基準D 情報モラル指導 - 三重県教育委員会

情報モラルの指導について
ICT活用指導力の基準
D項目
第1部
情報モラル教育の必要性と
指導カリキュラム
情報モラル教育とは
4
モラル
社会を生きていくうえの基礎となる善悪の判断
力や主体的な態度
↓
情報モラル
情報社会において、適正な活動を行うための
基になる考え方と態度
情報モラル教育
情報社会を生き抜き、健全に発展させていく上で
すべての国民が身につけておくべき考え方や態度
を育む教育
5
情報モラルと日常モラル
道徳の指導観点(学習指導要領より)
① 主として自分自身に関すること
→責任ある情報発信・個人情報の保護
② 主として他の人とのかかわりに関すること
→相手を思いやるコミュニケーション
③ 主として自然や崇高なものとのかかわりに関すること
④ 主として集団や社会とのかかわりに関すること
→情報社会における安全指導とセキュリティ
情報モラル
日常モラル
日常モラルは情報モラルの
基盤(土台)
児童・生徒の実態把握

10
インターネット世帯普及率
=57.3%
(インターネット白書2006)
インターネットの利用実態調査例


11
インターネットを買い物に利用
している生徒や、自身のブログ
を開設している事例もある
家庭で自由にインターネット
を利用している児童生徒が
半数を超えている実態
携帯電話の利用実態調査例
12 13

携帯電話所有率
=約60%(中学3年)

