流量観測高度化に向けた複数の流量観測手法の観測精度の比較検証

流量観測高度化に向けた複数の流
量観測手法の観測精度の比較検証
平成28年6月3日
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【目次】
1.流量観測方法について
2.観測結果
3.現場での適用に向けた課題
2
1.流量観測方法について
2.観測結果
3.現場での適用に向けた課題
3
流量観測の高度化
1.流量観測方法について
流量観測の高度化とは、洪水中の河床変動、河川の横
断方向流速分布、鉛直方向流速分布を把握し、それら
を用いて流量値を算出することで、従来の流量観測手
法と比較して、流量観測の精度向上を図るものである。
≪流量観測の高度化マニュアル(高水流量観測編)ver1.1-土木研究所-≫より抜粋
本報告では、高精度化に加えて、観測作業の効率性
向上・安全性向上・低コスト化を含めて「流量観測の
高度化」とする。
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浮子観測
1.流量観測方法について
浮子観測⇒昭和29年(国土調査法水位及び流量調査
作業規程準則)以降約60年間、全国の高水流量観測
の中心的な手法として適用
・観測手法は非常にシンプル
・基準が確立されている
・精度確認が容易
・安全性、迅速性、確実性、コ
スト面で課題有り
※≪絵でみる水文観測≫より引用
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新たな観測方法①(ADCP観測)
1.流量観測方法について
ADCP観測⇒超音波のドップラー効果を応用し、断面内
の三次元流向・流速を測定。移動しながら観測する曳
航観測と、断面内に固定するH-ADCP観測等あり。
・流速分布と河床形状を同時
に観測
・短時間で多量の流速分布
データが取得可能
・気泡が多いと計測できない
・曳航型⇒作業員必要
・固定型⇒メンテナンス必要
曳航型ADCP
H-ADCP
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新たな観測方法②(電波流速計観測)
1.流量観測方法について
電波流速計観測⇒河川水面に向けて照射した電波の
ドップラー効果を利用し表面流速を観測。固定式と可搬
式の観測あり。
・固定式⇒作業員不要、連続
観測可能
・可搬式⇒観測線を自由に設
定することが可能
計測原理
・水面に波がないと測定不能
・固定式⇒設置数分だけ観測
・可搬式⇒作業員必要
可搬式電波流速計の観測状況
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新たな観測方法③(流速画像解析)
1.流量観測方法について
流速画像解析⇒洪水時の流木や波紋を撮影し、画像
解析から表面流速測定。主流方向に想定した検査線上
の時空間画像を用いる。標定点の設置により動画を幾
何補正。
・作業員不要
・連続観測可能
画像変換イメージ
・適用可能な川幅に限界
・解析時に明確な基準がない
画像解析例(STIV法)
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1.流量観測方法について
2.観測結果
3.現場での適用に向けた課題
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流量観測地点
2.観測結果
櫛田橋
両郡
(基準地点)
距離標
7.8km
14.3km
セグメント
2-1
2-1
勾配
1/1,470
1/530
川幅
約280m
約100m
線形
直線区間
直線区間
計画流量
代表粒径
4,500m3/s 4,300m3/s
9.6mm
12.5mm
櫛田橋
両郡
・三重県松阪市を流れる櫛
田川の2地点で観測実施
●主要地点
■基準地点
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浮子観測結果
2.観測結果
極端に大きな流速が観測される場合があった(両郡)。
両郡 第3回観測(7/17 07:59)
河床高
浮子割
水位
浮子観測:観測値
電波流速計:観測値
26
6.0
標高(T.P.m)
2
3
4
5
5.5
24
5.0
23
4.5
22
4.0
21
3.5
20
3.0
19
2.5
他より大きな値
18
流速(m/s)
1
25
2.0
17
1.5
16
1.0
15
0.5
14
0.0
0
・・・浮子割No.
20
40
60
左岸からの横断距離(m)
80
100
120
11
浮子観測結果
2.観測結果
投下地点~第一見通し線が近い?
橋脚の間で流れが変化?
⇒橋脚の影響を受けない位置への見通し線移動
第二見通し線
第一見通し線
両郡橋(浮子投下)
橋脚の間で流れが
変化?
距離近い?
(助走距離は確保)
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ADCP観測結果
2.観測結果
河床高の欠測や、異常値の観測(両郡)。
正常に観測できたと思われるデータの取得数が少ない。
河床高が異常値
河床高欠測
河床高が異常値
河床高欠測
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ADCP観測結果
2.観測結果
濁度の影響により河床が欠測?
観測船の揺れが大きく異常値観測?
観測機器に問題?
