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全般季節予報支援資料
3か月予報
予報期間:2015年4月~2015年6月
2015年3月25日
気象庁地球環境・海洋部
全般季節予報
(1)出現の可能性が最も大きい天候
4月 全国的に天気は数日の周期で変わるでしょう。北・東日本太平洋側、西日本は平年と同様
に晴れの日が多い見込みです。
5月 北・東・西日本では、天気は数日の周期で変わるでしょう。東日本日本海側と西日本では、
平年と同様に晴れの日が多い見込みです。沖縄・奄美では、平年に比べ曇りや雨の日が少ないで
しょう。
6月 北日本では、天気は数日の周期で変わるでしょう。東日本日本海側では、期間の前半は、
天気は数日の周期で変わるでしょう。期間の後半は、平年に比べ曇りや雨の日が少ない見込みで
す。東日本太平洋側、西日本では、平年に比べ曇りや雨の日が少ないでしょう。沖縄・奄美では、
平年に比べ曇りや雨の日が多い見込みです。
(2)確率予報
3か月(%)
4月
5月
6月
低 並 高
低 並 高
低 並 高
低 並 高
北日本
30:40:30
30:30:40
40:30:30
30:40:30
東日本
30:30:40
30:30:40
30:40:30
20:40:40
西日本
20:40:40
30:30:40
30:30:40
30:30:40
沖縄・奄美
30:30:40
30:30:40
20:40:40
30:40:30
3か月(%)
4月
5月
6月
少 並 多
少 並 多
少 並 多
少 並 多
北日本日本海側
北日本太平洋側
40:30:30
40:30:30
40:30:30
40:30:30
30:40:30
30:40:30
40:30:30
40:30:30
東日本日本海側
東日本太平洋側
40:30:30
40:30:30
40:30:30
30:40:30
30:40:30
30:40:30
40:40:20
40:40:20
西日本日本海側
西日本太平洋側
30:40:30
30:40:30
30:30:40
30:30:40
30:30:40
30:30:40
40:40:20
40:40:20
沖縄・奄美
30:40:30
40:30:30
40:30:30
20:40:40
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3か月予報
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気温
降水量
予報資料の解釈
●3か月平均
・ 熱帯の海面水温(SST)偏差は、日付変更線の西(160°E付近)から東部にかけて正偏差の予想。このう
ち、日付変更線付近では、期間中、高いSSTが持続する予想。それより東側では、予報期間の後半ほど
SSTが高くなる見込み(海上の西風偏差により、太平洋赤道域の中部から東部の表層を東進する暖水が
寄与)。今予報期間は、昨夏からのエルニーニョ現象が一旦終息した後、再びエルニーニョ現象の発生
に向かう段階にあたると考える(3/10発表のエルニーニョ監視速報と同様の見方)。インド洋熱帯域の
SSTは正偏差、太平洋西部は弱い負偏差で、太平洋西部では相対的にSST偏差が小さい見込み。
・ 降水量は、太平洋の日付変更線の西から東部では多く(SST が高いことに対応)、上層発散偏
差(200hPa 速度ポテンシャルの負偏差)の予想。一方、インド洋では上層収束偏差(200hPa
速度ポテンシャルの正偏差)で対流活動が抑えられており、インド洋北部から太平洋西部(イ
ンドネシア付近とフィリピン周辺を含む)では降水量が少ない予想。これらの偏差パターンは、
エルニーニョ現象に向かう過程として見られる対流分布として妥当(ただし、SST 分布に整合
するように過去のエルニーニョ時の分布と比べ西寄り)であるので、今回の予報の特徴として
採用する。なお、この降水量偏差パターンにより、全球的な降水分布は赤道寄りに位置する。
・ 熱帯の対流活動の偏差パターンに対応して、上層(200hPa)の流線関数は、ユーラシア大陸南部で低気圧
性循環偏差、太平洋の低・中緯度で高気圧性循環偏差が予想されている。また、日本の西は、ユーラシ
ア大陸南部の低気圧性循環偏差に関連した波列により、日本の西で相対的な上層高気圧性循環偏差が予
