情報科教育法第4回 専門教科「情報」について 東京理科大学 清水克彦 専門教科「情報」(旧)の目標 「情報の各分野に関する基礎的・基本的 な知識と技術を習得させ、現代社会にお ける情報の意義や役割を理解させるとと もに、高度情報通信社会の諸課題を主体 的、合理的に解決し、社会の発展を図る 創造的な能力と実践的な態度を育て る。」(学習指導要領) 専門教科「情報」(新)の目標 「情報の各分野に関する基礎的・基本的 な知識と技術を習得させ、現代社会にお ける情報の意義や役割を理解させるとと もに、情報社会の諸課題を主体的、合理 的に、かつ倫理観を持って解決し、情報 産業と社会の発展を図る創造的な能力と 実践的な態度を育てる。」(学習指導要 領) 情報処理技術者試験の資格体系 情報技術に関する公的資格 デジタル技術検定 公的資格 工事担任者 国家資格 ラジオ・音響技能検定 公的資格 総合無線通信士 国家資格 CG検定 公的資格 航空無線通信士 国家資格 マルチメディア検定 公的資格 航空特殊無線技士 国家資格 CAD利用技術者 国家資格 陸上無線技術士 国家資格 電気主任技術者(1-3) 国家資格 陸上特殊無線技術士 国家資格 電気工事士(1-2~ 国家資格 国内電信級陸上特殊無線技士 国家資格 電気工事施工管理技師 国家資格 海上無線通信士 国家資格 電気通信主任技術者 など 国家資格 メーカー認定資格 MOUS(マイクロソフトオフィスユーザースペ シャリスト) MCP(マイクロソフト認定技術資格制度) MOT(マイクロソフトオフィシャルトレーナー) オラクル・マスター シスコ技術者検定 など 必要とされる技術者(近藤2002より) 職種 活動の分野 必要とされる技術者 システ ムエン ジニア ・システム技術分野 ・産業システム分野 ・STEP(CAD/CAM等のデータ交換の ための国際標準規格)分野 ・公共システム分野 ・金融システム分野 ・ホテルシステム分野 ・コンピュータケミストリー分野 コンサ ルタン ト ・公共システム営業分野 ・ホテルシステム営業分野 ・産業システム営業分野 ・教育ビジネス営業分野 ・WWW,Java,EJB(Enterprize Java beans)開 発技術者 ・XML(eXtebsible ML)開発技術者 ・C言語開発者 ・ネットワーク、イントラネット開発技術者 ・SCM(Supply chain Manager)物流管理 ERP(Enterprise Resourse Planning)資源管 理技術者 ・Windows/Unix/Linux技術者 ・オブジェクト指向技術者 ・バイオインフォマティックス技術者 ・3次元CAD技術者 ・CADデータ交換技術者 ・CAEによる解析技術者 ・データベース技術者 社会の情報化と産業・資格 情報化する社会においては、様々な職業に「情 報」技術が必要とされるようになった。 情報化は社会における様々な資格を生み出し ている。 社会は「資格」を取得している人材を求めてい る。 教員においても、教育情報化コーディネーター という資格がある 職業教育概論 情報産業をめぐる現状:携帯・PHSなどの加入 者が平成11年で5000万人を超えている。同じく、横長テレ ビの出荷台数をパソコンの出荷台数を超えた。 多様化する情報関連産業:プログラマ、ネット ワーク管理、SE、データベース管理、電信出版、CG、システ ム管理などなどが様々な産業で必要となっている。 情報関連産業の実情:高校からの卒業生は、頭 数をそろえるためだけのバブルの時代から、どんな仕事がで きるか、そのための教育体制、キャリアパスを考える時代へ 情報産業の雇用規模は、平成7年125万人から、平 成27年には245万人へ(政府予測) 情報科の教員免許の科目群 1.情報社会及び情報倫理 2.コンピュータ及び情報処理 3.情報システム 4.情報通信ネットワーク 5.マルチメディア表現および技術 6.