平成16年度電磁気学B - 東京大学 大学院総合

量子計測学Ⅱ
担当:鳥井 寿夫(とりい よしお) 居室:16号館224A
tel: 03-5454-6757 (内線46757)
e-mail: [email protected]
http://maildbs.c.u-tokyo.ac.jp/~torii
授業日:毎週金曜1限(9:00~10:30)、
4月14日~7月14日(計13回)
(注1)6月2日は鳥井が出張のため休講
(注2)7月11日(火)は金曜日の授業を行う
講義資料
http://maildbs.c.u-tokyo.ac.jp/~torii/lectures/OE/index.htm
(東京大学教養学部HP>専攻>相関基礎科学系>物性物理・一般物理>鳥井寿夫)
にて
・レジュメ(講義で配ったもの)
・スライド資料(講義で使用したもの)
を公開します。
評価
レポートおよび出席点
レポートの提出期限:次回の授業の開始前。教室にて回収。
講義内容
光エレクトロニクスの基礎を解説する
• 電磁波の伝播(ガウシアンビーム光学,ファイバー
光学,光共振器)
• 原子と光の相互作用(自然放出と誘導放出、吸収と
分散、均一幅と不均一幅)
• 非線形媒質中の電磁場の伝播(非線形光学)
• レーザーの原理、各種レーザー
• 光の変調法および光の検出法
この講義の目標
レーザー光を用いたあらゆる実験に必要な基本
的知識を習得する
・光学素子(波長板、AOM、EOM、ファイバー、
共振器、光検出器)の動作原理を理解する。
・物質の光学的特性(複屈折性、吸収と分散、非
線形感受率)と、その起源を理解する。
・光波長変換(第二高調波発生(SHG)、光パラ
メトリック発振(OPO))の原理を理解する。
参考書
①Amnon Yariv著「光エレクトロニクス・基礎編/
展開編」(丸善)
②霜田光一著「レーザー物理入門」(岩波書店)
③Bahaa E. A. Saleh and Malvin Carl Teich
「Fundamentals of Photonics」(Wiley)
レーザー(メーザー)に関係したノーベル物理学賞
1964
1981
1989
1997
2001
2005
Charles Hard Townes, Nicolay Gennadiyevich Basov, Aleksandr
Mikhailovich Prokhorov for fundamental work in the field of
quantum electronics,
which has led to the construction of oscillators
レーザー(メーザー)の発明
and amplifiers based on the maser-laser principle
Nicolaas Bloembergen, Arthur Leonard Schawlow for their
contribution to the
development of laser spectroscopy
レーザー(非線形)分光学
Norman F. Ramsey for the invention of the separated oscillatory
fields method and
its use in the hydrogen maser and other atomic
水素メーザーによる原子時計
ocks
Steven Chu, Claude Cohen-Tannoudji, William D. Phillips for
development of methodsレーザー冷却
to cool and trap atoms with laser light
Eric A. Cornell, Wolfgang Ketterle, Carl E. Wieman for the
achievement of Bose-Einstein condensation in dilute gases of alkali
原子のボース凝縮(原子レーザー)
atoms, and for early
fundamental studies of the properties of the
condensates
Roy J. Glauber for his contribution to the quantum theory of optical
coherence"
光のコヒーレンス
John L. Hall、Theodor W. Hänsch for their contributions to the
development of laser-based
precision spectroscopy, including the
光の絶対周波数測定
optical frequency comb technique"
(例)ボース凝縮生成のための光学系
BEC実験装置@MIT
デモ実験
• 偏光板実験(量子Zeno効果のデモ実験)
• セロテープの光物性(複屈折性および分散特
性)
• 方解石の不思議(複屈折によるウォークオフ)
電磁気学
(マックスウェル方程式)
の復習
マクスウェル方程式(積分形)
時間変化する電磁場の基本方程式


 0 E  dS  dV
S
ガウスの法則
V
B
E  dr  
 dS 電磁誘導の法則
t
C
S


アンペール・
E 

B  dr   0  j   0
  dS マックスウェル
t 
C
S
の法則


S

B  dS  0 磁場のガウスの法則
マクスウェル方程式(微分形)
 0  E  
B
E  
t
E 

  B  0  j   0

t 

B  0
基本的に、これだけ知っていればいい
(いつでも(物質中でも)正しい)
真空中のマクスウェル方程式
E  0
B
E  
t
1 E
B  2
c t
B  0

c  1

 0 0





波動方程式の導出①
B
E  
t
左辺=
の両辺に左から∇をかけると
    E     E     E  E
B

  1 E 
右辺=   
    B     2

t
t
t  c t 
1  2E
 2
2
c t
2
1  E
したがって E  2
←3次元波動方程式
2
c t
波動方程式の導出②
1 E
B  2
の両辺に左から∇をかけると
c t
左辺=
    B     B     B  B
1
E
1 
1   B 
右辺= 2  
  E    2  
 2
c
t c t
c t  t 
1  2B
 2
c t 2
2
1  B
したがって B  2
←3次元波動方程式
2
c t
波動方程式の解
1  2 E (r , t )
E (r , t )  2
c
t 2
成分をあからさまに書けば
 E x (r , t ) 
 E x (r , t ) 
2
 1  

 

 
 2  2  2  E y (r , t )   2 2  E y (r , t ) 
y
z 
c t 
 x


E
(
r
,
t
)
E
(
r
,
t
)
 z

 z

2
2
2
電場はy軸方向を向いている(y軸方向に偏光している)とする
 2
2
2 
1 2
 2  2  2 E y (r , t )  2 2 E y (r , t )
y
z 
c t
 x
E x (r , t )  E z (r , t )  0
ところで、マックスウェル方程式   E (r , t )  0 より