通話よりメールの利用
携帯電話≠電話(連絡ツール)
=インターネットツール


出会い系サイトや、知らな
い人からのメールの受信、
お金の請求などの経験
保護者も子どもの利用実
態を把握し、家庭での指
導や対策が必要
情報社会の特性
情報技術の特性
コミュニケーションの範囲や深度などが変化する特性
社会で扱われる情報の「量」と「速さ」が格段に増加
デジタル化された情報・コミュニケーション
 コミュニケーションの可視化
 保存・複製が可能(回収困難)
 可塑性
相手の顔が見えない文字ベースのコミュニケーション
誤解が生じやすい
大人も子どもも区別されないネット参加
有害で悪意のある情報が区別なく流れ込んでくる
社会的な影響力の大きさ
責任ある情報発信
本人認証がしにくいネットワーク
匿名、なりすましの発生
情報手段(ICT活用)がもたらしたもの
多大な恩恵
人の能力の増幅
•
•
•
情報量の増大(検索・コンパクト)
処理スピードの向上
インターネットの活用
誰でも
情
すぐに
報
時間や場所に関係なく を
•
ICT
負の能力も増幅
多様なコミュニケーション形態
発信できる
収集できる
交換できる
Etc.
子どもたちが巻き込まれるトラブル
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
悪意を持つ大人との接触の可能性
知っている人・知らない人とのトラブル
著作権侵害
個人情報の無断掲載(プライバシー侵害)
架空請求(オンラインショッピング・ネットオークション)
アンケート・懸賞への応募
デマ情報(情報の信憑性)
迷惑メール・チェーンメール
コンピュータウイルスの感染
心身への影響
ホームページ閲覧の影
ホームページ閲覧の影
• わいせつ書画
• 出会い系サイト,売春・買春
• 暴力や死体,自殺サイト
• 偽懸賞サイトでの個人情報の
• ドラッグ&麻薬・薬物
• 爆弾・殺人予告
収集
• 各種裏技(ゲーム・携帯電話)
• 闇(裏)の職業安定所・アルバイト • サブアドレス
• 差別や偏見・迷信や心霊
• 無料ゲームサイト
• ネット詐欺,フィッシング
• 学校裏サイト・匿名掲示板での
誹謗・中傷(いじめ)
• プロフでの援助交際・無断書き
込み
情報社会特有の問題
情報社会の特性・児童・生徒の実態
⇒日常モラルだけでは解決できない課題が生まれてきた。
情報ネットワークでは、子どもと大人の区別がない場合が多い。
情報安全教育
•子どもたちをトラブルや危険から守る
•子どもたち自身に危険を回避する術を身につけさせる
(危険回避)
体系的指導の必要性
体系的な情報モラル
自分自身で的確な判断力を身につける
「なぜ」,「だから」,「どうしたら良いか」
情報社会やネットワークの特性の理解
(土台)
危機回避の方法
「守るべき」,「してはいけない」
情報モラルに含まれる内容
日常モラルの側面
情報社会における正しい判断や望ましい態度を育てる
「心」を磨く
情報安全教育の側面
情報社会で安全に生活するための危機回避の方法や
セキュリティの知識・技術、健康への意識
「知恵」を磨く
モデルカリキュラムとその構成
日常モラルの側面
「心を磨く」
情報社会の倫理 法の理解と遵守
公共的な
ネットワーク社会
の構築
安全への知恵 情報セキュリティ
安全の側面
「知恵を磨く」
情報モラル指導モデルカリキュラム表
6
7
学校全体で取り組むことの重要性
•体系的な指導を行う
•子どもたちが受ける教育内容に差をつけない
(学級・学年の温度差の克服)
学校ごとに年間指導計画を作成する
共通理解の上で、学校全体で取り組む
すべての子どもたちに情報モラルを指導する
×対処療法的な指導
◎児童生徒にメッセージを送り続ける
8
9
保護者との連携
• 保護者に何を伝えるか
• 生徒をめぐる事例の紹介
• 啓発活動の実践例
– 活動のタイミング
– 講習会の内容と11のポイント
– 講習会後の対応
• 保護者への実態調査と意識付け
• 何でも相談できる家庭の雰囲気作り
30~33
第2部
教員のICT活用指導力の基準
D 情報モラルなどの指導
教員のICT活用指導力の基準
D 情報モラルなどの指導
小学校
D-1 児童が発信する情報や情報社会での行動に責任を
持ち、相手のことを考えた情報のやりとりができるように指
導する。
D-2 児童が情報社会の一員としてルールやマナーを
守って、情報を集めたり発信したりできるように指導する。
D-3 児童がインターネットなどを利用する際に、情報の
正しさや安全性などを理解し、健康面に気をつけて活用で
きるように指導する。
D-4 児童がパスワードや自他の情報の大切さなど、情
報セキュリティの基本的な知識を身につけることができる
ように指導する。
教員のICT活用指導力の基準
D 情報モラルなどの指導
中学校
高等学校
D-1 生徒が情報社会への参画にあたって責任ある態度
と義務を果たし、情報に関する自分や他者の権利を理解し
尊重できるように指導する。
D-2 生徒が情報の保護や取り扱いに関する基本的な
ルールや法律の内容を理解し、反社会的な行為や違法な
行為などに対して適切に判断し行動できるように指導する。
D-3 生徒がインターネットなどを利用する際に、情報の
信頼性やネット犯罪の危険性などを理解し、情報を正しく
安全に活用できるように指導する。
D-4 生徒が情報セキュリティに関する基礎的・基本的な
知識を身に付け、コンピュータやインターネットを安全に使
えるように指導する。
D-1:思いやりと責任ある態度
児童が発信する情報や情報社会での行動に責任を持ち、相手のことを考え
た情報のやりとりができるように指導する。(小)
生徒が情報社会への参画にあたって責任ある態度と義務を果たし、情報に
関する自分や他者の権利を理解し尊重できるように指導する。(中・高)
<学習指導事例>
Webページなどで発信した情報に対して、責任をもつことの大
切さを指導する。
コンピュータや携帯電話で電子掲示板や電子メールを利用さ
せる際に、相手のことを考えたやりとりをするように指導する。
校外活動で使うしおりなどの制作を通して他人の著作権を保
護することの重要性を指導する。
D-2:ルールやマナーの遵守
児童が情報社会の一員としてルールやマナーを守って、情報を集めたり発信
したりできるように指導する。(小)
生徒が情報の保護や取り扱いに関する基本的なルールや法律の内容を理
解し、反社会的な行為や違法な行為などに対して適切に判断し行動できるよ
うに指導する。(中・高)
<学習指導事例>
Webページなどで発信する場合に、著作権や個人情報で気を
つける点を指導する。
インターネットや図書,資料から収集した情報の著作権につい
て指導する。
デジタルカメラなどで撮影したり、著作物を利用したりする際に
、場合によって許可が必要であることを指導する。
インターネット上での誹謗・中傷や詐欺などに留意させ、違法
な行為を絶対しないように指導する。
D-3:情報安全
児童がインターネットなどを利用する際に、情報の正しさや安全性などを理解
し、健康面に気をつけて活用できるように指導する。(小)
生徒がインターネットなどを利用する際に、情報の信頼性やネット犯罪の危険
性などを理解し、情報を正しく安全に活用できるように指導する。(中・高)
<学習指導事例>
インターネットなどで収集した情報が正しいかどうかを考えるよ
うに指導する。
コンピュータやインターネットなどを利用する際に、長時間利用
しないなどの健康面に注意するように指導する。
不適切なメールやチャット,不正なサイトに潜む危険を知り,安
全にネットワークを使うように指導する。
D-4:情報セキュリティ
児童がパスワードや自他の情報の大切さなど、情報セキュリティの基本的な
知識を身につけことができるように指導する。(小)
生徒が情報セキュリティに関する基本的な知識を身に付け、コンピュータやイ
ンターネットを安全に使えるように指導する。(中・高)
<学習指導事例>
IDやパスワードの大切さを理解させ、パスワードの管理につい
て指導する。
自分や友だちの個人情報を知らない人に教えることの影響と
危険性を考えさせ、教えてはならないことを指導する。
コンピュータウィルスから情報を守るための基本的な方法を指
導する。
コンピュータやネットワークに不正にアクセスすることの違法性
を指導する。
第3部
これならできる
情報モラル指導実践例
教材例「ネット社会の歩き方」
http://www.cec.or.jp/net-walk/index.html
14 15
「ネット社会の歩き方」を使った指導例を紹介