情報と産業:産業界、社会生活等における 情報化の理解と職業観・勤労観の育成(普通科 と職業科の両方) 専門教科「情報」(旧)の科目構成 分野 システム設計・管理 共通分野 分野 基礎科目 マルチメディア分 野 「情報産業と社会」 「情報と表現」 応用選択 「アルゴリズム」 「モデル化とシミュレー 「コンピュータデ 的科目 ザイン」 「情報システムの開 ション」 発」 「図形と画像の処 理」 「ネットワークシステ ム」 「マルチメディア 表現」 総合的科 目 赤字は必修科目 「課題研究」 「情報実習」 専門教科「情報」(新)の科目構 成 必修科目 「情報産業と社会」 「課題研究」 情報システム 系 「情報と問題解決」 「アルゴリズムとプログラム」 「情報テクノロジー」 「ネットワークシステム」 「データベース」 「情報システム実習」 マルチメディア 「情報デザイン」「情報の表現と管理」 系 「表現メディアの編集と表現」 「情報メディア」 「情報コンテンツ実習」 専門「情報」の目的と科目構成 「情報の各分野に関する基礎的・ 基本的な知識の習得」 「アルゴリズム」、「情報システ ムの開発」、「ネットワークシ ステム」、「コンピュータデザイ ン」、「図形と画像の処理」、 「マルチメディア表現」 「現代社会における情報の意義や 「情報産業と社会」「情報と表 役割の理解」 現」 「高度情報通信社会の諸課題を主 「モデル化とシミュレーション」、 体的、合理的に解決し、社会の発 「課題研究」、「情報実習」 展を図る能力と態度の育成」 専門「情報」の目的と科目構成(新) 情報の各分野に関する基礎的・基 本的な知識と技術を習得させ、 「アルゴリズムとプログラム」 「情報テクノロジー」 「ネットワークシステム」 「データベース」 「情報デザイン」 「表現メディアの編集と表現」「情 報メディア」 現代社会における情報の意義や役 割を理解させるとともに、情報社会 の諸課題を主体的、合理的に、か つ倫理観を持って解決し、 「情報産業と社会」 「情報の表現 と管理」 情報産業と社会の発展を図る創造 「情報と問題解決」「課題研究」「情 的な能力と実践的な態度を育てる。 報システム実習」「情報コンテンツ 実習」 分野の内容例:情報産業と社会 目標:情報産業と社会とのかかわりについての基礎的 な知識と技術を習得させ、情報産業への興味・関心を 高めるとともに、情報に関する広い視野を養い、情報産 業の発展に寄与する能力と態度を育てる。 ァ.情報現場の見学や情報産業における具体的な事例 を通して、情報産業の業務内容やそこで働くことの意義 について理解させることなど。 イ.社会の情報化が生活に及ぼす影響について具体 的な事例を通して理解させること。そこでの情報産業の 役割について理解することなど。 具体的な内容(「情報産業と社会」から) (1) 情報化と社会 (2) 情報産業と情報技術 ア 社会の情報化 イ 情報化の進展と情報産業の役割 ア 情報産業を支える情報技術 イ 情報産業における情報技術の活用 (3) 情報産業と情報モラル ア 情報技術者の責任とモラル イ 情報モラルと情報セキュリティ ウ 情報産業と法規 課題研究 「情報に関する課題を設定し、その課題の解決を図る学習を通し て、専門的な知識と技術の深化、総合化を図るとともに、問題解決 の能力や自発的、創造的な学習態度を育てる。」 内容の構成及び取り扱い ア 生徒の興味・関心、進路希望等に応じて、内容の(1)から(4)までの中か ら個人又はグループで適切な課題を設定させること。なお、課題の内容の(1) から(4)までの2項目以上にまたがる課題を設定することができること。 イ 課題研究の成果について発表する機会を設けるようにすること。 内容 (1) (2) (3) (4) 調査、研究、実験 作品の制作 産業現場等における実習 職業資格の取得 人材育成としての職業教育 「どのような人材がもとめられているか」 情報に関する資格を有する人材:初級シスアド、マ ルチメディア制作者能力認定、CG検定、ワープロ技能検定など 150種以上の資格が認定されている。 職業意識をもった人材:高校生の離職率は50%。勤 労、職業意識を持った人材。自分の職業観、勤労観を持った人 材が求められる。 インターンシップの活用:実際的な体験を通して、つこ うとしている職業について「理解」をもっている人材。 専門「情報」の指導計画の作成と内容の取り 扱いについて 1 情報に関する学科では、「情報産業と社会」(低 学年)及び「課題研究」(高学年)を原則としてす べての生徒に履修させる。 情報に関する各科目においては、それぞれに 配当する総授業時間数の10分の5以上を実 験・実習に配当する。