E x (r , t ) 
E y (r , t ) 
E z (r , t )  0
x
y
z
であるので、これと E x (r , t )  E z (r , t )  0 より、必然的に

E y (r , t )  0
y
となる。したがって、y軸方向を向いた電場の波は、y軸方向には
空間依存性がない。つまり、電場の波はy軸方向に進行できない
電磁波は横波
電場の波は+x軸方向に進行しているとする(z軸方向の空間
依存性はないとする)と、波動方程式は1次元に帰着できる
2
1 2
E y (x , t )  2 2 E y (x , t )
2
x
c t
一般的な解の形はEy (x  ct ) と表せるが、振動する解は

Ey (x , t )  E cos(kx  t ) ただし c   f
k
2
:波数   2f :角周波数
k

(λ:波長、 f :周波数)
対応する磁場の解は
B z (x , t )  B cos(kx  t ) ただし B  E / c
+x方向に進行する電磁波
http://web.mit.edu/8.02t/www/
可視光線
400 nm~800 nm
AMラジオ
FMラジオ
電子レンジ
無線LAN {
衛星放送
遠赤外線ヒーター
医療用レーザー
10.6μm
{
レントゲン
~0.1 nm
放射線
物質中のマックスウェル方程式
この講義(光エレクトロニクス)では
物質≒誘電体
誘電体(dielectric medium)とは、電場E
によって分極Pが誘起される物質(磁気的
性質はないとする)
分極(ベクトル)の定義
分極ベクトルとは、
単位体積あたりの双極子モーメントの和
P  np  nqδ
+
-
dS
-
P
P
dS
d
+
-
+
-
+
-
d
d
d
+
-
d
+
-
+
-
+
-
d
d
d
+
-
d
d
d
d
+
+
-
++-
-
d
+
d
+
d
+
d
 dS  nqδ  dS
 nq  ddS cos
面素dSを通過した電荷の量
分極電流
分極の時間微分は、電流密度の定義そのものである
(分極電流密度)
P
j
t
この分極電流は、アンペールの法則のjに代入しなけ
ればならない
E 

  B  0  j   0

t 

P
代入
t
分極電荷
電荷の保存則より
P
d
d
 dS  
dV
j  dS  
dV 
t
dt V
dt V
S
S
P
d
d
代入

P  dS  
dV
t
dt S
dt V








 P  dS   dV    P   
P

s
S
V
分極の湧き出し(のマイナスは)、
電荷密度を与える(分極電荷密度)。
この分極電荷密度は、ガウスの法則の
に代入しなければならない。
誘電体(分極がある媒質中)の
マクスウェル方程式
 0  E  
代入
  P
B
E  
t
E 

  B  0  j   0

t 
 P
B  0
t
代入
誘電体(分極がある媒質中)の
マクスウェル方程式
  P   0 E   0
B
E  
t

  B  0 P   0 E 
t
B  0
電束密度
次のベクトル場を便宜的に定義してみる
D   0 E  P (電束密度)
すると、マックスウェル方程式は、以下のように簡単になる
 D  0
B
E  
t
D
  B  0
t
B  0
更に、次のベクトル場(磁場)を便宜的に定義してみる
H
1
0
B  M  B   0 (H  M )
誘電体では、近似的に磁化ベクトルM=0である。すると、
B = 0Hより,マクスウェル方程式は、次のように表現できる:
 D  0
H
  E  0
t
D
H 
t
  B  0   H  0
電磁波のエネルギー密度
何が保存する量か?
-)
H
 1
H    E   0 H 

0 H 2
t
t 2
D
P
E
P  1
E    H   E 
E
  0E 
E

 0E 2
t
t
t
t t 2
 1
1
P
2
2
  E  H      0 E   0 H   E 
t  2
2
t

電磁波の
分極電流に
エネルギー密度 なした仕事
E  H  S :ポインティングベクトル(Poynting vector)
分極と電場の関係
空間依存性
空間対称性
波長依存性
線形性
均一
Homogeneous
等方的
Isotropic
非分散的
Nondispersive
線形
Linear
不均一
非等方的
Inhomogeneous anisotropic
(ファイバー)
(複屈折性)
分散的
非線形
Dispersive
Nonlinear
(吸収と分散) (SHGなど)
最も簡単な関係
Homogeneous, isotropic, nondispersive,
and Linear
P   0 E
 :電気感受率(electric susceptibility)
D  P   0 E   0 (1   )E  E
   0 (1   ) :誘電率(electric permittivity)
一様媒質中のマクスウェル方程式
Homogeneous, isotropic, nondispersive,
and Linear case ( P   0 E)
E  0
H
  E  0
t
E
H  
t
H  0
真空中のマクスウェル方程式の0を単にに置き換えたもの
一様媒質中の電磁波(平面波)
Homogeneous, isotropic, nondispersive,
and Linear case (P   0 E)
E(r ,t )  E0 cos(k  r  t )  Re[E0e i kr t  ]
H (r ,t )  H 0 cos(k  r  t )  Re[H 0e i kr t  ]

