卒論中間発表 2001/12/21 赤道の波動力学の基礎 北海道大学理学部 地球科学科 4年 山田 由貴子 1.はじめに • • 地球流体の基本的な波動を理解したい 赤道波動は赤道域の流体現象を扱う上で必要 発表 • 図による赤道波動の紹介 - 赤道域における波のふるまい - 他の領域の波動との関係 手法 • Matsuno(1966)に基づき、方程式を解析的に扱う • 赤道波の固有モードを図示する 2.モデル 浅水方程式系に対して • 線形化、赤道β面近似 • 重力波の速度 gH 、赤道ロスビー変形半 径 c を用いたスケーリング u yv 0 t x v yu 0 t y u v 0 t x y (1) 3.分散関係式の導出 (u , v, ) のそれぞれに u ( x, y, t ) u ( y )e it ikx を代入し、 v のみの式を求める。 d 2v 2 k 2 2 k y v 0 dy 2 (v, ) , (v, u ) の関係式は u 1 dv yv k 2 i ( k ) dy 2 1 dv kyv i ( 2 k 2 ) dy v 0 ( y ) 境界条件 を定めると、分散関係式は、 3 ( k 2 2n 1) k 0 (n 0,1,2,) (2) (3) (4) となり、解は、 v( y ) Ce 1 2 y 2 H n ( y) と与えられる。 H n (y) は n 次のエルミート多項式である。 4.分散関係 分散関係式 (4) は、 の 3 次方程式である。この解はカルダ ノの公式から求まる。 近似的に解くと、 • k • k n1,n 2 k 2 2n 1 n 3 k ( k 2 2n 1) この解の形はそれぞれ中緯度の慣性重力波、ロスビー波 の形に似ている。 参照 : 中緯度における分散関係 慣性重力波 ロスビー波 f 02 c 2 ( k 2 l 2 ) k ( k 2 l 2 ) 5.分散関係 – 特殊な場合 • n 0 の波 分散関係式は、( k )( 2 k 2 1) 0 であるが、 3 つの解のうち、 (2) 式より、 k の解はない。 解は 01 k 2 k 2 2 1 02 k 2 k 2 1 2 • n 1 の波 (1)式で v 0 とおいた時の分散関係式 ( k )( k ) 0 より、 u , は 1 y u Ce u Ce 2 2 1 y2 2 ( k ) ( k ) k の解は境界条件 (3)式を満たさない。 解は 1 k これは(4)式で、n 1 とした時に相当する。 6.分散関係の図 • 混合ロスビー重力波(点線) n 0 の西進する波 • • • n=3 n=2 k 1 / 2 慣性重力波の性質 n=1 k 1 / 2 ロスビー波の性質 n=0 n=-1 ケルビン波 他の東進する慣性重力波と異なり、 最小の振動数は 0 1/√2 7. u , v, の漸化式 (2)式にエルミート多項式の昇降関係式 dH n ( y) dy 2nH n1 ( y) H n1 ( y) 2 yH n ( y) 2nH n1 ( y) 2 を代入すると,u , v, の漸化式が求まる. n exp( 1 2 y ) H n ( y ) とする。 • n 1 i (nl2 k 2 ) n v u 1 2 (nl k ) n 1 n( nl k ) n 1 1 2 ( k ) n ( k ) nl nl n 1 nl n 1 • n 0 v • n 1 2i (nl k )0 1 u 1 0l 0 v u 0 1 0 H n (y) の形 H 0 ( y) 1 H1 ( y ) 2 y H 2 ( y) 4 y 2 2 8.東向き慣性重力波 n 1 n2 風の収束発散によって、波は伝播する。 9.西向き慣性重力波 n 1 n2 10.ロスビー波 n 1 n2 地衡流平衡が成り立っている。 渦度の変化によって波は伝播する。 11. n 0 東向き慣性重力波 12. n 0 混合ロスビー重力波 南北方向では慣性重力波の性質、東西方向の波の 伝播のメカニズムはロスビー波的である。 13.n 1 ケルビン波 境界に補足される波. ここでは,赤道が境界の役割を 果たしている.東西に重力波的性質を持っている. 14. まとめ 赤道モード波の作図を行った • n 1 3 つの解は、慣性重力波、ロスビー波と対応。 • n 0 分散関係式の近似解 は適用できない。解は2 つ求ま り、東進する慣性重力波、混合ロスビー重力波に対応。 • n 1 赤道ケルビン波と呼ばれる波が得られる。 ( v 0) 謝辞 作図には、地球流体電脳倶楽部 dcl-5.2 を用いた。 参考文献 Matsuno T.,1966: Quiasi-Geostrophic Motion in the Equatonal Area ,J.Met.Soc.Japan,44,25-43. 小倉義光, 1978:気象力学通論,東京大学出版会 A. 重力波 南北に境界をおく。(水路) B. エルミート多項式 H2(y) H0(y) H1(y) 添え字は南北の節の数に対応。
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