はしかの名前 七日はしか 風疹(三日はしか)と区別 麻疹 ましん と読むが はしか とも読む 麻疹 元の用字は痲疹 漢字制限で麻疹と書く 英語 Measles ドイツ語 Masern 昔は命さだめといわれた。天然痘は器量さだめ 病気の様子 高い熱、はな水、のどの痛み、激しいせき、眼の充血 などでうつる力も強い。 熱:39~40度の高い熱がつづきます。 4日目位に一度熱が下がりますが、半日から1日後にまた高い熱がでます。 (二峰性発熱) このときしっしんがでます 。約5日くらいで熱は下がります。 しっしん:まず口の中にしっしんができます。 赤いじゅうたんに塩をまぶしたような 感じでコプリック班 といいます。 Henry Koplikアメリカ小児科医 つぎに顔からほぼ円形の大きさは5mmくらいの赤いはんてん(紅斑)が き胴体、腕、脚へと全身へひろがっていきます。ややかゆみがあります。 約5日くらいで消えます。 咳:強い。 脱水症:熱が長く続いて体の水分が不足する。 食欲:なくなります。 口腔内にみられるコプリック斑1 口腔内にみられるコプリック斑2 発疹1 発疹2 発疹3 原因 麻疹ウイルスがからだに入りはしかになります。 からだへの入り方(感染経路)は 咳の飛まつ や さわること(接触)などいろいろです。 はしかウイルス はしかの人の咳の飛まつや鼻みず目やに(眼脂)、尿などに 含まれていて、免疫がない人の鼻や眼の粘膜に飛まつがふ れてうつる(空気感染)。 おもなうつり方は空中に飛びちったウイルスによる。 はしかの人の着物の消毒は、感染予防に効果がない。 このウイルスは、感染力は強いが、温度や紫外線により死 にやすい。空気中では、2時間以内に死んでしまう。 ウイルスが着物についても、すぐにうつる力がなくなる。 着物からはしかのウイルスはうつるないと言われる。 麻疹ウイルスはParamyxovirus 科Morbillivirus 属に属し、直径100~250nmの エンベロープを有する一本鎖RNA ウイルスである。A からH のcrade に分類され、 genotype は22種類報告されている。日本で主に流行しているのはD3, D5 タイ プであり、ワクチン株はAタイプである 4) 。 合併症 麻疹の合併症として、肺炎、急性脳炎、中耳炎、などがある。 肺炎は、麻疹ウイルス性の肺炎と、細菌二次感染(肺炎球菌、インフルエン菌 化膿レンサ球菌、黄色ブドウ球菌)による肺炎とがある。 乳児では、毛細気 管支炎になることもある。気管支肺炎、大葉性肺炎(肺 炎球菌性肺炎)のこと もある。 麻疹自体でも、せきが続くが、麻疹で、発熱が続いたり、再発熱する時には、 肺炎の合併を疑う。 麻疹脳炎(急性脳炎)は、麻疹ウイルスが、脳神経系に入って起こる。 急性脳炎の主症状は、高熱、頭痛、嘔吐、意識障害(嗜眠状態など)、痙攣な ど。 急性脳炎は、麻疹1,000~5,000例に1例程度の頻度で、発症する。 2001年度大阪感染症流行予測調査会報告書によると、麻疹での急性脳炎の 合併率は、約1,000人に2人と言われる。 麻疹脳炎(急性脳炎)は、発疹出現後2~7日目(発熱6~12日目頃)に発症す ることが多い。 麻疹脳炎は、解熱した後、再び、発熱(高熱)して、発病することがある。 合併症の頻度合併症 頻度 (発症数/患者数) 中耳炎 8.5~15/100 肺炎 3.8~7.3/100 けいれん 0.5~1.0/100 麻疹脳炎 1/1,000~2,000 亜急性硬化性全脳炎1/100,000(十万) 死亡1/10,000~10/100 (開発途上国) 1,000人に約1人が脳炎になります。発疹が現れ てから2日から3週間後に高いねつ、けいれん、こん すいなどで始まります。この病気は短くて、約1週間 で回復することもありますが、長びいて脳に異常を のこしたり死ぬこともあります。 はしかの現状 みなさんご存じのように、日本各地で10-20代を中心に麻しん (はしか)の流行が続いています。麻しんは感染力が非常に強く、 かかってしまうと治療方法がなく、かつ重症化しやすいため、予防 接種が最も大切です。もし、麻しんにかかったことがなくてこれま でワクチンを受けたことがない人は、早急にワクチン接種が必要で す。しかし、ワクチンが全国的に不足しているためすぐに接種でき ないのが現状です。このため、もし本校で麻しん患者が発生した場 合は、校内での流行を防止するため、毎朝自宅で検温し37.5℃以上 の発熱がある場合は出席停止をお願いすることになります。