発問、自主学
習、話し合い、
学習のまとめ
などの流れに
応じた展開例

43ユニット
の教材から
実態に応じ
た内容を選
択して指導
する
目次画面
D-1:思いやりと責任ある態度
「ネット社会の歩き方」を使った指導例
D-2:ルールやマナーの遵守
「ネット社会の歩き方」を使った指導例
D-3:情報安全
「ネット社会の歩き方」を使った指導例
D-4:情報セキュリティ
「ネット社会の歩き方」を使った指導例
9つの実践事例

16~25
教科等の中で日常的に指導できる内容を中心に、小
中高等学校の9つの指導実践事例を簡潔に紹介
生徒指導の中での情報モラル指導



26 27
生徒指導などあらゆる
機会をとおしての情報モ
ラル指導が大切
何が問題か、考え、見
抜く力が必要
児童生徒への情報モラ
ルの指導観を養う
掲示板やブログへの書き込み

うっかり、実名
や悪口を書き
込んだら、そ
れがもとで情
報が広がり、
加害者となる
可能性がある


28
逆に、実名や
悪口を書き込
まれて被害者
になる場合も
ある
日常的な指導
をとおして、人
権感覚を磨く
ことが必要
携帯電話のマナー


日常生活に普及してい
る、携帯電話の使い方
を通して、情報モラルの
内容を指導することは
効果的
児童生徒に配布し、左
の絵と右の解説を線で
結ばせ、携帯電話のマ
ナーを意識させる
29
先生が知っておくべき「情報モラル」

34
インターネットの世界で
起きていることに関する
知識
– 子どもは誰とでもつな
がっている可能性がある

情報モラル教材・授業
実践例の情報に関する
知識
– いろいろな教材サイト
先生が知っておくべき「情報モラル」


無料公開されている教
材サイト
法律の知識
– 著作権法
– 個人情報保護に関する
法令
– 不正アクセス禁止法
– 出会い系サイト規制法

問題への対処に関する
知識
35
別 紙
情報モラルを学べる教材
• 体験型教材
– 実際に操作、入力するなど疑似体験を通して学ぶ教材
• プレゼン提示型教材
– Flash、動画などでプレゼン提示
• 話し合い方教材
• 解説型教材
• 文章説明型教材
– 文章で用語や事象を説明したテキスト教材
• 情報モラル・学習指導案・実践事例
別紙資料にて
「日常生活」から素材を拾う
• マスコミ情報や子どもの生活上のトラブル等から素
材を拾い教材にする
• コンピュータ教室でなく普通教室で指導する
• 道徳,教科,総合的な学習の時間等に情報モラル
の内容を無理なく組み込む
「なぜ」,「だから」,「どうしたらよいか」と考えさせる学習方式
主
題
の
意
識
化
主
題
の
提
示
考 話
え 題
の の
違 共
い 有
を 化
知 や
る
個を出す
活動
課
題
の
掘
り
下
げ
話
し
合
い
等
に
よ
る
集団での
刺激
ま
と
め
個に収束
する活動
日常の授業で指導する情報モラル
• 日常の素材の教材化
素材
コンピュータ・インターネットの
特質を抑えて教材化
マスコミ等で取り上げ
られている流行現象
なぜ現象・トラブルが起きる
のか
学校生活等でおきて
いる課題・トラブル
どうしたら避けることができる
のか
• 教科学習に関連した項目をユニットとして組み込む
1~10分程度の組み込み
流れを損なわないごく自然な組み込みを優先
• 特設の時間での指導、総合的な学習の時間での指導
まとめ
新しい学習指導要領から考える
新学習指導要領では・・・
• 情報モラルとは
情報社会で適正な活動を行うための基になる考え方と態度
– 他者への影響を考え,人権,知的財産権など自他の権利を
尊重し情報社会での行動に責任をもつ
– 危険回避など情報を正しく安全に利用できる
– コンピュータなどの情報機器の使用による健康とのかかわり
を理解する
• 情報モラルを確実に身に付けさせるために
– 情報発信による他人や社会への影響について考えさせる
– ネットワーク上のルールやマナーを守ることの意味について
考えさせる
– 情報には自他の権利があることを考えさせる
– 情報には誤ったものや危険なものがあることを考えさせる
– 健康を害するような行動について考えさせる
新学習指導要領では②
• 指導のポイント
– 情報を活用する各場面(情報の収集,判断,処理,発信など
)で情報モラルについて学習させる。
– 子どものインターネットの使い方の変化に伴い,学校や教師
はその実態や影響に係る最新の情報の入手に努め,それに
基づいた適切な指導に配慮する。
• 付加…「携帯電話」の利用の問題
– 学校においては,家庭との連携を図りつつ,情報モラルを身
に付けさせる指導を適切に行う必要がある。
参考Web
• 教員のICT活用指導力の基準
– https://tab-ict.nime.ac.jp/index.php
• ADAPT -教員のICT活用指導力の自己評価総
合研修システム– http://adapt.nime.ac.jp/index.php
• 教員研修Web総合システムTRAIN
– https://train.nime.ac.jp/about.php
• ネットDE研修
– http://websv.mpec.jp/inavi/
• やってみよう 情報モラル教育
– http://kayoo.info/moral-guidebook-2007/
情報モラルの指導について
ICT活用指導力の基準
D項目