1
光速: c  
 0
(位相速度) k
c0



 1   1
屈折率: n 
c
0
2
E, H, kの関係
k:波数ベクトル(wave vector)
  E  0 より k  E  0
H
より k  Ε  0H
  E  0
t
したがって、 k  Ε  H
 E 0  0 H 0
覚えると便利!
TEM(Transverse Electromagnetic) wave
誘電率の異なる誘電体間の境界条件
1
分極がある媒質中の
マクスウェル方程式
 D  0
2
→Dの垂直成分は連続
D1n  D2n  1E1n   2E2n
H
  E  0
t →Eの水平成分は連続
E1t  E2t
D
H 
→H(B)の水平成分は連続
t
H H
1t
H  0
2t
→H(B)の垂直成分は連続
H1n  H 2n
入射波、屈折波、反射波
屈折波(透過波)
反射波
i (k 3 r t )
E 3 (r , t )  E 3e
k 3  k 3 (sin 3 , 0,  cos 3 )
入射波
E1 (r , t )  E1e i (k1 r t )
k1  k1 (sin1 , 0, cos1 )
E 2 (r , t )  E 2e i (k 2 r t )
k 2  k 2 (sin 2 , 0, cos 2 )
一般に

ki  n i
c0
であるから
n2
k1  k 3 , k 2 
k1
n1
境界面での境界条件
境界条件(電場、磁場の連続性)を満たすには、まず第一に境界面
での入射波、反射波、屈折波の位相が一致していなければならない。
つまり、 r  (x , y , 0) において k1  r  k 2  r  k3  r 。ゆえに、
k1 sin1  k 2 sin 2  k3 sin3
n2
 sin1 
sin 2  sin 3
n1
したがって
1  3
(鏡面反射)
sin1 n 2
(Snell’s low)

sin 2 n1
P偏光とS偏光
入射面と電場が垂直(Transverse Electric):TE偏光、S偏光
(ドイツ語senkrecht=perpendicular)
入射面と磁場が垂直(Transverse Magnetic):TM偏光、P偏光
(parallel)
S偏光
入射面
P偏光
フレネル(Fresnel)の式
n1 cos1  n 2 cos 2
sin(1   2 )
rs 

n1 cos1  n 2 cos 2
sin(1   2 )
2 cos1 sin 2
ts  1  rs 
sin(1   2 )
n 2 cos1  n1 cos 2 tan(1   2 )
rp 

n 2 cos1  n1 cos 2 tan(1   2 )
n1
2 cos1 sin 2
1  r p  
tp 
n2
sin(1   2 ) cos(1   2 )
TE偏光(S偏光)の光の反射率と位相
External Reflection (n1<n2)
Internal Reflection (n1>n2)
全反射(Total Internal Reflection)
 n2 
c  sin  
n1 
1
TM偏光(P偏光)の光の反射率と位相
External Reflection (n1<n2)
ブリュースター角(Brewster angle)
 n2 
 B  tan  
n1 
1
Internal Reflection (n1>n2)
エバネッセント波(Evanescent wave)
n2
1
sinc 

 1 と定義すると、スネルの法則より、
n 1 n 12
2
2
cos


i
n
sin
1  1
sin 2  n12 sin1  1
2
12
E 2 (r , t )  E 2e
i (k 2 r t )
 E 2e
 E 2e
 E 2e
i k 2  x sin  2  z cos  2 t 
2
i k 2  xn 12 sin 1 iz n12
sin2 1 1  t 

 


z
z0
e
i k 2 xn 12 sin 1 t 

 z 0



2
n12
sin2 1 1 
1

k2
エバネッセント波(つづき)
n2
ところで、k 2 
k1  k 2n12  k1 であるから、
n1
E 2 (r , t )  E 2e

z
z0
e i k2xn12 sin1 t   E 2e
z
 0



z
z0
e i k1x sin1 t 
1
k1
sin 2 1 sin 2 C
x軸方向の波数: k1 sin1  k2 
z軸方向へのしみ出し: z 0 
1
2
sin2 1 sin2 C



色々なエバネッセント波
http://www.opt.ip.titech.ac.jp/room1/research/nfo.htmより転載
走査型近接場光学顕微鏡(SNOM)
偏光ビームスプリッター
(PBS: Polarizing Beam Splitter)
消光比(extinction ratio):
p偏光とs偏光の透過率の比
良い物 1,000:1
悪い物
10:1
グランテーラープリズム
複屈折性および臨界角の屈折率依存性を利用
消光比(extinction ratio):
100,000:1
分極と電場の関係
空間依存性
空間対称性
波長依存性
線形性
均一
Homogeneous
等方的
Isotropic
非分散的
Nondispersive
線形
Linear
不均一
非等方的
Inhomogeneous anisotropic
(ファイバー)
(複屈折性)
分散的
非線形
Dispersive
Nonlinear
(吸収と分散) (SHGなど)
非等方的な誘電体
一般の結晶では、分極の向きが電場の向きと一致するとは限らない
P   0 E
一般には、次にように表せる(線形性が成り立つ範囲)
 Px 
 11 12 13  E x 
 

 
 Py    0   21  22  23  E y 
P 

 
 z
 31  32  33  E z 
電気感受率テンソル
x, y, z 軸を適当に選べば、常に非対角成分を0にすることができる
 Px 
 1 0 0  E x 
 