想されている。この波列は、インド洋北部から太平洋西部で対流活動が不活発なときに統計的に見られ、
季節的にも変動が大きいインド洋北部からインドシナ半島周辺の対流不活発が特に関わっていると考え
られる。
・ 上層の流線関数偏差に対応して、偏西風はユーラシア大陸から太平洋にかけて全体的に南寄りを流れる
予想。その中で、ユーラシア大陸南部の低気圧性循環偏差に関連した波列により、南アジアから東南ア
ジアではさらに南へ蛇行し、その東側の日本の西では平年程度の緯度まで北に蛇行する予想。ユーラシ
ア大陸を中心に日本付近にかけて、偏西風がやや弱く、その北の30°N~40°N帯では下層高温偏差となる
予想。一方、日本の北からアリューシャンの南は上・下層の低気圧性循環偏差で、日本の北から千島近
海は相対的な下層低温偏差となっているが、先月資料と比べ、この低温偏差は弱まった(日本付近から
日本の東で偏西風が弱まったことと、日本の西で偏西風が北へ蛇行する傾向が強まったことが関連)。
・ 地上気圧では、沖縄・奄美周辺から西日本の南海上で高気圧の勢力が強い予想(上層で偏西風が日本の
西で北へ蛇行することが寄与)。これにより、沖縄・奄美では低気圧の影響が小さい一方、西日本を中
心に南西の湿った空気が流れ込みやすい傾向が予想される。
・ 偏西風より低緯度側(およそ30°N以南)では、長期的な気温の上昇傾向と赤道域での活発な対流活動に
より、全体的に高度・気温が高い予想となっている。一方、30°N以北は正偏差だが、偏差は小さい(層
厚換算温度、Z500帯状平均)。
・ 以上から、3か月平均の気温は、西日本を中心に東日本以西では高温傾向を見込む。3か月平均の天候
は全国的に平年同様を見込む。
●4月
・ SST、熱帯の対流活動の傾向は、3か月平均とほぼ同様。
・ 200hPa 流線関数の偏差パターンも3か月平均とほぼ同様だが、日本の西での偏西風の北への蛇行(日本
の西の高気圧性循環偏差…ユーラシア大陸南部の低気圧性循環偏差に関わる波列)が3か月平均より明
瞭に予想されている。また、日本付近の偏西風は弱い見込み。対応して、西日本を中心に全国的に気温
が高い予想。
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・ 日本の北からアリューシャンの南は、順圧的な低気圧性循環偏差が予想されている。北日本では、寒気
の影響を受けやすい可能性も考慮し、若干の低温傾向を見込む。
・ 地上気圧では、沖縄・奄美周辺から西日本の南海上で高気圧の勢力が強い予想。このため、沖縄・奄美周
辺では降水量が少ない一方、中国大陸を中心に西日本付近にかけて多い予想となっている。
・ 最新の1か月予報資料では、極うずは大西洋側に偏り、日本付近は東西にのびる高度場の高い領域に入る。
月の初めは日本の東で高気圧の勢力が強く、全国的に高温だが、月の初めには高温のピークは終わる。その
後、月の半頃にかけて、大陸で冷涼な高気圧が強まり、低温となる時期があるが、その後は全国的に高温傾
向の予想。月平均では若干の高温傾向となる見込み。
・ 以上から、気温は全国的に若干の高温傾向を見込む。天候は、沖縄・奄美は高気圧に覆われやすく少雨傾向
を見込む。その他の地方は平年同様を見込む。
 想定される天候
・ 全国的に低気圧と高気圧が交互に通り、天気は数日の周期で変わる。
・ 北・東日本太平洋側と西日本では、平年と同様に晴れの日が多い。
●5月
・ SST、熱帯の対流活動の傾向は、3か月平均とほぼ同様。ただし、インド洋北部からインドネシア付近
とフィリピン周辺の少雨傾向は3か月平均より明瞭で、沖縄・奄美周辺も少雨偏差域に含まれる。
・ 200hPa 流線関数偏差も3か月平均と同様。日本の西では高気圧性循環偏差が見られ、日本付近の偏西風
は弱い予想(4月より偏差は小さい)。ただし、日本の西の高気圧性循環偏差の強さには不確実な点も
あるので、モデルより高温偏差を弱め、西日本以西では若干の高温傾向とし、北・東日本では下層高温
偏差は採用しない。
・ 地上気圧では、沖縄・奄美周辺から西日本の南海上で高気圧の勢力が強い予想。このため、沖縄・奄美周
辺では降水量が少ない一方、中国大陸を中心に西日本付近にかけて多い予想となっている(4月と同
様)。
・ 日本の北からアリューシャンの南は、順圧的な低気圧性循環偏差が予想されている。北日本では、寒気