さらに、 流行が広がる時は「麻しん既往がなくかつワクチン未接種者」も出 席停止をお願いするかも知れません。 著者 奈良県 山本忠彦先生 群馬県麻しん患者全数把握報告 平成19年は1月1日~4月1日(第1週~第13週)で6名(麻しん*:3名、成人 麻しん**:3名) 4月2日~4月29日(第14週~第17週)では32名(麻しん*:20名、成人麻し ん**:12名) 4月30日~6月3日(第18週~22週)では93名(麻しん:25名、成人麻しん: 68名) 6月4日~7月2日(23週以降)では47名(麻しん:6名、成人麻しん:41名) 最近の2週間(6月18日~)では5名(麻しん1名、成人麻しん4名)と減少しま した。 6月4日以降では、前橋地区(13名)が最も多く、次いで太田地区(7名)、館 林地区(7名)、高崎地区(6名)、桐生地区(3名)、渋川地区(3名)、富岡地区(3 名)、伊勢崎地区(2名)、藤岡地区(2名)、中之条地区(1名)で発生しています。 *麻しん(15歳未満)、**成人麻しん(15歳以上) 7月2日までに群馬県医師会から衛生環境研究所に報告があった情報で作 成しました。 群馬県では流行性疾患患者通報事業として、県内すべての医療機関、群馬 県医師会及び各郡市医師会にご協力頂き、県内の医療機関を受診したす べての麻しん及び成人麻しん患者(疑いを含む)を把握しています。平成18 年は計5名の報告がありました。 週別麻しん及び成人麻しん患者報告数 報告患者数と背景色 0件 1件 2件 3件 4件以上 予防 ワクチンによる予防が必要です。 ヒト以外に は伝染しないウイルスなので、ポリオの次は 麻疹が根絶計画の目標になるでしょう。 事実、米国では土着の麻疹はほとんどいな くなり、日本人などの外国人からの感染が問 題になっています。 ワクチン たとえ今回、麻しん発症がなく流行が去ったとしても安心はでき ません。ワクチン接種後も野生ウイルスに接触しなかった場合には、 ワクチンによる免疫の持続期間は10年程度と考えられています。さ らに、ワクチン接種しても数%で抗体ができないことがあります。 このため今後も麻しんの流行が繰り返される事が予想され、これを 阻止するため昨年からは、1才と6才に2回ワクチンを接種すること が法律で規定されました。現在小学2年生以上の方は、ほとんどが 1回しか接種していないでしょうから、ワクチンの供給が安定すれ ば2回目の接種をおすすめします。なお、この接種は保険適応とな らず料金がかかり自己責任となります。麻しんにかかった人は終生 免疫が得られるためワクチンの必要はありません。わからないこと があれば、学校医にお問い合わせ下さい。 著者 奈良県 山本忠彦先生 ワクチンの副作用 麻疹の生ワクチン接種の副作用は、アナフィラキシーは 接種24時間以内、脳炎・脳症・痙攣は21日頃見られる。 副作用として、脳炎・脳症を発症する頻度は、 1/100~ 150万人以下と言われる。 副作用として、SSPE(亜急性硬化性全脳炎)を発症す る頻度は、1/100万人と言われる。 麻疹の生ワクチンを接種すると、接種者の98.0%は、 HI抗体が陽転する。接種後の麻疹HI抗体価は、平均で X64倍(X26倍)程度に、上昇する。生ワクチンを接種後 麻疹に対する十分な免疫を獲得するまで、約1カ月を要 する。 予防接種の法律 麻疹の予防接種は、日本では、弱毒生麻しんワクチンが、 昭和45年から任意接種で導入され、昭和53年から定期接種 に組み込まれた。 平成18(2006)年4月1日からは、新制度により、麻疹の予防 接種は、風疹の予防接種と同時に、 しかも、計2回(第1期:1歳~2歳まで、第2期:学校入学まで の1年間)、受けるようになる。 副作用 副作用としての発疹は、ワクチン株の麻疹ウイルス(に対す る免疫応答)が原因で起こる。接種者の20%程度に見られる。 接種後、 平均9.1日後(接種して 15日以内)に、見られる。 3日程度で消失する。 鼻汁、咳嗽が、接種15日後以内に、発現することもある。 はしかにかかった時の注意 熱が続きますので熱さましを上手に使っ てあげてください。 また熱が続くため食欲も落ちますので、 水分を中心に消化の良いもの・口当たりの 良いものを中心にあげてください。 肺炎・脳炎などの合併症の疑いのある時 は入院が必要になりますので、様子をよく 観察し心配なときにはお薬が残っていても 再受診してください。
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