  このとき、x, y, z 軸を
 Py    0  0  2 0  E y 
P 
 0 0   E  結晶の主軸と呼ぶ
3  z 
 z

複屈折(偏光方向による屈折率の違い)
結晶の主軸(x, y, z 軸)方向に偏光した電磁波の場合、
P   0 i E
←分極と電場の向きは等しい
D  P   0E   0 (1  i )E
  i E (i  1, 2, 3)
結晶の主軸(x, y, z 軸)方向に偏光した電磁波の速さと屈折率は、
ci 
1
 i 0
c0
i
ni 

ci
0
結晶の種類
等方結晶(Isotropic Crystal )
n1  n 2  n3
(単なるガラスと同じ)
単軸結晶(Uniaxial Crystal )
n1  n 2  n3
n1  n 2  no
n3  ne
このとき、z軸は光学軸
(Optical Axis)と呼ばれる
正常(Ordinary)
異常(Extraordinary)
二軸結晶(Biaxial Crystal )
n1  n 2  n3
屈折率楕円体
x2 y2 z2
 2  2 1
2
n1 n 2 n 3
ˆ
波の進行方向: u
原点を通り、u
ˆ に垂直な面に
よる楕円体の断面(楕円)を
考える
u
断面の長軸および短軸の
方向が、基本モードの偏光
方向(Da、Db)
断面の長軸および短軸の
長さの半分が、その偏光
方向の屈折率na, nb
D, E, H, S, kの関係
D, E, Hの空間時間依存性は、すべて同じく e
i k r t 
と表せるので、
H
  E   0
 k  E   0H
t
D
H 
 k  H  D
t
ポインティングベクトル
S  E H
は必ずしもkに平行ではない
フレネルの法線方程式(法線面)
k  E  0H
より k  (k  E )   2 0D  0
k  H  D
D  εE ,
 1 0

ε   0 2
0 0

0

0  を代入すると
 3 
 n12k 02  k 22  k 32
 E x 
k1k 2
k1k 3

 
2 2
2
2
k 2k1
n 2k 0  k1  k 3
k 2k 3

 E y   0

2 2
2
2 

k
k
k
k
n
k

k

k
E
3 1
3 2
3 0
1
3  z 

k
2
2
2
2

1
よって  2
k  k1  k2  k3 , k0   /c 0
2 2
i 1,2,3 k  n i k 0
2
i
単軸結晶の法線面(k surface)
正常波(Ordinary wave)と
異常波(Extraordinary wave)
方解石によるウォークオフ
方解石を用いた偏光ビームスプリッター、
ビームディスプレーサー
ウォラストンプリズム
ビームディスプレーサー
波長板(Wave Plates)
Retardation
n F  nS
  2
d
0


4


2
 
:λ/4板(quarter-wave plate)
:λ/2板(half-wave plate)
ヘルムホルツ方程式
マクスウェル方程式より、
1  2E
E  2
c t 2
←3次元波動方程式
 E x (r , t )
2


 



1 
  2 
 2  E y (r , t )  2 2
2
y
z 
c t
 x

 E z (r , t )
2
2
2
 E x (r , t )


 E y (r , t )
 E (r , t )
 z

電磁波は特定の方向にのみ偏光しているとし(近似し)、
その成分をuとする。また時間依存性はe-itであるとすると
u  k u  0
k   / c 
2
ヘルムホルツ方程式
ヘルムホルツ方程式の解
u  k u  0 の解として、u  f (x , y , z )e
2
ikz
の形のものを探してみる。方程式に代入すると、
2 f 2 f 2 f
f
 2  2  2ik
0
2
x
y
z
z
波の振幅 f がz方向に関して(波長スケールで)緩やか
に変化する場合(slowly varying envelope approximation)
2 f
f
2 f 2 f
f
 k
 2  2  2ik
0
2
z
z
x
y
z
Paraxial (近軸)ヘルムホルツ方程式
近軸ヘルムホルツ方程式の解①
 
A
x 2  y 2 
A ikr

u(r )  expik  z 
u(r )  e 
r
z
2z 
 
近似
2
2
2
2
2 1/ 2



A
x

y
r  x  y  z 
 f  expik



1/ 2
z
2z  



x2  y2 
 z 1 
z2

x2  y2
z
2z
u(r )  Aeikz
( f  1)


この2つは解になっている
近軸ヘルムホルツ方程式の解②
放物面波(paraboloidal wave)の場合、
 x 2  y2 
A
f  expik

z
2
z


z  z  iz 0 と置き換えても、近軸ヘルムホルツ方程式を満たす
 x 2  y 2  ←実はこれが既に
A
f 
expik
 ガウシアンビームを
z  iz 0
 2(z  iz 0 ) 表している。
関数R(z), w(z)を次のように定義する:
z  iz 0
1
1
2
 2


i
z  iz 0 z  z 02 R (z )
kw 2 (z )
  z0 
R (z )  z 1   
  z 
2



  z 2 
w(z )  w0 1    
  z 0  
1/ 2
1/ 2
 2z 0 
w0  

 k 
ガウシアン(Gaussian)ビーム
 x2  y2  1

A
2


f 
exp ik
i
2
z  iz 0
2  R (z ) kw (z ) 




w0
2 
2
 A0
exp  2
 i (z )
 exp ik
w (z )
 w (z ) 
 2R (z )

u  feikz
 


w0
2 
2 
  i (z )
 A0
exp  2
 exp ik  z 
w(z )
2R (z ) 
 

 w (z ) 
2
 2 2 
 w0 
I  u  I0

 exp  2
w
(
z
)
w
(
z
)




2

 z 

1
  (z )  tan   
 z 

 0


2
2 1/ 2 
   (x  y )

z軸上の強度変化
z0: Rayleigh range
(レイリー長)
2
 w0 
I0
I (0,0, z )  I 0 
 
2
w
(
z
)
1

(
z
/
z
)


