PZT圧電セラミックスの高パルス電圧印加時における疲労特性 北川賀津一* 豊田丈紫* 山名一男* 北 川 和 夫 ** 山 本 孝 *** 研究の背景 近年,圧電トランス,圧電アクチュエータおよび超音波モータなどのハイパワー用圧電セラミックスの需 要が増加している。これらの素子は情報化時代に対応して小型でかつ薄型で使用されるために,ハイパワー 用 圧 電 セ ラ ミ ッ ク ス で は , 発 熱 に よ る 温 度 上 昇 に よ る 電 気 的 特 性 (電 気 機 械 結 合 係 数 (k 3 1 ), 機 械 的 品 質 係 数 (Q m ))の 劣 化 と 共 振 振 動 に よ る 機 械 的 疲 労 破 壊 が 問 題 と な っ て い る 。 研究内容 high-Qm material: 32mm×8mm×2.7mm low-Qm material: 27mm×6.8mm×2.3mm 本 研 究 で は , 50kHz で 共 振 振 動 す る よ う に PZT 圧 電 セ ラ ミ ッ ク ス (主 成 分 は チ タ ン 酸 ジ ル コ ン 酸 鉛 , a mm Pb(Ti,Zr)O 3 )を 機 械 加 工 し た (図 1)。試 料 は 長 手 方 向 b mm に高パルス電圧印加部分を節として共振振動を行い, 試料の発熱,圧電特性,そして試料の破断からその c mm Poling 疲 労 特 性 を 調 べ た 。 PZT 圧 電 セ ラ ミ ッ ク ス に は 図 1 Vibration Node に 示 す 機 械 的 品 質 係 数 Q m =1250 の high-Q m 材 と Vibration Direction Q m =75 の low-Q m 材 の 2 種 類 を 使 用 し た 。 high-Q m 材 と low-Q m 材 に パ ル ス 電 圧 を 印 加 す る と 節 図 1 high-Q m 材 と low-Q m 材 の 試 料 形 状 と 大 き さ である中央部分は最も応力が大きく変位は 0 となる。 腹の部分にあたる試料両端では変位が最も大きくな るが,発生応力は最も小さくなる。 果 ,弾 性 損 失 の 大 き い low-Q m 材 の 方 が high-Q m 材 と 比 Qm 試料中央節部分の表面温度を熱電対で測定した結 1300 1200 1100 1000 900 800 700 high-Q m low-Q m 80 較 し て 約 2∼ 3 倍 発 熱 に よ る 温 度 上 昇 が 大 き く な っ た 。 60 また電圧よりもパルス回数に温度上昇が依存するこ 40 と が わ か っ た 。 圧 電 特 性 で k 3 1 は high-Q m 材 と low-Q m 0 20 材 の い ず れ に お い て も 低 下 し な い 。 一 方 , Qm 値 は 0 50 100 150 Driving time (min) low-Q m 材 で 17%, high-Q m 材 で 37%の 低 下 が 観 測 さ れ た。上記原因は繰り返し電圧印加による疲労と考えら 図 2 high-Q m 材 と low-Q m 材 の 圧 電 特 性 値 の 変 化 れる。 研究成果 PZT 圧 電 セ ラ ミ ッ ク ス を 高 励 振 振 動 し た 際 の 疲 労 挙 動 を 調 べ た 結 果 以 下 の 事 が わ か っ た 。 (1) パ ル ス 数 に 比 例 し て 温 度 上 昇 が 観 測 さ れ た 。 (2) パ ル ス 電 圧 印 加 後 k 3 1 値 は 低 下 し な い が , Q m 値 は low-Q m 材 で 17%, high-Q m 材 で 37%の 低 下 が 観 測 さ れ た 。 (3) low-Q m 材 は high-Q m 材 と 比 較 し て , パ ル ス 電 圧 を 印 加 し て も 破 壊 し に く い 。 論文投稿 粉体粉末冶金協会 * 化学食品部 ** 2001 Vol.48 No.9 P.796-800 金沢大学 *** 防衛大学校
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