渦度 vorticity - 北海道大学大学院環境科学院

ロスビー波( Rossby wave)
•
•
•
•
渦度 (vorticity)
順圧非発散流(絶対渦度の保存)
ポテンシャル渦度(渦位)
北半球の平均気候場
渦度
vorticity
?
• 渦度は本来3次元ベクトルであるが、気象学・海洋
学ではその鉛直成分を単に渦度ということが多い。
• 剛体回転の場合、渦度は回転角速度の2倍。2Ω
• f は惑星渦度(2Ωsinφ)、風によるものは相対渦度。
和(f +ζ)を絶対渦度という。
• 渦度が正・・・低気圧性
V
• 渦度が負・・・高気圧性
v u
• 絶対渦度は一般には
(  V ) z    
x y
緯度とともに増加する。
渦度(2)
+ 正
+ 正
渦度の例題
Ω=7.3 x 10-5
• (1) 北緯45度における惑星渦度はいくらか?
• (2) 北緯45度で西風 40 m/sである。その北100kmで
西風 45 m/sである。相対渦度はいくらか?
• (3) 上記の場合、絶対渦度はいくらか?
• 解答(1)2×Ω×sin(45°)=2x7.292x10-5x0.707
=1.03 x 10-4 [s-1]
• 解答(2) ζ=-du/dy=-(45-40)/105= ‐0.5 x10-4
順圧非発散流
絶対渦度の保存
• 非発散(上昇流なし)・順圧(風は高度によらない)は
2次元流。 500hPaくらいでよい近似。
• p-系の運動方程式を考える。
u
u
u

u
v
 fv  
..........(1)
t
x
y
x
v
v
v

 u  v  fu  
...........(2)
t
x
y
y
 (2)  (1)
v u

................ 

x
y
x y
絶対渦度の保存則(つづき)
u
u
u

u
v
 fv  
.....(1)
t
x
y
x
v
v
v

 u  v  fu  
.....(2)
t
x
y
y
 (2)  (1)
v u

............. 

x
y
x y
u v

0
x y
• 絶対渦度の保存
• 導出は演習問題
d
f
v
0
dt
y
f

y
d
 v  0
dt
or
d (  f )
0
dt
β項の意味
β=(2Ωcos(φ))/a
正
正
西へ移動
負の場合は?
負
f

y
d
 v  0
dt
or
d (  f )
0
dt
絶対渦度の保存
(f + ζ):北半球の例
•
•
•
•
西風中で初期のζはゼロの空気が北上する。
空気塊が北へゆくとf が増えるのでζが減り負になる。
ζが負とは高気圧性の循環。
空気塊は南へ戻る。さらに行過ぎる。
これが ロスビー波
ζ<0
βが復元力
ζ>0
順圧非発散渦度方程式
(流線関数で表示)
• 非発散だから風は流線関数で表される。
ψに対する非線形方程式。


u
,v 
y
x
 
2
       2

 
  f 0
 t y x x y 


傾圧大気における渦度方程式
• z-系の運動方程式から出発。
• 3次元渦度ベクトル(ξ, η, ζ)
 w
d (  f )
w 
 (  f ) z  v h   
    ( z p   z )  k
dt
y 
 x
第1項:渦管の伸縮(発散項) 発散ーー>減少
(フィギュアスケートみたい)
第2項:立ち上がり項
第3項:ソレノイド項
ポテンシャル渦度(渦位)
Ertel’s potential vorticity (PV)
• 断熱・摩擦なし過程で2つの等温位面の間の
気柱を考える。
dQ
0
dt
  f

     f
 
Q
 (   f )  g
p
p 
dp

 g( )

unit : K  kg 1  m 2  s 1
1PVU  106 K  kg 1  m 2  s 1
dp 増える。即ち、
収束。ζ増加
渦位の保存・・[西風中に山がある場合]
渦位の保存・・[東風中に山がある場合]
北半球の平均場[気温850hPa]
W
W
C
C
W
C
北半球の平均場[1000hPa高度]
H
H
L
H
L
L
H
北半球の平均場[500hPa高度]
L
L
L
トラフ
リッジ
北半球の平均場[200hPa高度]
H
北半球の平均場[350K・PV]
High-Q
High-Q
北半球の平均場[300K・PV]
北半球の平均場[200hPa・風速]
北半球の平均場[10hPa・高度]
極渦
H
アリューシャン高気圧
同心円状の高気圧
北半球夏のモンスーン循環
850hPa 高度と風
ソマリジェット
北半球夏のモンスーン循環
200hPa 高度と風[チベット高気圧]
東風:温度風
まとめ
大気の大規模な運動は、ほぼ水平的である。
赤道付近を除けば、地衡風平衡がほぼなりたつ。
気温場と気圧(高度)場は静力学平衡となっている。
気温場と風の場も平衡をとりながら運動している。
断熱・摩擦なしであれば温位・渦位は保存する。
対流圏では季節を通して赤道域が暖かい。
対流圏では亜熱帯ジェットがある。
成層圏では夏半球が暖かい。
成層圏中高緯度では冬に西風、夏に東風
まとめ-2
断熱であれば温位は保存する。
乾燥断熱減率
断熱で摩擦なしであれば渦位は保存する。
おまけ
• 大気(流体)の運動方程式は、本質的に
非線形である。(移流項が典型的)
運動方程式
• 線形とは、結果は原因に比例。 y=ax+b
y=f(x) f(ax)=a f(x)
• 方程式に一つ解があれば、その定数倍も解。
• 線形にするには、微少量で展開する。微少量
の2次は無視する(線形化)。
レポート課題
• 授業でやったことや水循環に多少とも関係すること
興味をもったことをレポートにしてください。
*タイトル(新聞の見出しのようなものでもよい)を付
けてください
*出典があれば、出典を明記のこと。
•
•
•
•
A4で1枚(両面でもいい)。
締め切りは6月20日(水)
佐藤先生または山崎(C304)へ提出。
評価の重みはミニクイズ1回分くらいです。