0
ビーム半径(Beam radius)
 z 
w(z )  w0 1   
  z 0 
2



1/ 2
 z 0 
w0  
 :beam waist
   (ビームウエスト)
w (z ) w 0

 0  lim


z 
z
z 0 w 0
1/ 2
:divergence angle
(広がり角)
焦点深度(depth of focus)
ビーム半径が 2w0以下である領域の長さ
(強度が I 0 / 2 以上である領域の長さ)
2z0: depth of focus (confocal parameter)
ガウシアンビームと不確定性原理
h
h
x  w 0  p 

x w 0

p
h
h
p 
w0

p  h


 

p h w0 w0
ビームはどこまで絞れるのか?
2w0
0



 w0 
w0

0  

2
より
w0  
ビームは波長以下には絞れない
波面の曲率
  z 0  2  z z
R (z )  z 1     0  z
  z  
c.f. paraboloidal wave
 
 2 

u  exp ik  z 
2z 
 
エルミート・ガウシアンビーム
 w0   2x   2y 
ul ,m (x , y , z )  Al ,m 
G m 

Gl 
w
(
z
)
w
(
z
)
w
(
z
)
 


 
 

x2  y2 
  i (l  m  1) (z )
 exp ik  z 
2R (z ) 
 


  2 
Gl ( )  H l ( ) exp    
 2 




分極と電場の関係
空間依存性
空間対称性
波長依存性
線形性
均一
Homogeneous
等方的
Isotropic
非分散的
Nondispersive
線形
Linear
不均一
非等方的
Inhomogeneous anisotropic
(ファイバー)
(複屈折性)
分散的
非線形
Dispersive
Nonlinear
(吸収と分散) (SHGなど)
(誘電体)薄膜導波路
全反射を繰返して進むTEM波
入射角の条件と開口数(NA)

NA  sina  n  n
sin入射  sina
2
1

2 1/ 2
2
a : acceptance angle
TE波とTM波
TE (Transverse Electric)波
TM (Transverse Magnetic)波
固有モードの条件
2回反射した波ともとの波の位相が等しい
→定在波(固有モード)
k  (0, n1k 0 sin , n1k 0 cos )
2
2d sin

 2r  2m
2k d  2
y
r
 2m
(m  0, 1, 2, )

復習:TE波の全反射
tan
r
2

sin 

2
 sin c
cos1
1
2

1/ 2
1/ 2
 sin c

全反射による位相シフト: tan  
 1
2
2  sin 

r

1
2
  / 2   , c   / 2  c

定在波(固有モード)の条件:
2
2d sin

r
 
 d
 2r  2m  tan  sin  m   tan
2 
2
 
以上より、
1/ 2
   sin c 
 d
tan  sin  m   
 1
2
2   sin 
 

2
可能なsin の値
1/ 2
   sin c 
 d
tan  sin  m   
 1
2
2   sin 
 

2
固有モードの波数ベクトル
k  (0, n1k 0 sin , n1k 0 cos )
y
ky  n1k0 sin
n1k 0

z
k z  n1k 0 cos  
m  n1k 0 cosm
Propagation constatnts
(伝播係数)
モードの数
sinc
d
M
 2 NA
 / 2d
0

NA  sina  n  n
2
1

2 1/ 2
2
固有モード(TE波)の空間パターン
d
d
 y 
2
2
y 
d
2
cosn1k 0 sinm y , m  0, 2, 4,
um (y )  
 sinn1k 0 sinm y , m  0, 2, 4,
um (y )  exp   m y 

2
m
 m2  n 22k 02

二次元導波路
2
  2d 
2


M 
NA

4  0 
導波路内の群速度
k   / c1   
2
y
2
2

vg 

色々なファイバー
入射角の条件と開口数(NA)

NA  sina  n  n
2
1

2 1/ 2
2
円筒座標系における
ヘルムホルツ方程式
2
2
2

u
1

u
1

u

u
2 2
2 2
u  n k 0 u  0  2 
 2


n
k0  0
2
2
r
r r r 
z
固有モードの数
V  2
a
0
NA
ファイバ中の固有モード
LP01
U (r , , z )  u (r )e il  e iz
J l (kT r ), r  a
um (y )  
K l ( T r ), r  a
LP34
Jl(x): l次の第一種ベッセル関数
Kl(x): l次の第二種ベッセル関数
LPlm:直線偏光モード
ファイバーのカタログ
分極と電場の関係
空間依存性
空間対称性
波長依存性
線形性
均一
Homogeneous
等方的
Isotropic
非分散的
Nondispersive
線形
Linear
不均一
非等方的
Inhomogeneous anisotropic
(ファイバー)
(複屈折性)
分散的
非線形
Dispersive
Nonlinear
(吸収と分散) (SHGなど)
一般的な電場と分極との線形関係
Pe
it
  0  ()Ee
it
 ( )   ' ( )  i ' ' ( ) :複素電気感受率
D  P   0 E   0 (1   ( ))E  E
 ( )   0 (1   ( )) :複素誘電率
分散性媒質中の電磁波
媒質中をz軸方向に伝播する電磁波(電場)を
E (r , t )  xˆ E (z , t )  xˆ E 0 expi (Kz  t )
と表すことにすると、マクスウェル方程式より
K2 
2
(1   ())  k 2 (1   ())
c2
|  ( ) | 1 と仮定すると、
 ' ( )
 ' ' ( ) 

