Be/X線連星A0535+262の 近星点付近の変動を捉える 森谷友由希、野上大作、今田明、杉保圭、平田龍幸 (京都大学) 岡崎敦男 (北海学園大学) 増田盛治 (あすたむらんど徳島) 内容 1. introduction 1. 2. 2. 観測 1. 2. 3. Be星とは Be/X線連星とは profileの変動 視線速度による軌道位相 まとめ Introduction: Be星とは B型星からのスペクトルは、大抵連続光+ 吸収線として見える。 Hα B型星のスペクトル Be星とは (古典的)Be星:『過去に1度でもBalmer系 列線が輝線として観測された超巨星では ない星(主系列星)』 B型輝線星のスペクトル (Porter & Rivinius (2003)) この様なスペクトルが観測される理由は… photosphere ⇒吸収線 + Be disc ⇒輝線 Be/X線連星とは Be星とコンパクト星(主にNS)との連星系:2 disc 軌道離心率が小さくない(~0.3以上) 2種類のX線outburst (NSに質量降着すること で生じる): normal outburst(<1Crab at 1~20keV):軌道 位相依存性がある。(近星点通過後) giant outburst(>1Crab at 1~20keV):軌道位相依 存性がない。 コンパクト星 1Crab=2E-8erg/s/cm^2(かに星雲の明るさ) Be星(星+disc) Be/X線連星の概念図 (Okazaki et al. 2002) 連星系におけるBe discの変動 Be/X線連星の軌道離心率は小さくない ⇒軌道位相依存性を持った相互作用をする。 (Okazaki et al.(2002)によるモデル計 算):近星点(位相0.0)通過後、位相0.1辺 りからコンパクト星との相互作用によっ てBe discに変動が最もみられる。 Be discに変動⇒Balmer輝線に変動(V/R比、 peak separation等) normal outburstの発生機構になるのではな いか。 A0535+262(HDE245770) 1975年のoutburst時にAriel 5衛星によって 発見された。(Rosenberg et al. 1975) Be/X線連星(NS + O9.7IIIe)。 X線normal outburstの間隔から推定される 連星軌道周期 ~111.3 days 軌道離心率 ~0.47 normal outburst、giant outburst共に観測さ れている。 観測概要 A0535+262を可視光連続(連夜)分光観測をし、 Hαのスペクトルに変化があるのかどうかを 確認し、モデルと比較を試みる。 連続分光観測をするのは、Be星のdiscの変化 を連星軌道位相の視点から考えるため。 岡山天体物理観測所188cm望遠鏡HIDESを用 いて、2005年11月下旬~12月上旬の7 夜、及び2006年12月に1夜。 波長分解能~61,000、積分時間:30分/枚。 観測結果:profileの変化1 強度:Fλ/Fc Hα輝線は全く 変動していな い。 ⇒Be discは変動 していない 観測時期の軌 道位相は0.7~ 0.8 Okazakiのモデ ルとは矛盾し ていない。 2005年 波長(Å) 観測結果:profileの変化2 強度:Fλ/Fc 1年間でHα輝線が 変動。(形、V/R比) ⇒Be discが変動して いる 波長(Å) 2006年10月のprofile (Grundstrom et al. (2006)) とも大きく異なる。 (Grundstrom et al. 2006) 観測結果:視線速度と軌道要素 視線速度km/s ↓2006年12月の観測 視線速度か ら軌道位相 を決めにく い。 光球からの ↑2005年11月の観測 軌道位相 情報ではな い discは様々な 時間スケー ルで変動 ※視線速度から軌道位相を求めるには比較的短 いスケールで系統的に観測する必要。 まとめ 2005年11月下旬~12月上旬と2006年12月に Be/X線連星A0535+26を岡山天体物理観測所 188cm望遠鏡/HIDESを用いて分光観測した。 Hαはdiscの青側の強いダブルピークを示し ていた。2005年11月の下旬にスペクトルは 殆ど変化しなかったが、2006年12月は1年 前に比べスペクトルが大きく変化していた。 Be discの変動の為に視線速度曲線を求めるに は短い期間に系統的な観測の必要がある。 今後の展望 2005年のスペクトルは(実は)図らず も軌道位相0.7~0.8辺りのものだった。 Be discの変動を詳しく調べるには近 星点付近(最もdiscの変動が期待され る)での変動を調べる必要がある。 2007年11月上旬~中旬に岡山天体物 理観測所で“今度こそ”近星点付近を 狙って連夜観測する予定。
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