水草・藻・きのこなど4
アジア小農業:タイ農民(北部)
水をめぐる共同意識 (北部)
1.
2.
タイ北部の様々な人は13世紀より伝統的な堰や灌漑設備を
作ってきた
共同でつくる、共同で使う、共同で補修。
堰組の管理
「主幹」
第一次水路は利
用する人たちへ
第一次水路を使う
人たちで構成され
たグループ管理
「枝」:
第二次水路は
利用する人たち
へ
個人管理
「末端」
第三次水路は
個人へ
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アジア小農業:タイ農民
•
水をめぐる共同意識 (北部)
水源を共有する問題点:
1. 開発に伴う・開発が置き去る問題点
• 適切な木材の量をとると森林伐採を招く
• 換金作物がはやり始めると、「田圃の見まわり(=水、
運河、水路)に出て来られない」、補修しない。
• 開発に伴う森林伐採による、川をうむ森林が減る。
• 表土を蓄積した湖底が嵩上げする。
2.水源の使用権
1. 上流から下流の間、又は水源に近い・遠い利用者
の間に不平等・不公平がおこられる 例p135
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アジア小農業:タイ農民
• タイ経済の成長の陰で~資源の切り売りと農業から工業への資源の移転
• 森林伐採のメカニズム
– チーク材は1955年の英国との通商契約の対象となる
– 王室の林野庁は、外貨幣を獲得するため、伐採業者に契約と
伐採権を与えた。
政府、開発者、不動産が参加した森林伐採
1942年国有地法:王室に帰属する、政府に管理される土地を特定する.
「開墾」といわれる大規模森林伐採を可能にする。
1954年 私有地の面積を「制限」する法。私有する大企業、政府の者
に応用されない。開発のために私有地を伐採することが可。
1975年 国有地の再特定・保全・管理法。市民に土地所有権をあげない。
1975年 農地法(農地改革)。農家が従来に利用して来た土地を購入
する、政府にお金を払う義務を実施する。
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アジア小農業:タイ農民
換金作物化に特化して市場に巻き込まれる過程
•
1960年代以降に、換金作物への変化
1. 「外部者である特定の企業が決定権をもった」p138
•
–
–
種子の選択、大型機械による農作、化学肥料、生産物の価
格などがすべて外部者に決定される。
換金作物栽培・モノカルチャー・プランテーション
一、二年後の土も環境も悪化して行く。
近代農業の推進=緑の革命
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アジア小農業:タイ農民
「近代農業の推進」p140~
I.
環境や食料の側面からの批判
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土壌の疲弊
病気への弱さ
害虫への弱さ
森林や川の破壊・乾燥化
「一代雑種」のハイブリッド品種により、持続性が
失われる
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アジア小農業:タイ農民
「近代農業の推進」p140~
II.生活の側面・農村社会の側面から
•外部組織、「仲買人」としての企業に生活が決められる・近
代農業の規模も決められる
•農民の多くの労働や投入にも関らず、国際市場に決定さ
れる。「農民の収入向上にはつながってこない」 p142
•外部・仲買人に決定されることにより、独立性が失われる
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