K  k 1   ( )  k 1 
i

2
2 

吸収係数と屈折率
Kの値を代入して、
 

'
 '' 
E (z , t )  E 0 exp ik 1   i
z  i t 
2
2 
 

  
 E 0 exp   z  exp i k ' z  t 
 2 
I ( z)  I 0 exp z 
  k ' ' :吸収係数

k '  k 1   ' / 2
n  1   ' / 2 :屈折率

(余談)線形システム


f out (t )  h (t   ) f in ( )d

フーリエ変換
Fout ( )  H ( )Fin ( )
P ()   0  ()E ()
Kramers-Kronigの関係
 ' ' ( ' )
2
 ' ( )  P.V.
d '  P.V.
   '


  ' ( ' )
1
2
 ' ' ( )  P.V.
d '  P.V.
    '


1



 '  ' ' ( ' )
d '
2
2
0  ' 
  ' ( ' )
d '
2
2
0   '



証明に必要なもの:


E
it
it
は実数なので、
P
(
t
)



(

)
e


(


)
e
①
0
2
  ()   ()   ' ()   ' (),  ' ' ()   ' ()
偶関数
奇関数
②  ( ) 


h (t )e it dt は上半平面で正則(因果律より)

分極のミクロな古典モデル
(調和振動子)
d x
dx
e
2
it
 2
 0 x   Ee
2
dt
dt
m
it
x  x ( )e とおいて代入すると
2
e
E
x ( )   2
m   2i   02
2

 it
ne
1
it
Pe
 nex   0 
 2
Ee
2 
  0m   2i  0 
振動子の密度
 ( )
ne
1
 ( )  
 2
2
 0m   2i  0
2
  0 (共鳴付近)のときは
ne
1
d  i
 ( )  

 2
2
2m 00   0  i
d 
d    0 
d


'
(

)


A
2
2

半値半幅:
d




 ' ' ( )  A 
d
2
2




d 

2
K-K関係を満たしているか?
 ' ' ( )  A

(   0 )  
2
2
代入
 ' ' (' )
 ' ()  P.V.
d'
  '

1


計算結果
  0
 ' ( )   A
2
2
(   0 )  
実際に確認してみよう!
(レポート問題)
ne
1
 ( )  
 2
2
 0m   2i  0
2
  0 ,   0 (非共鳴(吸収なし))のときは
2
ne
1
1
 ( )  
 2
 2
2
2
m 0   0 0  
実部のみ(吸収なし)
c0
 ( )
n ( ) 

 1   ( ) より
c ( )
0
n
2

()  1
1

 
C   C   
2
0
2
2
0
2

典型的なガラスの分散特性
色々なガラスの屈折率の波長依存性
基礎実験(ガラスの屈折率)
波長
(nm)
屈折率
579
1.7387
577
1.7398
546
1.7434
492
1.7544
435
1.7716
408
1.7839
405
1.7865
鳥井の実験ノートより転載
共鳴周波数を求める
Y
0.50
n
2

()  1
1
 C02  C2
(n2-1)-1
Y=0.53-0.012X
0.45
2.5
3.0
3.5
4.0
4.5
-2
-6
5.0
-2
 (10 nm )
5.5
6.0
6.5
X
比誘電率と屈折率の関係
 (  0)
KE 
0
 ( )
n ( ) 
0
種々の分子の永久双極子モーメント
2準位原子とレーザー光との相互作用
E 0
A
2
A
2
|2
E (t )  E 0 xˆ cosL t
|1 
(電気双極子近似における)
相互作用ハミルトニアン
Hˆ  Hˆ 0  dˆ  E  Hˆ 0  eDˆ x E (t )
変位演算子
Dˆ x 
xˆ i

電気双極子相互作用
 A
 A
ˆ
ˆ
H 0 |1   
| 1 , H 0 | 2  
|2
2
2
 
i
2準位原子の波動関数と密度行列
波動関数
|  (t )   c 1 (t ) | 1  c 2 (t ) | 2 
確率振幅の単なる書き換え
i

 i

 C1 (t ) exp   L t  | 1  C 2 (t ) exp    L t  | 2 
2

 2

密度行列:  |  |
11  1 |  | 1  C1 (t )C1* (t )
←基底状態の存在確率
 22  2 |  | 2  C 2 (t )C 2* (t ) ←励起状態の存在確率
12  1 |  | 2  C1 (t )C 2* (t ) exp(iL t )  ~12 exp(iL t )
 21  2 |  | 1  C 2 (t )C1* (t ) exp( iL t )  ~21 exp( iL t )
2準位原子1個の分極
P (t )  e   | Dˆ x |  
 e 11  1 | Dˆ x | 1   12  2 | Dˆ x | 1 
  21  1 | Dˆ x | 2    22  2 | Dˆ x | 2 


原子は永久双極子モーメントを持たないと仮定する
 1 | Dˆ x | 1  2 | Dˆ x | 2  0 より
P (t )  e[ 12  2 | Dˆ x | 1    21  1 | Dˆ x | 2 ]
 d ~ exp(i t )  ~ exp( i t )
12
ただし
12
L
21
L
d12  e  1 | Dˆ x | 2  e  2 | Dˆ x | 1 
2準位原子の複素電気感受率
定義:
Pe
iL t
iL t
  0  (L )Ee
iL t
iL t
Pe
1 P (t ) のe
成分 2d12 ~
 (L ) 


 21
iL t
iL t
 0 E (t ) のe
 0Ee
成分  0 E 0
~
 (L )   21
複素電気感受率は密度行列の対角成分に比例する
原子系の時間発展
シュレーディンガー方程式は


