第2章 組織における行動

第2章 組織における行動
Anthony and Govindarajan
Management Control Systems
マネジメントコントロール
システムの意義
目標に整合的な行動へ影響を及ぼすのが、M
CSである。
その影響を与える要素に、フォーマルなものと
インフォーマルなものがあり、フォーマルには、
ルールとシステム的方法とがある。
そのフォーマルなものは、構造と関係する。
MCSは、この構造とも大いに関係する。
MCSの行うための条件
1
2
3
4
5
6
7
目標の種類
目標整合性
目標整合性に影響を与えるインフォーマルな要因
フォーマルなコントロールシステム
組織のタイプ
コントローラー(管理のためのスタッフ)の機能
要約
1 目標
組織は、それ自体目標を持たない。CEOあるいは、最
高経営者により設定される。
その一例は、1:収益性、2:株主価値、3:多元的価値
4:リスクへの担保
1) 収益性は、ROIで測定される。
((収益ー費用)/収益)*(収益/投資額)
=ROI
=売上高利益率*投資回転率
=12.5%=5%*2.5回
2) 株主価値最大化
株主価値の最大化は、適切なゴールの理解の仕
方でない。
理由は、1)最大化が現実に可能なのかという問
題、2)株主価値のみが、経営の唯一の目標では
ない。
3) リスク
リスクと収益は裏返しであり、経営者は、資産を
維持するという前提で収益を獲得しようとする。そ
の意味で、資産減少のリスクは、ある範囲で押さ
えようとする。(投資規模と収益性の関係)
4) 多元的利害関係者アプローチ
企業にはさまざまな利害関係者が関わる。例えば、
株主、顧客、サプライヤー、従業員、地域社会利用的
なMCSは、この各利害関係者について、目標を設定
し、それを達成するように機能すること。
ケース:リンカーンエレクトリックは、一番重要な目標
は、従業員に満足を提供すること。
2 目標整合性
MCSでの運営の当否において次のような質問
が妥当である。
1)どの行動が、本人にとって利益となるように
動機づけているのか。
2)その行動は、組織にとって最善なのか。
3 目標整合性に影響するインフォー
マル要因
フォーマルなシステムとインフォーマルなプロセ
スが、ともに、人間行動に影響を与える。
インフォーマルなプロセスとは、次のものである。
1)仕事上の倫理性、2)マネジメントスタイル、
3)文化
上記の要因を外部インフォーマルと内部イン
フォーマルの2つに分かれる。
1)外部要因
社会的なノルム(規範)と呼ばれるものが、典型的
な外部的インフォーマル要因である。
2)内部要因
組織文化(共通の信念、共有している価値(かっても水道哲
学)、行動の規範(行動憲章)、J&JのCREDO(信条)
マネジメントスタイル:例として、GEのJonesとWelchの違い
インフォーマル組織:インフォーマル組織の理解なしに、MCS
の課題は解決しない場合がある。
知覚やコミュニケーション:情報の伝達と知覚との関係
4 フォーマルなコントロールシステム
1)ルール
2)物理的コントロール
3)マニュアル
4)システムの安全性維持(safeguards)
5)タスクコントロールシステム
6)フォーマルなコントロールプロセス:MCS
図2-1 公式的コントロール・プロセス
66ページ
目標
ルール
その他
情報
戦略
報酬フィードバック
戦略的
予算
計画
編成
改訂
改訂
責任セン
ター業績
是正
行動
計画と実
際との差
異報告
測定
フィードバックコミュニケーション
業績は
満足なも
のか?
5 組織のタイプ
組織は、戦略に影響され、戦略はMCSのデザ
インを規定する。
組織には、3つのタイプが存在する。
1)職能別組織:重要な利点は効率性
2)事業部組織
3)マトリックス組織
6 管理スタッフの機能
MCSのデザインと実施に責任をもつ人間をコントロー
ラーと呼んでいる。
そこには、5つの機能がある。
1)情報とコントロールシステムのデザイン・運用
2)財務レポートの作成
3)業績の分析・検討、予算の編成支援と総合予算の
作成
4)監査、内部牽制システムの運用
5)管理スタッフの養成