(実習の重視) 地域や産業界との連携を図り、就業体験を積 極的に取り入れるとともに、社会人講師などを 積極的に活用する。(職業への意識付け) 専門「情報」の指導計画の作成と内容の取り 扱いについて 2 コンピュータや情報通信ネットワークなどの活 用を図り、学習の効果を高めるようにすること (当たり前) 実験・実習を行うに当たっては、施設・設備の 安全管理に配慮し、学習環境を整えるとともに、 事故防止の指導を徹底し、安全と衛生に十分 に留意すること。(他の学科にはない注意点と して、視力低下、ドライアイ・ストレスなどの特有 のものがあることに注意)(これは普通教科「情 報」においても同様である) カリキュラム例(小石川工業HPより) 科目群 内容 電気基礎 電気の基本となる現象と、これを量的に取り扱うことを学び、また電気 的ないろいろな量の相互関係を理解するとともに、これらを実際に活用 する能力と 態度を養うことを目標としている。 情報技術基礎 このような情報化社会に対応できる人材を育成するために学習指導要 領に新しく設けられたものであり、この科目の目標は、「社会おける情 報化の進展及びコンピュータの役割を理解させるとともに、 コンピュー タに関する基礎的技術を習得させ、実際に活用する能力と態度を育て る。」と なっており、工業科においてはすべての学科で共通する重要な 科目になっている 電子回路 テレビやコンピュータ等の 電子機器内部の基本的な構造を学ぶ。 通信技術 有線通信・無線通信・画像通信・音響機器などや 電気通信技術の歴 史と電気通信システムの基本的構成などについて学ぶ。 電子製図 製図に関する日本工業規格および電子技術の分野の製図について基 礎的な知識と技術を習得させ、製作図、設計図などを正しく読み、図面 を構想し作成する能力と態度を育てることにある。 カリキュラム例(赤羽商業HPより) 学年 情報関連科目 1年生 情報処理3単位 商業選択8単位(ビジネス情報、 2年生 文書デザイン、プログラミングな どが含まれる) 総合選択・職業選択12単位(ビ 3年生 ジネス情報・文書デザイン・プロ グラミング などが含まれる) 独立した情報科 岡山県玉野光高校 太田市立商業高校 など20校あまりがある。 職業教育における進路指導 就職に関する法制度をついての知識を持たなく ては社会的に弱者となってしまう。 職業安定法と役割分担:学校はハローワーク (職業安定所)の業務を一部分担できる。 男女雇用機会均等法:募集、雇用、配置・昇進、 福利厚生、教育訓練、定年、退職、解雇、結婚、 妊娠などに関して差別的な取り扱いは許されな い。 改正労働基準法:女子の就業規則は緩和され たが、時間外労働、休日勤務、深夜就業、など について不利益をこうむらないようにする。 情報の教師になるということ 普通高校から、職業高校まで 進学指導から、就職指導まで 授業・カリキュラムの専門家として、メディ アを駆使した「達人」へ 自分自身が、広く情報社会や情報産業に 目を向け続けることが必要 「象牙の塔」に閉じこもらない「新しい先 生」になりましょう。 今日の実習課題 専門教科「課題研究」に取り組もう。 「情報社会における知識の信憑性」について調べよう。 WikipediaなどWeb上の知識ツール(辞書)にはどのよ うなものがあるか。それがどのように作られ運営されて いるのか、また、そこでの知識の信憑性(正しさ、公平 さ)がどのように保たれているのかを調べよう。 役立ちリンク集(教科書会社編) http://www.nichibun.net/classsupport/index.php http://www.kairyudo.co.jp/contents/05_data/data/high/information/a/tange n-link/index.htm http://educonet.jp/open/pages/joho_k/html/link/link_a.html http://ten.tokyo-shoseki.co.jp/enetap/subject/?scl=h&sbj=i http://www.shinko-keirin.co.jp/index.html
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