ˆ
H |  i |  Hˆ  Hˆ 0  eDˆ x E0 cosLt
t
e  1 | Dx | 2  E 0
d12E 0
と定義すると(ラビ周波数)




 A
ˆ
| 2  2 |  | 1  1 |
H 
2
exp(iL t )  exp( iL t )
| 1  2 |  | 2  1 |
2

回転波近似
(Rotating-wave Approximation)

 1 | Hˆ |   i  1 |  
t
無視
dC1 (t ) 

1  exp( 2iL t )C 2 (t )
 i
 (L   A )C1 (t ) 
dt
2
2

ˆ
 2 | H |   i  2 |  
t
無視
dC 2 (t )


exp( 2iL t )  1C1 (t )
 i
  (L   A )C 2 (t ) 
dt
2
2
結果的に
d  C 1(t )    d   C 1(t ) 
  


i 

dt C 2(t )  2    d C 2(t ) 
ラビ振動

'
C1 (0)  1, C 2 (0)  0 とすると、 C 2 (t )  i sin t
'
2
'  2  d 2 :一般化ラビ周波数
2
2

'

1  cos ' t
2
C2 (t )  22  2
sin
t 2
2
2
 d
2
 d
2
2
1.0
d=0
d=
d = 3
22
0.8
0.6
0.4
0.2
0.0
0
2
4
6
8
t
10
12
14
フェルミの黄金則
|C2(t)|
  0 の極限では、
sin2 dt / 2
2
C 2 (t )   2


2
2 2
 t /4
d2
 2d ( L   A )t
2
-4 / t
-2 / t
遷移レート(単位時間当たりの遷移確率)
2
C2 (t ) / t 

2
0
2 / t
4 / t
d
 2d ( L   A )
相互作用ハミルトニアン
2  2 | eDx E0 | 1 
フェルミの
 2
d ( L   A )
黄金則

2
2
回転波近似
緩和(自然放出)のある場合
dC 2 (t )

 d

 i C1 (t )   i   C 2 (t )
dt
2
 2

d 22 dC 2 (t ) *
dC 2* (t )

C 2 (t )  C 2 (t )
dt
dt
dt
 ~
 222  i (  21  ~12 )
2
  22   Im(~21 ) (  2 :自然放出レート)
d~12 dC1 (t ) *
dC 2* (t )

C 2 (t )  C1 (t )
dt
dt
dt

~
 (id   ) 12  i (  22  11 )
2
d11 dC1 (t ) *
dC1* (t )

C1 (t )  C1 (t )
dt
dt
dt
 ~
 i ( 12  ~21 ) 確率保存しない
2
11   22  1
d11
 ~
  22  i ( 12  ~21 )
dt
2
 (1  11 )   Im(~21 ).
ブロッホベクトル
~
~
~
U  12   21  2 Re(  21 )
V  i ( ~12  ~21 )  2 Im( ~21 )
'
 ''
W   22  11
 dW
 dt  (W  1)  V

 0
 dU
 U  dV

 dt
 dV
 dt  V  dU  W


 d  
 dt    


  (, 0, d )

2
2
     d  


定常状態の解
2d s (d )
2 s (d )
1
U
, V 
, W 
 1  s (d )
 1  s (d )
1  s (d )


2
1
 s(d )  s0 L(d ), s0  2 , L(d ) 

2 
2
1  (d /  ) 

1
s (d ) d  i
~
 21  (U  iV ) 

2
1  s (d )

2d12 ~21
d122
L(d )



(d  i )
2
 0 E0
 0  1  s(d )
自然放出レートと双極子モーメントとの
関係
ウィグナー・ワイスコップの自然放出の理論(1930)より
6 0 
d 
d k
2
  2 

 d12 
3
3
3 0 c
3 0 
k
2
12
3
2
12
3
したがって、
L(d )  d  i 
 
  6

 

2 
1  s(d )


3
3
d122 E02 1
2
6


s0  2  2 2   0 cE02 
 I  I s  c3 
Is 
2
2 
2
c
6 
飽和強度
2準位原子の複素電気感受率
量子論的2準位原子
d

3

  6  d 2  1  s  2  

0


   6 3
2
2



d

1

s

0

古典的調和振動子
d


1  s0      A d 2   2


   A 

d2  2
1.0
s0= 0
s0= 1
0.8
"/max
0.6
自然幅
(natural linewidth)

1  s0 
0.4
0.2
0.0
-0.2
-0.4
-0.6
-5
-4
-3
-2
-1
0
d /
1
2
3
4
5
飽和(パワー)広がり
(power broadening)
1  s0   1  I / I s 
原子の吸収断面積
密度nの原子気体の吸収係数
  nk   n (d )
原子数密度
 (d )   0
 0  6
I ( z)  I 0e
2

2
d  (1  s 0 )
2
2
:吸収断面積
:共鳴吸収断面積
z
 I 0e
 n (d ) z
光学密度
(optical density)
ここまでのまとめ(要点)
1. 2準位原子の複素電気感受率は、飽和パラメタ
s0= I/Is << 1では古典的調和振動子と同じである。
2. 2準位原子の場合、共鳴の幅  を決めるのは、
自然放出(励起準位の寿命)である( 1/ )。
3. s0<< 1でない場合、幅は(1+ s0)1/2倍に広がり、
ピークは1/(1+ s0)倍に下がる (飽和広がり) 。
4. 1原子あたりの共鳴吸収断面積は、遷移モーメン
トによらず  0  6 2 。
均一幅と不均一幅
均一幅
不均一幅
(homogeneous width) (inhomogeneous width)
・自然幅
・衝突(圧力)広がり
・相互作用時間
(フーリエ限界幅)
どの原子も同じχ
・ドップラー広がり
・環境(磁場、電場)
の不均一
原子ごとにχが異なる
有限な相互作用時間による幅
(フーリエ限界幅)
C2(t)|(t )
|C
2
2

