写真提供/榎本貴子さん ※ 大夫は、「太夫」とも書く 人形浄瑠璃「文楽」。名前を聞いたことがあっても、よく分からない。敷居が高そうだ。と思って いる方もいらっしゃるのではないでしょうか?決して、そんことはありません。文楽は、涙あり笑い あり、始めて訪れた人でも楽しめる大衆のためのエンターテインメントです。 ①チケットを買う 豊橋文化振興財団は、毎年3月に大阪から本場の文楽を招いています。豊橋公演は、全席指定です。 事前にチケットをお買い求めください。初めての方は、全体を見渡せる席がお勧めです。文化会館の場 合、ホールのほぼ中央がちょうど見やすい席です。 ②開演前 当日は、早めに到着して、文楽グッズを見たり、プログラムを 買ったりして、雰囲気を楽しんでください。初心者の方は、プロ グラムでストーリーを事前にチェックしておいたほうが安心です。 これは、言葉が分かりにくいというだけでなく、文楽では、長い 物語の一部を演じることが多く、前後の流れや時代背景を把握し ておいたほうが、登場人物に感情移入しやすいからです。 ③開演 いよいよ舞台の幕が開くと初めに舞台脇から「東西、東西…。」 と黒衣姿の口上が現れて、演目と出演者を紹介します。20 年度の つるさわかんじ よしだぶんじゃく 豊橋公演では、夜の部に鶴澤寛治と吉田文雀という2人の人間国 宝が出演します。どの演目で登場するのか、チェックして、名人 の業を堪能してください。 ④三業の妙技 た ゆ う 出演者は、大夫(※太夫とも)・三味線・人形遣いの さんぎょう 3つに分けられ、これを三 業 といいます。大夫は、 語り手のこと。1人で何役も語りわけて物語を進め ます。ストーリーは、ドラマチックなものが多く、 名人の情緒豊かな語りに涙さそわれることも。大夫 ゆか と三味線は、客席から見て右手の床と呼ばれるスペースで演じます。 て す り 一方、舞台には、手摺という高さ約 85 ㎝の板が設置され、人形遣いは、その内側で演じます。 おもづか ひだりつか あしづか 人形は通常、1体を主遣い・左 遣 い・足遣いの3人で操ります。主遣いは、司令塔であるとともに、自 ら人形の中心を支えつつ、1人で人形の頭や目、口まで操り、人形の右手も担当します。左使いは、人 形の左手を操るだけでなく、小道具を持たせるなど 主遣いを補佐します。足遣いは、人形が歩く自然な 仕草を表現します。 3人の業が1つになり、まるで魂がのり移ったよ うな人形の美しさは一見の価値ありです。 このような名人たちの業に加え、大道具や人形そ のものの美しさなど、文楽の舞台は、見どころ満載 です。どこかに重点を置いて観なければならないと いう決まりはありません。まずは一歩、敷居をまた いで、自分のお気に入りを見つけてください。
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