論文紹介

論文紹介
青年期における恋愛相手の選択基準
とアイデンティティ発達との関係
2009-07-02
高木 翔平
1
目次
1. 製作者
2. 概要
3. 第1回目調査
4. 第2回目調査
5. S-ESDS(親密性発達)調査
6. 傾向
7. 選択行動の要因
8. 結論
9. 参考文献
2
1.論文製作者
立教大学大学院現代心理学研究科
キン イクン
3
2.論文の概要
目的
•
日本の男女青年恋愛相手の選択基準を明らかに
する。
•
選択基準の中に潜在している構成因子を解析し
て、選択傾向を見出す。
•
アイデンティティの発達状態は、恋愛の選択と関
係があるのか。
4
3.第1回目調査
• 調査方法
大学生の男女に自由記述形式で質問。
「あなたは、恋愛相手を選択する場合に、どのような
特徴をもっている相手がよいと思いますか?」
頻度の多い順によって、“恋愛相手の選択基準”の
順位を決める。
5
3.第1回目調査
恋愛相手の選択基準
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
男性
顔がかわいい(10)
性格が優しい(8)
背が自分より低い(7)
笑うと魅力的な人(6)
明るい性格(6)
精神的に自立している(5)
共通の趣味がある人(5)
話して面白い、楽しい(5)
一緒にリラックスできること(5)
家事ができる(5)
女性
背が自分より高い(40)
優しい(35)
思いやりがある(29)
スポーツができる(27)
価値観が同じ(26)
顔がかっこいい(23)
友達も家族も大切にする人(21)
頭がいい、賢い(20)
何か一生懸命頑張っている(17)
誠実、真面目な人(17)
男女ともに、外観を非常に重要な選択基準としている。
6
4.第2回目調査
• 第1回目の調査結果から作成した“恋愛相手の選択
する選好度”質問紙(二者択一式)によって調査
• 選択基準10位までの中から2項目ずつ抽出し、AとB
の選択肢として、より重視している項目を選んでもら
う。(計45組の質問)
• 結果を多次元尺度構成法により分析。
• また別にS-ESDS(親密性発達調査)も同時に行う。
7
4.第2回目調査
第一回調査の結果から、選択基準の次元布置を考える。
• 男性は
次元1 “現代的女性役割 対 伝統的女性役割”
次元2 “楽しさ 対 しっかりさ”
の2つの次元で選択をしていると推測。
• 女性は
次元1 “性格的 対 外見的”
の1次元で選択をしていると推測。
8
4.第2回調査の結果(男性)
しっかりさ
伝統的女性
役割
現代的女性
役割
楽しさ
次元1は偏ったが、次元2は半々くらいに。
9
4.第2回調査の結果(女性)
内面的
外見的
61人中56人が内面的な部分を重視するという。 10
5.S-ESDS(親密性発達調査)
女性>男性
という結果に。
また、女性はだいたい同じ得点になったが、男性は人
によって得点に大きく差が出た。
つまり20歳前後(青年期後半)は男性にとって、アイ
デンティティの形成が達成される境目である。
11
5.S-ESDS(親密性発達調査)
女性
アイデンティティの発達と親密性の発達が同時並行
的で両者のずれが少ない。
男性
男性はアイデンティティの発達後、親密性の発達に
移行する。
Erikson(1968)
12
6.選択傾向(男性)
アイデンティティの形成が達成されていない男性
“ 外見、楽しさ ”を重視する傾向
アイデンティティが発達している男性
“
しっかりさ ”を重視する傾向
13
6.選択傾向(女性)
大学生になる頃には、アイデンティティの形成はほぼ
達成されている。
外見よりも “性格” を重視する。
14
7.青年期の選択行動の要因
• アイデンティティが未発達である男性の恋愛行動
恋愛は親密性の発達の結果ではなく、アイデンティティ
の自信を得るためのものである。
• 女性またはアイデンティティの発達した男性の恋愛行動
将来の家庭の良い雰囲気を形成して、子どもにとって
安心感のある生育環境をつくるため、優しさを重視して
いる。
15
8.結論
• アイデンティティと恋愛相手の選択行動には密接な
関係がある。
• アイデンティティの発達は男性のほうが遅いため、
青年期の選択基準は男性の方が複雑である。
• 青年期の男女では、恋愛をする目的が違う可能性
がある。
• 異性を重視する点は、性別の違いよりも、アイデン
ティティの発達状況による点が大きい。
• 男は外見じゃない。
16
9.参考文献
キン イクン 「青年期における恋愛相手の
選択基準とアイデンティティ発達との関係」
Rikkyo Psychological Research,2009,
Vol.51,131-142
17