⇒観測位置の変更、観測機器の変更
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電波流速計観測結果
2.観測結果
観測結果は概ね良好。
風速補正したが、風の影響は十分評価できていない。
⇒風速補正の必要性検証
櫛田橋 第3回観測(7/17 08:49)
・・・浮子割No.
16
2
1
14
4
3
5
6
7
8
9
5.0
風速補正の前
後の変化が小
13
5.5
4.5
4.0
11
3.5
標高(T.P.m)
12
10
基準断面・第一断面
浮子割(第一測線)
水位
浮子観測:観測値
ADCP(表層付近)
流速画像解析:観測値(平均値)
流速画像解析:補正値
電波流速計:観測値
電波流速計:補正値
9
8
7
6
5
4
0
20
40
60
80
100 120 140 160 180 200 220 240 260 280 300
左岸からの横断距離(m)
3.0
2.5
流速(m/s)
15
6.0
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
15
流速画像解析の観測結果
2.観測結果
左右岸付近の流速が観測できず。
さらに、左岸側の観測値が他より小さく観測される傾向。
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河床高
浮子割
水位
浮子観測:観測値
ADCP(表層付近)
流速画像解析:観測値
25
1
24
標高(T.P.m)
6.0
電波流速計:観測値
2
3
5.5
4
5
5.0
23
4.5
22
4.0
21
3.5
20
3.0
19
2.5
18
2.0
観測値小さい
17
流速(m/s)
両郡 第3回観測(7/17 07:59)
1.5
16
1.0
15
0.5
死角発生
流速観測できていない
14
0.0
0
・・・浮子割No.
20
40
60
左岸からの横断距離(m)
80
100
120
16
流速画像解析の観測結果
2.観測結果
カメラから観測範囲までが遠いうえに、画角内に両岸が
収まりきらない。
⇒観測位置の見直し
左右岸全てを撮影することが
できない⇒固定カメラの限界
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1.流量観測方法について
2.観測結果
3.現場での適用に向けた課題
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ADCP観測
3.現場での適用に向けた課題
流速・河床・流量が一度に観測できるので非常に有用。
他の観測方法の観測結果について検証ができるので
定期的な観測が重要。
観測データが適切に取得できなかった場合があり、そ
のような観測結果の活用方法について検証が必要。
観測作業員が必要であり、低コスト化は難しい。
全てのデータがおかし
いわけではない!
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電波流速計観測
3.現場での適用に向けた課題
可搬式は観測作業が容易。
観測時間も短時間で終わるため、測線を増やしてもOK。
固定式にすれば、観測員は不要。
表面流速を観測しているので、順風・逆風時に風が及
ぼす影響を評価する必要あり。(高度化マニュアル案記
載の補正式でよいか?)
流量算出にあたって、流速を補正する方法を検証する
必要あり。(ADCP観測、一般的な方法(0.85)、その他)
風向がほぼ真横なの
で影響評価が難しい
DIEX法は適用可能か?
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流速画像解析
3.現場での適用に向けた課題
CCTVカメラ等既設カメラが活用できれば、直ちに運用
が可能。さらに、洪水時の現場作業不要で、現場の状
況に左右されない。
既設カメラでは、観測範囲を全て画角内に収めることが
困難な場合あり。(死角の発生は流量算出に影響する
のか? 浮子観測は5~6点の流速から流量を算出)
解析時の検査線の必要本数等、解析の基準が明確で
ないので基準作りを急ぐ必要がある。
夜間観測が可能な画質の確保が困難。(高感度カメラ、
赤外線カメラ)
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流速画像解析(死角の発生)
3.現場での適用に向けた課題
画像解析で死角が発生しても断面全体からすると影響は
限定的ではないか?
死角が発生しない方法を検討するよりも、観測範囲の流
速の精度向上が重要?
26
1
標高(T.P.m)
24
2
河床高
水位
ADCP(表層付近)
電波流速計:観測値
3
浮子割
浮子観測:観測値
流速画像解析:観測値 6.0
4
5
5.0
22
4.0
20
3.0
18
2.0
16
1.0
14
0.0
0
・・・浮子割No.
20
40
60
80
左岸からの横断距離(m)
流速(m/s)
両郡 第3回観測(7/17 07:59)
100
120
浮子割と比較した場合の
流速不明範囲
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流速画像解析(夜間観測)
3.現場での適用に向けた課題
CCTVカメラでは夜間観測に適していない場合が多い
高感度カメラでは証明が乏しいと解析不可能
赤外線カメラを使う必要があるか?
昼間撮影
夜間撮影
波紋が確認できる
街灯により、波紋が確認
できるので解析可能
照度不足で解析不可能
街灯があるが、照度不足
で解析不可能
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