2
sin2 dt / 2
d2
t = 0.5
t=1
t=2
2 2
 t /4

-4 / t
-2 / t
0
d
2 / t
4 / t
-3
-2
-1
0
1
2
d/2
2
 
   t  2
t
時間と周波数(エネルギー)の不確定性
3
ドップラー広がり
ドップラーシフト
A  0  k  v  0  kv
Maxwell-Boltzmann分布
f (v ) 
 D (d ) 



1
2 v RMS
vはレーザー光の進行
方向の速度成分とする
2

v
exp   2
 2v RMS

 v RMS  k B T

m

f (v ) (d  kv )dv (合成積)
2




d
   D
0
 D  kv RMS


 exp  
2 
2 D 
 2(D ) 
光共振器の基礎知識
Fabry-Perot(ファブリペロー)共振器
F 
T ( )
c
2d
Tmax
T ( )  I t / I i 
2
2
1  (2F /  ) sin  / F 
|t2 |
Tmax 
, t  t1t 2 , r  r1r2
2
(1  r )
F
r
1/ 2
1r
フィネス
(finesse)
c FSR(Free Spectral
F 
2d Range)
共振器のロスとフィネスの関係
1往復後の強度減衰定数
r  R1R2 exp( 2sd )  exp( 2r d )
2
1
1
1 R
r   s 
ln
 s 
2d R1R 2
d
(R  R1  R 2  1)
 exp(  r d / 2)

F


1r
1  exp(  r d )  r d
r 1 / 2
共振器の共鳴幅と寿命の関係
共振幅
F
cr
 

F
2
共振器内の光子(電磁場のエネルギー)の寿命
p 
1
c r
 2   
1
p
時間(寿命)とエネルギーの不確定性関係
Ring-down法による
共振器の寿命測定
Ring-down法による測定結果
1.0
1.00
0.8
0.37
Detected Intensity [a.u.]
Detected Intensity [a.u.]
Experiment
Fitting [ln(I)=-1/+ln(I1)]
Experiment
Fitting [ I = I1*exp(-t/) + I0]
0.9
0.7
0.6
0.5
0.4
0.3
0.2
0.14
0.05
0.02
0.1
0.0
0
2
4
6
Time [s]
8
10
0
2
4
6
Time [s]
減衰時定数 τ = 3.6 s
反射率
R = 0.999982 → F = 1.7×105 , Q = 4.4×107
透過率 14 ppm
損失
4 ppm (ミラー表面上における散乱、吸収)
8
10
共振器のQ値(Quality Factor)
2 (共振器に蓄えられたエ
ネルギー)
Q
(1サイクルあたりの
エネルギー散逸)
c r
c r
1サイクルあたりに散逸されるエネルギーの割合:
0
 F cr
0 0

F
 

より、Q 
d  F
F
2
単位時間に散逸されるエネルギーの割合:
ガウスビームを閉じ込めるには?
鏡の位置での波面の曲率と
鏡の曲率が一致すればよい
(復習)ガウシアンビームの曲率
  z 0  2  z z
R (z )  z 1     0  z
  z  
安定条件を求める
z 02
z 02
R1  z 1 
,  R2  z 2 
z1
z2
(凹(凸)面鏡ならR<0(>0)と定義)
z 2  z1  d
これらの式より、
d (R1  d )(R 2  d )(R1  R 2  d )
z 
2
(R1  R 2  2d )
2
0

d 
d 
1 
  1
z  0 であるためには、 0  1 
 R1  R 2 
2
0
共振器の安定条件
g 1  1  d / R1
g2  1  d / R2
レーザーによる光の増幅
N2
N1
吸収断面積と誘導放出断面積は等しい
|2
(アインシュタインのB係数)
|1 
吸収(増幅)係数
 (d )   0

2
d  (1  s 0 )
2
反転分布
N 1 (d )  N 2 (d )  (N 2  N 1 ) (d )
N 2  N 1 :増幅
N 2  N 1 :減衰
2
世界最初のレーザー
Maiman(1960)
レーザー(メーザー)の特性
コヒーレントである
(媒質が持つ周波数幅より狭い電磁波を発生する)
(タウンズ(メーザーの発明者)の自伝より)
ボーアの反応
「そんなことは不可能だ!」
→(説得後)「ああそうか、多分君の言うとおりだろう」
フォン・ノイマンの反応
「そんなはずはない!」
→(15分後)「分かった、君の言うとおりだ」
彼らの判断の根拠はエネルギーと時間の不確定性原理
メーザー開発のエピソードが
物語っていること
・レーザーの原理は量子力学の基本(誘導放出)
だが、30年間誰も実現しようと思わなかった
→意外と眠っている素晴らしいアイデアがある
(ファインマン曰く、素晴らしいアイデアかどうかは
「僕がそれに気がつくんだった」と言うかでわかる)
・ボーア、フォンノイマンといった量子力学の大御所
が、レーザーの特性を直感的に理解できない。
→偉い先生の言っていることを信用してはならない