文楽の観方(PDF:76KB - 豊橋文化振興財団

写真提供/榎本貴子さん
※
大夫は、「太夫」とも書く
人形浄瑠璃「文楽」。名前を聞いたことがあっても、よく分からない。敷居が高そうだ。と思って
いる方もいらっしゃるのではないでしょうか?決して、そんことはありません。文楽は、涙あり笑い
あり、始めて訪れた人でも楽しめる大衆のためのエンターテインメントです。
①チケットを買う
豊橋文化振興財団は、毎年3月に大阪から本場の文楽を招いています。豊橋公演は、全席指定です。
事前にチケットをお買い求めください。初めての方は、全体を見渡せる席がお勧めです。文化会館の場
合、ホールのほぼ中央がちょうど見やすい席です。
②開演前
当日は、早めに到着して、文楽グッズを見たり、プログラムを
買ったりして、雰囲気を楽しんでください。初心者の方は、プロ
グラムでストーリーを事前にチェックしておいたほうが安心です。
これは、言葉が分かりにくいというだけでなく、文楽では、長い
物語の一部を演じることが多く、前後の流れや時代背景を把握し
ておいたほうが、登場人物に感情移入しやすいからです。
③開演
いよいよ舞台の幕が開くと初めに舞台脇から「東西、東西…。」
と黒衣姿の口上が現れて、演目と出演者を紹介します。20 年度の
つるさわかんじ
よしだぶんじゃく
豊橋公演では、夜の部に鶴澤寛治と吉田文雀という2人の人間国
宝が出演します。どの演目で登場するのか、チェックして、名人
の業を堪能してください。
④三業の妙技
た ゆ う
出演者は、大夫(※太夫とも)・三味線・人形遣いの
さんぎょう
3つに分けられ、これを三 業 といいます。大夫は、
語り手のこと。1人で何役も語りわけて物語を進め
ます。ストーリーは、ドラマチックなものが多く、
名人の情緒豊かな語りに涙さそわれることも。大夫
ゆか
と三味線は、客席から見て右手の床と呼ばれるスペースで演じます。
て す り
一方、舞台には、手摺という高さ約 85 ㎝の板が設置され、人形遣いは、その内側で演じます。
おもづか
ひだりつか
あしづか
人形は通常、1体を主遣い・左 遣 い・足遣いの3人で操ります。主遣いは、司令塔であるとともに、自
ら人形の中心を支えつつ、1人で人形の頭や目、口まで操り、人形の右手も担当します。左使いは、人
形の左手を操るだけでなく、小道具を持たせるなど
主遣いを補佐します。足遣いは、人形が歩く自然な
仕草を表現します。
3人の業が1つになり、まるで魂がのり移ったよ
うな人形の美しさは一見の価値ありです。
このような名人たちの業に加え、大道具や人形そ
のものの美しさなど、文楽の舞台は、見どころ満載
です。どこかに重点を置いて観なければならないと
いう決まりはありません。まずは一歩、敷居をまた
いで、自分のお気に入りを見つけてください。