の影響を受けやすい可能性も考慮し、若干の低温傾向を見込む(4月と同様)。
・ 以上から、天候は、沖縄・奄美で多照傾向と若干の少雨傾向を見込むほかは、4月と同様とする。気温
は、西日本では若干の高温傾向、東日本ではほぼ平年並、北日本では若干の低温傾向を見込む。沖縄・
奄美は高温傾向(少雨時に高温となる統計を考慮)を見込む。
 想定される天候
・ 北・東・西日本では、低気圧と高気圧が交互に通り、天気は数日の周期で変わる。
・ 東日本日本海側と西日本では、平年と同様に晴れの日が多い。
・ 沖縄・奄美では、前線や低気圧の影響が小さく、平年に比べ曇りや雨の日が少ない。
●6月
・ SST は、3か月平均に比べ太平洋赤道域の東部で高く、過去のエルニーニョ時の分布に近いパターンに
近くなる予想。
・ 熱帯の対流活動は、3か月平均とほぼ同様。ただし、華南から日本の南にかけては多雨傾向の予想。
・ 200hPa 流線関数の偏差パターンは、ユーラシア大陸南部で低気圧性循環偏差、太平洋の低・中緯度で高
気圧性循環偏差が予想されている点では3か月平均と同様。ただし、偏西風はユーラシア大陸から日本
の東で南寄りで強い予想で、4・5月と異なり、日本の西で北へ蛇行する傾向は見られない。
・ この偏西風の南偏して強い傾向を受け、華南から日本の南にのびる前線帯は、平年より南寄りで活動が
活発となる見込み。また、太平洋高気圧はフィリピンの東(20°N 付近)への張り出しが強いことと、イ
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ンド洋北部から南シナ海は対流不活発による下層高気圧性循環偏差であることも、前線帯に南西の湿っ
た気流が入りやすく、多雨傾向に寄与している。一方、偏西風が南寄りであるため、前線帯の北側にあ
たる東・西日本付近は少雨傾向が予想されている。
・ アリューシャン近海は順圧的な低気圧性循環偏差の予想だが、偏差域は4・5月に比べ東寄り(北日本
から離れる)の予想。
・ 亜熱帯ジェット気流沿いの波長の短い波列により、本州付近は高度・気温の負偏差、上・下層の低気圧
性循環偏差が強められて予想されている。しかし、この波列は予測精度の低い波列と見られるので、本
州付近の下層低温偏差は採用しない。
・ 以上から、沖縄・奄美では前線や低気圧の影響を受けやすく多雨傾向、東・西日本と東北地方では前線や
低気圧の影響を受けにくく少雨傾向、北海道地方では平年同様の天候を見込む(北日本全体では若干の
少雨傾向)。気温は、沖縄・奄美ではほぼ平年並(低緯度の全体的な高温傾向の一方、多雨傾向が低温
側に寄与)、東日本では過去の少雨時の統計を考慮して高温傾向を見込むが、西日本と東北地方では少
雨・高温の傾向が強くないので若干の高温傾向とする。北海道地方では、ほぼ平年並を見込む。
 想定される天候
・ 北日本では、低気圧と高気圧が交互に通り、天気は数日の周期で変わる。
・ 東日本日本海側では、期間の前半は、低気圧と高気圧が交互に通り、天気は数日の周期で変わる。
期間の後半は、前線や低気圧の影響を受けにくく、平年に比べ曇りや雨の日が少ない。
・ 東日本太平洋側と西日本では、前線や低気圧の影響を受けにくく、平年に比べ曇りや雨の日が少な
い。
・ 沖縄・奄美では、前線や低気圧の影響を受けやすく、平年に比べ曇りや雨の日が多い。
3月(22 日まで)の天候経過
期間の前半は、全国的に低気圧や前線の影響を受けやすく、天気の崩れる日が多かった。10日
から11日にかけては、北海道の北で低気圧が発達し、北日本を中心に大荒れの天気となった。そ
の後は、低気圧と高気圧が日本付近を交互に通過し、天気は全国的に数日の周期で変わったもの
の、沖縄・奄美では低気圧の影響は小さかった。また、期間を通して、千島の東は気圧の尾根とな
りやすく、北日本では気温の高い日が多かった。
気温は、全国的に平年を上回り、北日本では平年を大幅に上回った。降水量は、北・東・西日本
で平年を上回り、沖縄・奄美で平年を下回った。日照時間は、西日本日本海側で平年を上回ったほ
かは、平年を下回った。
この資料は、気象事業者等が、気象庁の提供する季節予報の根拠を理解するための補助資料であり、
そのままの形で一般に提供することを想定して作成したものではありません。
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